相続税相談室

なぜ相続税の基礎控除は引き下げられたのでしょうか。

引き下げの背景について、国会等で検討される資料から読み取れるのは、地価の下落です。相続税が課税された財産についての統計が国税庁から発表されていますが、バブル崩壊直後の平成7年にピークだった土地の価額は、11兆7,303億円でしたが、平成26年には、5兆1,469億円にまで値下がりしています。これは44%程度の水準であり、基礎控除6割の引き上げはまだ高い位という発想になります。

 しかし、ここで注意しなければいけないことがあります。

相続財産に占める現預金等のことです。同じく相続税のデータですが、現預金については、平成7年時点で1兆7,718億円でしたが、平成26年には、3兆3,054億円と、1.9倍になっています。土地と同じくバブルが崩壊した有価証券も、平成7年1兆3,799億円→平成26年1兆8,966億円と1.4倍になっています。この有価証券は、上場株式だけでなく、未上場株式も含みますから、マーケットと連動していないと想像されます。 全体の資産で見ると、平成7年16兆8,937億円→平成26年12兆4,086億円となり、7割の水準です。

 これらのデータを素直に見ると、6割水準への引き下げは、納税者にとってやや厳しいものではなかったかと推察されます。

タイトルとURLをコピーしました