F&Aレポート
「アクエリアス話し方講座」から〜最近のトレーニング
話し方講座を始めてから20年が過ぎました。その間、会社員、学生、主婦、シニアの方々など受講される方は途絶えることなく、のべ1,000人以上の受講生の指導をさせていただきました。
どんな指導をしているのかとよく聞かれますが、基本の発声・滑舌訓練の他は、その時々の要望や状況に合わせて考えています。このレポートでも時々ご紹介していきますので参考にしていただければ幸いです。
1、問題解決を題材にして、考えを瞬時に説明するトレーニング
大きく分けてスピーチには2種類あります。1つは準備ができるスピーチ、2つ目は準備ができないとっさのスピーチです。
前者は、結婚披露宴の祝辞や乾杯の挨拶、または業務上のプレゼンなどです。ある程度、準備をする時間があり、原稿を書いたり口に出して練習をしたりすることができます。いわゆる「準備スピーチ」といわれるものです。
後者は、突然の指名で何か言わなきゃならない!といったものです。準備の時間はなく、瞬発力のようなものが必要になります。こちらは「即興スピーチ」といわれます。
話し方が苦手という人は、たいてい後者のケースに苦しむことが多いように見受けられます。しかも、偉い人(目上の方や立場が上の方)や、初対面で多くの方を前にしたときは、脳の処理能力が追いつかない。納得できる結果が得られず後悔したり、自己嫌悪に陥ったりということになりがちだというお悩みをよく聞きます。
「即興スピーチ」もトレーニングで解決します。3部構成でシンプルに応える(伝える)練習をしましょう。3部構成とは次の通りです。(30秒や1分と時間の縛りを入れても良い)
『ひとことで最も言いたいことを言う』→『その理由を述べる、具体例があれば添える』→『ひとことで最も言いたいことを言う』
2、ワークを通してトレーニングワーク<頭がいいのは、どっち?>
先輩たちが仕事について話をしているときも、よくその内容を理解しています。仕事も先輩たちの指示にしたがってテキパキとこなします。理解が早く、カンもいいので、まわりからの評価も高いようです。
ただ、指示されたこと以外には興味がないようです。
一方の山田さんは、記憶力がいまひとつであることを自分でも認識しているようで、メモをよくとります。
また、指示を受けても「なぜですか」「こうしたらどうでしょう」と、口ごたえをしてしまいます。そのため先輩たちからは「指示をするに、一手間かかる」と言われています。
記憶力には自信がない山田さんですが、興味のある分野については深い知識を持っています。一般的な新聞記事や雑誌には載っていない知識を持っています。
時々指示されていないことを色々調べたりして「きっとこうなるんじゃないか」という自分なりの見通しや考えを口にすることもあります。
その見通しが当たるときもあれば、外れるときもあるため、一部の先輩たちからは煙たがられることもあるのですが、、、。
さて、川本さんと山田さん、「頭がいい」のはどちらでしょうか。
(1) 川本さんの方が頭がいい
(2) 山田さんの方が頭がいい
(3) どちらかが頭がいいとはいえない
(4) 川本さんも山田さんも頭がいい
(問題解決トレーニング 西村克己著)
話し方のトレーニングでは、「なぜ、そう考えるのか」をわかりやすく伝えることが目的です。人の顔色を見て答えを決めないこと。正しい答えを求めようとしないこと。シンプルにまとめること。上記の場合、そもそも「頭がいい」の定義があいまいになっていますので、そこをどのように考え、表現するのかは、発信者の価値観も感じられます。
頭の中にある考えを整理してアウトプットする。日頃から、こういったトレーニングをすることで即興スピーチの筋肉が鍛えられるのです。