Seijiの金融情報
イタリア総選挙の結果、下院では中道左派連合が第一党となり絶対多数を確保しましたが、上院ではいずれの勢力も絶対多数を獲得できませんでした。そのため、イタリアの政局が混乱するのではとの懸念が高まり、金融市場では、これまでの円安・株高の流れが一服し、不安定な動きとなっています。
今後のイタリアの政治日程を見ると、3月1日にナポリターノ大統領がドイツ訪問から帰国後、組閣交渉が本格的に始まり、3月15日頃議会が召集され、上下院議長を選出。3月末までに大統領が内閣を指名して、上下院で信任投票が行われる予定です。
2月27日の日本経済新聞朝刊によれば、連立交渉が行き詰まって内閣の指名ができず、政治空白が長引いて再選挙に突入するという最悪のシナリオも想定されていますが、その可能性は低いと思われます。というのは、今回の選挙では既存政党を厳しく批判する、コメディアン出身のベッペ・グリッロ氏率いる「五つ星運動」が急速に支持を拡大したことから、数か月以内に再選挙となれば、中道左派連合、中道右派連合ともに議席数を減らすリスクが高いからです。当面の再選挙を回避するよう両陣営が対応する結果、政権基盤は脆弱なものの中道左派連合中心の政権が発足する可能性が高いと予想されます。
早期に再選挙が実施される可能性が低下すれば、イタリアの政局問題は当面の懸念材料ではなくなり、金融市場は落ち着きを取り戻してくると思われます。
しかし、下院と同等の権限を有する上院で単独過半数を持つ勢力がないことから、連立政権の政権基盤は極めて脆弱であり、これまでのように財政赤字削減や労働市場改革に取り組むことが困難になることは間違いありません。
今秋以降、2014年予算を審議することになりますが、欧州連合(EU)が求める追加的財政赤字削減策を講じようとして議会が紛糾し、解散、総選挙となるリスクが再び高まることには注意しておく必要があります。
Seijiさんと同じく、私も携帯に円急騰のニュースが入り、ちょっと驚きました。イタリアの政界の変化がマーケットにここまで影響してしまう。国内での注目度が高くなかった分、衝撃が大きかったところがあるかもしれません。
日本でも、自民党政権の復活からG20を経て、ここのところ、マーケットでも楽観的なムードに染まってきたという印象もありましたが、ここはちょっと頭を冷やしておくタイミング、と思うべきでしょうね。弾はどこから飛んでくるか分かりませんので。
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