F&Aレポート
宴(縁)を結ぶ、きりっと中締め 「一丁締め」「一本締め」「三本締め」「一つ目上がり」「ご当地締め」
■ パーティなどでお開きの前に行われる「中締め」の挨拶。「乾杯」の挨拶と違って、印象が薄く、「中締め」の意味も曖昧になってしまっていることが多いように感じるのはなぜだろう。実際、宴会などで中締めの挨拶が終わって数分もしないうちに、お開きになり、出されたばかりのデザートを慌てて食べたという経験もある。または、中締めの挨拶で「一本締めでお願いします」と言いながら「一丁締め」を行い、タイミングを外して手が合わず(これを「手遅れ」と言うとか)締まらない「中締め」になって後を濁すなど。
■ まあ、お酒も入り、会話も弾み、そうなれば細かいことは気にならないのかもしれないが、指名されたら主催者のためにもきちんと締め、役目を果たしたいもの。今回は夏の宴会シーズンで、突然指名されてもたじろがない「中締め」の基本をマスターしてみよう!
1.そもそも「中締め」の意味と目的とは
「中締め」とは、ひとことで言えば「けじめ」です。長い宴会に一区切りを付けるために行うひとつの儀式です。儀式といえば大袈裟に聞こえるかもしれませんが、目的は三つあります。
(1)退席したい人達への配慮
(2)宴(縁)を結ぶ
(3)お開きの時刻が迫ることを暗に促す
さらに、あえて付け加えるとすれば、会場側への合図にもなります。中締めを行うということは、「そろそろこの宴会は終わりますよ」「飲み物や料理などの新たな提供も基本的には必要ありませんよ」「ドア係や音響・照明係など、お開きの準備をしてくださいね」という段取りを促します。
2.「中締め」と料理のタイミングを合わせる
プロの司会者なら、必ず会場側と歩調を合わせます。コース料理のデザートも出終わらないうちに、「中締め」をしてしまったらせっかくの料理を最後までゆっくり味わえないまま、慌てて閉め出されてしまうことになりかねません。立食パーティで、初めからデザートが出されていることもありますが、いい宴会は主催者、お客様、会場係が三位一体となって作り出すものです。
「中締め」は、厳密に時間が決まっているわけではありません。お開きの10分前で行うこともあれば、20〜30分前で行うこともあります。出席者の都合や会の目的などに合わせて、事前に会場スタッフも含めて打ち合わせをして決めることがベターです。
3.「一丁締め」「一本締め」「三本締め」「一つ目上がり」「ご当地締め」
「中締め」では、手締めを行うことが多いものです。ここで、それぞれの「締め方」を確認しておきましょう。
- 「一丁締め」:馴染みの「よーぉ、パン」です。これは略式の手締めになります。
- 「一本締め」:「パパパン、パパパン、パパパン、パン」
- 「三本締め」:「パパパン、パパパン、パパパン、パン」を3回繰り返す
- 「一つ目上がり」:一本締めの要領で、人差し指1本で始まり、2本、3本と打ならす指を増やしていき、最後に5本の指をそろえて手締めをします。だんだんと音が大きくなっていくので、末広がりで華やかな手締めとなります。おめでたい席にはふさわしい。
- 大阪や博多など、それぞれの地域独特の手締めがあります。郷に入っては郷に従えの通り、ご当地締めは場が盛り上がります。事前にチェックしてみましょう。
- 自己紹介:○○会社の△△です。ご指名をいただきましたので中締めの音頭を取らせていただきます。
- 御礼や感想:本日は大変素晴らしい会にお招きいただきありがとうございました。おかげさまで、大変勉強になりました。
- 手締め方法:今日の会合が皆様の明日への活力になりますように、一丁締めでお願いします。
- 合図:では、お手を拝借します。「よーっ」「パン」(手をうつ)「ありがとうございました」