F&Aレポート

F&Aレポート 2015年12月20日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

しない・させない職場のパワー・ハラスメント2 〜パワハラへの理解を深めて、未然に防止しよう

 パワハラの手段によって、パワハラ加害者は(1)攻撃型(2)否定型(3)強要型(4)妨害型の4つのタイプに大別できるといいます。前回ご紹介した(1)(2)のタイプにつづき、ケース事例を通してご紹介します。(株式会社クオレ・シー・キューブ代表取締役 岡田康子氏)その前に、「そもそもなぜパワハラ問題なのか?」下記の4つを確認しておきたいと思います。

1.心と身体の健康を害する
2.職場風土を悪化させ、士気が低下する
3.退職者の増加と有能な人材が流出する
4.企業評価を低下させ、信用が失墜する


 以上のことから、「パワハラは、個人の問題ではなく組織の問題」といえます。また、「人間関係の調整能力の問題」でもあります。日頃から、職場の人間関係や人権感覚を高めていきましょう。

■パワハラ加害者の4つのタイプ

(3)強要型:自分のやり方を押し付ける
 Cさんは中堅の営業担当です。入社以来成績もよく、販売目標もほぼ達成してきました。1年前に今の部署に異動し、赴任後しばらくは上司とも関係は良好で、順調に成績を上げていました。半年後、上司とお客様宅に同行した際、上司から服装や話し方について注意を受けました。それ以降、上司はCさんと顔を合わせるたびに、自分のやり方とは違うと言って、細かい点を口やかましく注意するようになりました。Cさんは上司からダメ社員として扱われるようになり、すっかり気持ちが滅入り、ミスが目立つようになりました。
 このタイプは「自分のやり方を無理矢理押し付ける」「責任をなすりつける」「サービス残業を強要する」といった、上司という権限・威厳を誇示したがる傾向が強いパワハラです。過去の自分の偉業にすがりつき、そのやり方に間違いないと信じ切っている人もいます。服装や話し方の注意をすることは上司として当然ですが、常識の範疇を越えた指導や自分のやり方の一方的な押しつけは、繰り返されるとパワハラとして問題になります。

(4)妨害型:気に入らない人物の全てに妨害行為をする
 Dさんの上司の課長は、ハイハイと言う事を聞く人には優しいが、意見をはっきり言う人に対しては当たり散らす人です。ある仕事で、Dさんと上司の意見が合わなくなったことがありました。それ以来、上司の態度は冷たくなりました。しばらくして同僚から「課長があなたのこと使い物にならない、相手にするなと言いふらしているよ」と聞き、愕然としました。それ以来、職場で孤立感を感じるようになり、自分だけミーティングの連絡が来ないこともありました。
 このタイプは「仕事を与えない」「必要なものや情報を与えない」「辞めさせると脅す」「休ませない」など、被害者の仕事そのものだけでなく、仕事に向かう意欲や向上心をも妨害しようとするものです。ケース例は、組織上の圧倒的なパワーの差を使ったパワハラであり、自分の気に入らない人物の業務を妨害し、つぶそうとする自己中心性が見られます。周囲から孤立させ、信頼を失墜させようとしており、パワハラとして問題があります。

■パワハラは段階を踏んでエスカレートする
 パワハラは、最初は適切な指導であったものが、次第にパワハラへと発展していくのです。実はほとんどのケースにおいて、パワハラはいきなり行われるのではなく、段階を踏んでエスカレートしていきます。早い段階で気づき、防止することが大切です。

第1段階:ミスの指摘、コミュニケーションのずれ
第2段階:繰り返しミスを指摘、不適切な仕事の割当て、少しずつ無視
第3段階:性格や経歴までを非難する?無能扱い、繰り返しの叱責、脅迫、暴力
第4段階:さらなる無能扱い、退職の強要