Seijiの金融情報
12月16日、米連邦準備理事会(FRB)は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%引き上げ、事実上のゼロ金利を解除することを決めました。政策金利の引き上げは2006年6月以来9年半ぶりで、2008年秋のリーマン・ショックに端を発する金融危機対応がやっと終結することになります。
利上げに関する今後の注目点は、そのペースと最終的な目標水準に移ります。FOMC参加者による政策金利の見通しでは、16年末が1.375%、17年末が2.375%となっています。毎回の利上げ幅を今回と同じく0.25%とすると、16年中に4回の追加利上げを見込んでいることになります。また、利上げ局面の最終段階にあたる長期的な見通しは3.5%となっていす。これらのことから、過去の利上げ局面に比べ、今回の利上げは非常に緩やかなペースで行われ、最終的な目標水準も低いものになりそうだということが言えます。
ドル円相場は、日米の短期金利差が徐々に拡大していくことから円安基調が維持されると考えます。一方で、日銀の金融緩和策に限界が見えていることや日本の経常収支が改善傾向にあることから、これらが円高要因として働き、結果として円安進行のペースは穏やかなものになると想定されます。水準としては2016年末で130円といったイメージでしょう。ただ、リスクシナリオとして、中国や新興国における金融経済の不安が顕在化し、世界的なリスクオフ・ムードが強まって116円程度まで円高が進行するケースは想定しておく必要がありそうです。
緩やかな円安基調を前提にすると2016年の株価は、企業の増益率が今年よりも大きく鈍化するため大幅な上昇は期待薄です。日経平均で見ると18000円〜22000円程度のレンジでのボックス相場になりそうです。7月の参院選を控えて年前半は堅調な相場展開を予想しますが、その後は為替相場次第で上下に振れるのではないでしょうか。
ただ、基本的に金余りによる流動性相場は続きます。FRBは利上げを開始しますが、バランスシートの縮小は先送りとなっています。これは、市中に出回るドル資金は、利上げ後も減らないということを意味します。一方、日銀とECBは金融緩和を強化する方向にあります。そのため、2016年の日米欧の3中銀合計の資産残高は増加が続きます。世界的な金余り状況から株式市場に資金が流入するという構図は、来年も変わらないでしょう。
これらのことから、2016年のマーケットも外人投資家の動向に一喜一憂する展開となりそうです。金融所得課税の一体化やジュニアNISAの導入など、貯蓄から投資への資金シフトをサポートする制度は拡充されますが、個人がじっくり長期投資できる相場環境が日本で実現するにはまだ長い時間がかかりますね。
この1年間、ずっと待ちだった米国の金融緩和、つまりリーマンショックからの異常事態がひとまず終了しました。これから来年を見通して、どのように世界が動いていくか、注目したいところです。
なお、ここに来て、日本の株価の動きも激しくなってきました。Seijiさんも指摘されていますが、あまり強い期待感は持てないように思います。それはともかく、マーケットに関わらず、お正月くらいは、ゆっくりお酒を飲みたいですね。
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