相続税相談室

基礎控除引き下げにより、相続税の申告が増えたのでしょうか?

平成28年12月15日国税庁から、基礎控除引き下げ後の相続税の申告状況が発表されました。これによると、課税対象となった被相続人数つまり相続税の申告件数は、103,043人と前年の56,239人から倍近い83.2%の増加となり、課税割合も8.0%(前年4.4%)となりました。課税価格、税額は、それぞれ14兆5,554億円(前年11兆4,766億円)の26.8%増、1兆8,116億円(前年1兆3,908億円)の30.3%増となっており、1億円前後の申告が顕著に増加した模様です。

なお、相続財産のうち割合も同時に発表され、土地の構成比が38.0%(前年41.5%)と減少し、現預金が30.7%(前年26.6%)と増加しており、相続税における土地から現預金への財産構成の変化は継続しているようです。

申告割合が1割近くになったことで、相続税はもはや富裕層だけでなく、中間層も対象となる身近な税金となってきました。これは明確な裏付けのない話ですが、富裕層は、毎年の確定申告などを通じて、税理士と会話する機会が多く、相続税対策も早めに打つことができますが、中間層はそのような機会がないことが多いと想定されます。1億円前後の資産であれば、早めに手を打てば、財産の価額を基礎控除内に収めることができるかもしれませんし、納税額も高額にならないことから、納税資金の手当ても余裕を持ってできるかもしれません。

いずれにしても、早めの対策が必要です。

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