Seijiの金融情報
8月の株式相場は、リーマンショック以来の世界同時株安で大荒れの展開となってしまいました。
今回の下げの最大の要因は、中国に対する懸念が強まったからです。中国は、情報開示が不十分なため、経済状況がどうなっているのか外部からはよくわかりません。ただ、共産党が絶対的な権力を持ち、財政的にも余裕があることから、経済が急速に悪化しないようにうまく管理してくれるだろうという期待が市場にはありました。しかし、8月中旬に人民元の切り下げを発表したことで、中国当局は経済をうまくソフトランディングさせることができないのではないかという疑念が浮上しました。さらに、その後、上海株が7月につけた安値を割り込む状況となっても中国当局は適切に対応できなかったため、管理能力に対する疑念は高まっていきました。
そうした市場の不安心理が極限に達したのが8月24日ニューヨーク市場でした。早朝の為替取引で、円相場が瞬く間に1ドル=120円台から116円台まで円高に振れました。さらに、その後開いたニューヨーク株式市場ではダウが一時1000ドル以上下急落し、そこで相場は当面の底値をつけました。この急落の背景には、1000分の1秒単位でコンピュータシステムが大量の売買を自動的に繰り返すアルゴリズム取引の存在が指摘されています。
さて、今後の見通しですが、日本の株式市場は、2〜3か月間調整局面が続いた後、企業業績の拡大を確認しながら上値を試す展開になると個人的には期待しています。というのは、企業業績拡大を支えている2大要因は円安と原油価格低下ですが、今後も円安トレンドと原油価格低下基調は続くと予想されるからです。
ただし、中国経済減速、ドル高、原油安が続くことによって新興国の債務不履行リスクが高まる事態が懸念されます。新興国の大半は中国が輸出する製品の原料を供給することで成長してきました。しかし、中国景気が失速して輸出が減少し、それらの国の通貨は大きく下落しています。つまり、それらの国の収入は減少してしまっています。一方、新興国の社債残高は2008年以降倍増し、直近で約800兆円に達しています。これらのうちドル建て社債の比率は08年には15%未満でしたが、現在40%を超えています。ドル高が続けば、実質的な債務は拡大します。つまり、収入が減る一方で借金は膨らんでいきます。新興国の債務問題が世界的な金融システム不安に発展していかないかどうか注意していく必要があります。
後日掲載予定
本情報は、執筆者 [Seiji] の個人的な見解であり、内容の正確性・信用性については保証できません。各自の責任のもとに活用いただきますようお願い申し上げます。なお、その結果生じた不利益に対して、当サイトは一切責任を負わないことをご承知ください