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最近の金融市場について [2013/5/25]

 5月24日、日本銀行松山支店長から最近の金融経済状況についてお話を伺う機会があり、そのときのポイントをまとめてみました。

 まず、金融市場が乱高下していることについて次のような見解をいただきました。

  1. 株式市場は期待先行による急激な上昇でミニバブルとなっていたため、昨日(5月23日)の大幅な下げとなった。
  2. 長期金利(10年国債利回り)が上昇していることについて、急激な金利上昇は問題だが、日本銀行が大量に国債を買い入れることによって国債市場の流動性が低下し、それによって金利が不安定になっている面は否めない。市場関係者との対話を重ねながら、金利が安定するよう対応していきたい。
  3. 1ドル=100円を超える円安となっていることについては、経済状況(購買力平価)に見合った妥当な水準にある。(そのため、株式市場と金融市場が不安定な動きをする中でドル円相場は比較的落ち着いた値動きとなっている。)
 次に、私から、アベノミクスによってデフレからの脱却が進めば、潜在成長率やインフレ率の期待値が上昇し、長期金利はざっくり見て1.5%〜2.0%まで上昇する可能性があることを説明し、そういった金利上昇について日本銀行の考え方を伺いました。

 それに対し、日本銀行が問題と考えるのは、金利が急激に上昇することで債券市場が不安定になり、その結果、企業の起債が中止になるなど市場での資金調達に支障が出る事態であって、経済実態(景気の回復)を反映して金利水準が徐々に上昇していくことは自然なことであり、それを無理に抑え込んで低金利を維持することは望ましくないという見解をいただきました。

 ということは、巷で言われているような、政府の利払い負担を軽減するために日本銀行が国債を大量に購入して長期金利の水準を低く抑えようというようなことは、日本銀行としては実際には考えていないということですね。

酒井からのコメント

 この時期に貴重な情報をありがとうございます。株や為替よりも、金利(債券)に注意すべき時期だと思っていますが、日銀のスタンスを確認することが出来ました。

 株価については、先週後半(5/23〜24)に調整と思える変化がありましたが、それ以前に金利が微妙な動きをすることで、不動産関連に見られたバブル的な現象に歯止めがかけることにもなり、これは結果的に良い面かもしれません。また、日本から始まった超低金利もどこかで脱却すべきです。ただし、大きく金利が動き出す可能性も0ではないでしょうし、財政面も含めたマイナス部分は大きいですから、注意は必要です。

 いずれにしても、株価とともに、各市況が少しずつ変化をしており、表面的な部分だけを見て売り買いすること、特に楽観的な見方には要注意と思われます。

 さて、週明けの市場はどうなるでしょうか?


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