F&Aレポート

F&Aレポート 2021年8月20日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

「世界幸福度ランキング」にみる「幸せ」

 国連の「世界幸福度ランキング2021」では、1位が4年連続でフィンランド、2位デンマーク、3位スイスと続き、8位まで欧州が占めました。これは米調査会社ギャラップが全世界に対して行う世論調査をもとにしたもので、単年の結果がそのまま反映されるのではなく、過去3年間の平均値によるものだそうです。今回は2018年から2020年の結果をまとめて2021年版として発表されました。「世界幸福度」は7つの指標をもとにしています。

  1. 国民一人あたりのGDP
  2. 社会的サポート(「困った時に助けてくれるものや信頼できる人がいるか」)
  3. 健康寿命、人生選択の自由(「人生で何をするか選択の自由があるか」)
  4. 気前のよさ(「過去1カ月にいくら募金したか」への回答のGDPに対する度合い)
  5. 汚職や腐敗の認知(「あなたの国やビジネスに汚職・腐敗が蔓延しているか」)
  6. 世界最低の国の平均値(2.43)と3年間の調査で出た各国の残余値を合計したもので、点数が大きいほどランキングが高くなっています。
 対象は149の国と地域で、日本は56位で、アジアでは台湾(24位)、シンガポール(32位)、タイ(54位)につぐ4番目。ちなみに、日本は2020年版(2017-19年)のランキングでは62位。最下位はアフガニスタンでした。

 日本のGDPは米国、中国に続く世界第3位です。これは世界幸福度ランキング56位とは、あまりにもかけ離れています。また、コロナ禍で人間関係の希薄さが指摘されている通り、15歳〜30代の昨今の死因トップは自殺です。

 「多い/少ない」「勝ち/負け」「成功/不成功」という誰かとの比較の中で、自分の人生の良し悪しを決めるのはやめて、「自分にとっての幸せ」を見つめ、そこを満たしていくことにシフトできれば、私たちはもっと楽に他者と共存できるのかもしれません。

 「成功」は必ずしも「幸福」ではないことをこれらのデータが示しています。コントロールできないことはさておき、コントロールできることを考えてみるのはどうでしょう。