F&Aレポート

谷川俊太郎先生を偲んで 言葉の力で日本文化を支えた人

●1931年(昭和6年)生まれ、二十歳のときに「二十億光年の孤独」でデビュー。数多くの詩集やエッセイのほか、「鉄腕アトム」の主題歌、「あしながおじさん」「スイミー」「にじいろのさかな」「ピーナッツ(スヌーピー)」などの翻訳でも有名な天才詩人 谷川俊太郎先生。多くの人が、小学校の教科書や絵本などで、子供のころに一度は、その作品や言霊に触れていることと思います。

●谷川先生が小学1年生のころ、朝起きて太陽がゆっくり上るのを見て、「けさ、生まれてはじめて、朝を美しいと思った」と、日記に書いたという逸話が残っています。あとになってご自身で「あれが詩人の始まりだった」と、語っておられます。

●2024年11月13日老衰のため92歳で永眠。最期の言葉(作品)は「感謝の念だけは残る」でした。宇宙や自然の尊さ、人として大切なもの。あらためてその世界観を味わいたいと思います。

「鉄腕アトム」作詞:谷川俊太郎 作曲:髙井達雄

この歌、今でも歌えます。鉄腕アトム(手塚治虫 原作)が誕生したのは1963年。最高視聴率40%という大ヒット作となりました。日本中の子ども達に夢と勇気と元気を与えてくれました。多くの知識とスキルを持つアトムは現代なら生成AIか。正義の味方で、みんなの友達でした。

「空に小鳥がいなくなった日」谷川俊太郎

「感謝」谷川俊太郎

    いずれの詩も言葉の選び方、音のリズムが秀逸でありながら、わかりやすい。「こんなことを表現したいのだろうな」というのが、大人にも子どもにもスッと伝わり読み手に共感させます。

    生前、「言葉は、地面から(私の)足の裏に入って、腹を通って脳に伝わってくる」と、ご自身が言われているのを聞いて、宇宙とつながっている方なのだと感じました。合掌。