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今後の中国経済の見方 [2015/10/9]

 8月以降の世界同時株安は中国経済の減速懸念が最大の要因ですが、一時の極端な悲観論は後退し、冷静な見方が増えています。

 今月6日、IMFが世界経済見通しを発表しました。その中で世界全体の2015年の成長率を3.1%と7月時点の予測(3.3%)から0.2ポイント下方修正しています。しかし、中国については6.8%と7月時点の見通しから変えていません。IMFの幹部は中国経済が減速するリスクを意識しつつも、「(景気が急速に落ち込む)ハードランディング懸念は大げさだ。サービス部門のブームが、製造業の下落を相殺している」と説明しています。

 8月以降、中国経済については製造業の落ち込みばかりがクローズアップされてきました。しかし、これは経済の実態の一面しか捉えていません。10月2日のウォール・ストリート・ジャーナル紙は、中国には「2つの経済」が存在すると指摘し、次のように報じています。

〜ウォール・ストリート・ジャーナル抜粋〜
・「今の中国には『2つの経済』が存在する。このうち1つは沈みつつある。もう1つは、以前ほど栄えていないにしても成長を続けている。」 ・「重工業、資源採掘業、建設業は不況に陥っている。一方で、旅行や外食、電子商取引などのサービス業を含む他の業界は依然として十分な成長ペースを保っている。」
・「中国政府が1日に発表した購買担当者指数(PMI)に二極化の兆候が出ていた。9月の製造業PMIは2カ月連続で節目の50を下回り、景気収縮が続いていることを示した。しかし非製造業PMIは53.4と、依然として順調に伸びていることがうかがえた。各種サービス業を対象とした非製造業PMIは長年、製造業PMIを上回っている。」
・「建機大手キャタピラーのような米国企業の中国売り上げが著しく低迷する一方で、ナイキやアップル、スターバックスなどが依然として高い成長を遂げている。」
・「投資家は『2つの中国』という概念に慣れる必要がある。」

 このように、中国では製造業が落ち込んでいますが、非製造業は依然好調を維持しています。また、中国政府は、すでに金融緩和やインフラ投資の拡大によって製造業の落ち込みに歯止めをかけようとしています。さらに、10月後半から開催される五中全会(共産党中央委員会)で景気テコ入れのためにさらなる財政出動も期待されています。

 中国経済の悪化によって世界的な景気後退を招くリスクはひとまず後退しました。今後、世界景気の拡大が持続するかどうか、つまり、株価が再び上昇トレンドに戻るかどうかは、ひとえに米国経済にかかっているといえそうです。

酒井からのコメント

 後日掲載予定


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