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先日、今年の箱根駅伝で青学を初優勝に導いた原晋監督が自身の半生を綴った本が祥伝社文庫(※)から出版されました。監督の経歴や優勝までの軌跡については、すでにテレビや雑誌で紹介されていてご存知の方も多いと思いますので、説明は省略します。
私がこの本を読んで強く感じたことは、リスクを取る覚悟がなければ仕事でも相場でも大きな成功はつかめないということです。
監督就任に際して青学から提示された条件は3年間の嘱託職員という不安定なものでした。そのため、勤め先の中国電力の上司に3年間の出向扱いにしてもらえないかと相談したところ、「退路を断つ覚悟がなければ絶対に成功しない。そんな保険をかけるくらいならやめたほうがいい」と言われて腹を決め、退路を断って挑戦する決意をしたそうです。
それから10年計画で勝てるチームを作り、予定より1年遅れて11年目に優勝を果たした。一流企業のサラリーマンという安定した身分を捨てて、結果を出さなければすぐにクビにされる嘱託契約の監督に転身するという決断がなければ今の栄光はなかったわけです。
この事例は、有価証券運用に通じるものがあります。損をするかもしれないという不安があるとなかなか売買の決断はできません。でも損をするかもしれないというリスクを取らないと大きなリターンは得られない。不確実な状況の中で決断するには勇気が必要です。
私は、勝てる確率が60%あると思えば株式や債券の売買を実行することにしています。損をする確率が40%あると認識しつつ、勇気を出して売買する。するとあまり損をすることはありません。なお、この確率は、あくまで経験と勘による主観的なものです。
相場経験が少ないと、自分の相場観に自信が持てません。そのために売買の判断が遅くなり、割高になったところであわてて買ってしまったり、大きく下げたところで不安になって損切りしてしまいます。
「リスクを取って行動することで初めて見えてくる世界がある」というのは相場の世界の真実だと思います。
でも偉そうに言っている私も、売り時・買い時だとひらめいた場合で、その通りに売買を実行できるのは3回に1回くらいです。後になって後悔することが多いというのが正直なところです。やっぱり相場は奥が深いですね。
※「逆転のメソッド〜箱根駅伝もビジネスも一緒です」(原晋著、祥伝社文庫、2015年5月)
「リスクをとる」という表現は、相場だけでなく、いろいろなところで出てきます。生きてること自身がリスクですし、会社経営、仕事、家庭、ボランティア等々様々です。サラリーマンって気楽な商売だなんてのは遠い昔の話しです。これに対して、リスクマネジメントといいますが、リスクとマネジメントはある意味対立する概念ですから、ホントにマネジメントできるのか私には分かりません。マーケットに慣れてるはずのSeijiさんも、自信がないと言うことで、ホッとしました。
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