F&Aレポート

F&Aレポート 2015年6月30日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

「リアルな人間関係」の重要性

主語を「私」から「私たち」に変えてみよう
■ 「Yes,we can」といえば、誰もが即座にオバマ大統領の名言だと思い出せるぐらい、このキャッチフレーズは世界に響きました。「I」ではなく「We」が持つことばの意味。それは「We」と発した瞬間に聞き手の一人ひとりを主人公とし、話し手と聞き手を同等にし、能動的にさせる一体感ではないでしょうか。
■ 日本語は主語がなくとも通じる言語であるため、主語を意識して話すことが少ないかもしれませんが、あえて主語を「We=私たち」とすることで、メッセージ性が強くなることがあります。そう「I=私」ではなく、「We=私たち」に変えるだけで伝わり方が変わるのです。(参考図書「デキる」大人の話し方 えい出版社

1、相手の警戒心を一変させる「We話法」
アドラーはコミュニケーションにおいて「喜びを共有し、その気持ちを伝える」ことが重要だと説きました。ところが、人間は相手のことをよくわからないと警戒心を抱くものです。そういった相手と気持ちを共有するのはなかなか難しいことではないでしょうか。そんなときに試してほしいテクニックに「We話法」というものがあります。主語を「私」から「私たち」に変えるというものですが、例をあげてみていきましょう。
「私は、このプロジェクトをうまくやっていけると思います」
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「私たちは、このプロジェクトをうまくやっていけそうです」
 二文を比べてみてどうでしょう?同じ意味を伝える文章でも、主語が「私たち」になるだけで受ける印象が変わりませんか?
「私たち」ということばは一体感や連帯感を想起させ、相手にあなたの味方ですよというメッセージを送ります。相手を優しい気持ちにさせたり、親切な気持ちを引き出す効果もあります。

★なぜ、いまアドラーが人気なのか

 “人は過去に縛られているわけではない。
あなたが描く未来があなたを規定しているのだ。
過去の原因は「解説」になっても「解決」にはならないだろう”

 “人生には3つの課題がある。
 1つ目は「仕事の課題」
 2つ目は「交友の課題」
 3つ目は「愛の課題」である。
 そして後の方になるほど、解決は難しくなる”
 最近、アドラー心理学の本がちょっとしたブームです。アドラーはフロイトやユングとほぼ同時代の心理学者です。
 アドラーが現代人に受け入れられるのは、「縦の人間関係」ではなく、「横の人間関係」を大切にしているところでしょう。アドラーは教育を通じて社会改革をしようとした珍しい心理学者ですが、子どもを誉めるのも叱るのも、結局、縦の関係であり、縦の人間関係は精神の健康を損なう大きな要因だと言っています。
 では、誉めることもなく、叱ることもなく、横の人間関係をつくっていくにはどうすればいいのか?アドラーは「喜びを共有すること」と「その気持ちを相手に伝えること」によって、相手を勇気づけることが大事だと言っています。「うれしい」「ありがとう」「助かった」といったことばが普通に出てくれば、人間関係はとても変わってくるというわけです。横の人間関係をつくることの妨げになるのは、人より優秀であろうとする「優越コンプレックス」や、その反対の「劣等コンプレックス」です。アドラーが唱える「普通である勇気」をもてば、世界は変わり、もっと住みやすい社会になるでしょう。