F&Aレポート
F&Aレポート 2022年7月20日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
「あらためて「身だしなみルール」とは?
最近、松山市役所の職員向け「身だしなみルール」が物議を醸しています。「ミニスカート不可」「白髪染めは地毛の色」「結婚指輪以外の装飾品は身につけない」など、細かく書かれたものが市役所内に張り出されているというのです。さらに、松山市議の一人が「社会の流れに抵抗するかのごとき、悪しき昭和の匂いがしてなりません。こういう規定はハラスメントではないのか。説明と見直しを求める答弁をお願いします」と、抗議したといいます。
「身だしなみルール」はハラスメントになるのか?そもそもこのルールは正しいのか?気になるところです。
1、「身だしなみ」と「おしゃれ」のちがい
まずは「身だしなみ」と「おしゃれ」のちがいは何でしょうか。頭の中でなんとなくわかっていても、はっきり説明するのは難しいという人も多いようです。
- 身だしなみ
- 基準となるのは他人の目
他人に不快感を与えない装い - おしゃれ
- 基準となるのは自分の目
自分のセンスや好みの装い
2、「身だしなみ」規定はハラスメントになるか
社内規定は信頼され、職場の環境を守り、生産性を高めるという目的で存在します。そのため「社内規定が厳しいから即ハラスメント」にはなりません。ただ、規定が形骸化しないためにも時代に応じて見直す必要はあります。また、「なぜ、その規定が職場に必要なのか」を説明できることも重要です。
「昔からそうだから」「社長の方針だから」という理由では説得力に欠けます。また、「女性(男性)だけに厳しい」「新入社員だけに課せられる」ということでは、徹底するのは難しいでしょう。規定は、社内で徹底することに意義があります。
規定そのものがハラスメントになるかどうかよりも、規定の活用が的確かどうか、理不尽な運用になっていないかなどをチェックしてみるのが良いのではないでしょうか。
3、社内規定はローカルルール 自社の常識は他社の非常識かも
このたびの松山市役所「身だしなみ規定」のすべてをチェックしたわけではないのですが、あくまでも松山市役所の職員向けローカルルールであることは踏まえたほうが良いと思います。民間企業や一般常識とはズレている部分もあるでしょう。
ただ社内規定は、もともと組織の中のルールですので「ローカルルール」です。国際間の儀礼上のルールであるプロトコールや、一般的なビジネスマナーとは違う、業種業界独自の視点やルールがあって当然といえば当然なのです。
個人的には、身だしなみを徹底するなら「足元」「靴」を見直しましょう!と、言いたいところですが、「靴」についての明記はなかったように思います。結婚指輪云々よりも、足元を整えれば印象がガラリと変わります。また、足元を整えると良い意味での緊張感が生まれます。とはいえこのルール、当事者である職員さんたちは「そんなもんだ」と、ルールに則り淡々と仕事をされているという話も聞きます。「他人に不快感を与えないローカルルール」なら外野があまりとやかく言うことでもなさそうです。本件が「身だしなみ」について一石投じてくださったのであれば、それはそれで大変意義深いことかと思うのです。今後の「身だしなみ規定」にも注目したいと思います。