F&Aレポート
特集 「構想力」と松下幸之助
サルは逆立ちしても人間にはなれない。逆も然り。犬は犬、猫は猫だ。同様に一人ひとりの人間には適性があり個性があり、自らの道がある。早くしてそれにめぐり合った人間は幸運というべきであろう。考えてみれば人間の一生とはそのような「自らの道」にめぐり合うための旅だといえるかもしれない。一生めぐり合えない人だっているのだから。
「構想力」とは自らを知り、自己のプラットフォームをつくるところから始まり、それを他の因子とどのようにつないでいくかという思考の形である。因子をつなぐ発想である。それは織物に似ている。個々の糸(因子)は同じでも、その紡ぎ方によってさまざまな織物ができる。人生はそれぞれの描く構想の力によって決まっていく。企業もまた同様ではないか。今こそ「構想力」で現状を、世界観を変えるのだ。かつての名著の中から松下電器元副社長の言葉が蘇る。
(「構想力のための11章」水野博之著 三五館)
1.統計の数字より独自の「構想力」が有効
かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代、松下幸之助が奇妙なことを言ったことがある。ご多分にもれず、松下電器もまた儲かって儲かって仕方のない時代であった。
経理部長が大変な好決算を報告して「現在、松下には現金にして約一兆円の金があります」と言ったときのことだ。幸之助は、「君、それを見たかね?」と言ったのである。
「預金証書なんて一つの紙切れにすぎん。君が銀行に行って、わが一兆円の現金のあるところを実際に君の目で確認したか」と、問うたのである。現実にはそんなことはできようがないわけだが、松下幸之助の言いたかったのは次のようなことであったのだろう。
「君はソロバンの上で計算して儲かった儲かったと、有頂天になっているが、この数字が本当に裏打ちされているものか、もう一度、現場を見てみる必要があるのではないかね」
このくらいしっかり緒を締めておけば、問題はおきないだろう。現在では松下幸之助の言葉が文字通り現実となった。優良企業で、つぶれるなんてかつて夢にも思わなかった企業がいま、バタバタ行き詰まっている。松下幸之助の言葉がいまさらのように思い出されるのである。
この松下幸之助の態度は、今様にいえば、
「しっかり、生の情報を集めろ。紙の上の数字は危ない」ということになる。
2.情報を活かすのは「構想力」
しかし、ここで注意したいのは「生の情報そのもの」は何も語ってくれない、ということだ。逆に有害である場合すらある。その情報をどう解釈するか、ということが大切なのである。ここに「構想力」の問題が現れてくる。
かつて武田信玄は、家来が尾張の国のウツケと呼ばれた若き織田信長の行状を報告したとき、満座笑いこけている中で、深く考え込んだといわれるが、このことこそ情報に接する真の姿を伝えている。情報は集めれば良い、というものではない。現在では情報は有り余っている。集め方によっては混乱を起こしかねないのだ。
「キャッチアップ時代」の秀才たちは情報が好きだ。小さいときから「知識の量」を競う教育をされていただけあって、ことあるごとに自分の勉強の成果(情報の量)を誇る。
数字はいくら並べてもそれだけのものだ。これら情報はいずれも過去のものだ。こんなものを積み上げてみても何も生まれるわけではない。
シュンペーターのいう循環的社会(今までの仕組みがそのまま動く連続社会)ではそれでも機能した。しかし、循環的な社会から非連続な創造的社会では数字は何の意味ももたない。かえって有害ですらある。それは過去の情報によって、しばしば「新しき創造の芽」がつぶされるからである。知識は時として有害なのだ。
知識、情報を意味あるものにするには「それらを有効につなぎ、新しい価値を創造する構想力」が必要なのである。
今の社会は情報に満ち満ちている。かつて一部の支配階級の独占物であった情報が、いますべての人々に公開されつつある。このことは何を意味するか?かつてと違って人々はそれなりに情報をつなぎ合わせる工夫をしなくてはならなくなったし、その工夫如何によって個々の人生に大きな違いが生まれるであろう、ということだ。今程一人ひとりの自覚の問われている時代はない。ある意味恐ろしい社会がやってきたといえる。
3.師・友「ヒューマン・ネットワーク」と「グレイパーソン」
こんな社会を生き抜くには一つのネットワークが必要だろう。ネットワークとは「ヒューマン・ネットワーク」である。
松下幸之助は学問もなく知識もなかったが、見事な「ヒューマン・ネットワーク」を持っていた。報告に行くと「ウンウン」と黙って耳を傾けてくれる。報告が終わると別室に待たせておいて、どこかに自分で電話をする。意見を訊くためである。だれだか分からない。このだれだか分からない、というところがミソである。分かったら事前に根廻しをしてしまうからだ。
一言に言えば、幸之助は「ヒューマン・ネットワーク」を使って人の知識を借りる名人であった。彼は大変な聞き上手であったから皆、喜んで情報を提供したのであった。「ヒューマン・ネットワーク」は情報過剰社会の弊害から逃れるだめにもぜひ必要なものだ。それは難しいことではない。友人の輪を持つ、ということだ。友人と書いたが、これには老若男女、先輩後輩、あらゆる種類の人間を含むことが望ましい。
なかでも特に大切なのは、「グレイパーソン」と呼ばれているお年寄りだ。
姥捨の伝説ではないが、経験豊かなお年寄りは、いろいろな場に臨んでアドバイスを受ける絶好の人である。ぜひ「ヒューマン・ネットワーク」の中に入れて、大いに意見を訊くとよい。
4.「構想力」と創造的未来
最近、ある中小企業のトップの集まりの席で次のような質問があった。「私も長いこと経営をやってきたが、こんなことは初めてだ。まったく見えない。指標とすべきものが見つからぬ。政治も経済もガタガタ。どうなるかさっぱりわからん。こんなときに松下幸之助さんがいたらどう言いますかなあ」
私が松下にいて長い間、幸之助を仰ぎ見ていたので何か言ってみろというわけだ。不肖の弟子には大変な難題であるが、何か言わないわけにはいかないので、「まず"難しく考えるな"というのではないかと思いますね。あらゆる権威が失墜し、頼りとするものがない状況で、難しく考えると、すべてがこんがらがって身動きが取れない状況になる。目前に目を据えて解決していくのが良い。あらゆることをやろうしてウロウロする結果何も変わらないということになりかねない。マーケットがないなんて言わずにマーケットを創造することだ、というのではないかと思いますね」。「二又ソケット」「砲弾ランプ」など、松下幸之助はまさにそれをやってきた。「単純明快は力となる」のである。次に「行動しろ」。そして最後に「事の成否はひとえに工夫だよ」と。これは「自分で考える」ということ。自らの道を知り「構想する者」だけが、未来を創造しうる勝者となる時代となるであろう。
特集 茶菓を美味しく楽しむ
1.お客様から見て、飲み物は右側、お菓子は左側
お茶とお菓子を運ぶ際には盆に載せます。盆には息が吹きかからないように、少し身体から盆を離し、胸の高さで持ちますが、盆を若干左側にずらすといいでしょう。
和洋を問わず、お客様から見て、飲み物が右側、お菓子を左側に置きます。
2.お茶を入れる際の注意
最近は「急須(きゅうす)」を知らない若い人も多いという話を聞いて驚きました。企業でもペットボトルのお茶を利用するところが少なくないようですし、ペットボトルのままお客様にお出しすることもあるようなので、急須の存在は一層薄れていくようです。
ただ、知識としてお茶の入れ方を知っておいても無駄はないでしょう。お茶は上質なものほど、熱湯で入れると、色、香り、味を損ないます。したがって、煎茶や玉露は湯を冷ましてから入れましょう(煎茶は70〜80度、玉露は60〜70度が適温です)。番茶やほうじ茶は熱湯で入れます。
また、お茶を入れる際は分量にも注意しましょう。湯のみの7分〜8分目が適量です。なみなみ注ぐと、持ち運ぶ際に糸底や茶托にお茶がこぼれてしまう場合があります。
お客様が召し上がる際に、こぼれたお茶のしずくが洋服や資料などにかかると大変迷惑をかけます。また、お茶が多く入っていることにより、熱くて器を持てないこともあります。お茶の分量については、コーヒーや紅茶、またグラスに注ぐジュースなどでも同じです。
3.お茶と茶菓のいただきかた
お茶とお菓子はどちらを先にいただいてもかまいません。繊細な味わいの煎茶や玉露は、味や香りを損なわないようにという心遣いから、お茶を先に一〜二口飲んでお菓子を食べるなどすることがあります。お菓子は歯形を残さないよう、一口大に切ってから口に運びます。お茶を飲む際は、右手で湯のみを持ち、左手で湯のみの底を支えて、安定させた状態で持つようにしましょう。
特集 アナウンサーも口にする「日本語」の間違い
ホテルオークラ東京に学ぶ「スマート敬語」
「一番最初」「後で後悔する」「新年あけましておめでとう」。どれも文字にすると同じ意味を重ねる"重複表現"であることは一目瞭然だが、無意識に使ってはいないだろうか。訓練を受けたはずのアナウンサーにさえも、重複表現を使う人がいるという。なぜ、これほど重複表現が使われているのか。「言葉を重ねて大袈裟に表現すれば、意味を強調できる。現代では強い表現が好まれるため、間違った日本語の聞き取りづらさより、言葉を印象づけることの方が重要視され、重複表現を定着させてしまったのでしょう」と、作家 本郷陽二氏は言う。今回は無意識で使っている日本語の誤りを特集したい。過去の失言に顔を赤らめるよりも、自分の言葉の癖を見直してみたい。(日経おとなのOFF「美しい日本語と正しい日本語が身に付く本」)
1.重複表現の落とし穴「断トツの1位」
×まず初めに ×一番最初/一番最後 ×今現在
職場で「断トツの1位でした!」と報告するのはよくあること。だが、「断トツ」は、「断然トップ」の略語で1位を指す。
×すべてを一任する ×注目を集める ×収入が入る ×被害を被る ×後で後悔する ×過半数を超える
「一任」とはすべてを任せること。「一任」で十分に意味は伝わる。このように1つの単語で意味は伝わるのに、
別の言葉を加えて重複させてしまう例は多い。「収入が入る」「後で後悔する」などは、同じ漢字が含まれているので、
重複表現だと気づきやすいはずだが……。
×お中元のギフト ×新年あけましておめでとう ×元旦の朝 ×クリスマスイブの夜
「お中元」は、世話になった人への夏の贈り物。ギフトは贈り物と同義語だから、これも重複表現。
また、「元旦」は元日の朝のことなので、「元旦の朝」は重複表現。
×製造メーカー ×排気ガス ×IT技術 ×チゲ鍋
メーカーと、ものを製造する会社=製造業者は同義語。日本語と外来語の重複表現は定着しているが、
ビジネスシーンでは気をつけたい。
×故障中 ×余分なぜい肉 ×酒の肴 ×みぞれ混じり ×存亡の危機
「故障」は「正常な機能を失った状態」を指すので、途中を意味する「中」を付けるのは間違い。
「肴」はそれ自体が「酒のつまみ」を意味する。
2.ホテルオークラ東京「言葉遣いの基本」
基本1 単語止めで話を終わらせない
「これ、会議の資料」などの乱暴な言い方は同僚でも避ける。「これは会議の資料です」と、「です・ます」で丁寧に。
基本2 「が」止めで話を終わらせない
「話し中でございますが」と、文が途切れたまま終えるのは×。続けて「ご伝言を承りましょうか」など、自分の対応を加える。
基本3 安易にカタカナの言葉を使わない
「佐藤様、フルネームをお願いいたします」は×。安易にカタカナ言葉を使うと、相手を不快にさせることもある。
基本4 熟語はあまり使わず、平易な話し言葉を使う
「離席」「出張中」など、硬い印象の熟語は避ける。「席を外しています」「出張しております」と、話し言葉で分かりやく。
基本5 相手の使った言葉は別の言葉に置き換えない
相手が「リザベーション」と言ったのに、「予約」と言い返すなど言葉を安易に置き換えると、不遜に受け取られかねない。
※ 数多くのVIPも宿泊するホテルオークラ東京には、利用客に気持ちよくホテルで過ごしてもらうための「言葉遣いの基本」がある。これは新入社員研修や部門ごとの研修で、繰り返し徹底させている接客応対の基礎。「丁寧すぎる敬語は、かえって慇懃無礼な印象をお客様に与えかねないので、極力分かりやすい言葉遣いで、簡潔に意思を伝えるように指導しています」と、研修担当者は
語る。こうした言葉の気遣いを日頃の会話にもさりげなく織り込めば、きっと一目置かれるに違いない。
3.ホテルオークラ東京 シチュエーション別「言葉遣い」
★挨拶の基本は「語先後礼」
廊下などで利用客とすれ違うときは、必ず立ち止まって挨拶をする。このとき、まず立ち止まってから、「いらっしゃいませ」
と声を掛け、その後にお辞儀をする。この「語先後礼」のスタイルがオークラ流。歩きながらの挨拶よりも格段に上品だ。
★「お持ちましょうか」ではなく、「お持ちいたします」
「お持ちしましょうか」は疑問系なので、「持った方がいいですか?持たなくてもいいですか?」と、相手に判断をゆだねている
ことになる。相手の答えを待つのではなく、荷物を持った人がいたら、率先して「お持ちいたします」と声をかけた方がスマート
だ。
★「大丈夫です」という返事はしない
「駐車場は使えますか」などと質問された場合、「はい、大丈夫です」という返事は、利用客や目上の人には使わない。
「大丈夫」は友人、家族など親しい相手に限って使える言葉。「はい、ご利用になれます」「ご利用いただけます」と
答えるのが正しい。
★「結構です」ではなく、「はい、結構でございます。○○します」と具体的に
「結構です」だけでは、承諾とも、断りとも取られかねない。特に、電話応対の場合は危険。例えば、「荷物を先に
送っていいですか」と電話で聞かれたら、「はい、結構でございます。フロントでお預かりします」と、具体的に
答えるようにする。
特集 笑顔のマナーUP
1.嬉しくなることをイメージ
疲れているとき、体調が悪いとき。そんな時は、誰でも笑顔になりにくいものです。しかし、そんなときこそ笑顔のチカラを利用しましょう。「自分のために」笑顔になるのです。
口角を上げてニッコリすると、前頭葉が刺激され「前向きな思考になる」と、最近の脳科学でも証明されています。笑顔になるためには、嬉しくなることをイメージします。好きな食べ物や、楽しい旅行、家族やペットと一緒にいるひとときなど、思わず「ニコッ」「クスッ」「ウフッ」となってしまうことを想像してみましょう。ふと気づけば自然な笑顔が出来上がっているはずです。
「何をイメージすれば、自分は笑顔になるか」を知ることも大切なことです。自分を一瞬で笑顔にさせてくれる「何か」をいつも胸に抱いていれば、いつでも感じのいい笑顔でいられるようになるのではないでしょうか。
2.笑顔は前歯をチラッと見せて
挨拶をしたときの笑顔、電話応対のときの笑顔、笑顔にもいろいろあります。
笑顔のときの口の開け方によって、クォータースマイル、ハーフスマイル、フルスマイルと分かれますが自分自身の一番いい笑顔を知っている人は、笑顔の達人と言えるでしょう。鏡の前で笑顔をつくり、どの程度の笑顔が最も自分に似合っているかを研修してみましょう。または、誰かにチェックしてもらうのも効果的です。研修など笑顔の実習をすると、硬い笑顔になる人がほとんどです。その多くが、口を開かずに、唇を真一文字に引いてしまうのです。これでは、人に安心感を与え、心を和ませる笑顔にはなりません。
笑顔は「イ」という音を出し、その口もとのまま白い歯をのぞかせて口角を上げてみてください。唇からのぞく白い歯が、好感度をグッと引き上げます。決して、手で口元を隠したりせず堂々とニッコリと笑ってみましょう。笑顔はそれだけで、100の言葉以上のコミュニケーションがはかれることもあるのですから。
特集 日本語力を磨こう「あなたは日本語、ペラペラですか?」3
毎月10日号は、敬語や漢字の問題を特集しています。今回は、漢字検定2級の過去問からピックアップしてみました。
日々、多くの熟語を目にする現代人ですが、パソコンを使って文章を作成する機会が増えたため、読めても書けない人が多いので
はないでしょうか?
是非、久しぶりにペンを握って書いてみることをオススメします。筆圧が適度な脳への刺激になるでしょう。
1.以下の漢字の読み方を書いてください
(1)敵の盲点を見事に突いた。 (2)暴徒が凶刃を振りかざしている。
(3)戦が長引き兵糧が尽きそうだ。 (4)だれもが俊傑と認める人物だ。
(5)武士は潔い最期を遂げた。 (6)朝から悪寒が続いている。
(7)最強の相手に一矢を報いた。 (8)会議中の私語は御法度になっている。
(9)先輩に教えを請う。 (10)母校の伝統を辱めないように努める。
2.次の熟語の対義語を下から選び、漢字で記してください
(1)国産⇔ (2)賢明⇔ (3)献上⇔ (4)軽快⇔ (5)純白⇔
(6)秘匿⇔ (7)特殊⇔ (8)汚濁⇔ (9)偉大⇔ (10)拡散⇔
しっこく ・ ぎょうしゅく ・ せいちょう ・ ふへん ・ ばくろ
かし ・ あんぐ ・ はくらい ・ぼんよう ・ そうちょう
3.次の( )のカタカナを漢字で書きましょう
(1)(クセ)のある字で読みにくい。 (2)資金の(ユウズウ)を依頼する。
(3)免許証の交付を(シンセイ)する。 (4)事故を(ケイキ)に信号が設置された。
(5)小高い(キュウリョウ)地帯にある古墳だ。 (6)(ガダン)の重鎮として一目置かれている。
(7)議場では(セイシュク)に願います。 (8)友達に(ソソノカ)されていたずらをする。
(9)脳卒中は成人の三大(シッペイ)の一つだ。 (10)人権を(ヨウゴ)する運動が盛んだ。
4.次の四字熟語の( )に入る適切な語を下の中から選び、漢字二字で記しましょう
(1)精進( ) (2)一陽( ) (3)( )奪胎 (4)( )分別 (5)意気( )
(6)空空( ) (7)( )実直 (8)( )西走 (9)( )休題 (10)( )一体
かんこつ ・ しょうてん ・ とうほん ・ さんみ ・ らいふく
ばくばく ・ けっさい ・ しりょ ・ かんわ ・ きんげん
[回答]
1.以下の漢字の読み方を書いてください
(1)敵の盲点(もうてん)を見事に突いた。 (2)暴徒が凶刃(きょうじん)を振りかざしている。
(3)戦が長引き兵糧(ひょうろう)が尽きそうだ。 (4)だれもが俊傑(しゅんけつ)と認める人物だ。
(5)武士は潔い最期(さいご)を遂げた。 (6)朝から悪寒(おかん)が続いている。
(7)最強の相手に一矢(いっし)を報いた。 (8)会議中の私語は御法度(ごはっと)になっている。
(9)先輩に教えを請(こ)う。 (10)母校の伝統を辱(はずかし)めないように努める。
2.次の熟語の対義語を下から選び、漢字で記してください
(1)国産⇔舶来(はくらい) (2)賢明⇔暗愚(あんぐ)
(3)献上⇔下賜(かし) (4)軽快⇔荘重(そうちょう)
(5)純白⇔漆黒(しっこく) (6)秘匿⇔暴露(ばくろ)
(7)特殊⇔普遍(ふへん) (8)汚濁⇔清澄(せいちょう)
(9)偉大⇔凡庸(ぼんよう) (10)拡散⇔凝縮(ぎょうしゅく)
しっこく ・ ぎょうしゅく ・ せいちょう ・ ふへん ・ ばくろ
かし ・ あんぐ ・ はくらい ・ぼんよう ・ そうちょう
3.次のカタカナを漢字で書きましょう
(1)癖(クセ)のある字で読みにくい。 (2)資金の融通(ユウズウ)を依頼する。
(3)免許証の交付を申請(シンセイ)する。 (4)事故を契機(ケイキ)に信号が設置された。
(5)小高い丘陵(キュウリョウ)地帯にある古墳だ。 (6)画壇(ガダン)の重鎮として一目置かれている。
(7)議場では静粛(セイシュク)に願います。 (8)友達に唆(ソソノカ)されていたずらをする。
(9)脳卒中は成人の三大疾病(シッペイ)の一つだ。 (10)人権を擁護(ヨウゴ)する運動が盛んだ。
4.次の四字熟語の( )に入る適切な語を下の中から選び、漢字二字で記しましょう
(1)精進(潔斎)…しょうじんけっさい (2)一陽(来復)…いちようらいふく
(3)(換骨)奪胎…かんこつだったい (4)(思慮)分別…しりょふんべつ
(5)意気(衝天)…いきしょうてん (6)空空(漠漠・漠々)…くうくうばくばく
(7)(謹厳)実直…きんげんじっちょく (8)(東奔)西走…とうほんせいそう
(9)(閑話)休題…かんわきゅうだい (10)(三位)一体…さんみいったい
かんこつ ・ しょうてん ・ とうほん ・ さんみ ・ らいふく
ばくばく ・ けっさい ・ しりょ ・ かんわ ・ きんげん
<季節のことば>
・ 啓蟄(けいちつ):二十四節気のひとつ。冬ごもりしていた虫が暖かくなって外に出るという。3月5日〜6日ごろ。
・ 春泥(しゅんでい):春のぬかるみ。雪解けなどで地面が見えるようになること。北国では春は大地からやってくる。
・ 山笑う(やまわらう):春の山の明るく生気を帯びた様子を擬人化したことば。
特集 上品な支払いの済ませ方
1.お金の支払い方に人格がでる
お金を支払う時は、きちんとお金を支払うところに置くか、相手に手渡しをするのが礼儀です。時々、カードやお金を投げるように渡す人がいますが、これは相手に「拾え」といわんばかりの大変失礼な行為になります。人によっては屈辱的な気分になりかねません。
たとえ高額ではなくても、これではお金の大切さがわかっていない人間と思われてもしかたありません。品位台なしです。高級レストランでも、ガソリンスタンドでも、どんな場面であろうと、お金やカードはきちんと渡すことを心がけたいですね。
2.財布のほかに小銭入れをもつ
駅で切符を買うときや自動販売機の前で、背中を丸めて小銭を探している光景は見苦しいもの。まして、混み合う時間帯であれば後ろに並んでいる人をイライラさせてしまいます。
女性用の財布はコインパース(小銭入れ)がついたものも多いのですが、札入れと、中に仕切りのあるコインパースの二つを持ってみると便利です。コインの金額別の仕切りを使い分ければ必要な額がさっと取り出せてスマートに支払いができるからです。
男性なら、ズボンのポケットに小銭をジャラジャラ入れたりせず、小銭入れを持ち歩く方がスマートです。大の大人がポケットをゴソゴソ探って、小銭を差し出すのはかっこいいものではありませんね。
3.支払い時にトイレにいかない
カップルやグループで食事に行くと、決まって支払いのときにトイレに行く人がいますが、これは失礼な行為です。残った人は支払いを押し付けられたような気分になります。本人に「逃げる」つもりがなくとも、支払い時にトイレに行けば、そう目論んでいると邪推されてもしかたのない話です。トイレは支払いの前にすませておきたいものです。
特集 心を伝える言葉のアップグレード
■ 「おビールをお持ちします」などは、飲食店などで時々耳にするが、外来語に「お(御)」をつけるのは間違いである。丁寧な表現を心がけているつもりが、かえって逆効果ということにもなりかねない。
■ 「社長さん」や「部長さん」も間違い。「長」はそれだけで敬称になるからだ。知識として知っていても、つい訪問先で「佐々木部長さんとお約束があって…」などとやってしまうことがある。これも丁寧に言うつもりが、はしたない印象になるので気をつけたい。
■ 「どうも」という挨拶も曖昧な表現。これは「ありがとうございます」「ご足労でございます」など、「どうも」のあとに続く言葉を端折った言い方である。よほど親しい仲ならともかく。万人共通の挨拶ではない。「どうもありがとうございました」「どうもお世話になります」など。最後まできちんと言うだけで、印象は各段にアップする
1.「お荷物をお持ちしましょうか」ではなく、「お荷物をお持ちします」
会社を訪問した際に「お荷物をお持ちしましょうか?」と尋ねられても、よほどのことがない限りは即座に「はい」とは言いにくい。つい「いえ、大丈夫です」と言ってしまう。しかし、「お荷物をお持ちします」と言われると、「あぁ、ではお願いします」となる。
「お荷物をお持ちしましょうか?」と、「お荷物をお持ちします」。この二つは似ているようだが、微妙にニュアンスが違う。前者も後者もYESかNOかの答えを選択するわけだが、前者「お持ちしましょうか?」よりも、後者「お荷物をお持ちします」のほうが、意志と積極性が感じられて思わず「では、お願いします」と言いやすい。「お持ちしましょうか?」だと、なんとなく遠慮してしまうのだ。そんな体験はないだろうか?
来客を迎え出たときに、先方の荷物が大きなものであっても、そうでなくても、わざわざお越しいただいたという気持ちがあれば、荷物は気持ちよくお持ちするのが親切である。その際、ちょっとの言葉遣いで、来客に余計な気遣いをさせないで済む。「お荷物をお持ちします」の言葉と同時に、さっと行動に移せる人は男性でも女性でも清々しく、心遣いに品性が感じられる。
2.「とか・けど・が」の乱用を避ける
「今朝、バスとか乗ったらサラリーマンとかでいっぱいで、降りるときとかすごく混んでて、ケータイとか落としそうになって、おばさんとかに踏まれそうになって、慌てて拾ったら、急ブレーキとかかけられて……」
こんな会話を耳にしたことはないだろうか?
もともと「とか」は、「AとかBとかCとか」というように事や物を羅列するときに使う助詞。並列する言葉もなく、「とか」の乱用で文章が長くなるのは、とても聞き苦しく要旨を得ない。
「昨日の用件ですけど、電話かけてみたんですけど、担当者がいなかったんですけど、担当者の上司に伝えたんですけど、まだ返事が返ってきてないんですけど……」
語尾が全部「けど」でつながって、話の切れ目がない。一文が延々と長くなっているので主語と述語の関係も不明確になる。このような会話は耳障りなだけでなく、要領の悪さを感じさせる。「けど」が、「が」になって同じような傾向になっている人もいる。
「昨日の用件で電話をかけてみました。担当者がいませんでした。担当者の上司に伝えましたが、まだ返事は返ってきていません」というように「けど」で続けず、句点を意識して短い文章を重ねたほうが、よほどすっきりとしてわかりやすい。これは口癖になっていて、本人は気づいていないことが多い。
3.「うん」の相づちは考えもの
ビジネスシーンで相づちをうつのに「うん」という言葉を使う人がいる。本人は親しさを強調したいのか、無意識なのかわからないが、「うん」という相づちに敬意は感じられない。「うん、わかります」「うん、そうですよね」「うん、了解です」。これでは社会人として不信感を抱かれても仕方がない。どんなときでも「はい」という返事の習慣をもてば、それだけでも品位はぐっと上がる。
4.「やっぱ、どっち、こっち」
「やっぱ、こっちがいいですよ」「どっちがいいですか」など、「っ」の破裂音の入る言葉は幼稚な印象が否めない。プライベートならともかく、ビジネスシーンやあらたまった場所では「やはり、どちら、こちら」のほうがスマートに聞こえる。「やはり、こちらがいいです」「どちらがいいですか」など、問いかける言葉が違うと、返ってくる言葉も変わってくるだろう。「では、こちらでお願いします」「こちらがいいです」など、言葉はその場の空気感も変えてしまう。
5、紋切り型ではなく心からの言葉
訃報に接した際の挨拶は「このたびはご愁傷様です」というのが一般的だが、これでは社交辞令の域をでない。本当に社交辞令でいい場合はそれでもいいのだが、親しい間柄なら、遺族の悲しみに配慮した言葉のほうが心が伝わる。「突然のことで、なんと申し上げていいのか…」「お寂しくなります…」などとうつむくほうが人柄が感じられる。
儀礼的な言葉や、使い古された紋切り型の表現は、間違いはないが冷たく、しらじらしく聞こえて逆効果になることも。
慶びの席では、スピーチ集から言葉を借りてくるよりも、素直な表現で「新婦の緊張が伝わってくるようです」「美しい花嫁姿に感動しました」などの方が、祝福の気持ちがよりよく伝わる。
特集 品のいい食事は自他ともに楽しい
1.場慣れしたふりはNG
一流レストランで食事をするというと、少し気後れしてしまうかもしれませんが、だからといって、「この程度の店ならよく知っています」と、場慣れしたふりをするのはみっともないものです。むしろ「こんなステキなお店は、あまり来ることがないので、いろいろ教えてください」などと、素直に言うほうが好感がもてます。場慣れしたふりをするのは、どこかにぎこちなさが表れるもの。それが下品と見られることがあるのです。
高級店であっても、基本的な食事のマナーには変わりありません。基本を心得ていれば、臆することなく、いつも通りでいいのです。メニューや細かな作法などで、疑問に思うことがあれば「これはどんな料理ですか」「カトラリーはどれを使えば良いですか」などと質問しましょう。
食通と言われるような人でも、初めての店ならとまどうことはあります。また、本当に一流の店なら、不慣れな人をバカにするようなことはありません。
なんでも心得ていることが品がいいわけではありません。わからないことを聴くことができ、教わり、覚えることで品が身に付くのです。
2.ご馳走してくれた人への御礼
ご馳走して頂いたら「ご馳走様でした」の一言だけでは言葉不足です。「美味しかった」「以前から一度来たいと思っていた店でした」「楽しい時間をご一緒できて嬉しい」などの具体的な表現で御礼を述べましょう。また、ご馳走になった当日だけでなく翌日以降の早いタイミングで再度、礼状やメールなどで御礼の気持ちを伝えると印象に残ります。ご馳走した方も、された方も「また一緒に食事をしたい」という気持ちになるのが、品のいいご馳走のされ方といえます。
特集 水野博之氏の異端のすすめ「人生は工夫の程度で決まる」
■ 世界を変えてきたのは少数の異端児たちだ。異端視、白眼視されながら、自らの発想を信じ、工夫に工夫を重ね、何事かを達成。やがては勇者と評価された。この異端児や勇者をいまふうにいえば、起業家である。
■ 時代の変わり目には、必ず若い人達の強いリーダーシップが現れるものだ。逆にいえば、若い人たちの強い意識革命がなければ、新しい時代はやってこない。
■ 若い人へのエールだけでなく、熟年世代にも活力を授けてくれる水野博之氏の「水野節」は、沈鬱とした日本にとって、いつ紐解いても新しく感じることができる。名著「異端のすすめ」よりレポートしたい。(水野博之著 「異端のすすめ」)
1.人生「何をやるか」
誰だって人間として生まれてきた以上、何かやってみたいだろう。なかには屈折した神経の持ち主がいて「オレは断じて何もしたくない」とうそぶく人がいる。しかし、本当にそうだろうか。大体、「毎日、ぼんやりしておれ」といったって、これは退屈で退屈でしようがないだろう。こう考えてくると、人間として生まれた以上、何かをやらざるを得ない、といってよい。
では何をやるか。これが大変な命題なのだ。「人生、何をやるか」というのはそれぞれの人のもっている大命題なのだ。
「あなたの仕事は毎日面白くて仕方ないか」という質問に対して、果たして何人の人が「イエス」と答えられるだろうか。ここで「イエス」と答えた人は、もうこの拙論なんかは読む必要はない。しかし、多くの人は「うーん」と考え込むに違いない。なかには「毎日毎日会社に行くのが、嫌で嫌でかなわん」という人もいるに違いない。こんな人はまだ自分の目標、人生を見つけていないのだ。
2.松下幸之助は工夫が大好きだった
人生、何をやるか。その出発点となるのは「何が好きか」ということである。「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、何事も好きでないと成功しない。
松下幸之助は工夫が大好きであった。現在、世の中にあるものを工夫改良することで、新しい便益価値を見つけ出し、それが二又ソケットになったり、砲弾型ランプになったりして大変な富を生んだ。
人にはそれぞれの才能がある。人間の顔が百人百様なように、それぞれの個性がある。話の上手な人、話は下手だが我慢強い人、勉強がよくできる人、学問が好きではないが活動的な人、それぞれ自分の得意とするものがある。
残念なことに、いままでの教育では、このような個性を延ばすことはあまり行われてこなかった。目標とするところは、学校での勉強がよくでき、良い学校に行けるような生徒が良き生徒というわけで全国一律、一色に塗られた教育であった。
明治建国以来の教育はあえていえば、この意味において全く同じであったといっていい。結果として、現在の日本がある。世界も驚くような進歩はそのような均一性をもとに行われた。結果として長き沈滞。この沈滞を抜け出すには、今、それぞれの個性が活かされるような社会をつくる必要がある。「自分は一体、何が好きなのか」。かつてのギリシャの哲人ソクラテスはいった。「汝自身を知れ!」
3.はじめはささやかな工夫から
よく学生諸君に申し上げるのだが、学生と社会人との決定的な違いは、金を払う側からもらう側へと変わるということである。金を払うということはサービスを要求できる側になるということであり、一方、金をもらうということはサービスする側にまわるということである。これは180度の変化である。この変化がわからないから、社会人として失敗するのである。
しかし、「毎日、面白くない」ではたまらんだろう。では、なんとかその中で面白い、興味のあることを見つけることである。それはささやかな工夫から始まる。マリリン・モンローは、腰を振る歩き方から始めた。営業をやっている人は、どうしたら売り上げが上がるか、指示だけでなく自分で工夫してみることだし、物づくりをしている人は、どうしたらもっと良い品がつくれるか、自らがささやかな工夫をするところから始めよう。工夫の如何によって自らの人生の充実度が決まる。
まずあなた方がいまやっている仕事について考えてみよう。あなたはその仕事に何らかの不満を持っているに違いない。「何が不満なのか」を考えてみる。「やっている仕事が面白くない」って?では、「なぜ面白くないのか?」「単調な仕事で、ちっとも面白くない」。 そうだろうか。単調にしているのはあなた自身ではないのか?
4.「一日修理」で基礎をつくった服部時計店
セイコー・グループの前身は服部時計店である。服部さんが手がけた時計の修理はその始まりである。当時、時計は貴重品で、修理業の流行っていた時代だ。この修繕は面倒くさく根気のいる仕事だった。時計はほとんどスイスやドイツから輸入されていた時代の話である。服部さんはどんな工夫をしたか?
当時の時計は、ねじを巻くことによって小さな振動子が動き、歯車によってそれを指針へと伝達する。文字通りの精密機械である。中世以来、この伝統はいまでもドイツやスイスの産業の基盤を支えている。宝石と時計は上流階級の貴重品だった。
当時(第二次世界大戦前)、スイス時計をもっているということはステイタス・シンボルであった。そんな具合であったから、故障すると当然修理を頼む。当時はどこの街にも時計の修理屋さんがあったものだ。ところが、精密機械であるから、そう簡単に修理できない。部品の手配も大変だ。時として修理の終わるまで、数日はおろか一週間も二週間もかかることもある。お客はその間、時計なしで過ごさなくてはいけない。大変不便である。
そうした中、服部さんは「どんな時計でも一日で修理します」と宣伝し実行したのであった。服部時計店は大繁盛となった。そしてそれがセイコーグループのスタートとなったのだ。
どんな仕事にも改良すべき点はある。「ないなぁ」と思う人は、そこで思考がストップしているのだ。このようなわずかな工夫が、ほかとの差別化を起こし、その企業を時代とともに大きくしていくのである。個々の人達も同じことだ。
特集 「残心」しめくくりに心をこめる
1.「残心」とは
「残心」とは文字通り、"相手に対する心を最後まで残す"ということです。
たとえば、お辞儀を行う際には、必ず残心を意識します。以前、お辞儀の仕方について特集しましたが、お辞儀は、腰から上体を折り、頭を下げたところで数秒停止します。このときに、呼吸も止めると、身体の動きと心のタイミングがとれます。そして、上体を折ったときよりもややゆっくりのスピードで上体を起こし、元の姿勢に戻します。
このとき、上体が元の姿勢に戻った後に数秒、心を残します。すなわち間をとるのです。この数秒の間がお辞儀に深みを持たせます。
「残心」は、言い換えれば心のゆとりを表すものです。気持ちが急いてしまって、すぐに次の行動に移ると、お辞儀の印象が軽くなってしまうのです。しめくくりにこそ「心」を込め、いい緊張感を持続させることは相手への敬意だけでなく、自分自身への敬意にもつながります。
2.さまざまなビジネスシーンでの「残心」
たとえば、お客様をエレベーターまで見送る際は、エレベーターが完全に閉まってから数秒経つまで次の動作には移りません。エレベーターのドアが閉まったあとに、ボタンの押し違いや、言い忘れたことなどがあって、再度ドアが開くことも考えられるからです。お見送りはラストインプレッションです。最後の最後まで気を抜かず「心」を残しましょう。
玄関で見送りをしてカギをかける場合は、お客様を見送ってしばらくしてからカギをかけます。お客様がまだ玄関のドアのすぐ向こう側にいるのに、「やれやれ」と言わんばかりに、ガチャリという音をたててカギを閉めるのは興ざめです。
また、電話を切る際も、残心は欠かすことはできません。電話は基本的にかけた方から切るものではありますが、立場や状況によっては異なる場合もあります。挨拶を終えて、数秒の間もおかずに電話を切るのは大変失礼にあたります。特に「ガチャン」という音をさせて切るのは、常識を疑われても仕方がないでしょう。
挨拶を終えたあとに、言い残したことがあって、何か切り出されるかもしれません。丁寧な口調で話をしても乱暴な電話の切り方をするのでは、かえって印象が悪くなります。お互いの間を感じながら、数秒の間を置いてから、受話器を静かに置きましょう。
最後まで互いの心を通わせる気遣いができる人は、心の余裕を感じることができます。
特集 日本語力を磨こう「あなたは日本語、ペラペラですか?」2
1、以下の漢字の読み方を書いてください
(1)凡例 ( ) (2)病葉 ( )
(3)一入 ( ) (4)罹災 ( )
(5)方舟 ( ) (6)完遂 ( )
(7)手水 ( ) (8)目深 ( )
(9)市井 ( ) (10)遊説 ( )
2、魚偏の魚です。読みを答えなさい。
(1)鮪 ( ) (2)鰆 ( )
(3)鰌 ( ) (4)鰤 ( )
(5)鯱 ( ) (6)鱶 ( )
(7)鯰 ( ) (8)鯖 ( )
3、水生生物の名前です。
(1)河豚 ( ) (2)海豚 ( )
(3)海馬 ( ) (4)海豹 ( )
(5)海月 ( ) (6)海星 ( )
(7)海扇 ( ) (8)海栗 ( )
4、似ているけど、意味が違います。読みと意味を答えなさい。
(1)廷と延
(2)巳と己と已
(3)微と徴
(4)悔と侮
(5)隠と穏
[回答]
1、以下の漢字の読み方を書いてください
(1)凡例( はんれい ) (2)病葉 ( わくらば )
(3)一入( ひとしお ) (4)罹災 ( りさい )
(5)方舟( はこぶね ) (6)完遂 ( かんすい )
(7)手水( ちょうず ) (8)目深 ( まぶか )
(9)市井( しせい ) (10)遊説 ( ゆうぜい )
2、魚偏の魚です。読みを答えなさい。
(1)鮪 ( まぐろ ) (2)鰆 ( さわら )
(3)鰌 ( どじょう ) (4)鰤 ( ぶり )
(5)鯱 ( しゃち ) (6)鱶 ( ふか )
(7)鯰 ( なまず ) (8)鯖 ( さば )
3、水生生物の名前です。
(1)河豚 ( ふぐ ) (2)海豚 ( いるか )
(3)海馬 ( とど ) (4)海豹 ( あざらし )
(5)海月 ( くらげ ) (6)海星 ( ひとで )
(7)海扇 ( ほたてがい ) (8)海栗 ( うに )
4、似ているけど、意味が違います。読みと意味を答えなさい。
(1) 廷と延 廷はテイ。もともと庭を表す。転じて公の場所を表すと法廷、宮廷。
延はエン。のびる、のばすの延長、延命。遅れるの延期、順延。
(2) 巳と己と已 巳はミ。蛇、巳の刻(午前十時前後)
己はコ、キ。おのれのこと。自己、知己。
已はイ。すでに終わっている。やめる。已然。
(3) 微と徴 微はビ。小さい、少ない、かすかな。微生物、微罪、微笑。
徴はチョウ。よびだす、召し上げる、きざし。徴兵、徴収、徴候、特徴。
(4) 悔と侮 悔はカイ。くやむ、残念な気持ち。後悔、お悔やみ。
侮はブ。あなどる、ばかにする。侮辱、侮蔑。
(5) 隠と穏 隠はイン、オン。かくれるかくすの意。隠語(いんご)、隠密(おんみつ)、隠居。
穏はオン。おだやかなこと、しずかなこと。平穏、安穏(あんのん)、穏健。
今回は少し遊びの要素も取り入れていました。魚偏の漢字は、寿司屋の湯のみなどでよく見かけるので、馴染みのある人も覆いのではないでしょうか。また、水生生物については、「海の星がひとで」、「海の栗がうに」など、的を射た漢字を当てたものと感心することしきりです。似た漢字については、ついつい誤字を平気で使っていたり、誤字だということに気づいていない場合もあります。漢字も意味も自分の中ではっきりと認識することでコミュニケーションの自信につながるのではないでしょうか。 (参考 読めそうで読めない間違いやすい漢字 出口宗和著)
特集 会席料理の楽しみ方
1.会席料理とは
あらたまった席や宴席での代表的な料理が「会席料理」です。お酒を楽しむための食事で品数が多く、最後にご飯と止め腕(みそ汁)が出ます。「懐石料理」は、正しくは「茶懐石料理」といい、茶道とともに発達した料理です。本来はお茶席で出されるものですが、現代風にアレンジされたものを出すお店もあります。
会席料理は一品ずつ出される場合と、旅館のように最初から料理が並べられていて、あとからご飯や止め腕、デザートなどが出る場合があります。
2.日本料理の特徴
日本料理は、海のものと山のものとがバランスよく使われ、四季折々の旬の素材が取り入れられています。とくに、旬のはしりのものを、いち早く取り入れることがよしとされています。また、少量ずつ品数が多いのも特徴で、味付けや調理法などにも多彩な工夫が凝らされています。その季節の味わいや盛りつけなどを楽しみましょう。
3.懐紙を使うと品がいい
懐紙とは、奉書紙でできた二つ折りの紙のことです。和食の席で懐紙を持っていると、とても便利です。また、ティッシュペーパーと違って品があります。懐紙には無地や、干支の絵柄があるものなど色々あり、茶道具店や文具店などで購入できます。席に着いたらバッグから出して、膝の上かテーブルの下に置いておきます。
使い方は下記の通り色々ありますが、あまり堅く考えず、テーブルペーパーのような感覚で使ってみましょう。
(1) 受け皿代わりにする
(2) 杯やグラスについた汚れや口紅を拭く
(3) 焼き魚などを押さえるのに使う
(4) 骨などを出す時に口元を隠す
(5) 骨など残したものを隠す
(6) 汚れた指先や口元を拭く
(7) 心付けを渡すときに包む
(8) メモ代わりに使う
特集 生活防衛時代の節約哲学 「直視せよ」
■ 「直視する」ということ、簡単そうでいて実はそう簡単でない。仮に、あなたはガンです、と言われたら、それをすぐに何の葛藤もなく受け止める人はどれだけいるだろうか。しかし、現実は現実として、まずは直視し、受け入れなくてはならない。目を逸らしたり、問題を先延ばしにしていては、結局、ツケはますます増えてしまいに払いきれなくなくなる。節約は、言ってみれば、そういう風に生活すべてわたって、まずは「直視せよ」ということなのである。直視したならば、応戦しなくてはいけない。
■ 最近の若い人は「酒は飲まない」「旅行はしない」「ブランド物は買わない」「食事は自炊」とすこぶる堅実な暮らしをしていると、昨今よく耳にする。こういう若者を草食系だと揶揄する声もあるが、実に結構なことではないか。ただ、何のための節約なのか。節約すること事態が目的になるなら本末転倒ではないだろうか。
■独自の節約術を披露する「節約の王道」(林望著)。なにがなんでも切り詰めるのではなく「何が必要か」を見直すには面白いのではないか。シンプルな生活の提案。前回につづき「節約の王道」(林望著)よりご紹介したい。
1.現金をおろすときは「34,000円」
平日昼間の時間帯以外に、キャッシュ・ディスペンサーで現金を引き出そうとすると、多くの銀行でだいたい105円の手数料が取られます。超低金利時代と言われるようになってもうかなり久しいですが、銀行はずっと利子の何倍にもなるような手数料を撮り続けているわけで、たびたび引き出していれば、せっかく預金した自分のお金をどんどん減らしてしまうことになります。イギリスでは、キャッシュ・ディスペンサーの手数料は無料が当たり前。街のいたるところにATMがあって24時間営業しているところがほとんどです。
しかし、キャッシュ・ディスペンサーで一度に引出限度額の上限までおろして、引き出す回数を減らし手数料を節約しようというようことではありません。それは、安全上の理由もありますが、仮にどんなお金持ちだとしても、分厚い札束が入った財布を持って歩くという行為自体が、あまりスマートだとは思えないからです。それに、人間とは愚かなもので、10万、20万と手元にお金があると、ついつい衝動買いをして使ってしまいます。それゆえに私は、財布の中身は30,000円程度と決めています。そうすると、いつも「30,000円しかない」という意識が働くから、そう無駄遣いしなくなる。
一度一万円札を崩してしまうと、あとはもう、あっという間に使ってしまう。たとえば、コンビニで900円使って、9,000円あるなと思っていたのに、夕方になってみると「え、もう6000円しかないのか」というようなことになりがちです。これは特に浪費家だから、ということではなくて、人間というのは、万札が崩れるとあとはいつ使ったのかわからないようなことに使ってしまうものなのだと考えます。「万札を崩してはならない」という意識。30,000円に端数をつけておろして、その端数を使っている間は30,000円を崩さないようにしよという意識が働くから、しばらくはちょっとした節約になるのです。
2.葬式も地味であるほど美しい
戒名料はランクによっては数百万円も取られたりします。そもそも戒名などというものは、神道にはないし、キリスト教にもない。あるのは仏教だけです。日頃から仏教を信じている人であれば戒名をつけてもいいかもしれませんが、一切仏教を信じないという人には必要のないものです。そういう不要なものをどんどん切り捨てていかないと最後にはとんでもない額になってしまいます。
父親を亡くした知人で、葬儀はごく普通に執り行ったのですが、もらったお香典に対して香典返しはしないという人がいました。その人からは後日「いただいたお香典は、学校を建てるためにすべてベトナムに寄付しました」と書かれた手紙が届きました。
3.借りて読むな、買って読め
本というものは、基本的に自分でお金を出して、買って読むべきだと思います。人から借りたり、図書館から借りたりというのは望ましくない。本を読んでなにか実りを得ようと思う人は、そのお金をケチってはいけません。
今、映画館で映画を観ると、二時間で1,800円ぐらいしますが、1,200円の単行本を一冊買ってきて、通勤電車の中とか、夜寝る前にベッドの中でゆっくり精読したとしたら少なくとも3日間は楽しめる。そう考えると本は決して高いものではないのです。
また、本というものは一度読んだぐらいでは忘れてしまいます。図書館で借りて、読んで返してしまったらその記憶はそれっきりです。けれども、本を買って本棚に置いておけば、その背表紙が日常的に目に入ってきます。そうすると、再び読むわけではなくとも、その本を読んだという記憶がリマインドされる。それが大事だと思うのです。それに借りた本は汚すことができません。私は、傍線を引っ張ったり、思ったことをメモして、とことん汚して読むべきだと思っているので、それができないというのもよろしくない。
4.六階建て以上の高層マンションには住まない
賃貸であろうと持ち家であろうと、住宅にはどうしても多額の投資をすることになります。その投資に見合ったメリットをどこに求めるかと考えたら、私の場合、最優先事項となるのが「安全」です。
たとえば、海抜ゼロメートル地帯のような場所に住むと、さまざまなリスクが考えられます。大地震による地盤の液化状、地球温暖化が進んだ場合の水位上昇による高潮浸水、さらに台風がきたときの大洪水など、いろいろあるわけです。
高層マンションも同じ理由で私は住めません。住めるのはせいぜい6階までです。災害時にエレベーターが止まって、自分の足で階段を上ることになった場合、上れるのは5、6階までが限度ではないかと思うからです。なにか荷物を持って上がるようなときは5階だって無理かもしれない。そういう意味で、特に高齢者はできるだけ低層住宅を選ぶべきだと思います。
たとえ自家発電装置を備えているマンションでも、すべてのエレベーターが動くわけではないでしょう。何台もあるうちのせいぜい1、2台のエレベーターが使えるという程度だと思います。日本のような地震の多い国で、万一の場合、果たしてそんなところで暮らせるのでしょうか。自分が投資したお金を将来無駄にしてしまわないように、住まいの安全性を最優先に考える。さまざまな事態を念頭に置いて、想像力を働かせてよく検討する。そのために多少費用がかかっても、安全のための投資と考えれば最悪の事態が起きたときに、結局は節約になると思うのです。
特集 その言葉!ちょっと考えてみて
1.「お言葉を返すようですが…」
「お言葉を返すようですが」とは、丁寧な言い方のようですが、何がいけないのでしょう?
この言葉は、「失礼ですが」や「申し訳ございませんが」のような、緩衝語(クッション言葉)と同じようなニュアンスがあると思われている言葉かもしれません。緩衝語とは、こちらからお願いやお断りをしたりする際に使う言葉です。つまり「相手の意に添えない」場合のガッカリ度を和らげる働きをするのが緩衝語です。
「お言葉を返すようですが」は、一見、緩衝語のようにも聞こえますが、実は真っ向から「あなたの意見にもの申します」と言っているのです。話の始めに、そんな宣言をされると誰でもドキッとするでしょうし、「何を言われるのか」身構えてしまいます。
相手を身構えさせてしまうということは、緊張を強いているということです。言い換えれば、相手を刺激してしまっているのです。これでは、いくらこちらが正論を放ったとしても、反感を持たれても仕方ありません。
では、どうすればいいのでしょう。
「お言葉を返すようですが」ではなく、「一つだけよろしいですか?」と、口火を切れば、相手は無用な警戒心を抱かずにすみます。「ほぼ賛成で問題ないのですが、一つだけよろしいでしょうか?」という言い回しはどうでしょう?相手を肯定しつつ、少しずつ調整をはかることができます。
2.「ちょっとお話があるんですけど…」
職場の上司や先輩などに、込み入った話がある場合、「お話」よりも「相談」という言葉に置き換えたほうが、あらたまった印象がありますし、相手を頼りにしているという印象になります。頼りにされていると感じると、助けてあげなければという気持ちにもなります。
「ちょっとお話があるんですけど」よりも、「ちょっとご相談があるんですけど」のほうがビジネスライクに聞こえます。また、さらに丁寧さを加えるなら「恐れ入ります。少しご相談したいことがあるのですが、お時間をいただけないでしょうか?」などの表現になります。気をつけたいのは、相談内容がたとえ、会社への不満であったとしても感情的にならないこと。すべて言い終わったら、笑顔で「ありがとうございました」と言うことです。「これからも宜しくお願いします」という形で御礼を伝えれば、、相手も嫌な気持ちにはなりません。
特集 生活防衛時代の節約哲学 衣服と車編
■ 「見栄を張るのは貧乏の始まり」「コンビニ貧乏」などの言葉、お聞き覚えがあるだろうか。恐らくないはず。実は、これらの言葉は筆者(織田直子)が密かに編み出した言葉にすぎないからだ。
■ 「見栄を張るのは貧乏の始まり」とは、無駄な見栄を張れば、無理な支出が増え、結果懐が寂しくなるということ。また、見栄を張らなければならない状況を引き寄せていること事態が貧乏を招きかねないから、なぜそのような状況になるのか根本を見つめ直したほうがいいということ。「コンビニ貧乏」とは、たいした用事もないのに「コンビニ」に行く癖をつけると、これまた無駄な出費が増えるという意味。清算の際に、レジの周囲にある和菓子や特典付きの缶コーヒーなど、つい衝動買いをしてしまうことはないだろうか。100円、200円を安易に使ってしまうのが、コンビニなので「用事のないときには行かない」という、実にシンプルな戒め。
■ 人生は思っている以上に「お金」に左右される。私たちは車を買うときも、レストランでワインを選ぶときも、スーパーで買い物をするときも予算の範囲で選ぶ。可処分所得の範囲で思考することになるのだ。年収300万円の人と、年収5000万円の人では当然、選ぶ物も思考の幅も異なる。人生お金がすべてではないが、私たちがお金によって呪縛を受けるものは大きい。
■ かといって、すべての投げ打って窮窮とした生活を送るだけでは疲れてしまう。あるときは惜しみなく出費をし、あるときは節制する。シンプルに考え、メリハリのある生活を淡々と送る。そんな人達のための節約哲学。「節約の王道」(林望著)よりご紹介したい。
1.「一張羅(いっちょうら)」は持つものではない
服装は、「自分という人間が、人からどんなふうに見られたいのか」ということを表現するひとつの手立てです。そういう意味を踏まえた上で同じ物を二着、三着買います。たとえば、シャツを一枚買ってみて、すごく着やすいし、生地もしっかりしているし、これはとてもよかったと思ったら、またすぐに同じものを注文します。ユニクロの場合、一枚が980円くらいの値段ですから、2?3枚買ってもしれています。
しかし、同じ物を買う理由は値段が安いからではないのです。同じ物を着ることで、自分という人間が常に同じような風情に見える、そのことが大事だと思うのです。
たとえば、何かの会合があっていつもよりもちょっと気合いの入った服を着る。そうすると周囲の人は「今日は一張羅を着ておめかししてるな」とか、「今日の格好はいつもとイメージが違うな」と考えるわけです。そういう風に思われるのが、どうも恥ずかしい。いつも同じような印象を与える自分でいたいと思うのです。「あいつは、いつもああいう雰囲気だ」「いかにも、あの人らしい装いだ」と思われるように自分自身を表現したい、要するに、人から見られたときに「これが自分らしいスタイルだ」と納得できるような格好をすること、いつもその姿勢を崩さないことが大切だと思うのです。
2.「一点豪華主義」は恥である
よくテレビで、有名人の着ているものや持ち物を取りあげて、これはどこそこのブランドで値段はいくら、というようなものをやっています。これはつまり、ブランド製品というのは、いくらで買ったものなのか、他人にすぐにわかってしまうということでもあります。ファッションは自己表現の手段。ですから、ゴテゴテとロゴのついたブランド物で全身を固めている人は、値段で換算して自己表現をしているということになります。「五十万円のスーツを着ている」ことを自負している人は、自分に自分で五十万円という価格をつけていることにもなります。
そもそも洋服とは、その人の中身をよりよく見せるために着るためのものだと思うのです。しかし、芸能人でもないのに、値段の高さをひけらかすようにブランド物を着ているというのは、かえって貧相に下品に見えてしまう。ひいては、その金回りの良さがかえって胡散臭く感じられたり、知性を欠いて見えたりと、対外的にマイナスのイメージを与えかねないことになると私は思います。
中でも、特に格好悪いのが、一点豪華主義です。洋服は駅ビルで買った安物なのに、鞄だけが高級ブランド物だったり、月収30万円で暮らしている人が、クレジット払いで80万円もする有名ブランドのスーツを買ったり。そうすると、その一点だけが強く印象に残るので、次に身につけたときに「あ、この人また、あの鞄(スーツ)、、、」と思われることになります。そうなると、それらはなかなか身につけられなくなります。大枚はたいて買ったのに、実にばかばかしいことです。かといって、そんな高い買い物をいくつも買うことはできません。たくさん欲しいからといって、クレジットカードで大借金などしてしまったら、もう身の破滅です。破滅するようなおしゃれというのは、おしゃれとはいえません。かっこいいどころか、痛々しいだけです。おしゃれは楽々とできるものでなければ意味がないのです。結局は身の丈にあった値段の範囲内で洋服を選ぶのがおしゃれということになります。お金の使い方で、もっとも大切なのは、自分の身の丈を知るということですが、自分にとっての等身大とはいくらなのか常に意識していることが大切なわけです。
3.車は「年収の1ヶ月分」の価格のものを買う
一方で、男にとっての自己表現の手段はファッションではなく車であったりします。「車は男の夢」と称して、年収600万円くらいの人が、必死にローンを組んで1000万、2000万もするようなポルシェを乗り回しているということもあります。こういう見栄は実にみっともない。車のローンの支払いが大変で、カップラーメンばかり食べていたり、着たきりスズメだったりという「ポルシェ貧乏」のような暮らしではせっかくのポルシェも泣こうというものです。
では身の丈に合った車の購入価格の上限とはいったいいくらだろうかと考えたときに、私は「年収の1ヶ月分」というのが妥当であると思っています。たとえば、月収が40万円でボーナスが3ヶ月分もらえるという人の場合、年収は600万円になりますから、これを12で割ると50万円。これがその人の適正額です。そもそもローンを組んでまで車を買うというのは望ましくありません。インターネットを使うなり、足まめに中古車展示場を見て歩くなりすれば、安くてもいい車は見つかるものです。「年収の1ヶ月分」という適正額を目安に、自分にとってベストな車を探す。もし、もっといい車に乗りたいなら、収入を増やすように一生懸命努力をする。そして、年収が増えたら、そのご褒美として高い車に買い替えていく。そんなふうにして、自分の能力と車のランクを同時にアップさせていく。これこそが、「車は男の夢」という言葉の本当の意味だと思うのです。
特集 会話美人になるフィロソフィー
1.口角をキュッとあげてキープする
会話美人になるためには表情がとても大事です。普段、無意識でいるときの口元はどうなっていますか?無意識のときの表情こそ、他人に見られているものです。笑顔を意識したときだけでなく、無意識のときでも口角が上がっていること。たとえば、「おはよございます」と言ったあとの、口元をキュッと上げてみましょう。その口元は常にキープです。
2.ワンセンテンス、ワンパーソン
たとえば「今日は、大変お世話になりました」という一文(ワンセンテンス)を、目をそらさずに言ってみましょう。日本語のセンテンスは、だいたい3秒〜5秒です。その間、視線を外さずに語りかけると、心がよりよく伝わります。言葉だけでなく、目で語りかけるというイメージを持つと伝わり方が変わってきます。試してみてください。
3.手のジェスチャーは胸から上で大きくゆっくりと
会話の中で「しぐさ」はとても大切です。とくに、手の動きは自分で思っている以上に相手に印象を与えるものです。手の平よりも手の甲を見せるようにして、胸から上の位置で、ゆっくりと動かすことを心がけましょう。そうすると、華やかなイメージとともに優雅な印象を与えます。会話美人を目指すなら口先だけでなく全身で会話を楽しんでみましょう。
4.笑いながら手を叩くのは厳禁
大口をあけて笑いながら、手を叩くのは決して美しいものではありません。テレビのバラエティ番組の影響でしょうか。最近よく見かける光景です。私たちは芸能人でもなければ、ましてお笑いタレントでもありません。
笑い方には、その人の品性がそのまま表れます。注意したいですね。
5.宗教、政治、プライベートなことを質問するのはNG
初対面の会話でタブーとされているのが、宗教と政治の話題です。いずれも意見の相違があった場合には収集がつかなくなる可能性があるからです。これは初対面に限らず、避けたほうが無難な会話といえるでしょう。また、「結婚しているかどうか」とか、「子供がいるか」など、親しい仲でもあからさまに質問をするのはタブーです。
会話の中で「何を質問するか」というのは、とても大事なことですが、海外では、「相手が質問してきたことについては、こちらからも質問していい」と言われています。参考にしてください。
特集 日本語力を磨こう「あなたは日本語、ペラペラですか?」
1.以下の漢字の読み方を書いてください
(1)紛らす( ) (2)形振り( )
(3)些か ( ) (4)慧眼 ( )
(5)暫く ( ) (6)押印 ( )
(7)皆無 ( ) (8)曝す ( )
(9)醸す ( ) (10)風袋 ( )
2.以下の熟語の類義語を挙げてみてください(複数回答可)
(1)償還 ( )
(2)是認 ( )
(3)道徳 ( )
(4)妨害 ( )
(5)残念 ( )
3.日本国憲法に出てくる漢字の読みを書いてください
(1)朕 ( )
(2)礎 ( )
(3)枢密( )
(4)諮詢( )
(5)裁可( )
4.次の言葉を丁寧語、尊敬語、謙譲語で表しましょう(複数回答可)
(1)言う(丁寧語 ) (尊敬語 ) (謙譲語 )
(2)見る(丁寧語 ) (尊敬語 ) (謙譲語 )
(3)食べる(丁寧語 ) (尊敬語 ) (謙譲語 )
(4)行く(丁寧語 ) (尊敬語 ) (謙譲語 )
(5)する(丁寧語 ) (尊敬語 ) (謙譲語 )
[回答]
1.以下の漢字の読み方を書いてください
(1)紛らす( まぎらす ) (2)形振り( なりふり )
(3)些か ( いささか ) (4)慧眼 ( けいがん )
(5)暫く ( しばらく ) (6)押印 ( おういん )
(7)皆無 ( かいむ ) (8)曝す ( さらす )
(9)醸す ( かもす ) (10)風袋 ( ふうたい )
2.以下の熟語の類義語を挙げてみてください ※正解は複数あるものもありますが、一つを挙げています
(1)償還 ( しょうかん = 返済 )
(2)是認 ( ぜにん = 肯定 )
(3)道徳 ( どうとく = 倫理 )
(4)妨害 ( ぼうがい = 阻止 )
(5)残念 ( ざんねん = 遺憾 )
3.日本国憲法に出てくる漢字の読みを書いてください
(1)朕 ( ちん:天皇の自称 )
(2)礎 ( いしずえ/他の読み方=もと、そ:物事の基礎となる大事なもの )
(3)枢密( すうみつ:政治上の重要な秘密、機密 )
(4)諮詢( しじゅん:参考として他の機関などに意見を求めること。諮問 )
(5)裁可( さいか:判断して許可すること。特に君主が臣下の提出する議案を裁決し、許可すること。裁許 )
4.次の言葉を丁寧語、尊敬語、謙譲語で表しましょう
※正解は複数あるものもありますが、一つを挙げています
(1)言う(丁寧語 言います ) (尊敬語 おっしゃる ) (謙譲語 申す )
(2)見る(丁寧語 見ます ) (尊敬語 ご覧になる ) (謙譲語 拝見する )
(3)食べる(丁寧語 食べます ) (尊敬語 召し上がる ) (謙譲語 いただく )
(4)行く(丁寧語 行きます ) (尊敬語 いらっしゃる ) (謙譲語 参る )
(5)する(丁寧語 します ) (尊敬語 なさる ) (謙譲語 いたす )
新年早々の"日本語力チェック"はいかがでしたでしょうか。
私は長年、マナー講座や話し方教室を開催していて、ひとつ気になることがありました。それは、物事を考える基本となる「日本語力の低下」です。若年層に限らず、壮年層にいたるまで、どことなく頼りない日本語でやり過ごしているような気がするのです。いわゆる"ことばの力"が不足しているために、自分を表現することも、相手の言葉を理解することも、本や新聞の活字を読むことも、ひいては自らの思考を深めることもできなくなっている人達が増えてきているような気がしてならないのです。
そんな中で、プレゼン力を上げよう!ブレスト(ブレーン・ストーミング)しましょう!と、言ったって、本当に成果があるのでしょうか?クレーム処理にしたって、小手先のノウハウだけで信頼を回復できるかどうかは疑問です。
回り道かもしれませんが、日本語力を地道に磨いていけば、ことばに対する姿勢や感性も変わり、表現力も理解力も身に付くことでしょう。そんな思いがあり、2012年は毎月10日号を日本語力チェックとさせていただきます。ご自身で、職場で活用して頂ければ嬉しい限りです。ご意見や質問、ご感想などもお寄せください。どうぞ本年も宜しくお願い申し上げます。
特集 アルコールに関する心得
1.アルコールを飲む際、正しい心得は?(○×で答えましょう)
(1)日本酒をつがれる際、盃を置いたまま受けるのは失礼である
(2)ワインをつがれる際、ワイングラスを手にもって受けるのが好ましい
(3)乾杯の際は、グラスや盃をカチンとぶつけあうのが基本である
2.日本酒に関する心得と注意
日本酒は、必ず盃を手にとってからお酌を受けます。食事中にお酌を受ける場合は、箸や器を置いてから、右手で盃を取りあげてから両手の指先で盃を持ちます。間違っても、右手で箸を持ったまま、左手で盃を持ち上げるようなことはやめましょう。お酒が飲めない人や、これ以上飲めないという場合は、盃の上に軽く手をかざして合図をします。この合図は、日本酒に限らず、ワインやビールでも同じです。
お酌をする際は、相手が盃をとってからお酒をつぎます。お酒は最初と最後を少なめにつぐようにすると、粗相がありません。(このつぎ方を"鼠尾、馬尾、鼠尾(そび、ばび、そび)"といいます)その際、つぐお酒の量は、盃の7分目程度です。
3.ワインに関する心得と注意
ワインは、グラスを置いたままで注がれるのを待ちます。また、繊細なグラスは傷つけるおそれがあるので、正式な場では乾杯の際にはグラスはぶつけません。
女性の場合は、グラスに口紅の跡が残らないように注意します。これは、あらかじめ紙で押さえておくのがよいでしょう。指先で口紅の跡を拭き取ろうとすると、グラスが割れてしまうおそれもあるからです。また、油の多い料理を食べたあとなどは、ナプキンで口元を拭ってからグラスに口元を付けるという心得が大切です。
またワインを注ぐのは、店の人か、男性が女性に注ぐのが基本です。カジュアルな席では、同席者同士で注いでも構いません。カジュアルな店かフォーマルな店か、見分けるポイントの一つは、テーブルクロスです。布ならフォーマル、紙ならカジュアルです。
特集 2011年アクエリアスレポートダイジェスト版 2
【7/20, 7/30号 特集 生き残る企業の「コ・クリエーション」戦略「共同創造」とは何か】
■ナイキはアップルと共同で、「Nike+(ナイキプラス)」という参加型プラットフォームを立ち上げた。これは靴につける高性能センサーとiPhoneなどに内蔵された無線受信機からなり、ジョギングのデータを記録、分析できる。また、Nike+のウェブ上で、コーチや有名アスリートと交流することもできる。■スターバックスは、「マイ・スターバックス・アイデア」というウェブサイトを立ち上げ、顧客から商品開発や店舗デザインなどのアイデアを集めて成功している。このように参加型プラットフォームなどを構築することで、顧客や従業員などさまざまな関係者が協力しあい、製品やサービスを開発することを「コ・クリエーション」という。(「生き残る企業のコ・クリエーション戦略」徳間書店 ベンカト・ラマスワミ/フランシス・グイヤール共著)
【8/10,8/20号 特集「声」が人間関係を支配する 大統領・独裁者の声を読み解く】
■「声」の果たす役割は極めて大きい。「声」こそが人間らしさの核心であるという専門家もいる。「声」は生活のあらゆる場面に関わり、心理、性別、文化を表す。また、人を支配する。■かつてオバマ大統領の演説は世界中で注目され、日本でも「オバマ大統領演説集」などのCDが飛ぶように売れた。国境を越えて、その演説がCDで売り出され、かくも話題になったのは歴代のアメリカ大統領の中でもオバマ氏だけであろう。■声は体の一部であると同時に心の一部でもある。本心を隠そうとしても声は無意識のうちに心の有り様を明らかにしてしまう。「"声"の秘密」(アン・カープ著、梶山あゆみ訳 草思社)より大統領、独裁者の声を特集し「声」という道具を見直してみたい。
【8/30号 特集 今こそ注目される「ココロ」を育てる将棋 人はいつまでも成長できる?】
■大隈重信は「囲碁は経済、将棋は戦争」という言葉を残しているが、江戸時代、将棋は庶民の娯楽だった。子供の頃は、どこの家庭にも将棋盤があり、男の子達の室内遊びの代表的なものだったが、現代はどうだろう?ゲームやパソコン、携帯などに、その座はとって奪われ、将棋を指す子供の姿はあまり見かけなくなった。脈々と受け継がれてきた日本文化の将棋も衰退の一途をたどるのか…と、思いきや意外や意外!今、違った視点で将棋は注目され、将棋を指す子供達の数は年々増えているといっても過言ではない。■2001年から全国主要都市で開催されている「JT将棋日本シリーズ こども大会」は、大会参加者が年々大幅に増え、昨年2010年の大会では、全国で8,000人近くの参加があった。(2001年の初年度開催時には575人が参加)■実際に会場に足を運び、子供達の真剣勝負の対局を目の当たりにすると、将棋の持つチカラに改めて気づかされる。今回はその模様と将棋が今、注目される理由をレポートしたい。
【9/10, 9/20号 特集「日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人」女性支配人のクレーム対応秘録】
■歌舞伎町のヤクザがたむろするホテルを、安全、安心、快適なホテルに変え、300以上ある客室の年平均稼働率90%以上をキープし、グループの中でもトップクラスの売り上げを上げている現役女性支配人がいる。彼女は、日々"モンスタークレーマー"と対峙しながら、「クレーム対応」とは、全力で人の気持ちを理解すること。つまりクレームへの対応ではなく、人への対応なのだという。■アジア系外国人のスタッフも多い中、グループダントツの結束力を誇り、業績を伸ばし続けている一人の女性支配人のクレーム対応秘録を2回にわたりレポートする(ダイヤモンド社「日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人」三輪康子著)
【9/30号 特集 「R25」目線のエコカー情報】
■「R25」というリクルートが発行する無料週刊誌をご存知だろうか?R25の「R」とはR指定という言葉に見られるように、リストリクト(Restrict=制限)という意味で、「R25」とは、つまり25歳以下禁止の雑誌という意味。この世代の男性に向けて「オトコ視点」で編集し、2004年に創刊されたという。■メイン読者層は、20?34歳の会社員。仕事中心の生活をしているためにテレビを見る時間が少なくニュースは携帯サイトで見出しだけを読んでいる程度。そのため「R25」では、日常会話にはよく出てくるが、内容はよく知らない、でも常識程度は知っておきたいと思うような世の中の動きを説明するコラムが中心になっている。■「R25」を読めば、若い人達の意識や動向が伺える。街角で配布される無料雑誌など興味がないなど言わず、たまには世代が違う情報に触れるのも新鮮なのである。今回は一部紹介に過ぎないが、興味のある人は毎週木曜日の配布に手を伸ばしてみていただきたい。(リクルート「R25」9/29号より抜粋)
【10/10号 特集 「ビジネスインタビュー」のためのインタビュー能力の鍛え方】
■ 「徹子の部屋」という長寿番組がある。黒柳さんがゲストにインタビューをしながら、ゲストに活動状況、夢などを語らせる。そのインタビューを通して、ゲストの人となりなどが視聴者には伝わってくる。主役はもちろんゲスト。しかし、限られた時間内に会話をリードするのは、司会の黒柳徹子さんだ。主役であるゲストを盛り立てながら話を引き出す。それでいて、決してゲストよりも喋りすぎることはない。■人の話の聞き方にはマナーがあり、ルールがある。特にこちらが聞き出したいことを、相手に気持ちよく話してもらうには思いつきで話を進めてもうまくいかない。ビジネスシーンにおいても、聞き方の上手い人は、常に周囲と良好なコミュニケーションを図り、なおかつ人に好かれている。そして、情報も入ってくる。インタビューにおける能力の鍛え方について特集。
【10/20,10/30号 特集 「"困った人"の説得術」】
■社内に一人や二人は存在する「困った人」。「困った人」は、建設的な意見に水を差す。たとえば、屁理屈が多く行動しない。または専門領域にこだわって融通がきかないとか、今までのやりかたに固執しすぎるなど。「困った人」は、周囲にマイナスのエネルギーをもたらしていることに気づいていない。こうした、社内で理不尽な行動を繰り広げる人を「社内クレーマー」とよぶ。■近年、社内の対人関係の悩みは、社内の「困った人」に対する声が増えているという。 "評論家クレーマー""職人クレーマー""思考停止クレーマー""現実逃避クレーマー""近視眼クレーマー"などのタイプごとに分類し、その行動パターンや効果的な対応法を紹介した「"困った人"の説得術」を特集したい。(「"困った人"の説得術」日本経済新聞出版社 出口知史/伊東明著)
【11/10,11/20号 特集 AKB48の経済学?不況に強いビジネスモデル】
■今や大ブレークの「AKB48(エーケービー・フォーティエイト)」。このほど、インドネシアでも「JKT48(ジャカルタ48)」が誕生するなど、その人気は海外にまで広がっている。■流行は世相を映す鏡。ある国における流行は、その国がそのときに置かれた経済的上京を反映する。日本では1990年代初めのバブル崩壊以降、経済的に低調な時期が続いた。今やアイドル市場の中心となる若者たちは、日本がほとんど成長せず、デフレにより名目所得が減り続ける時代に育った、「デフレ不況世代」となっている。■AKB48の大ブレークは、まさにこのデフレ不況時代の若者にターゲットを絞った、見事なマーケティング戦略の成果といえる。2回にわたり経済学から見たAKB48を特集する。(「AKB48の経済学」朝日新聞出版 田中秀臣著)
【11/30, 12/10号 特集 ヒット商品は「キュレーション」から生まれる 石ころをダイヤに変える力】
■このところ、シンプルな単語一言で時代のトレンドが表されるようになっている。「無料」こそがお金を生み出す新しい戦略になると説いた「FREE(フリー)」。「共有」がビジネスの新しいフレームになると唱えた「SHARE(シェア)」。そして今、それらに次ぐ新しい発想法として注目されているのが「CURATION(キュレーション)」という概念。■今、米国では「キュレーション」という思考法が注目されているらしい。「キュレーション」は、美術館や博物館で企画や展示を行うキュレーターに由来する言葉。既存のものの意味や価値を問い直し、それらを絞り込み、結びつけて新しい意味や価値を生み出すことを意味する。■そんなキュレーターの仕事と同じ発想が、あらゆるビジネスにおいて求められている。「懐中電灯機能付き携帯電話」(既存のものを結びつけて新たな価値を生み出す)、「羽のない扇風機」(昨日を排除することで新しい価値を生み出す)など「キュレーション」の成功事例を紹介しながら考察してみたい。
特集 気持ちよく新年を迎えるために、今できること 2
1.なるほど、除夜の鐘108の意味
大晦日の深夜0時を挟む時間帯に寺院でつく鐘を除夜の鐘といい、通常は108回のうち107回を旧年のうちに、残り1回を新年につきます。この108回の由来は下記の通り諸説あります。
(1)一年間の暦
月の数12、二十四節気の数24、暦の季節的な分け方大寒や小寒など72候の数を足した数108。
(2)煩悩の数
眼、耳、鼻、舌、身、意の六根のそれぞれに、"気持ちがいい・気持ちが悪い・どうでもいい"の3種類があって18。この18に浄と染、"きれい・きたない"があって36。さらに、この36に"前世・今世・来世"があるので108。すなわち人間の煩悩の数。
(3)四苦八苦
四苦八苦を取り払う。(4×9)+(8×9)=108。
2.お年玉とお年賀のマナー
昔は誕生日に歳をとるのではなく、お正月に皆ひとつ歳をとるという風習でした(数え年)。そのため、新年を迎えると歳神様にお餅をお供えし、そのお餅をいただき無病息災を祈ったのです。このお餅がお金に代わったものがお年玉とされています。
お年玉は子供にあげるもので、お年寄りや両親に渡すなら現金でも品物でも、のしは「お年賀」とします。また、お年玉は本来、上の人が下の人にあげるものなので、たとえ子供でも上司の子供にあげるのは失礼にあたります。この際は、「お年賀」として図書券やお菓子などの品物をあげるのがよいでしょう。現代では、デパートなどで日にちを指定して品物を届けることもできるので、年末の挨拶をしそびれた場合には、お年賀として送るという方法もあります。
3.国旗掲揚のマナー
最近では、国旗を揚げる家はあまり見かけなくなりましたが、国旗は日の出から日没まで揚げておくことが原則です。門にたてる場合は、門の外から向かって左側に掲揚します。
特集 2011年F&Aレポートダイジェスト版 1
【1/10,1/20号 新春特集 没後120年ゴッホ展にみる 成功できなくても続けることのエネルギーとは】
■ゴッホの絵を間近で見れば誰でも必ず、その一筆一筆に込められた渾身のエネルギーを感じることができる。しかし、生前売れた絵はたったの一枚。四歳年下の弟に、生涯にわたり生活費の全般を頼らざるをえない泣かず飛ばずの画家であった。彼は画業わずか10年の間に、2000点余りの作品を残した。速記ともいえる筆の早さと絵に対する真摯な考え方とあくなき探求心。そのエネルギーはどこから生まれたのであろうか。(参考図書:西日本新聞社 没後120年ゴッホ+プラス)
【1/30号 特集 男の礼儀作法 男の食作法 和食の作法「箸」「酌」「楊枝」】
■「皇后様は、箸先を1pしかお汚しにならない」という話しを、皇室関係者から聞いたことがある。「箸の上げ下げでお里がわかる」とも言われるほど、食事の作法はその人の嗜みの程度を語る。■法律家、政治家でありながら「美味礼讃」を残したフランスの美食家、ブリア・サバランは、その著書の中で「人を饗応するということは、その人とともにいる間は終始、その人の幸福を引き受けるということである」といっている。(参考図書:誰も教えてくれない男の礼儀作法 小笠原敬承斎著 光文社新書)
【2/10, 2/20号 特集男の礼儀作法 男の食作法 余裕を感じる男性はかっこいい!西洋料理のマナー】
■西洋料理のマナーは主に欧米の考え方が主流となっているが、厳密にはフランス、イギリス、アメリカなど各国により細かな所作が違うこともある。たとえば、総理大臣が主催する晩餐会ではアメリカ流、宮中主催の晩餐会はイギリス流、フレンチレストランではシェフがフランスに修行に行っていることが多いのでフランス流を酌んでいるところが多い。そんな中で一人だけ、知ったかぶりをして違うマナー(本人は正しいと信じているが)を振りかざすのは田舎者である。
■日本風に紳士を一言で言うなら「床の前に座って絵になる人」ではなかろうか。真に「床の間の前に座れる人」は全体への気遣いもでき、自らの役割と立場を心得ている人である。
【2/28号 特集 二〇三〇年日本 「不安」の論点 働く場所は?ふるさとは?日本は?ありますか?】
■20年後、社会はどうなっているのか?雇用や年金、治安等、今の社会が抱える問題を基に、日本の「近未来」を考える■2030年、労働力人口は5580万人となり、1.84人の働き手で1人の高齢者を支える社会になる。■20年後の世界を見通すのは難しいが、確実に言えることは、今働き盛りの40代が定年を迎え、団塊世代は80代、そして現在の若者たちが社会の中核になるという現実である。「漠とした不安」。それは、雇用なのか、年金なのか、治安なのか、個々人が持つもやもやとした不安の正体を明確にすることで、今ならまだ手を打てることもあるのではないか。(二〇三〇年日本「不安」の論点 産経新聞社会部著)
【3/10号, 3/20号 特集 ウィキリークスの衝撃 新時代の情報戦争】
■小さなハッカー組織が流出する機密情報に世界各国が震撼している。外交ルールやメディアのあり方を根底から変えるジュリアン・アサンジは善か悪か?勝つのはアメリカかハッカーか?日本の情報漏洩は?■米国防総省やCIAは、急遽「ウィキリークス対策チーム」を立ち上げたが、世界最強の軍事力と経済力を誇る米国でさえ、この一民間組織の活動を止めることができずにいる。■なぜ一民間組織のウィキリークスが、世界を揺るがすほどの力を持ってしまったのだろうか?なぜ旧ソ連でもできなかったほどの損害を米国に与えられたのか?なぜウィキリークスの息の根を止めることができないのか?なぜジュリアン・アサンジは国家権力に挑戦し続けるのか?そもそもウィリークスとはどんな組織で何を目指しているのだろうか。(日経BP 菅原出著)
【3/30号 特集 ノーリスペクト時代 「バカ」を肯定する日本社会】
■かつて「日本人」と「勤勉」はセットであった。しかし現在、勤勉なる日本人は神話と化した。実態は、学び嫌いの日本人である。「バカ」とでも表現するしかない事態が日本を浸食している。ここで言うバカとは、学ぼうとせずに、ひたすら快楽にふけるあり方のことだ。学ぶ意欲が内発的に起きてこない、いくらでも学ぶ道があるのにゲームやメールに時間を注ぎ込んで疑いを持たない、そんな日本人が増えている。■齋藤孝著「なぜ日本人は学ばなくなったのか」によると、日本人の学力低下や減退は、「リスペクト」という心の習慣を失ったからだという。これは現代人が、教養やその教えの書かれたテキスト、先生に対する敬意の精神を失ったからだというのだ。■リストラも当たり前という現代は、信頼関係を作りにくく、心の安定を失いやすい時代。こうした「心の不良債権」状態が、リスペクト精神を失わせた背景だというのだ。(参考図書;「なぜ日本人は学ばなくなったのか」齋藤孝著 講談社)
【4/10号 新年度特集 「つかみ」を外さない話し方】
■ 話し始めの30秒で聞き手を引きつけることができるかどうか、引きつけたらそのまま、聞き手の心をグッとつかんだまま最後まで走りきる!それは、理想のスピーチである。■聞き手を飽きさせない話題の展開、身振り手振り、声のトーンの使い分け、すべてが演出としてパーフェクトであれば、聞き手は一瞬たりともスピーカーから目をそらさずに集中して聞き入るであろう。それは単に才能ではなく、努力によって身につけることができる技術(スキル)である。■朝礼での伝達事項やスピーチ、会議での発言、商談、プレゼンテーションなど、このスキルが求められる小さなステージが随所に存在する。
【4/20号, 4/30号 特集 最近感動していない人は要注意!若返り仕事習慣のススメ】
■習慣の8割は無意識の行動。階段ではなくエレベーターを使うのも無意識の力と言っていいだろう。この無意識の習慣の中にエイジング(老化)と結びつくものがあれば、アンチエイジングの習慣に変えて継続することが、若返りの効果を高める。■習慣は意識して3週間続けることで、4週間目からホンモノの習慣として身に付き、無意識に行動できるようになるといわれている。これには記憶をつかさどる脳の海馬という部分が深く関与しているのだが、何度も繰り返すことで、短期記憶が中長期記憶として脳に定着する為。ただ、そこで「楽しいと思いながらやる」ことがキーとなる。楽しいと感じる(暗示をかける)ことで、若返りに必要なホルモンが分泌されるのである。■アンチエイジング習慣を身につけることで、仕事も私生活も生き生きとし、職場の雰囲気もよくなり、人間関係もよりよくなる。(デキる男のアンチエイジング仕事習慣 稲川龍男著 日経BP企画)
【5/10,5/20号「大切なものは、目に見えない」】昔、子供だった大人のあなたへ 早わかり「星の王子さま」
■知っているようで意外に知らない人が多い、不朽の名作「星の王子さま」。それは、全世界で8000万部、日本では600万部が売られ
ているといわれる1943年の作品である。フランス人飛行士兼小説家であるサン=テグジュペリのその小説は、体裁は児童文学ながら、中身は、子供の心を失ってしまった大人に向けての示唆に富んでいる。■「大切なものは、目に見えない」を始めとした作品中の言葉は、生命とは、愛とはといった人生の重要な問題に答える指針として広く知られている。また、初版以来、作者自身による挿絵が使われ、素朴な主人公や脇役の姿は作品とともに今もなお世界中の人達に愛されている。■日本では311の東日本大震災により、人々の価値観が大きく変化した。本当に大切なものとは何なのか、生きる上で力となるものは何なのか、国家も地方も企業も人も模索しながら生きている。今だからこそ、曇りのない目で物事を見つめ、晴れやかな気持ちで日々を過ごすことの重要性を訴えたこの作品が心に染みるのではないか。(フリー百科事典「ウィキペディア」参考)
【5/30,6/10号 特集 「言葉でたたかう技術 勝つための弁論術」日本的美質と雄弁力】
■ギリシャの昔から、欧州では討論によって物事が決められてきた。そして、討論に勝つためには、論理的に構成された説得力が必
であった。哲学者アリストテレスによれば、言論による説得には、次の3種類がある。(1)語り手が信頼に足る人物だと思わせる(2)説得する相手をよく知り、相手の心を動かす(3)真実でなくても、真実らしく見える証拠を使って説得する■日本人の美点には、正直さ、謙虚さ、思いやりなどがある。これらは、友好的な雰囲気の場では美点として生きるが、相手と対立しているような場では弱さや欠点となる。正直で謙虚だけれど、自己主張が苦手。そんな日本人に向け"勝つための弁論術"を…。参考図書「言葉でたたかう技術」加藤恭子著 文藝春秋)
【6/20号 特集 ビジネスマンの軽装ルール 欲しいのは、涼感と礼節「スーパークールビズ」
■「あの人、スーツ姿はかっこいいのに、私服になるとがっかり…」なんて話。男性のオシャレ度を語る女性の井戸端会議は厳しい。しかし、2005年に始まった「クールビズ」以降は、これは井戸端会議の話だけではなくなった。■「クールビズ」よりも、今年はさらにカジュアル度が増した「スーパークールビズ」を環境省は提唱している。「かりゆし、ポロシャツ、アロハ、チノパン、スニーカーが可。Tシャツ、ジーパン、サンダルも節度ある着用に限り可」という基準で今年も6月1日から軽装運動が始まり、デパートなどでは父の日のギフトと兼ねて、激しい商戦が繰り広げられている。■着れば誰でもそれなりに"さまになる"スーツと違い、選択肢の広がるカジュアルな服装は、常識とセンスを問われる手強い代物。しかし、これから先、時代が「節電」を定着させるなら、この「軽装ブーム」は、単なるブームでは終わらないビジネス常識となるだろう。(参考図資料;日経流通新聞)
【6/30号 人の5倍売る"新幹線カリスマ販売員"有り難うございましたよりも「有り難うございます」】
■「お弁当に冷たいお飲物、お土産はいかがでございますか」このようなかけ声とともに新幹線を回るワゴン販売。さして難しそうな仕事でもなく特別に印象に残るような接客もない。しかし、山形新幹線1日1往復半で50万円以上を売り上げた実績をもつカリスマ販売員がいる。これは他の販売員の約4.8倍の売り上げである。彼女は常に他の販売員の約3倍の売り上げを上げ続けてきたという。■山形新幹線の車内で1998年から販売員として勤務する茂木久美子氏は、06年には最年少でチーフインストラクターに抜擢され、今や講演依頼が殺到し年間150回以上をこなしている。その接客技術とは。(「人の5倍売る技術」講談社 茂木久美子著)
特集 気持ちよく新年を迎えるために、今できること
1.自分の部屋に聖域をつくる
これは、新年を迎えるためというよりも、日々を楽しく過ごすために特におすすめしたい習慣です。畳一畳程度でかまいません。それが無理ならどこか一カ所、机の上でも、棚の上でも構わないので、気持ちが浄化される空間をつくってみましょう。
お気に入りの敷物や、布など敷いて他のところと区別します。自分の好きな絵を飾ったり、お香を炊いたり、アロマポットを置いてもステキです。自分がリラックスできる香りを置くと安らぎます。また、一輪挿しに生花を飾ると生き生きとした空気を感じることができます。
そこだけは、常に自分の聖域として整理整頓しておくと、心がリセットされます。時間がないときは、聖域だけでもきれいにすればいいのです。年末の大掃除のついでに、心に浄化作用をもたらしてくれる聖域をつくってみましょう。
2.元旦のバタバタは避けたいもの
「一年の計は元旦にあり」といって、元旦から活発に活動する人がいますが、これは避けたいものです。そもそも、この諺は、「物事を始めるのは最初が肝心なので、一年の計画は元日にたてるのが良い」という意味で、忙しく動き回ることではないのです。最近では、福袋の大売り出しなどを目当てに元旦からデパートに並ぶ人達も少なくないようですが……。
日本では古来より、一年を守ってくれる歳神様は元日に、その年の吉方からやってくると言われています。そのため正月早々に掃除をすることは、せっかくやってきてくれた歳神様を掃き出す(追い出す)ことになるというのです。お正月のおせち料理も、忙しい主婦をねぎらうという意味がこめられています。慌ただしい現代でも、元日だけはゆっくり過ごせるようにしたいものです。
大掃除を済ませたあとに玄関口に左右一対に立てる門松(今では紙に印刷された"賀正"の文字を貼付けたりします)やしめ縄ですが、これは歳神様が降臨する目印とされていました。歳神様が降臨するのにふさわしい神聖な場所であることを示しているのです。
つきなみですが、元日に慌てないよう今から少しずつ準備をするのがいいですね。
特集 ヒット商品は「キュレーション」から生まれる 2
石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力
● ヒット商品は新しい結びつきから生まれる。「食べるラー油」「炊飯機能付き弁当箱」「懐中電灯機能付き携帯電話」などを紹介したが、米国では今、この新しい結びつきを「キュレーション」といい、イノベーションを生むための創造的編集力として注目されているらしい。ちなみに「キュレーション」は、美術館や博物館で企画や展示を行うキュレーターに由来する言葉である。前回に続き、「キュレーション」について特集する。(石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力 潮出版社 勝見明著)
1.「過剰な20世紀」から「キュレーションの21世紀」へ
2007年、米国でたばこのパッケージ大の大きさの超低価格の小型ビデオカメラ「Flip Video」が登場し、ネットユーザーの間で大ヒットした。ボタンは、電源と映像の録画・再生・削除の4つだけ。USBコネクタが内蔵されているのでパソコンに接続し撮影した動画をYouTubeなどに簡単にアップロードできる。
ビデオカメラといえばソニーが1989年にハンディカムを発売して以来、競って高性能、高機能化を進めてきたが、私たちはそれほど使いこなしていない。
考えてみると、20世紀はあらゆる面で「より多く」「より高度に」を追求してきた時代だった。その結果、私たちはある時期から「過剰な世界」に入ってしまった。
もうそんなにはいらない。シンプルで構わない。誰かフォーカスを絞り込んでほしい。Flip Videoのヒットは、そんなユーザーの声を物語っている。
2.キュレーションのプロセス
キュレーションのプロセスを整理すると、次のような3段階になる
(1) 既存の意味の問い直し(再定義)
(2) 要素の選択・絞り込み・結びつけ(新しい編集)
(3) 新しい意味、文脈、価値の生成(創発)
3.キュレーションにはプラットフォーム的発想が必要
このキュレーションを行うとき、基本になるのが「プラットフォーム的発想」である。
プラットフォームは、元来は駅のホーム、台といった意味だが、テレビゲームではソフトやサービスが提供されるゲーム機がプラットフォームであり、楽天などネットショッピング業界ではサイトがプラットフォームだ。共通するのは、その上で多様な知と知が結びつき、つながることで相互作用により価値が生まれる基盤であるということだ。
つまり、単なるモノを作る商品開発ではなく、1つのプラットフォーム上に様々な知とその成果物キュレーションし、生み出された新しい知を商品に具現化するという考え方だ。
21世紀に入った今、ユーザーが求めるのはこれまで経験したことのない新しい体験の価値だ。機能の多さだけで差別化して競合に勝つという相対価値を追求する競争戦略だけでは、それに応えることはできなくなりつつある。そこで全くパラダイムの異なるエコシステムという発想が求められるのだ。
エコシステムにおいては、顧客も価値を享受するだけでなく、そこに取り込まれ、作り手や送り手とともに価値を創造する。その仕組みを生み出せるところが生き残っていくのである。
4.視点を転換すれば未知の可能性を引き出せる
要素を選択し、絞り込み、結びつける。イノベーションを生むための編集を行うとき、大きなヒントを与えてくれるのが、既存の概念を捨て、新たに定義し直す「再定義」だ。
再定義を可能にするのは視点の転換である。その好例が「銀座ミツバチプロジェクト」だ。これは一人の養蜂家が銀座界隈の自然の豊かさに気づいたのが始まりだった。
銀座を中心に蜜蜂が飛べる4km四方には皇居、日比谷公園などがあり、街路樹も多い。蜜蜂の目からみれば、銀座界隈は農薬の心配がなく住みやすい場所になる。そこで、養蜂家はビルの屋上で養蜂ができないかと考えた。この発想に共感した貸しビル業者が屋上を提供し、プロジェクトは始まった2006年以来、毎年大量の蜂蜜が採取されるようになった。
この蜂蜜をどうするか。銀座はかつての職人が住む「ものづくりの街」であり、今も菓子職人や料理人が腕をふるう。銀座産の蜂蜜を使い、銀座で商品を作る。銀座での地産地消に共感し、手を挙げる店が次々に現れた。銀座ミツバチプロジェクトは、成熟した都市でも異質なものが出会えば、思わぬものが生まれる可能性があることを私たちに語る。
コミュニケーション力のある人は愛される 〜お辞儀は少ないほうがいい
1.ゆとりある振る舞いでアップグレードする印象
小笠原流の教えでは、相手のお宅に伺う際、玄関での挨拶、部屋へ通されてからの挨拶、いとまの挨拶、と丁寧な挨拶は三度が好ましいと言われています。なぜなら、それ以上になると、それぞれの挨拶が軽くなってしまうからです。
その際に、挨拶の最中に何度もお辞儀をすることもまた控えるべきです。何度もお辞儀をすることで、ゆとりが感じられなくなってしまうのです。従って、一回の挨拶で行うお辞儀は少ないほうが良いとされています。そのほうが心をこめてお辞儀がしやすくなるのです。
●周囲にお手本になる「お辞儀マイスター」を見つける
あなたの周囲には、美しいお辞儀ができる人はいませんか?男女、年齢を問わず、いつでもゆとりの感じられる美しいお辞儀ができる人が周囲にいる人は幸せです。
普段、無意識で行っているお辞儀を少しだけ意識してみましょう。そして周囲にお手本となる人を見つけて、真似をしてみましょう。
お辞儀の間の取り方、動作、表情などを真似るのです。そうしているうちに、品格の感じられるお辞儀ができるようになります。残念ながら、周囲にお手本となる人がいない場合は、皇室の方々のお辞儀を真似てみましょう。テレビでなどで放映される何気ないシーンに目を留めるのです。簡単そうに見えて、美しいお辞儀は難しものです。
●日本のノンバーバルコミュニケーションを代表するお辞儀
ノンバーバルコミュニケーションとは非言語コミュニケーションです。お辞儀は、言葉以外のもので気持ちを伝えることのできる最たるものです。毎日の生活の中でお辞儀と挨拶を意識し、誰か(次世代)のお手本となることができれば素晴らしいことです。
特集 ヒット商品は「キュレーション」から生まれる 1
石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力
●このところ、シンプルな単語一言で時代のトレンドが表されるようになっている。「無料」こそがお金を生み出す新しい戦略になると説いた「FREE(フリー)」。「共有」がビジネスの新しいフレームになると唱えた「SHARE(シェア)」。そして今、それらに次ぐ新しい発想法として注目されているのが「CURATION(キュレーション)」という概念。●今、米国では「キュレーション」という思考法が注目されているらしい。「キュレーション」は、美術館や博物館で企画や展示を行うキュレーターに由来する言葉。既存のものの意味や価値を問い直し、それらを絞り込み、結びつけて新しい意味や価値を生み出すことを意味する。●そんなキュレーターの仕事と同じ発想が、あらゆるビジネスにおいて求められているのだ。「懐中電灯機能付き携帯電話」(既存のものを結びつけて新たな価値を生み出す)、「羽のない扇風機」(機能を排除することで新しい価値を生み出す)など「キュレーション」の成功事例を紹介しながら考察してみたい。(石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力 潮出版社 勝見明著)
1.ヒット商品は「新しい結びつき」から生まれる
最近のヒット商品の共通点は、既存のものを結びつけたり、組み合わせたりすることで新しい意味、価値を生み出し、潜在的ウォンツを発掘している。
・「食べるラー油」=食べる+ラー油
ラー油は本来、調味料として利用されてきたが、2009年秋、桃屋が提案した香味具材をたっぷり入れ、ラー油と「食べる」を結びつけた「食べるラー油」という斬新なコンセプトがユーザーに衝撃を投げかけ、人気が爆発した。
・炊飯機能付き弁当箱「HOTデシュラン」=弁当箱+炊飯器+おかずケース
米1〜1.4合分のご飯が炊ける炊飯機能の付いた弁当箱「HOTデシュラン」も大ヒットしている。これは、昼食を食べるところで1人分のご飯を炊いて食べるというもの。保温機能付きの弁当箱は以前からあったが、保温ではなく炊飯機能が搭載され、炊きたてのご飯が食べられる。炊飯中の蒸気でおかずが温められるよう、上部にはおかず専用ケースも載せられるようになっている。注目すべきは、弁当箱であることにこだわり、炊飯器としての多機能や高機能は追求しなかったこと。米と水を入れてとぎ、スイッチを入れるだけで炊けるという機能だけに絞り込み、シンプルなものにしたことである。
・「懐中電灯機能付き携帯電話」
インドの携帯電話市場では、フィンランドのノキアがシェアの半分以上を占める。ノキア製品の特徴は、携帯電話と懐中電灯を組み合わせたことにある。インドでは総人口の70%が農村部に住み、農村部では停電も多いため、この懐中電灯付き携帯電話は大ヒットした。
単にモノを売る発想では、携帯電話と懐中電灯を別々に売ろうとするだろう。そうではなく、携帯電話という商品のカテゴリーのプラットフォーム上で「キーになるいくつかの機能」を結びつけ、利便性という価値を生み出したのがこの商品だ。ノキア製品は農村部の自然環境に対応するため、防塵防湿機能を高め、電話を共有使用するユーザーのため、複数のアドレス帳や個人別通話時間記録機能も備えている。インドの携帯電話市場の日本のシェアは数パーセント。この圧倒的な差は何を意味するのか。
2.機能の「排除」でイノベーションを起こす
キュレーションには選択が伴う。選択は選ぶと同時に何かを「排除」することでもある。この場合の排除とは、単なる引き算ではなく、新しい価値を生み出すために「選ばない」と判断することだ。そのひとつの典型が、ダイソン社の羽がない新型扇風機「ダイソン・エアマルチプライアー」だ。これは、円筒形の土台の上に載った大きな輪から風が送り出されてくる。モーターは土台部分に組み込んで、下から吸い上げた空気を輪の内側にぐるりと開けられた幅1.3mmの開口部から送り出す仕組みである。従来の扇風機は、小さな子供のいる家庭では羽根に指を突っ込まないかと心配の種だった。夏が終わって収めるときも、羽根の清掃は面倒だった。恐らく同社は、扇風機にはあって当たり前の、この羽根を目に見える部分から排除することから、新型扇風機を発想したのだろう。
3.「再定義」が新たな価値と未知の可能性を引き出す
アップルは携帯電話を「ポケットに入る携帯型コンピュータ」と再定義すると、フルブラウザやアプリケーションのダウンロードなど、必要な機能を選択し、フォーカスを絞り込み、結びつけ、iPhoneを生み出した。ダイソンは、扇風機を「羽根で風を生み出す機器」ではなく、「空気を送り出す機器」と再定義したことで、羽根のない扇風機を開発した。
再定義を可能にするのは、視点の転換である。(次号につづく)
コミュニケーション力のある人は愛される 〜訪問先の玄関で…
1.冬場に訪問先の玄関前で、呼び鈴を鳴らす前に
個人宅でも企業に訪問する際でも、呼び鈴を鳴らす前にひと呼吸置いて、チェックしておきたいことがあります。
●コート:欧米ではコートを着たままチャイムを鳴らし、部屋に入ってからコートを脱ぐのがマナーとされていますが、日本ではもともと玄関前でコートを脱いでからチャイムを押すのが正式のマナーとされていました。最近では欧米流が一般的になってきましたが、目上の方を訪問する際は玄関前であらかじめ脱いでおいた方が無難です。
● 手袋・マフラー:コートを着込んだ上にマフラーや手袋までして玄関前に立っていると、迎える側にも「寒い思いをさせてしまいました」という気を遣わせることになります。玄関のチャイムを押す前に、手袋、マフラーも外しておいたほうがベターです。
● 名刺:訪問先ですぐに名刺を出して名乗ることが予想される場合は、名刺と名刺入れはすぐに取り出せるよう準備しておくのがスマートです。挨拶をしたあとに脱いだコートやマフラーを抱えて、鞄の中を探るのはかっこいいものではありませんね。
2.玄関に入ったら脱いだ靴は、どう揃えるか
玄関に入ってドアを閉めたら「ご無沙汰しております」「お邪魔いたします」などシンプルに挨拶を済ませます。このときドアを閉めながら「ながら挨拶」をするのは、落ち着きがなく見えるのでタブーです。ドアを閉めてから、体制を直して挨拶をしましょう。靴を脱ぐ時は、相手にお尻を見せないように注意します。正面を向いたまま靴を脱ぎ、相手に背中が向かないように体を斜めにして、膝をつき靴の向きを変えて揃えます。後ろ向きのまま、足で靴を揃えながら上がるのは、相手にお尻を向けることになるので絶対に避けるべきです。靴を置く位置は玄関のドアに一番遠いところが下座となります。
特集 AKB48の経済学〜不況に強いビジネスモデル 2
● AKB48の低価格戦略と、「秋葉原に行けばいつでも会える」というコンセプト。これは「テレビで見るのがアイドル」という概念を覆す仕掛けだ。AKB48は、このような戦略で秋葉原のコアなアイドルおたくの心をつかんでいった。●演歌歌手同様で、演歌は不況に強いといわれる。それぞれの演歌歌手が、コアなファンを数千人、あるいは数百人でもがっちり抱えているからだ。そうしたファンは、「自分たちが支えなきゃ」と思って、苦しい時にもお金を出してくれる。流行に乗ってファンになった人たちは、流行り廃りで消えてしまう。●テレビは面白くなければチャンネルを変える。テレビに依存するアイドルは流行り廃りが激しい。AKB48は結成して2年ほど売れない時期があったが、おたくというコアな客層をつかみ、テレビに依存しない売り方をしてきたから、持ちこたえることができたのだ。前回につづき、経済学から見たAKB48を特集する。(「AKB48の経済学」朝日新聞出版 田中秀臣著)
1.デフレ不況で増殖する「心の消費」
「デフレカルチャー」。これは、ライター・編集者である速水健朗氏が提唱した概念である。速水氏は、1990年代からのデフレと経済の停滞が、若い人を中心に消費や文化活動の変化をもたらしているのではないかと指摘し、それを「デフレカルチャー」と呼んだ。
デフレによって人々の名目所得は減った。それが20年も続くと、人々の間に「今後も財布の中身は減り続けるだろう」という諦めが定着してしまった。それに伴って、車や家電製品などの大きな出費を伴う消費は下火になり、お金のかからない消費スタイルに変化していった。
若い人たちはブログや掲示板への書き込み、ユーチューブなどの動画投稿サイトへの投稿と鑑賞などに多くの時間と労力を投入している。そこで自分が書き手となり、自分の内面や生活を表現しながら、それを自分自身で消費もしている。ブログはその典型だ。自分の考えを文字にして、自分の物語を作りながら、それを消費する。生産と消費が一致しているのである。生産と消費が一致すると、そこには金銭のやりとりが存在しなくなる。拡大する経済を支えるという意味での消費ではなくなってしまうのだ。
2.社会現象にまでなった「心の消費」
AKB48は、まさにそういったデフレカルチャーや心の消費の中心にある存在である。AKB48の場合、多くのメンバーがブログを持っている。いわば彼女達は、メンバー個々の小さな物語を絶えずインターネット社会に向けて発信しているのである。ファンは当然、自分のお気に入りのメンバーの発信に対しては日常的にフォローしている。そして、ブログの彼女たちの発言を自分のブログやツイッターの中で引用して、自分たちも彼女たちの小さな物語に接続しているのだ。
3.「ローカル」か「グローバル」か
高度成長期からバブル景気までの時代、若者は常に中央志向だった。その時代、地方から都市部へ大量の若年人口が流入し、都市が急拡大した。ところが最近は、若い世代の地方回帰が起きている。
バブル期までの地方の若者には「東京に出たら、自分の地元にはないような働き口があって、それまでの自分を変えられる」という夢があった。だが今、都会に来ても正社員になれず、アルバイトなどをするしかない。そうなると、都心にいても将来は何の希望もない。郊外にいても同じ、ということになるわけである。
4.ご当地アイドルの時代到来か
90年代から地方では、町おこしという大義名分に基づく「お祭り」が盛んになっている。盆踊り、サンバ、花火大会。若者が中心になって企画し、お祭りを通じて自己のアイデンティティー(存在意義)を見いだそうとしている。AKB48から派生した「SKE48」(名古屋市の栄という地名に由来した、東海地方に暮すアイドルグループ)も、恐らく自分達の地方人としてのアイデンティティーを意識しているだろう。「自分達こそ名古屋を代表するメンバーで、名古屋こそスタンダードである」というプライドを持っているのだ。ファンも同じような意識を持つようになれば、Jリーグのように、アイドルとファンが結びつき永続的なアイドルビジネスが生まれるかもしれない。
サブカルチャーのグローバル化とローカル化 一方、世界のアイドル市場を俯瞰した時、面白いのは国境を越えたおたく文化の広がりだ。おたくは日本の他、米国にも欧州にもアジアにもいる。AKB48にしても、パリやニューヨークに行くと、1000人、2000人と集まってくる。ほとんど全員がユーチューブなどで映像を見てAKB48に関心を持った人達だ。日本の漫画やアニメと同様に、日本製のアイドルという存在もグローバルなのである。コアなターゲットに絞ったはずのAKB48というモデルが、グローバルでもローカルでも通用しているのは、言い換えれば、米国でもフランスでも、日本と同じようにAKB48を消費するようなサブカルチャーが生まれているのだ。
コミュニケーション力のある人は愛される 〜動きの中で美人になる
日本を代表する歴史小説家であり、人気作家でもある司馬遼太郎氏の「日本語と日本人」の中で、こんな下りがあります。
「動きの中で美人を見いだしているんでね、静止したり、写真に撮ったり、寸法をはかったりしたら、決して美人じゃない人が多いですね。よく見てみると、むしろ醜女の場合が多いですね。だけど、みんながその人を美人だという。ぼくは何人か知ってますけれども、なんぼ考えてもあれ珍妙な顔をしているけどなと思うけれども、あの人美人ですね、なんていわれている人がありますよ。身動きなんだろうな。」
これは、「動きの中できれいに見える人が美人」ということなんですね。私たちは往々にして、「無意識の動き」を見られています。朝、鏡に向かって静止してニッコリ笑った「意識した顔や動き」を見られているのでなく、たとえば、オフィスの中で忙しく動いているとき、つまり立ち居振る舞いなど気にかけていないときの自分を、人は見ているのです。司馬遼太郎氏曰く、その「無意識の動き」の中でキレイに見える人が美人である。ということなのでしょう。「無意識の動き」がキレイになるには、まず意識してみることです。何気ない日頃のしぐさを。ポイントをまとめてみました。
1.姿勢を正す:立っていても座っていても背筋はまっすぐ伸ばす
2.常に腰を中心に動く:腰を中心に動き、身体の重みを感じさせない(たとえば"どっこらしょ"と腰掛けたり、立ち上がったりしない)
3.両手を使う:身体の正面で両手を使って、ものを持ち上げたり移動させたりする
4.脇をあけない:食べる所作と同じ。脇は基本的に閉じておく。
5.口角をいつも上げておく:口角を上げて明るい表情、明るい気持ちで過ごす
以上のことを実行するだけでも、印象は激変します。動きの中で美人に見えるのです。
特集 AKB48の経済学〜不況に強いビジネスモデル 1
●今や大ブレークの「AKB48(エーケービー・フォーティエイト)」。このほど、インドネシアでも「JKT48(ジャカルタ48)」が誕生するなど、その人気は海外にまで広がっている。●流行は世相を映す鏡。ある国における流行は、その国がそのときに置かれた経済的上京を反映する。日本では1990年代初めのバブル崩壊以降、経済的に低調な時期が続いた。今やアイドル市場の中心となる若者たちは、日本がほとんど成長せず、デフレにより名目所得が減り続ける時代に育った、「デフレ不況世代」となっている。●AKB48の大ブレークは、まさにこのデフレ不況時代の若者にターゲットを絞った、見事なマーケティング戦略の成果といえる。2回にわたり経済学から見たAKB48を特集する。(「AKB48の経済学」朝日新聞出版 田中秀臣著)
1.専用劇場での低料金公演
「AKB48」は、作詞家の秋元康(あきもとやすし)氏がプロデュースする女性アイドルグループである。結成は2005年。メンバーの人数は48人。年齢は10代前半から20代前半まで。
このAKB48が今、オリコンチャートで新曲が続けざまに初登場1位になるなど、まさに社会現象になっている。AKB48の最大の特徴は、秋葉原に「AKB48劇場」という専用劇場を作った点だ。彼女たちはここで、いくつかのチームに分かれて日替わりで公演を行っている。公演を始めたのは05年冬のことで、最初の入場料はイス席1000円、立ち見500円だった。これはかなりの低料金設定といえる。明らかに、秋葉原に集まる、あまりお金のない若い「アイドルおたく」に狙いを定めた価格戦略である。
入場料はその後値上げされ、今では一般男性3000円、女性と高校生以下で2000円となっている。とはいえ現在の料金でも、人気アーティストのコンサートに比べたらはるかに安い設定だ。
2.ターゲットは若くて収入の低い"おたく"たち
もし入場料を上げても、AKB48が国民的人気を保っている今であれば、劇場は満席になるだろう。にも関わらず抑え価格を維持しているのは、専用劇場を設けたことが、単にライブで収益を確保し、AKB48への投資費用を短期的に回収しようという狙いではなかったことを示している。
AKB48が当初から顧客ターゲットと想定したのは、若くて収入の低いアイドルおたくたちだ。彼らは1万円もの入場料は払えない。値上げとともに、AKB48から去っていってしまうだろう。そうなると、一時期のブームが過ぎ去った後、劇場はがら空きになり、AKB48は解散するしかなくなる。低価格戦略はそれを防ぐためのものだ。
3.おニャン子クラブとの相違点
秋元氏は、80年代半ばに「おニャン子クラブ」というアイドルグループのプロデュースを行い、こちらでも成功している。
このおニャン子クラブとAKB48との最大の違いは、おニャン子クラブがテレビ中心だったのに対して、AKB48は最初から専用の劇場を持ったことだ。
なぜ秋元氏は、かつて成功したおニャン子クラブとAKB48のやり方を変えたのか。
おニャン子クラブは当時「夕やけニャンニャン」というテレビ番組が活躍の主な舞台だった。ところが、成長期の高校生や中学生は意識の回転が速いから、人気が出るのも早かったけれども、飽きられてしまうのもあっという間だった。
だから、視聴率低下とともに番組は打ち切り、おニャン子クラブは解散となった。全盛期はほんの2,3年だった。テレビに依存していると、視聴率10%、1000万人の視聴者をつかまないと生き延びられない。一方、劇場を維持するなら、1回の公演に200〜300人も来てくれれば埋まってしまう。そこが、ビジネスモデルとしてのおニャン子クラブとの大きな違いだ。
AKB48劇場の客席数は250席しかない。入場料が平均1席2500円として、1回の公演の売上は60万〜70万円にしかならない。ビジネスモデルとしては小さいが、すでに結成から5年たった。テレビで大衆を押さえて一気に投資を回収するというモデルではなく、劇場でコアなファンを押さえて細く長く続けるという戦略で、おニャン子クラブよりはるかに長生きしている。<次号につづく>
・ 日本では長期デフレに伴い、所得も減っている。そのため、今の若者は出費を控え、ブログや掲示板への書き込み、動画投稿サイトの鑑賞などに時間を使うようになっている。
・AKB48のメンバーの多くは自分のブログを持つ。ファンはそこでのメンバーの発言を読んだり、自分のブログの中で引用したりして楽しんでいる。AKB48の人気は、こうした金銭の授受を伴わない消費活動によって支えられている部分が大きい。
コミュニケーション力のある人は愛される 〜目線と距離について
1.目線は時に外すことも大事
人の話を聞くときや、こちらから話しかけるとき、どこを見つめていますか?
「目は口ほどにものを言う」ですから、目線はとても大事です。
嘘をついてごまかそうとしたり、心に何かやましいことがあるときは、必ず目に表れます。いわゆる「目が泳ぐ」といった状態です。だからといって、相手の目をジッと凝視すればいいのかというと、それもまた不自然です。威圧感を与えたり、生意気な印象を与えることにもなりかねません。
意識して目線を外すというのは、やさしい心遣いの現れでもあります。相手のあごや、ネクタイの結び目あたりを見るといいでしょう。もちろん、大事なことを話すときや、同意を求めたいときには、相手の目をしっかり見ることで気持ちが伝わります。
なんでもないことのようですが、目線を下げすぎて陰気な印象を与えたり、目線を大きく外して不実な印象を与えないように気を配りたいものです。
2.コミュニケーションを和ませる距離
人と向き合うとき、私たちは自然に一定の距離を空けています。その距離は親しさに比例するといってもいいでしょう。特に、片腕分の距離(約50p)はパーソナルスペースといって、見知らぬ人に侵されたくないスペースです。
普通、人が向き合う時には最低でも1.5mの距離を空けるといいのですが、間に置く机などがない場合は、椅子でも畳でも少し緊張感が生まれます。こんなときは、相手の真正面を避けて座ることをおすすめします。真正面を避けると、自然に目線を外すこともでき、お互いが良いのです。対面する距離は、近すぎても離れすぎても円滑なコミュニケーションが生まれません。いつも程よい距離感を保てる人になりたいですね。
特集 「"困った人"の説得術」2
● 理不尽な行動をとる上司に対してどう対処すればいいのか?社内の人間関係についての悩みの多くは、こういったことのようだ。いわゆる「困った人」は、実績がある、経歴が長い、その道のプロである、、、という一目置かれる側面を持ちながら、一方では能力があるが故に、組織全体の成長の妨げになっている場合もある。●"評論家クレーマー""職人クレーマー""思考停止クレーマー""現実逃避クレーマー""近視眼クレーマー"ら、社内に存在する「困った人」の行動パターンと対処法。今回は、タイプ別に特集したい。(「困った人"の説得術」日本経済新聞出版社 出口知史/伊東明著)
1.職人クレーマーは「持ち上げろ」
職人クレーマーは真面目なので、彼らの得意分野を否定してはいけない。むしろ、得意分野についてどんな努力をしてきたのか聞いてみることだ。そこで、尊敬できる点については「すごいですね!」と声を出す。次は、視野を広げてもらうことを考える。
「○○という事情がある。ポイントは△△。それについて違和感はありますか?」という具合に、少しずつ理解してもらうことが大事だ。そうして一つずつ情報を与え、最終目標を共有化していく。職人クレーマーとのコミュニケーションのコツはキーワードを中心に話すこと。たとえば、「顧客満足の最大化」というよりも、「リピート率の倍増」「返品率の半減」などのほうが頭に残りやすく、目標を共有化しやすい。
2.思考停止クレーマーには「共感」を
彼らは、今までのやり方や考え方から脱却できず、その必要性もないものだと思い込もうとする。まず、思考停止クレーマーに絶対外してはいけないのは「そうですね」の一言。共感の意を示さないと警戒心をむき出しにするからだ。思考停止クレーマーはベテラン社員に多いため、経験に基づく情報は豊富である。そうした暗黙知を一つ一つ紐解き、一緒に頭の中をクリアにしていくスタンスをとるべきだ。たとえば、「売上を前年比20%伸ばせ」という一方的な指示を営業部長が発信したとする。それに対して「難しいですよ」と反応してはいけない。まずは仮説をたて「それは、こういう理由からですか?」という具合に確認し、それによって「実際どうすればいいんでしょうか?」という話し合いに持っていき、完璧なストーリーが浮かんだとしても、あえて少し言葉足らずにして相手の返事を待つ。「しょうがないな、教えてやるか」というスタンスに持ち込めば、話は進めやすくなる。
3.現実逃避クレーマーは「いったん逃がせ」
悪気がなくとも嘘をついてしまう人がいる。「やってみたけどダメでした」(実は何もやっていない)、「頑張ります」(といって何もしない)などは、よくある例だ。自分にとって不都合な状況に直面したときに、その状況から逃れるので精一杯で結果的に嘘をついてしまうのが「現実逃避クレーマー」である。
対処法としては、相手から聞いた情報に頼らず、一次情報をとりにいくことだ。その上で正しい結論やストーリーを考えておく。相手の意見を聞きながら「事実」と「意見」を分け、念押ししながら把握していく。このタイプのクレーマーが理屈のわからないことを言い始めたら、いったんその場はお開きにして、次のコンタクトを設定した方がいい。このタイプのコミュニケーションで大切なことは「私はあなたの敵ではない。だから落ち着いて正直に話してください」という信頼関係のベースを作っておくことである。
4.近視眼クレーマーには「失敗」させろ
自分本位かつ短期的なメリットしか見ないのが「近視眼クレーマー」である。若い世代に多い。彼らは、自分の仕事を非常に狭い意味でとらえていて、そこから外れることはやっても評価されず、意味がないと思っている。
不本意な仕事でも、きちんとやることで信頼が得られ、自分が望む機会がやってくるかもしれない。そうした考え方を理解してもらうのがコミュニケーションの第一歩だ。
彼らは経験もないのに短期の成果を求め、それがうまくいかず焦るという負の循環だ。だから、簡単な課題に取り組ませて、あえて小さな失敗をさせて反省してもらうことが、結果的に本人にとっても周囲にとっても良いことになる。多様な価値観の存在に気づき、短期的には得られなくても中期的に得られるメリットもあるということを認識してもらうのが肝心。近視眼クレーマーには野心もエネルギーもあるが、どういう方向に集中させればいいのか迷っているだけなのだ。うまく現実と自分の欲望が歯車が噛み合えば、周囲を引っ張ってくれるような存在に化ける可能性を秘めている。
意味逆転の慣用句!よーく耳にしませんか?
日常、よく耳にする言葉でありながら、本来の意味とは逆の意味になっていることがあります。どこがおかしいのでしょう?。
1.感覚だけでことばを使うと赤っ恥!
(1)「A社に売り上げを抜かれた汚名を挽回しよう」
(2)「発売したとたんにクレームがくるなんて、さいさきが悪いよ」
(3)「監督のあの作戦、まんまと失敗したね」
(4)「この前の試合で、Tチームに圧倒的な大敗を喫してしまった」
(5)「アイデアがヒットして、Cさんは足が地につかないほどの喜び方だね」
(6)「うちの課の連中はみんな気の置ける、信頼できる人たちです」
(7)(就任挨拶で)「役不足でございますが、早く仕事を覚えて頑張ります」
2.回答と解説
(1)「挽回」とは、元の状態に戻すこと。「汚名を挽回」では意味が逆。「汚名返上」。
(2)「さいさきが悪い」は、「幸先」で、「良いことがおこる兆し」をいいます。「悪いこと」には使えない言葉です。
(3)「まんまと失敗した」。「まんまと」は「うまうまと」がなまったもの。「まんまと成功」しても「失敗」はしません。
(4)「圧倒的な大敗」。「圧倒」は大きな力で勝つことをいいます。「圧倒的な大勝」はあっても「大敗」はありえないのです。
(5)「足が地につかぬ」とは、恐ろしさに足が震える様子。嬉しさには使えません。
(6)「気の置けない」と言わなければなりません。「気を遣わなくてもいいほど打ち解けている」という意味で、逆の場合でも「気の置ける」という言い方はしません。
(7)「役不足」は、自分の実力に対して「役」が足りないこと。「役」に対して「実力」が足りない場合は「力不足」です。
特集 「"困った人"の説得術」1
● 社内に一人や二人は存在する「困った人」。「困った人」は、建設的な意見に水を差す。たとえば、屁理屈が多く行動しない。または、専門領域にこだわって融通がきかないとか、今までのやりかたに固執しすぎるなど。「困った人」は、周囲にマイナスのエネルギーをもたらしていることに気づいていない。こうした、社内で理不尽な行動を繰り広げる人を「社内クレーマー」とよぶ。●近年、社内の対人関係の悩みは、社内の「困った人」に対する声が増えているという。それら"困った"人材を"評論家クレーマー""職人クレーマー""思考停止クレーマー""現実逃避クレーマー""近視眼クレーマー"などのタイプごとに分類し、その行動パターンや効果的な対応法を紹介した「"困った人"の説得術」を特集したい。(「困った人"の説得術」日本経済新聞出版社 出口知史/伊東明著)
1.社内クレーマーの5つのタイプと対処法
(1)評論家クレーマー
・特徴:情報通だが、屁理屈が多く自ら行動しない。
・対処例:現状についての認識を一致させ、逃げ道をふさいでから、当事者になるか否かを選ばせる。
(2)職人クレーマー
・特徴:専門領域に強いが、融通が利かない。
・対処例:相手の得意分野を尊重した上で話を進め、お互いの持つ情報や最終目標を共有化する。
(3)思考停止クレーマー
・特徴:頭が固く、今までのやり方から脱却できない。
・対処例:相手への共感を示した上で、相手の考えている結論やその根拠を聞き出しながら話を進める。
(4)現実逃避クレーマー
・特徴:不都合な状況から逃げることに精一杯で、嘘をついたり、聞かれても何も答えなかったりする。
・対処例:相手から聞いた情報に頼らず、できる限り情報源に近いところの情報をとる。そして、それを基に相手の話を整理し、相手にきちんと考えさせる。
(5)近視眼クレーマー
・特徴:自分の仕事の意味を狭く捉えて、外れていることは評価されず、意味がないと考えている。
・対処例:簡単な課題を与えて小さな失敗をさせ、反省させる。また、人生には多様な考え方があることを伝える。
2.評論家クレーマーは「行動」させろ
どこの組織にもいる「評論家クレーマー」。頭の回転が速く、様々な情報を知っている一方で、すべてを他人事として捉えた態度で振る舞う。心を許した相手にはフレンドリーに話すが、ほとんどの人に対しては見下したような態度をとる。
このタイプは、屁理屈が多く自分からは行動は起こさない。重箱の隅をつつくような文句を言ったり、クレームをつけて、相手に「しまった」という顔をさせたり、「自分の方がわかっている」と感じさせることが半ば目的になっている。
<評論家クレーマーを使う技術>評論家クレーマーとの恊働は、最初が肝心。バカにされたようなクレームを受けた時には、最初からきちんと反論する。最初に優しい態度を見せると、図に乗らせてしまうことになる。また、彼らと話す際には、現状を取り巻く事実を伝えて、逐一理解したか否か確認をとっていく。この時、所感や推測を入れない。そうしたものを入れると、その是非に議論が飛び、話が逸れてしまうからだ。
具体的には「今期の売上見込みが○億円から△億円に下方修正されましたよね」など、事実をストレートに伝え、「話を始める前に、前提認識を一致させておかなくてはいけないと思うんですよ」などと切り出す。こうして現状認識を一致させ、出来る限り逃げ道をふさいでから、評論家クレーマーに当事者になるか、全く無関係になるかを自分で選ぶように問いかける。また、「私たちで一緒にできることは何がありますか?」などと投げかけ、そこで逃げの姿勢をとるようなら、「では、任せてください」と言ってイニシアチブはこちらが握る。もし、当事者になることを決意してもらったら、その熱が冷めないうちに、結論について仮案でも構わないので語ってもらう。こうして話していくうちに、当事者意識が少しずつ高まっていく。評論家クレーマーは話のネタが豊富で、それを披露したいと思っている。だから頼られると悪い気はしない。「あなたの助けを借りたい」と言われると、態度が軟化してくる。話が終われば「いつも新しいアイデアが得られるので助かります」と御礼を言うことも重要。のらりくらりとかわす相手に「助けてください」というのは感情的にやりにくいことではあるが、最終的にそれが「肉を切らせて骨を断つ」ことになると思えば、案外すんなりできるものだ。(職人クレーマー、思考停止クレーマー等は次号につづく)
間違えやすいことわざ "知ってるつもり"に注意!
とても常識的なことわざでありながら、間違って認識していることはよくあります。うっかり人前で口にして恥をかくということもあります。下記の間違いを探し、正しく直し意味を考えてみましょう。
1.どこか?のことわざ
(1)「脳ある鷹は爪を隠す」(2)「命あっての物」
(3)「衣服足りて礼節を知る」(4)「坊主憎けりゃ今朝まで憎い」
(5)「歯にころも着せぬ」(6)「安ずるより産むが易し」
(7)「虎の衣を借る狐」(8)「田で食う虫も好き好き」
(9)「泣く子と地蔵には勝てぬ」(10)「邪の道は蛇」
[回答]///////////////////////////////////
(1)「能ある鷹は爪を隠す」:力(能)のある人はそれをひけらかさないものだ。
(2)「命あっての物種(ものだね)」:「物種」は「もと」のこと。何事も命があればこそ、の意。
(3)「衣食足りて礼節を知る」:生活に困らなくなってはじめて礼儀を守れるものだ。
(4)「坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い」:袈裟はお坊さんの衣服。憎むと、その人に関するすべてが憎くなるの意。
(5)「歯に衣(きぬ)着せぬ」:遠慮なくずけずけものを言うこと。
(6)「案ずるより産むが易し」:心配するより実行すれば、意外に簡単にいくものだ。
(7)「虎の威を借る狐」:力のないものが強者の威勢を借りて威張ること。
(8)「蓼食う虫も好き好き」:蓼は植物。とてもからい蓼でも好んで食べる虫がいるように、人の好みはさまざま。
(9)「泣く子と地頭(じとう)には勝てぬ」:地頭は荘園の管理者。わがままな泣く子と、横暴な地頭には、道理を説いても効き目がない。
(10)「蛇(じゃ)の道は蛇(へび)」:同類の者は同じような習性を持っているものだ。
特集 「ビジネスインタビュー」のためのインタビュー能力の鍛え方
●「徹子の部屋」という長寿番組がある。黒柳さんがゲストにインタビューをしながら、ゲストに活動状況、夢などを語らせる。そのインタビューを通して、ゲストの人となりなどが視聴者には伝わってくる。主役はもちろんゲスト。しかし、限られた時間内に会話をリードするのは、司会の黒柳徹子さんだ。主役であるゲストを盛り立てながら話を引き出す。それでいて、決してゲストよりも喋りすぎることはない。●人の話の聞き方にはマナーがあり、ルールがある。特にこちらが聞き出したいことを、相手に気持ちよく話してもらうには思いつきで話を進めてもうまくいかない。ビジネスシーンにおいても、聞き方の上手い人は、常に周囲と良好なコミュニケーションを図り、なおかつ人に好かれている。そして、情報も入ってくる。●今回は、インタビューにおける能力の鍛え方について特集したい。
1.情報があっても聞き手の能力以上のことは聞き出せない
先述の「徹子の部屋」で、黒柳徹子さんは収録前(ゲストに会う前)に入念な情報収集をするという。たとえば、ゲストが作家であれば、その人の作品を読むだけでなく、過去の活動やライフスタイル、趣味、嗜好なども含め、ありとあらゆることを調べてインプットする。そして、インプットした情報をディレクターをはじめとする関係者と共有し、どのような話の展開にするのが面白いかということを話し合い本番に臨むという。オンエアされる時間の倍以上の時間をかけて構成を考えるのだ。こうして「徹子の部屋」は成り立ち、長寿番組として今も君臨している。
ただし、概ね黒柳さんの意向やインタビューの舵取りに任せているという。それは、もともとインタビュアーが興味のないことや、よく理解できないことを話題にしても、本当に面白い話の展開にはならないからである。話はできたとしても、深みのない薄っぺらな内容のインタビューになってしまうからだ。
「情報はあっても、聞き手の能力以上のことは聞き出せない」とは、まさにこのことで、営業などで訪問する際に、事前に訪問先のデータや資料を調べても、それだけでは実りあるビジネスインタビューにはなり得ないのである。
2.情報→再構築→アイデア
インタビューを通して、相手の情報を引き出すだけでなく、そこから新しい意味や提案を生み出すには、3つの段階がある。
<情報>事前に調べたことや、相手の発言などから、細切れになった情報が点在している
↓
<再構築>点在する情報を、自分の言葉でまとめ、それぞれの関係性を理解する
↓
<アイデア>知識をつなぎ、気づきや新しい視点、提案を生み出す
会話を通して、この作業こそが"インタビュー能力"といえる。"インタビュー能力"が高い人は、人の話を単純に聞き流すだけでなく、常に頭の中で再構築を繰り返しながら、言葉と意味とその背景にあるものをつなげ、新しい発見をしようとしているのだ。
3."インタビュー能力"は努力で培える
要するに、"インタビュー能力"とは、人の話を考えながら聞くという技術である。これは、技術なので、誰でも努力をすれば身に付く可能性がある。まずは下記の要点をチェックし、実行してみたい。
<座り方と距離>片手を肩まで上げたところの距離(個人差はあるがだいたい50センチ前後)を、パーソナルスペースという。知らない人が急にこのスペースに入ってくると人は不快感を覚えると言われるように、物理的な距離は心理に作用するもの。話をする際は、距離と座り方に気を配る。基本的には「一つの資料を一緒に見ることができる距離」がベスト。横に並ぶか、90度の角度で座るか、ハの字型に座る。要所で視線を合わせやすくかつ、視線を適度に外しやすい形になる。向かい合って座るのは、交渉事などにはいいが、ヒアリングやインタビューには不向き。
<復唱/要約>相手の言葉を繰り返す、または要約する。会話を進めることばかりに気を取られてしまうと、相手の言葉を受け止めるという作業がおろそかになりがちである。復唱と要約は、相手の言葉と気持ちを「受け止めています」というメッセージになるだけでなく、自分の頭の中で「再構築」するためにもなる。その他、相手の話すスピードに合わせる、仕草を真似するなども効果的。常に、「私はあなたに興味がある」というメッセージを言葉と身体で伝えることが、アイデアにつながるインタビューの第一歩になる。
美しい姿勢と所作の基本は「腰」にある
「姿勢を正しなさい」と言われると、まず"背筋"が気になって、不自然に背中に力を入れる人はいませんか?たしかに、一瞬背筋がピンと伸びて姿勢を正しているように見えますが、それは長続きするでしょうか?多分、数分もすると、もとの悪い姿勢に戻ってしまうのではないでしょうか?本当に正しい姿勢は、身体のどこにも力を入れず、ラクな状態で長続きするものです。そのポイントは「腰」です。「腰」が決まれば形が整います。形が整えば、どんな動きをしても無駄、無理のない美しい所作になります。
1.いつも丹田(ヘソの下)をスッと伸ばす
背筋を伸ばそうとして、背筋に意識を持っていくと非常に疲れてしまいます。肩もこります。だから長続きしません。背筋ではなく丹田(へその下、下腹あたり)を伸ばすのです。そうすれば肩や背中に負担なく自然に背筋が伸びます。身体のどこにも余計な力を入れることがないので、良い姿勢がラクに長続きします。
よく勘違いされていますが、「良い姿勢はラクで長続きする」ものなのです。腰や肩に負担がかからないので、一日中頭もすっきりしています。丹田を伸ばすのは、座ってパソコンで作業するときも、移動するときも、立って挨拶をするときも同じです。
基本の姿勢がいいと、ちょっとした仕草も美しく見えます。美しい所作は努力しなければ身につけられません。生まれつきのものではないのです。それだけに、身につけた教養や身だしなみが表れるものです。指先までの意識と全体の調和を考え、常に丹田である「腰」を中心にして動くことをおすすめします。
2.「腰がある」はしなやかさの代名詞
日本には昔から「腰がある」という言葉があります。柔らかく、しなやかで、張りがあることをいいます。ところどころにピリッとした締まりのあるメリハリのある動きこそが、美しい所作といえるのではないでしょうか。美しい姿勢は「腰」で決まり、「腰」が美しい所作を生み出します。動きの中で美しい人は「腰のある人」です。
特集 「R25」目線のエコカー情報
「R25」というリクルートが発行する無料週刊誌をご存知だろうか?R25の「R」とはR指定という言葉に見られるように、リストリクト(Restrict=制限)という意味で、「R25」とは、つまり25歳以下禁止の雑誌という意味。この世代の男性に向けて「オトコ視点」で編集し、2004年に創刊されたという。
● メイン読者層は、20〜34歳の会社員。仕事中心の生活をしているためにテレビを見る時間が少なく、ニュースは携帯サイトで見出しだけを読んでいる程度。そのため「R25」では、日常会話にはよく出てくるが、内容はよく知らない、でも常識程度は知っておきたいと思うような世の中の動きを説明するコラムが中心になっている。一項目は2分間ほどで読める800字前後、総ページ数50ページ程度。収入源は広告料金のみで成り立っている。●「R25」を読めば、若い人達の意識や動向が伺える。街角で配布される無料雑誌など興味がないなど言わず、たまには世代が違う情報に触れるのも新鮮なのである。今回は一部紹介に過ぎないが、興味のある人は毎週木曜日の配布に手を伸ばしてみていただきたい。(リクルート「R25」9/29号より抜粋)
1.レギュラーでも200円/L? 10年後のガソリン価格予想
近年、じわじわと上昇を続けているガソリン価格。特に今年は中東情勢悪化に伴う原油高、東日本大震災による混乱を受けてレギュラーガソリンの店頭価格は一時150円台まで高騰した。今後もこのまま上がり続けるのか?「知られていない原油価格高騰の謎」など資源・エネルギー関連の著書も多い、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の芥田知至氏は「昨年から今年の前半にかけて続いた原油高だが、アメリカやヨーロッパの景気不安を受け、夏場以降は価格が落ち着きつつある。懸案だったリビア情勢も新政権樹立によってひとまず安定しそうだし、今年の年末から来年の頭くらいまではガソリン価格もゆるやかに下がっていくのではないか」というが、長期的な目でみれば、やはりガソリン価格は上昇していくだろうと芥田氏は予想する。
「中国やインドのエネルギー需要は今後ますます高まっていく。そうなれば、採掘にコストのかかる原油資源の開発も必要になってくる。今後はおそらく、年率2〜3%ずつくらいは原油価格が上がり続けるんじゃないか。そうなれば10年後のガソリン価格はレギュラーで200円/L、ハイオク210円/L程度の水準になるかもしれない」。
さらに膨らみ続ける財政補てんのため、「ガソリン税」「環境税」といった名目の増税が行われ、ガソリン価格に上乗せされる可能性も高い。
2.東京〜名古屋を300円 究極のEV「Eliica」の実力
たしかに環境にやさしい。でも、スピードは出ない、加速も期待できない。電気自動車のそんなイメージを吹き飛ばす車がある。「Eliica(エリーカ)」だ。最高速度は時速370km。加速はポルシェ911ターボを超える。しかも航続距離も長く一充電で300km走り、70%回復に30分と充電時間も短い。さらに100円の電気料金で約100kmの走行が可能。東京から名古屋まで300円ほどで走れてしまうのだ。
この「Eliica」開発プロジェクトで、技術チームを率いてきたのが、清水浩慶応義塾大学環境情報学部教授。あったのは逆転の発想。「電気自動車開発の壁は、電池エネルギーの性能アップ。でも電池のエネルギーがもともと少ないなら、それを前提に開発すればいい。車自体を電気自動車に見合った形にすればいいと考えた。そもそも人が車に求めているのは3つ。加速感、乗り心地、スペース。それをより実現させることを考えただけ」
たとえば、車輪に直接モーターを入れる。そうすることで、これまでモーターと車輪の間で発生していたロスがなくなって、加速感を高められる。車体も軽量化できる上に、省略できるパーツが発生するため、広い車内スペースを確保できる。タイヤを8輪にしたのもカーブでの安定性を高めるためだ。
「単にガソリン車を改造して、動力を電気にしただけでは魅力がない。性能も最先端、ガソリン車にない面白さもないと」実は、開発のゴールは既存の車の発想を超えるものだという。「まだ車の形をしている時点で、私にとっては不出来。今の車はエンジンを載せるために都合のいい形が追求されただけ。これから考えるべきは、人間が乗る為に本当に都合のいい形を作り出すこと」。目指しているのは、車を超えた車なのだ。
//////エコドライブ検定//////
Q1 この半年間に日本で売れた新車のうち、エコカーは何割を占める?
A:約30% B:約50% C:約80%
Q2 エアコンをオフにすることで燃費はどれくらい向上する?
A:最大18%程度向上 B:最大28%程度向上 C:最大38%程度向上
Q3 60分の道のりを迷って70分かけると燃費はどれだけ悪化する?
A:約5% B:約10% C:約15% (答えはいずれもC)
「少しゆっくりめ」が気品をあらわす
話し方教室では、1分間に350〜400字の文章を話すのが平均的な早さと言われていますが、昔の人はもっとゆっくり話していたようです。時代劇などを見ると、現代なら眠ってしまうのではないかと思われるぐらい、非常にゆったりとしたペースで会話をしています。それも高貴な人になればなるほど、口調はゆっくりしています。口調だけでなく、立ち居振る舞いも然り。雅な人達はゆっくりしています。
現代は、みんなが忙しい時代なので、ゆっくりした口調や動作は受け入れ難いときもありますが、あまりに急ぎすぎてせかせかした印象になるのはマイナスです。さて、どんな点に気をつければ、周囲と調和のとれたエレガンスを身にまとうことができるでしょうか。
1.ゆっくり話す 間(ま)を感じて話す
どんなに素晴らしい内容の話であっても、早口でまくしたてられると、エレガンスからは遠ざかります。ペラペラ話しているという印象が残ると、なぜか品がなく軽薄な感じに見えてしまうのです。
誰でも忙しさに心を失ってしまうと、つい早口になります。英語や中国語などの外国語は、早口で流暢なのが良しとされていますが、日本語はゆっくり、明確に話すことで伝わるようにできている言語なのです。
落ち着いた上品な話し方は、それだけで人を引きつけるものがあります。皇室を思い起こしてみても、話し方はゆっくりと明快で、身のこなしもすっきりとしていて、見ている側も落ち着いた心持ちにさせます。
いつもより少しゆっくり目に話す。ゆっくり話すのが苦手な人は、間を感じながら(間をとりながら)話すと、早口に聞こえません。
2.ゆっくりと字を書く
字を書く場合も話し方と同じです。早く書こうとすると雑になります。上手い下手ではなく、丁寧にきちんと書くことが大切なのです。ちょっとゆっくり目に書く。それだけで落ち着いたたたずまいを演出することができます。
特集「日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人」2
怒りには優しさで対峙! 女性支配人のクレーム対応秘録
日々"モンスタークレーマー"と対峙しながら、歌舞伎町のヤクザがたむろするホテルを、安全、安心、快適なホテルに変え、300以上ある客室の年平均稼働率90%以上をキープし、グループの中でもトップクラスの売り上げを上げている現役女性支配人のクレーム対応の心得と技術。●その秘訣の一つは、クレーム対応で怒りの感情を持たないことにあるという。感情は「雨が降った」くらいの自然現象に過ぎないと考える。突然の雨にぬれたからといって、空を恨んだりはしない。同様に人間も時々雨が降るようにして怒る。そのうち雨は晴れる。●怒鳴り散らす人に向かって、やさしさでお返しをすると、人の気持ちは「バカヤロー」から「ありがとう」へと変わる。「怒り」のパワーより、「やさしさ」のパワーを1つでも多く持つことで、それは可能だという。●グループダントツの結束力を誇り、業績を伸ばし続けている一人の女性支配人のクレーム対応秘録である。(ダイヤモンド社「日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人」三輪康子著)
1.「クレーム処理」と「クレーム対応」の違い
「クレーム対応」とは、クレームに対応することではない。まず、全力で人の気持ちを理解すること。つまり、人への対応である。それを「クレーム処理」と考えると、安易にお金やモノで解決しようとしてしまう。お金で解決することは、問題の解決ではなく、問題の放棄だ。お金を払うことは、その状況を何も変えない。
お客様の言葉にしっかりと耳を傾け、お客様の気持ちに寄り添う。そして、怒りの原因をすべて出し切ってもらう。それがクレーム対応なのだ。
一度でも怒鳴り声に圧倒されて、金銭を渡したら、その人はまた確実にやってくる。それを知った客も同じようにやってくる。すると、一度の例外が原則になってしまう。
お客様の怒りの原因を、私たちが真摯に受け止めれば、ホテルにとってクレームが財産になる。また、モンスターともいえるクレーマーに対して、安易な解決方法を取らないと決めれば、次のクレームも防げるのである。
2.三輪式クレーム対秘録
●自画自賛力がクレーマーと仲良くなるコツ
クレーム対応において、最も大切なのは「自己肯定感」である。私の場合は、それより一歩進んで「自画自賛力」といえる。自分で自分を「さすが私」と持ち上げる力を持つことが、誰にでも必要だと思う。私はそうやって自画自賛する自分をキャラクターにしていて、いつもスタッフに「私ってかっこいい?」と聞いている。正直なところ、自分のモチベーションを上げているに過ぎないのだが。あとは、周囲の空気を重くしないためである。
●一回のクレーマーを一生の顧客にするには
(1)第一声、「謝罪のスピード」がすべてを決める
私は、どんな時も、まず謝罪から始まる。最初にお客様に説明していただいて、状況判断するのでは遅いのだ。この謝罪が良かったか、悪かったかで、クレーム対応のすべてが決まる。
(2)謝罪のスピードは、スタッフとの信頼関係にかかっている
謝罪の第一声が出せるには、何が大事か。それは、日頃のスタッフとの信頼関係である。現場からクレーム対応の要請が来ると、まずはスタッフから何が起きたのか聞き取らねばならない。そこで、ミスをしたならミスをしたと、正直に言える部下を持っていることが必要なのである。もしそれを叱責する上司なら、スタッフは本当のことを言わず、お客様のせいにするだろう。だから日頃から感情的にならずに指導することが大事なのである。
(3)自分の心遣いすべてを謝罪に投入
「大変申し訳ございませんでした」この、たった一言が心を打つ丁寧なものなら、クレーム対応にかかる時間はわずか10分だ。だが、心がこもらず「スイマセンデシタ」と単調に聞こえるなら、こじれて対応に何週間もかかる。第一声がどう響くかは紙一重。だから、クレーム対応においては、自分の持てる心遣いすべてを投入して謝る。
(4)お客様の傷ついた心にだけ焦点を当てる
謝る上で、客観的にホテル側に落ち度があったかは関係ない。クレームをつける人にしてみれば、一番の気持ちは「謝ってほしい」のだ。お客様から遠いところにいると、まず「解決策」に考えがいってしまうが、それは順番が違う。まず「人の心」である。
メールを「お送りします」か「お送りいたします」か?
丁寧語と謙譲語。この違いはなんでしょう?どちらも敬語であることには違いありません。丁寧語は、周知のとおり、「です」「ます」を付けたり、相手の行為や持ち物に「御」である「お」や「ご」を付けて丁寧な表現をするものです。これに対して、謙譲語は「へり下る」表現です。へり「下る」わけですから、下に下がって、相手をたてる表現になります。ここで、相手が一段高くなるわけです。
今回は、日頃よく使う「する」の丁寧語と謙譲語について考えてみましょう。
1.フラットな関係でいいのか、へり下るのか?
前文の説明のとおり、相手を一段高く上げたい場合は、「メールをお送りいたします」という表現がふさわしくなります。
上下の関係よりも、丁寧な言い回しをしたい場合は、「メールをお送りします」となります。社内の通達文書であれば「お送りします」で十分でしょう。
「する」の丁寧語は、「します」。謙譲語は「いたす」です。「させて頂く」という謙譲表現もありますが、時と場合によっては、持って回ったような表現に聞こえることもあるので、何もかも「させて頂きます」という言葉を使うのは、いかがなものかと思います。「させて頂く」を「いたします」と言い換えたほうが、すっきりと聞こえることもあります。どちらも謙譲語なので、へり下る気持ちは込められています。
ついでに言うと、「する」の尊敬語は、「される」「なさる」です。どちらも同格の尊敬語ですが、「なさる」の方が、少し柔らかな語感があります。
2.「お電話」「ご連絡」は正しいか?
丁寧語である「お」や「ご」であるにも関わらず、「では、のちほどお電話します」というように、自分の電話に対して「お」を付けてもいいのでしょうか?実はこれは、正解です。電話や連絡、手紙といったものは、自分側の行為であっても、相手にも関わるものなので、丁寧な表現をすることは間違いではないのです。
特集「日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人」1
怒りには優しさで対峙! 女性支配人のクレーム対応秘録
歌舞伎町のヤクザがたむろするホテルを、安全、安心、快適なホテルに変え、300以上ある客室の年平均稼働率90%以上をキープし、グループの中でもトップクラスの売り上げを上げている現役女性支配人がいる。彼女は、日々"モンスタークレーマー"と対峙しながら、「クレーム対応」とは、全力で人の気持ちを理解すること。つまりクレームへの対応ではなく、人への対応なのだという。●怒っている人に向かって、優しさでお返しすると、「バカヤロー」から「ありがとう」へ変わる。怒っている人には怒り返してはいけない。怒っている人には余計優しい言葉で返す。難しいことだが、これは驚くような効果があるらしい●アジア系外国人のスタッフも多い中、グループダントツの結束力を誇り、業績を伸ばし続けている一人の女性支配人のクレーム対応秘録を2回にわたりレポートする(ダイヤモンド社「日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人」三輪康子著)
1.新着早々、ロビーで"カツアゲ"が横行
私は、ある有名ホテルグループに勤める現役支配人である。任されている店舗があるのは新宿歌舞伎町。着任したのは2004年9月。私は全く異業種からの転職で採用され、1ヶ月の研修後、このホテルに配属されたのだ。
そこで私を待ち構えていたのは、想像を絶する光景だった。ホテルのホールにたむろしていたのは、ド派手なスーツに、スキンヘアのヤクザ。片隅では"カツアゲ"が行われていた。飛んでいってすぐにやめさせたいのだが、足がすくむ。女性スタッフは震えて泣いている。ヤクザの人垣の中には被害者が囲まれている模様…
それが逃げようとする私を踏みとどまらせた。私は人垣の中に入った。囲まれていたのは一人の男性だった。私が入って驚いたのはむしろヤクザの方だった。
「なんだ?」「私、支配人の三輪と申します。皆さん何をされているのでしょうか?」「何でもいいだろうがよー、どきな」「私のホテルなので、申し訳ございませんが、ここにいさせてもらいます」「何だと?死にてえのかよ!」「いいえ、死にたくはございません」
大勢のヤクザに囲まれて数時間。恐怖に身を硬くしながらも私はテコでも動かなかった。
動くわけにはいかなかったのだ。私がいなくなったら、世界は1ミリも変わらない。
逃げたらきっと後悔する。逃げる後悔と逃げない後悔、どっちがいいか、答えは決まっていた。
いい加減バカらしくなったのだろう。ヤクザたちは「おう、また来るからな」と捨てゼリフを残して、ぞろぞろとその場を離れていった。緊張が解けると腰が抜けそうになった。私の支配人としてのキャリアは、こんなドラマチックな幕開けとなった。
2.安心して勤められる職場にしたい すべてのクレームは私に回せ!
当時、最上階をヤクザが長期占有し、ホテル内を我が物顔でうろついていた。前途多難なのは一目瞭然だったが、私の原動力は何よりもスタッフを守ってあげたいという気持ちだった。スタッフが安心して勤められる職場にしたかった。スタッフは皆、仲間思いの責任感のある人たちばかりだった。ただ、誰もが内心辞めたがっていた。でも、辞めてしまえば、他のスタッフに迷惑がかかる。だから、頑張る。そういう人達ばかりだった。誰もが極限状態にあった。
そんなスタッフたちのがんばりに応えるにはどうしたらいいだろうと考えた挙げ句、すべてのクレームは私に回すよう指示を出した。「クレーム対応に代表者が最初に出ちゃダメだ」とアドバイスをしてくれる専門家もいたが、部下を最前線に押し出し、自分は安全なところにいる指揮官など誰が信用するものか。
そう意気込んでみたものの、やはり苦労の連続だった。当然、ヤクザ相手だからお引き取り願うための交渉は熾烈を極めた。
「申し訳ありません。当ホテルにお客様をお泊めすることはできません」と、宿泊を拒否すると、フロント前でみるみるうちに数人の大きな男に囲まれる。私は何度も誠意を込めて粘り強くお願いし、ヤクザの皆さんにお引き取り願うしかなかったのである。
「カネさえ払えばいいんだろうがぁ!」と、財布を顔に向けて投げつけられたこともある。そんな毎日に耐えられた理由は何か。多分、「優しさは怒鳴り声よりも強いものだ。正しいことは、貫かなければならない」という私にとってのお守りのような信念があったからだと思う。一度でも、怒鳴り声に負けて金銭を渡したら、その人はまた確実にやってくる。それを知った他の客も同じようにやってくる。現代は、ネット社会。「あそこのホテルがお金で解決する」と聞けば、10人のクレーマーがやってきて、同じクレームを付け始めるだろう。
(「クレーム処理」と「クレーム対応」の違いは、次号につづく)
「こころ」と「かたち」について
マナーの根本にある「こころ」について。今回は、小笠原流礼法(小笠原敬承斎著)による真の礼法の考え方を参考に振り返ってみましょう。作法に迷ったときにはこの根本に戻ってみてください。
1.「こころ」と「かたち」はどちらが先か
「こころ」とは、相手を大切に思う心。「かたち」とは、その「こころ」を行動によって表すこと。つまり「作法」は「かたち」です。
「こころ」と「かたち」、どちらが先かといえば、もちろん「こころ」です。「かたち」ばかりを追い求める人は、どこまでいっても「かたち」ばかりに囚われがちです。しかし、「こころ」を大切にする人が「かたち」を身につけると、自然に美しい立ち居振る舞いができるようになります。
いいかえれば、相手や周囲の人々に対する、真摯な心遣いが、美しい立ち居振る舞いとあいまって日常生活が満たされるときこそ、礼法(マナー)はその究極に到達します。
「こうでなければならない」などと、かたちばかりにこだわる礼法(マナー)は存在しません。時、場所、状況に応じて変化する「かたち」でなければ、相手を大切にすることなどできないからです。
2.「かたち」はひとつではない
今後、ますます加速するであろう価値観の変動や多用化する生活様式の中で、古来伝えられた作法やしきたりといったものを、そのままのかたちで用いてはならず、「なぜその作法が存在するのか」という理由を理解して、咀嚼することが大切です。
つまり各々のライフスタイルに必要な礼法(マナー)とは、決まりきった一つの答えが存在するのではなくて、それぞれの状況に応じた的確な判断能力と、それに応じた立ち居振る舞いからなります。
だからこそ、基本を知ることが大事なのです。基本を知って初めて臨機応変の判断ができ、立ち居振る舞いという「かたち」ができるのです。
特集 今こそ注目される「ココロ」を育てる将棋
人はいつまでも成長できる
● 大隈重信は「囲碁は経済、将棋は戦争」という言葉を残しているが、江戸時代、将棋は庶民の娯楽だった。今でいえばテレビを見たり、ゲームをしたりする感覚で万人が楽しめる文化だった。●子供の頃は、どこの家庭にも将棋盤があり、男の子達の室内遊びの代表的なものだったが、現代はどうだろう?ゲームやパソコン、携帯などに、その座はとって奪われ、将棋を指す子供の姿はあまり見かけなくなった。脈々と受け継がれてきた日本文化の将棋も衰退の一途をたどるのか…と、思いきや意外や意外!今、違った視点で将棋は注目され、将棋を指す子供達の数は年々増えているといっても過言ではない。●2001年から全国主要都市で開催されている「JT将棋日本シリーズ こども大会」は、大会参加者が年々大幅に増え、昨年2010年の大会では、全国で8,000人近くの参加があった。(2001年の初年度開催時には575人が参加)●実際に会場に足を運び、子供達の真剣勝負の対局を目の当たりにすると、将棋の持つチカラに改めて気づかされる。今回はその模様と将棋が今、注目される理由をレポートしたい。
1.「JT将棋日本シリーズ」
夏休み最後の週末、「JT将棋日本シリーズ」中国大会が、広島で開催された。この日は、500人を超えるエントリーがあったと言われるとおり、会場は朝早くから親子連れでにぎわい、開場1時間前には長蛇の列が出来始めていた。
午前中はこども大会、午後はプロ公式戦というプログラムで、あの将棋界のスーパースター 羽生善治名人の対局を間近で見られるということもあり、会場は期待と熱気に包まれていた。
将棋文化は決して廃れてはいないのだ。
2.礼儀作法の大切さを学ぶ子供たち
「お願いします」という挨拶で始まる将棋は、礼儀がとても大切なゲームである。対局前には席につき、きちんと姿勢を正す、対局中は動き回ったり声を上げたりしてはならない。負けそうになっても投げ出さず、しかし、自分が負けたら潔く「負けました」と頭を下げる。そして、勝った方も、負けた方も「ありがとうございました」と礼をして勝負を終える。ただ勝負に勝つということだけでなく、自分を律し、相手を重んじるという礼儀作法に乗っ取って繰り広げられる対局には、礼儀作法の要がたくさん詰まっているのだ。
3.集中力を育て、全力を尽くすことを知る
将棋を指す子供たちの顔は、どの子も真剣そのもの。同伴の親は対局スペース内には一歩も入れないので遠く離れたところから我が子を見守っている。
将棋は集中力を要す。技術や経験、年齢に関係なく全力を尽くさないと運を引き寄せることはできないゲーム。子供たちは、一手一手を考え抜いて慎重に指す。だからこそ、勝ったときの達成感や喜びは大きく、逆に負けたときの悔しさは言葉にできないものがある。
また、目の前の相手の表情や態度を見て、相手の戦法を読み取りながら駒をすすめるのが将棋である。そこには、コンピュータゲームやネットという相手の顔の見えない対戦と違う、見て感じ取って考えるというコミュニケーションが生まれる。
将棋を指すことで世代を超えてコミュニケーションができるのも、将棋の持つ大きな魅力であり、将棋の持つチカラなのだ。
4.忍耐と自己責任
将棋では我慢しなければならない場面がしばしばある。一手前に戻れたら…と、思っても後戻りはできない。自分の手番になればパスはできない。何か手を打たなければならないし、相手が打つときには、じっくりと待たなければならない。相手の指し手や考えは自分の思い通りにはならないことがほとんどで、相手の一手に応じて自分の一手を指す。この一手は自分の責任であり、勝ち負けもしっかり受け止めなければならない。将棋に向き合うと、知らないうちに忍耐力と自己責任を経験し、その重みを受け入れ、そこからさらにステップアップするということを体験的に学ぶのである。まさに「ココロ」のトレーニングの場である。〜「成るとは育つこと」(羽生善治名人語録)〜
将棋の駒は玉と金をのぞいて、敵陣に到達すると、それまで以上の動き方や活躍ができるようになり、一段と強力な駒に進化します。これが「成る」ということ。よりスケールの大きな存在への成長の姿である。子供たちの成長も「成る」駒のようであってほしいものです。
プロの棋士で「成長する」というのは強くなるプロセスです。自分がどう指すかということばかりではなく、相手の気持ちを察し、想像力を働かせ、決断し、行動するという行為は、将棋以外の実社会で求められる能力です。子供だけでなく、青年期には青年期の、壮年期には壮年期の「成長」というものがあり、人はいつまでも「成長」し続けることができるはずだと思って努力を重ねています。(「JT将棋異本シリーズ 2011」リーフレット参考)
初対面のマナー 3
「名インタビュアーになったつもりで」
1.聴き手が会話の主導権を握っている
「徹子の部屋」という長寿番組があります。ご存知の通り、インタビュアーである黒柳徹子さんが、ゲストの話をおもしろおかしく引き出していく番組です。
名インタビュアーの鉄則は以下の通りです。
- ゲストに語らせる
- 間合いと話の展開が上手い
- 相づちや質問の仕方が自然である
黒柳徹子さんは、事前にゲストの情報を幅広く収集して、どんな質問を展開すれば、限られた時間を最大限に生かせるかを必死で考え、準備をするそうです。そう、会話が弾むかどうかは、聴き手の力にかかっているのです。
2.相づちのバリエーションを増やして「主体的に聴く」
黒柳徹子さんのようにはなれないとしても、参考にすべき点はたくさんあります。まずは、相づちから見直してみましょう。なんとなくではなく、意識的に相づちを打つのです。「はい」「ええ」「あら」「まあ」「フーム」「おお」など。さらに、「ええっ?」「そうなんですか?」「知らなかった」「びっくりしました」「そんなことがあるんですね」など、いずれも感情を込めて、表情豊かに反応してみましょう。これは、「あなたの話を一生懸命に聞いていますよ」というアピールにもなります。
さらに、「それからどうなったんですか?」「続きが気になります」など、相手の話を促します。無理矢理話をつなごうとせず、主体的な聞き方をしてみてください。誰でも、自分の話を真剣に聞いてくれる人には好感を持つものです。
会話の全体が10とするなら、自分が話すのは相づちも含めて2〜3割程度、相手が残りを話すぐらいのバランスでちょうどいいのだと、イメージしてみてください。
特集「声」が人間関係を支配する
大統領・独裁者の声を読み解く 2
● かつてオバマ大統領の演説は世界中で注目され、大統領就任直後にはその弁の鮮やかさに多くの人が魅了され、日本でも「オバマ大統領演説集」などのCDが飛ぶように売れた。国境を越えて、その演説がCDで売り出され、かくも話題になったのは歴代のアメリカ大統領の中でもオバマ氏だけであろう。●声は体の一部であると同時に心の一部でもある。本心を隠そうとしても声は無意識のうちに心の有り様を明らかにしてしまう。●世に影響力を持つ人々がどのように声と向き合い、扱ってきたのか、声が果たす役割とは何か、前回のヒトラーに続き、特集したい。「"声"の秘密」(アン・カープ著、梶山あゆみ訳 草思社)
1.レーガン
俳優から大統領になったのはロナルド・レーガンが初めてである。現代のアメリカでは、その二つの仕事が区別できなくなった証拠だとの意見も聞かれる。彼が支持を得るうえでは、その声が大きな役割を果たした。彼は「コミュニケーションの達人」として知られる。もっとも、台詞を表示するオートキューの読み方が、どの大統領よりもうまかっただけとの見方もあるようだが。ともあれ、彼の声には人を安心させる力があった。柔らかく親しみやすく、聞く者の心を落ち着かせる。ある評論家はこう指摘した。
「レーガンの声は絶妙のタイミングで弱くなる。激しくなるべきところで柔らかく落ち着いた声になるのだ。なんとしても聴衆を説得しようとするときには、ほとんどささやき声になり。中身でというよりその親しみで心をとらえる。……レーガンは自分の声が好きで、それを客人のように丁重に扱う。そしてそのもてなしのなかに聞く者をも取り込む。出身地イリノイから彼を抜け出させ、不況からも脱出させたものは彼の声だった」
2.サッチャー
若い頃のマーガレット・サッチャーの声は、後年に比べると実に軽く魅力的なのに驚く。しかし当時、女性の声に対しては偏見があった。甲高く、感情がこもりすぎていて、信頼が置けないというものだ。この偏見に直面したサッチャーは、おそらく現代のどんな政治家よりも大きく声を変えた。彼女の側近の一人、ティム・ベルは、次の通り、そのままの声ではきっと失敗すると早くから考えていた。「彼女の声には物理的な問題があった。胸の一番上から話し、咽頭に力が入って、咳が出やすく風邪もひきやすい。疲れていると、締めつけられたような声になる。しかも、声が体のどの部分よりも早く疲れた。野党の党首になったとき、彼女の声は厳格な女教師のようであり、少し偉そうで少し横暴な感じだった。イギリスはプロレタリア化しはじめたところだったので、私たちは、中流の上の階級ではなく、ごく普通の庶民に訴えたいと考えた。だが、彼女の声はまったく評判が悪かった。偉そうで、高飛車で、重苦しい感じがするのだ・・・」
その後1978年、ベルはサッチャーがイギリスの首相に就任する前に専門家にアドバイスをもらう。そして、テレビやラジオの放送のさいには、話す内容に応じてサッチャーに声を変えさせた。単純な方法である。彼女が党の政治的な話をするときは二種類の飲み物を用意しておくのである。氷水と、温かい蜂蜜レモン水だ。繊細で思いやりのある声を出させたいときには、彼女に蜂蜜レモン水を渡して声を和らげ、リラックスさせる。力強い声を出させたいときは氷水を渡すのだ。
3.ブッシュ、ゴア、ケリー
公職に就く人間にとって、愛想のよさはもはやたんなる長所ではなく必要不可欠な条件となっ
ている。そのことを声を使って実証しているのがアメリカの政治家だ。たとえばアル・ゴアの場
合、どれだけ知的レベルが高くても、あの堅苦しい殊勝ぶった一本調子の声(よくロボットにた
とえられる)は、ショージ・ブッシュの気さくな話ぶりと比べたら圧倒的に不利である。
ジョン・ケリーも同様、声にカリスマ性がなかった。平板な調子で声を張る話し方は時代遅れ
である。彼の心の内がまったく見えてこない。「新たな時代に求められる親密さ」が少しも見ら
れないのである。それに引きかえジョージ・ブッシュのセールスポイントは、自由世界の擁護者
であるだけでなく、バーベキューにでも呼びたい男でもあるところだ。実際のブッシュは、大き
な権勢を誇る一族の末裔だが、ブッシュの声は彼が普通の男であるように思わせている。
ある評論家はこう説明する「ケリーは自分自身の声がない。ブッシュは少なくとも彼自身の声
であるし、あの声が好きな人は大勢いる。話し方としては長所も短所もあるが、彼は普通の人間
であるように聞こえるのだ」
2000年と2004年のアメリカ大統領選挙では、ゴアとケリーの声と人柄は大きな決め手のひと
つとなった。放送電波に乗せて意志を伝える能力は、今では必要不可欠な資質となっている。現
代の政治家の声は、古代と比べると庶民的になっている。大袈裟な美辞麗句の時代は終わった。
現代の演説家は「仲間」だと思われなくてはならない。
初対面のマナー 2
「初対面で早く打ち解けるには」
1.「木戸に立ちかけ衣食住」でアイスブレーク
「アイスブレーク」とは、氷を解かすという意味で、初対面の氷のような堅さや冷たさを崩すことをいいます。「アイスブレーク」をいかに早くできるかは、コミュニケーション能力にかかっているといってもいいでしょう。
そんな中で「木戸に立ちかけ衣食住」は、話題選びの基本と言われています。初対面でも自然な会話になりやすい話題の頭文字を並べています。
キ・・・気候、天気、季節 例「暑いですね」「よく降りますね」
ド・・・道路 例「あそこの道、いつも渋滞していますね」
二・・・ニュース 例「昨日のニュースの○○は、怖かったですね」
タ・・・旅、旅行 例「先月、沖縄に行ったら、面白いものがあったんですよ」
チ・・・知人、友人 例「私の友人に、こんな人がいるんです」
カ・・・家族、ペット 例「メダカを飼い始めたんですけど…」
ケ・・・健康、美容、ダイエット 例「○○が体にいいらしいですね」
セ・・・世間話 例「うちの職場で○○の話題が流行ってます」
シ・・・趣味 例「野球が趣味なので…」
衣・・・ファッション、オシャレ 例「きれいな色のネクタイですね」
食・・・グルメ 例「あそこのラーメンが美味しいと評判です」
住・・・インテリア 例「この花瓶は古風でいいですね」
初対面は、誰でも緊張しているもの。ならば、自分からその緊張をほぐすよう歩み寄ってみましょう。自然な会話ができることは相手への気遣いでもあり、マナーでもあります。上記の「キドニタチカケ…」を参考に、自分自身が得意な話題を研究してみましょう。また、あえて相手に尋ねてみることも、会話の自然なきっかけをつくります。
特集「声」が人間関係を支配する
大統領・独裁者の声を読み解く 1
●あらゆる人間関係に知らず知らずのうちに大きな影響を与えている私たちの「声」。相手に好印象を与えるのも、説得力をもたせるのも、すべては「声」次第といっても過言ではない。ビジネスにおいては時に「何を話すか」よりも、「どのように話すか」が問われる。そんな時、「声」の果たす役割は極めて大きい。●「声」こそが人間らしさの核心であるという専門家もいる。「声」は生活のあらゆる場面に関わり、心理、性別、文化を表す。また、人を支配する。「"声"の秘密」(アン・カープ著、梶山あゆみ訳 草思社)より大統領、独裁者の声を特集し「声」という道具を見直してみたい。
1.欠点を覆うヒトラーの声
攻撃的で断固として、機関銃を思わせるヒトラーの声は、ナチスのイデオロギーを具現化している。彼は声を使って自分自身と大衆を鼓舞した。声は互いを熱狂へと駆り立てる道具だった。
自分にそういう力があるとヒトラーが最初に気づいたのは、1919年、ミュンヘンのビアホールで演説したときだった。自分の声の効果を知って彼は興奮する。著書「わが闘争」の中でこう記しているほどだ。「それまでは心の中で漠然と感じているだけで、確かめようのなかったことが、今や現実のものとして証明された。私には話す力がある!」ヒトラーは書き言葉より話し言葉を好んだ。話す言葉には魔力があると考えていたからである。彼はミュンヘンの有名なコメディアンの手法を真似て演説の技術を磨き、騒がしいビアホールの中でも聴衆の注意を引けるようにした。さらには各ビアホールの音響効果を詳しく調べ、それぞれに合った声の高さで話した。
ヒトラーの話した内容自体はとりたてて目新しくはない。声質は金属的で耳障りともいえ、演説の時間も長過ぎるし、くどくて冗長なことも多かった。ところが、その欠点はほとんど問題にならない。というのも、彼は声の音だけで凄まじいエネルギーや切迫した強い感情を表現でき、憎悪、怒り、威嚇の激しさを見事に伝えたからである。
2.緻密に計算されたヒトラーの演説
大声でわめいて群衆を扇動し、自分の演説に興奮して我を忘れた悪魔のような人物・・・それ
が現代のヒトラー像である。このイメージは、1930年代の短いニュース映画によるところが大き
い。だが、実際のヒトラーは、洗練された演説手法を慎重に計算して用いていた。原稿は読むの
ではなく、おもな項目とキーワードを記したおおまかなメモを見ながら演説をしたので、自分の
心の赴くままに話しているような自然さと新しさが感じられる。野次を飛ばす人間にもうまく対
処できた。喝采を浴びたときは、拍手が収まりかけた絶妙のタイミングで口を開くコツを心得て
いた。ある研修者はこう指摘する。「彼はつねに大声でわめきちらしていたわけではない。むしろ
はじめは静かな声で、口ごもるようにして聴衆に語りかけた」
演説は最初から最後まで周到な演出がなされていた。たとえば、わざとホールに遅れて入り、いざ話す段になると、堪え難いほど長く間をとった。それから静かにゆっくりと語りだす。滑り出しの調子を低く抑えることで、緊張を高めるのが狙いだ。しだいに声を大きくしていき、野次を受けて口調も戦闘的になって、痛烈な皮肉を織り交ぜていく。「叩き潰す」「力」「容赦なく」「憎悪」といった言葉を意図的に繰り返しながら自らを叱咤激励していき、ほとんどヒステリーと言える領域まで声を高くして強い憤りを吐き出した。長く激しい演説が最高潮に達すると、声はかすれた。だが、一見すると自由奔放に話しているようでいて決して我を忘れることはない。
当時、あるアメリカ人教授がヒトラーの声を分析したところ、振動数は228ヘルツが最も多かった。普通の人が怒っているときの振動数は200ヘルツである。「この高い声と、声に伴う感情が、聞く者を受け身の状態に置く」と。この教授は説明する。「クラクションの音を聞くと、驚いて呆然とするのと同じで、ヒトラーは言葉で聴衆を呆然とさせたのである」。
ヒトラーの大演説はあまりに攻撃的だったので、聴衆が選べる選択肢は一つしかない。自分が攻撃されたくなければ、攻撃者に賛同するほかないのだ。
ヒトラーと大群衆は互いに依存しあう共生関係にあった。ヒトラーが群衆に興奮を与え、かわりに彼らから新たな刺激をもらって、それを声に取り込む。大規模な集会では、太鼓を連打させて催眠効果を作り出した。それによって聴衆は、ヒトラーの演説を受け入れやすい状態になるとともに、呼吸までもが一つにそろう。ナチスの党大会が開かれたニュルンベルグのスタジアムは、拍手喝采を操作する工夫が随所に施されていた。マイクを適切な場所に配置してアンプにつなぐ。そのアンプは演壇の後ろに隠れている。そのため、歓声と「ハイル・ヒトラー」のシュプレヒコールは、増幅されるだけでなく、聴衆に向けて再生されたのだ。熱狂を高めるたこうした仕掛けで、ヒトラーの声はラジオでドイツ全土に伝えられたばかりか、世界中に届けられた。ヒトラーが国民を率いる上で、声は極めて重要な役割を果たしたが、その耳障りな話し方は、独裁政治や民族虐殺と結びついたために、二度と支持は得られないだろう。
初対面のマナー 1
「初対面で早く打ち解けるには」
1.相手に好意と興味をもつ
「挨拶」の「挨」は心を開く、「拶」は歩み寄るという意味があります。まずは、自分から心を開き、相手に歩み寄るという気持ちを持つことと、その気持ちを行動で示す「挨拶」ができるかどうかが大事です。相手から歩み寄ってくるのを待つのではなく、自分から一歩前に出るのです。初対面は多かれ少なかれ誰でも緊張しています。その緊張の壁を一秒でも早く壊し、お互いが親近感を得られるよう努めてみましょう。
相手の目を見て、相手に聞こえるぐらいの声量で、なおかつ自然な笑顔で「挨拶」ができれば、あなた自身の印象もより良いものになるでしょう。
初対面であっても「お世話になったことがある人」「家族の知り合い」といった気持ちで接すれば、自然に相手に好意や興味がわきます。
2.名刺は情報の宝庫、話を広げる頼もしいツール
名刺には、会社名、名前、役職、所在地、連絡先、ロゴマークなど、数多くの情報があります。初対面の堅さを払拭したい場合は、それらの情報をもとに質問を投げかけてみましょう。「特徴のあるロゴマークですね」「ここのビルは、私も行ったことがあります」「○○様は、具体的にはどんなお仕事をされているのですか」など、会話のきっかけになるよう話を広げてみます。
「質問をする」ということは、「あなたに興味があります」という意志の表れでもあります。名刺一枚でどれだけ会話を発展させることができるか。日頃から、意識してみましょう。
3.タブーとされる話題
「政治」「宗教」の話題は避けましょう。意見が対立した場合にはお互いに気まずくなります。初対面で好感度の高い話題については次回につづきます。
特集 生き残る企業の「コ・クリエーション」戦略 1
ビジネスを成長させる「共同創造」とは何か
● ナイキはアップルと共同で、「Nike+(ナイキプラス)」という参加型プラットフォームを立ち上げた。これは靴につける高性能センサーとiPhoneなどに内蔵された無線受信機からなり、ジョギングのデータを記録、分析できる。また、Nike+のウェブ上で、コーチや有名アスリートと交流することもできる。●スターバックスは、「マイ・スターバックス・アイデア」というウェブサイトを立ち上げ、顧客から商品開発や店舗デザインなどのアイデアを集めて成功している。●このように参加型プラットフォームなどを構築することで、顧客や従業員などさまざまな関係者が強力しあい、製品やサービスを開発することを「コ・クリエーション」という。これからの時代、ビジネスは企業側の視点で行うだけでは不十分。顧客をはじめ、すべての関係者と「共同」でイノベーションを行う戦略を紹介したい。
(「生き残る企業のコ・クリエーション戦略」 徳間書店 ベンカト・ラマスワミ/フランシス・グイヤール共著)
1.成長の鍵は「コ・クリエーション」
近年、社会の情報化が進むにつれ、人々が企業に求める内容が劇的に変化している。顧客として、製品やサービスを提供する企業との関わりを深めたいと望むようになったのだ。
現代人は、ネットワークを介して結びついているため、製品やサービスを利用した経験を他の人と共有できる。そして、そうした事実を背景に、自分たちが利用する製品やサービスの価値をデザインする手助けをしたいと考えている。
だが現実には、多くの企業は製品やサービスを生み出すプロセスに、顧客など様々な関係者を参加させることはない。そのあげく、人々が何を望んでいるかを理解できずに四苦八苦しているのだ。このようなビジネスや社会の変化に対応するには「コ・クリエーション」が必要である。
「コ・クリエーション」とは、顧客や従業員など、企業の様々な関係者が協力し合い、システムや製品・サービスを開発することだ。
2.ナイキのジョギング体験戦略「Nike+」
2001年にアップルがiPodを発表して以来、白いイヤホンをつけてジョギングをする人が増えた。世界各地でそのような姿を目にしたナイキの経営幹部は、ジョギングとオーディオ機器とを別の形で結びつけることはできないかと考えた。
そして06年、ナイキはアップルと共同で、「Nike+(ナイキプラス)」を立ち上げた。Nike+は、靴につける高性能センサーと、iPod TouchまたはiPhoneに内蔵された無線受信機からなり、音楽を聴きながらジョギングをすると、センサーが走行時間や距離を計測し、そのデータを記録していく。
ジョギングが終わったら、Nike+のウェブサイトにアクセスし、ジョギングのデータをアップロードする。すると、そのデータをグラフにしたり、内容を分析したりできる。
また、ウェブサイトを通して、地元の「ナイキ・ランニンググラフ」に参加することも可能だ。ウェブ上で「コーチとトレーニングする」「有名アスリートと交流する」サービスもある。
ナイキ側は、このNike+により、ジョギング走者とふんだんに交流することが可能になった。
3.参加型プラットフォームのメリット
Nike+は、コ・クリエーションを生み出す「参加型プラットフォーム」の好例である。その効用を挙げると以下のようなものがある。●顧客の行動から直接学べる●どんどん新しいアイデアを生み出せる●すぐに新製品やサービスを試すことができる●顧客の要望がダイレクトに伝わる●コミュニティと深い信頼関係を構築できる。このように、Nike+はナイキとコミュニティとの対話を促進する。このネットワークを利用すれば、同社は常に新たな成長の機会を見つけ、それに従って行動できる。こうして新たなファンを得て、ジョギングへの参加意欲を高めていけば、売り上げも増すはずだ。実際、その効果は目覚ましいものであった。07年末時点でナイキは、米国のランニングシューズ市場の57%を占めるに至った。(前年は47%)
しかもナイキは、このプラットフォームを活用することで、リスクやコストも削減している。Nike+のスタートとともに、同社はテレビなど従来メディアによる宣伝を減らした。それにより07年末には、従来型の広告支出が55%も減った。
またNike+はアップルなどのパートナーに部分的に出資してもらっている。そのことによって、製品やサービスの開発のリスクを分散できる。
Nike+のプラットフォームはまた、そこに参加している顧客のリスクやコストも削減している。具体的にいえば次の通りである。●ジョギンググッズを購入する際、プラットフォーム上でそのグッズを利用した経験のある人と話ができるため、購入リスクを軽減できる。●トレーナーや経験豊富なジョガーと話ができるため、トレーニングのリスクを軽減できる。●ウェブ上でジョギング仲間やイベントを探せるため、調査コストを削減できる。
大勢で美味しく、グラスのマナー
1.グラスの位置は常に右
フォークやナイフの使い方を知っていても、案外知らない人が多いのが、グラスの位置。飲み物のグラスは皿の右側にあるものです。給仕人は席の右側からサービスするので、飲み物を注いでもらうときもその方が具合がいいのです。右手に持って飲んだら、また右側に戻します。勝手に位置を変えると他の人とグラスを間違えてしまうこともあります。
カトラリーの「ジグザグ持ち」がダメなように、グラスのジグザグ持ちも御法度です。
2.乾杯では音を立てない
「乾杯」は、景気よくグラスを合わせて音を立てるものと、思っている人も多いようですが、これは実はマナー違反です。グラスは本来、壊れやすいものなので、正式な場所では音を出すのはタブーです。グラスを胸の高さに軽く持ち上げれば十分です。周囲の人と笑顔をかわすなどの祝福の気持ちを表すようにするのがいいですね。
3.ワイングラスは脚「ステム」を持って
ワイングラスやシャンパングラスを支えている細い脚を「ステム」と言います。グラスを持つときはこの部分を持って飲みましょう。上部を持つと、適温にしたワインなどが体温でぬるくなったり、皮脂でグラスがくもったりします。また、ステムを持ってワインをぐるぐる回すのは、度が過ぎるとみっともないのでほどほどに。
4.ワインは客同士で注がない
和食では、客同士が酒を酌み交わす習慣がありますが、西洋料理では、客が酒を注ぐことはしません。また、自分でワインクーラーから取り出して注ぐなんてこともありません。よほどカジュアルな店でない限り、ボトルを扱うのはプロに任せましょう。グラスの中の飲み物がなくなったら店の人に合図をして声をかけましょう。
特集 人の5倍売る技術"新幹線カリスマ販売員"の秘訣
「ありがとうございました」よりも「ありがとうございます」
● 「お弁当に冷たいお飲物、お土産はいかがでございますか」このようなかけ声とともに新幹線を回るワゴン販売。新幹線を利用したことのある人なら誰でも一度は利用したことがあるだろう。ワゴン販売員の方には申し訳ないが、さして難しそうな仕事でもなく、特別に印象に残るような接客もなく、お客の要望に答えて商品を渡し、間違いなく金銭の授受をすれば、それで十分という気もする。しかし、山形新幹線で1日1往復半で50万円以上を売り上げた実績をもつカリスマ販売員がいる。これは他の販売員の約4.8倍の売り上げである。彼女は常に他の販売員の約3倍の売り上げを上げ続けてきたという。●一見、なんの工夫のしようもないワゴン販売だが、そこにはお客様を喜ばせたいという一心から生まれるシンプルで工夫に満ちた秘訣があるのだ。JR東日本の車内販売会社、日本レストランエンタプライズ山形営業支店で山形新幹線の車内で1998年から販売員として勤務する茂木久美子氏は、06年には最年少でチーフインストラクターに抜擢され、今や講演依頼が殺到し年間150回以上をこなしている。今回は人の5倍を売る技術を持つ、氏の秘訣を特集したい。(「人の5倍売る技術」講談社 茂木久美子著)
1、カリスマ販売員の物を売るための技術と心構え
(1)常にプラスαの何かをお客様に提供し、「お客様を喜ばせたい」という気持ちをもつ
(2)お客様に「○○をください」と言われたとき、「本当にそれでよろしいですか?」と尋ね、あえて悩ませる。そして、お客様と一緒にその目的に見合った最適の商品を考える
(3)クレーム対処の際は「何をするのか」ではなく、「どういう気持ちで対応するのか」が重要
(4)「ありがとうございました」ではなく、「ありがとうございます。また来ますね」という。それにより、お客様との関係はこれで終わりではない、という気持ちをみせる
(5)お客様の興味をひくため、自作のイベントを作る。たとえばワインを販売する際、「ワインをお持ちしました。今日はワイン列車です」と言えば、お客様は盛り上がる
(6)お客様のことをいろいろと想像する。それが、お客様1人1人に合った「オーダーメイド」の接客につながる
(7)接客をしながらでも、目や耳を使って役立つ情報を収集し、売り方を変えたり時間の効率をはかったりする
(8)毎日、仕事が終わった後に、1日の出来事を振り返り「一人反省会」を行う
(9)寝る前に「明日、自分はどのように仕事をしているか」を具体的に想像する、そうすることで、仕事における迷いがなくなり、より明日が楽しみになる。
2、ただのコーヒーではなく、「淹れたてのコーヒー」
新幹線の販売員の仕事は、物を売る仕事だが、茂木久美子氏はいつも「プラスアルファ」の何かを提供したいと思っている。たとえば、「コーヒーください」「はい、かしこまりました」という通常のやりとりに、ちょっと一言付け加えるだけで、相手の気持ちは変化する。「はい、かしこまりました。淹れたてのコーヒーでございます。お客様、新幹線では車内でコーヒーを淹れているんですよ」。もし自分がこう言われたらどう思うか。「淹れたてなら美味しいだろう」「そんなこと知らなかった」。ただ物をうるだけなら、自動販売機でもできる。しかし、人間だからこそできるサービスというものがあり、そこにこそ売り上げをアップさせる秘密が隠されている。
3、お客様をあえて「悩ませる」
たとえば、山形から東京へ変える人に「お土産が欲しい」と言われた場合、普通は「はい、ミルクケーキやふうき豆、ラスクもあります」「じゃあ、このふうき豆をください」となる。
だが、氏はあえて「本当にふうき豆でよろしいですか?」と言い、「どういった方に持っていかれるんですか?」と尋ねる。「会社にもっていく」という答えであれば、「ふうき豆は個別包装されていないので、小分けになっているミルクケーキのほうがいいかもしれません」と伝えるのだ。
お客側でみれば、小さな驚きとともに「一緒に考えてくれた」という喜びや安心を感じることができ、本当に納得して「買ってよかった」と思うわけである。
4、買ってもらって終わりではない
氏には意識して使い分けている言葉がある。たとえば「ありがとうございました」と「ありがとうございます」だ。「ありがとうございました」という言葉はあまり使わないようにしているというのだ。代金のやりとりをしたあと、「ありがとうございました」というと、そこで「おしまい」といった気持ちになってしまう。
氏は「ありがとうございます」の後に、「また来ますね」というようにしているのだそうだ。「お客様と私の関係は、これで終わりじゃないですよ」という意思表示を、言葉遣いから見せるのだ。このような言葉遣いのちょっとした差で、お客様から声をかけられる頻度は大きく変わるという。
その他「お客様のことを想像して売る」「一人反省会で復習」など、ユニークな秘訣は次回に続く。
結婚披露宴の心得 3
1.披露宴で受付を頼まれたら・・・
受付は、新郎新婦または両家に代わって勤めているという気持ちを忘れないようにしましょう。事前に、新郎新婦とよく打ち合わせをして下記を確認しておくと良いでしょう。(1)出席者の人数(2)どんな人が出席されるのか(会社関係、親族、友人)(3)当日の会場入りの時間(3)受付として準備するもの(4)預かったお祝いや祝電などは、いつ誰に渡せばいいのか(5)その他、注意事項など。
当日の新郎新婦は多忙のため細かい確認はできません。何か不明なことがあった場合に、誰に相談すればいいのかなども、聞いておくと当日慌てなくてすみます。
受付では「本日はおめでとうございます」と笑顔で一礼して、来場者をお迎えします。
2.披露宴で祝辞、スピーチを頼まれたら・・・
おめでたいことですので、よほどのことがない限り断るわけにはいけません。披露宴での挨拶やスピーチは、3分程度、長くても5分までです。400字詰め原稿用紙1枚がほぼ1分ですので、必ず原稿用紙に書いて、声を出して読み、時間を確認してみましょう。長いスピーチは嫌われることはあっても好まれることはないので要注意です。
新郎新婦、両家へのお祝いの言葉を述べて、新郎または新婦に関わるエピーソードを通して、人柄や人間関係などを紹介できるのがいいでしょう。挨拶の結び(終わり)は、二人の幸せを願う言葉で締めます。原稿を見ながらスピーチしても、見ないでスピーチしてもどちらでもかまいません。ただ、ゆっくりと顔を上げて明るく話すことが肝要です。会場にいる人達は、「何を喋るか」よりも「どんな風に喋るか」を見ています。上手に喋るよりも、気持ちが伝わる挨拶・スピーチを心がけましょう。
※忌み言葉;別れる、終わる、切る、離れる、破れる、壊れる、冷める、帰る、返す、戻る、去る、失う、飽きる、落ちる、色あせる、重ね言葉(重ね重ね、返す返す、たびたび、またまた、しばしば、色々など)
特集 ビジネスマンの軽装ルール
欲しいのは、涼感と礼節「スーパークールビズ」
● 「あの人、スーツ姿はかっこいいのに、私服になるとがっかり…」なんて話、女性達の間では時々耳にする、男性のオシャレ度についての井戸端会議。しかし、2005年に始まった「クールビズ」以降は、これは井戸端会議の話だけではなくなった。●「クールビズ」よりも、今年はさらにカジュアル度が増した「スーパークールビズ」を環境省は提唱している。「かりゆし、ポロシャツ、アロハ、チノパン、スニーカーが可。Tシャツ、ジーパン、サンダルも節度ある着用に限り可」という基準で今年も6月1日から軽装運動が始まり、デパートなどでは父の日のギフトと兼ねて、激しい商戦が繰り広げられている。●たしかに、着れば誰でもそれなりに"さまになる"スーツと違い、選択肢の広がるカジュアルな服装は、常識とセンスを問われる手強い代物。しかし、これから先、時代が「節電」を定着させるなら、この「軽装ブーム」は、単なるブームでは終わらないビジネス常識となるだろう。●基本型をどこまで崩してもいいものなのか戸惑う声も少なくない。今回は「スーパークールビズ」について特集したい。(参考図資料;日経流通新聞)
1.清潔であること、においがでないこと
礼節を損なわない程度の軽装の原則は、
一、清潔であること。二、性的な印象を抑える。三、においがでない。だという。
丈の短いパンツや襟のボタンの開けすぎは、体毛をことさら見せ、性的な印象が強くなる。ビジネスマナーの観点からも、脚を組んだときにチラと見える"すね毛"や、ワイシャツの胸元からのぞく"胸毛"はタブーとされているほどだ(体毛は、実際に女性から見ても非常に感じが悪い)。軽装になるときには特に注意したい。
サンダルはにおいの観点に抵触する。軽装になっても足下(ソックス、靴)にも気を配り、服装とバランスのとれたもので、ラフになりすぎないビジネスライクなものを選ぶべきである。
営業職は体型に合った紺のジャケットが便利。スラックスやインナー(ジャケットの中に着るもの)次第で、改まった印象にもなるし適度に崩したかんじにもなるからだ。紺のジャケットは組み合わせ次第でオンにもオフにも使えるので、改まった場に備え、ニットタイなどを常備するとよい。
グローバルに通用するビジネスカジュアルの基準は非常に厳しく、紺のジャケットに襟の立ったシャツ、グレーのウールズボンが基本形とされ、ネクタイも要求される。綿のパンツはカジュアルな印象が強すぎるので要注意。
2.「スーパークールビズ」の要点 注目すべきは素材
ファッションディレクターの青柳光則氏は、職種にかかわらず、「きちんとした雰囲気を保ちながら涼感を出す機能性素材に目を向けるのが有効」と指摘。形はしっかりしたジャケットだが、生地は薄いといった商品だ。
もっとも涼感を優先する視点からの理想のスタイルは少し違い、横浜国立大学 被服環境学 薩本弥生教授は「アロハシャツ、かりゆしウエアが合理的」と主張する。首もとを開けてすそを出し、体に沿って発生する上昇気流の出入り口を確保すれば空気の対流がおき、熱や湿気を効果的に排出できるからだ。薩本教授の実験では、ネクタイなしでシャツのすそを出すと、ネクタイを締めてシャツのすそを入れた場合に比べ、熱の逃げやすさを示す熱通過率は8〜9割も向上し放熱効果は高い。
通風確保のほか、首もとや腹回りを緩めることで、体をリラックスさせる副交感神経が優位になり間接的に暑さを緩和する効果があるという。
また、スタイルを崩さす暑さ対策にもなるのは肌着選びである。汗をびっしょりかいて体に水の膜ができると汗が蒸発しなくなり熱がこもる。吸水速乾性の高い素材は汗を外に逃がし、におい対策にもなる。
3.しかし、職場の現状は?
とはいえ、日本の職場に共通する横並び意識と、突出した存在になることを嫌う文化が「スーパークールビズ」のあり方を難しくしているのも事実。
ポロシャツとチノパンの着用を可にした新日鉄住金ステンレスは4月中に社員に通知したが、着用者は数人にとどまる。気温が上がっていなかったせいだけではなく、取引先の目が気になるのだ。
特に営業職の場合、内勤社員が「会社としてポロシャツを推奨してくれて取り入れやすい」と乗り気なのに対し、「お客様の前に出る機会が多いので今年もノータイ、ノージャケットまで」と慎重。ただ、取引先によっては「国を挙げて節電に取り組んでいるのに、なぜもっとカジュアルにしないのか」と怒られることもあり、頭を抱えているという。
職場、職種、業界、年齢などにより、「スーパークールビズ」への意識と、取り組みはさまざまな模様。ただ、これから先も「節電」は続くであろうし、世界的な気象の変化により夏の猛暑も避けられそうにない。「スーパークールビズ」は、その呼び名が新鮮に感じなくなるほど、年々我々の生活に定着していくに違いない。機能的で調和のある装い、仕事同様にセンスが問われる夏である。
結婚披露宴の心得 2
1.披露宴会場での振る舞い
受付の人には、「本日はおめでとうございます」などと挨拶をし、祝い金を持参している場合は、袱紗から取り出し金子包みの正面が相手に向くようにして渡します。
新郎新婦が会場入り口で迎えてくださる場合は、「おめでとうございます」と心を込めて挨拶をして席に着きます。親しい間柄でも、ここで長話をするのはよろしくありません。色々な立場の人が多く集まるセレモニーですので、場をわきまえた挨拶、会話、行動をとりましょう。
同じテーブルに知らない人が同席する場合は、自分から挨拶をし、自己紹介をします。お互いに新郎新婦に縁があって同席したのです。楽しい雰囲気で過ごせるように心がけましょう。
また、友人同士で同席する場合も慎みの気持ちを忘れず振る舞うことが大切です。あくまでも、新郎新婦のお祝いの席です。特定の人だけで盛り上がったり、大声ではしゃいだりして周囲の人に不快感を与えるような行為は避けたいものです。
2.退席する際の心得
披露宴に限らず、パーティなどでも、退席する際には当日配られた席札やメニューは持ち帰ります。また、同じテーブルの人と「本日は楽しいひとときをご一緒できて光栄でした。誠にありがとうございました」などと挨拶を交わすことも大切な心得です。
新郎新婦には、「本日はお招きいただきありがとうございました」の一言を忘れずに。
また、退席の際には持ち物の確認を忘れないように。引き出物などがある場合は、来たときよりも手荷物が増えています。他の人のものを間違えて持ち帰ったり、忘れ物をしたりすると、あとあと新郎新婦に迷惑がかかる場合もありますので、注意したいものです。(次回は披露宴で挨拶やスピーチを依頼された場合について特集します)
特集 「言葉でたたかう技術 勝つための弁論術」
日本的美質と雄弁力 1
● ギリシャの昔から、欧州では討論によって物事が決められてきた。そして、討論に勝つためには、論理的に構成された説得力が必要であった。●哲学者アリストテレスによれば、言論による説得には、次の3種類がある。(1)語り手が信頼に足る人物だと思わせる(2)説得する相手をよく知り、相手の心を動かす(3)真実でなくても、真実らしく見える証拠を使って説得する●日本人の美点には、正直さ、謙虚さ、思いやりなどがある。これらは、友好的な雰囲気の場では美点として生きるが、相手と対立しているような場では弱さや欠点となる。正直で謙虚だけれど、自己主張が苦手。そんな日本人に向け"勝つための弁論術"を、加藤恭子著「言葉でたたかう技術」より、著者の留学体験をもとに2回にわたり伝授する。(参考図書「言葉でたたかう技術」加藤恭子著 文藝春秋)
1.アリストテレスの弁論術[言論による説得は3つの種類がある]
1955年、米国に留学していた著者(加藤恭子氏)は、修士論文のための個人指導を受け、まず小論文を書くように指示されたが、「いい加減に書いたとしか思えない」と酷評を受ける。一生懸命書いたのになぜ?と悩む著者に教授が勧めたのが、哲学者アリストテレスの「弁論術」であった。
ギリシャの昔から、欧州では討論で物事が決められて来た。そして、討論に勝つには、論理的に構成された説得力のある弁論術が必要であった。では、弁論術とは何か。アリストテレスは「弁論術とは、どんな場合にでも使用可能な説得の手段を見つける能力である」という。さらに、「言論による説得には3つの種類がある。第1は語り手の性格に依存し、第2は聞き手の心を動かすことに、第3は証明または証明らしく見せる言論そのものに依存する」という。
第1の「語り手の性格に依存し」は、語り手が信頼にたる人物だと思わせる、ということ。
第2は、相手をよく知り、相手の心を動かすことを目的としている、ということ。ここまではよい。問題は、第3である。「証明または証明らしく見せる言論…」真実の証明が見つからなくても、真実らしく見えるものを持ってくればいい、それを証明として用いて相手を説得せよ、と言っているのである。真実のみをしゃべるようにと教えられてきた日本人には、少なからず抵抗のある説であるが、著者はそれを実行に移す機会があれば試してみようと考えたのである。
2.アリストテレスの弁論術[原爆は日本人のためにも落としたのよ]
例えば、米国人の考えで、どうしても受け入れられないものの一つに原爆がある。
「原爆は日本人のためにも落とした」と彼らは言う。あのまま日本が抗戦を続けていれば、より多くの日本人が死んだ。それを原爆が防いだ、と。心の中で反発を覚えるものの、それを言葉にできなかった著者は、あるとき講演会で話す機会があった。講演終了後の質問で、50代の女性が言ったのは、「原爆は日本人のためにも…」という文言だった。
著者は、アリストテレスが閃いた。そして、「私はそうは思いません」と、多人数を前に初めて反対意見を述べた。「なぜ?」と会場から質問が飛んだ。自説の正当性を主張し証明しなければならない著者は続いてこう述べた。
「日本を降伏させるのが目的であるなら、原爆投下は必要なかったと思います。なぜなら、その1ヶ月前に日本はソ連に降伏斡旋を頼んでいましたし、日本には降伏する意志があったからです」。すると、「ではあなたは、米国がなぜ原爆を落としたと考えているのですか」と質問された。「効果を実験したかったのだと思います」
著者はずっと心の中だけで考えていたことを初めて口にした。叫び声が起こった。あの50代の女性だ。「自分の言ってることの意味がわかりますか?あなたは、私たちが人をどれだけ殺せるか実験するために原爆を落としたと言っているのですよ」。
会場は騒然となったが、次のように著者は言った。「あなたたちが、とは言ってません。(中略)私は米国軍部の決定を指摘しているのです」
聴衆が"we"と言うとき、政府や軍も含んでいる。だが、著者はその場の人たちと軍部をわざと分けた。会場はしんとなった。別の女性が口を開いた。「それはあなた個人の意見ですか?それとも日本では多くの人がそう考えているのですか?」
もし、日本人の"正直という美点"に従うならば、「個人の意見です」と著者は答えるべきだったが、著者は1953年に日本を離れて以降、日本の新聞を手に入れる財力も時間もなかった。だから、原爆に関する日本人の当時の反応は、実は知らない。だが、発言に力を与えるために、「日本では、多くの人がこう考えています」と言いきった。
中年男性の冷静な声が会場に響いた。「これは硬貨の表と裏のようなものだ。表ばかり見て来た私たちは気づかなかった。多くの日本人が違う意見である現実を、私たちは直視しなければならない。裏面を示してくれた日本人留学生の勇気に感謝したいと思う」。大きな拍手が起こった。反論とフェアーな反応を、著者が自分自身で初めて経験した瞬間であった。(次回につづく)
ことばづかいNG編
肝心なときにこそ、普段通りの言葉がでてくるもの。あらたまった言葉や、言いまわしが苦手という人は、日頃の言葉遣いを見直してみることをおすすめします。流行語や若者言葉を"かっこいい"と思って、安易に使うのも問題です。仲間内では楽しい言葉でも、ビジネスには不向きというものもあります。日頃から、自分自身の言葉や、周囲の人の言葉、新聞や本で出会う言葉などを意識してみると言葉のセンスが磨かれます。
今回はビジネスでは使えないワースト言葉を挙げてみたいと思います。
1.ら抜き言葉
[来れない/食べれない/見れない/出れない/開けれない/閉じれない/抜けれない]
本来は、[来られない/食べられない/見られない]というように「ら」が入ります。動詞の不可能を表す「られない」の「ら」が抜ける現象は、幼稚でくだけた印象にもなります。分かりづらいときは、「見ることができない」「出ることができない」という言い回しにすれば、間違えることもないし丁寧な感じを与えます。
2.語尾上げ、語尾伸ばし
[先日?電話が?あった?△△会社の?○○さん?10時に?来られる?ということ?]
[失礼しま〜す/おはようございま〜す/なのでぇ〜/ですけどぉ〜]
文節ごとに、ひとつひとつ確認するように語尾を上げる人がいますが、大変聞き苦しいものです。また、語尾を伸ばすのも、親しみを込めた表現だと勘違いしている人も見受けられます。いずれも本人は気づいていないことが多いので、周囲の人が気づいたときに指摘をするほかは直す方法はありません。語尾上げも、語尾伸ばしも、ビジネスマナーでは、代表的なNGとされています。
3.そのほか
[はぁ〜?/ヤバイ/マジで/ムカつく/ありえない/超〜/〜っすか/〜って感じ]
特集 「大切なものは、目に見えない」
昔、子供だった大人のあなたへ 早わかり「星の王子さま」 2
● 「星の王子さま」といえば、あのマリリン・モンローも愛読していたという。その証拠に、彼女の二度目の結婚相手であるジョー・ディマジオ(ニューヨーク・ヤンキースで56試合連続安打を記録したアメリカ大リーグの記録に残る当時のスーパースター)に、置物をプレゼントしたとき、その裏に「星の王子さま」から引用したメッセージを刻んだという逸話が残っている。●そのメッセージとは、「あなたの心だけが真実を見るのであって、目に見えるものは大切な事ではありません」というもの。その背景には、世界中の男性を魅了する大女優であっても、その実態は一人の男性を愛する繊細で傷つきやすいただの女性である自分自身をわかってほしいという切実な願いがあったのだ。しかし、大リーグの英雄で野球以外には、テレビとギャンブルにしか興味がないジョーには伝わらなかった。「この意味のわからない言葉はなに?」と言ったという。●結局、二人の結婚生活はわずか9ヶ月で幕を閉じるのだが、サン=テグジュペリの小説「星の王子さま」は、未だ世界中の子供達に読まれ続け、全国の図書館には必ず一冊は置いてあるといってもいい。前回に続き、「星の王子さま」を特集する。(フリー百科事典「ウィキペディア」、岩波書店 サン=テグジュペリ作「星の王子さま」、だいわ文庫 齋藤孝著「サン=テグジュペリ 星の言葉」参考)
1.操縦士「ぼく」と「王子」の別れのシーン
操縦士の「ぼく」は、サハラ砂漠に不時着してから、日々飛行機を修理しようと悪戦苦闘するが、奇跡的に飛行機が直り、「ぼく」は王子に報せに行く。すると、王子はヘビと話をしていた。王子が砂漠にやってきたのは、1年前と星の配置が全く同じときに、ヘビに噛まれることで、身体を置いて自分の小惑星に帰るためだったのだ。別れを悲しむ「ぼく」に王子はいう。「自分は自分の星に帰るのだから、きみは夜空を見上げて、その星のどれかの上で自分が笑っていると想像すれば良い。そうすれば、君は星全部が笑っているように見えるはずだから」と。やがて王子は、ヘビに噛まれて砂漠に倒れた。
翌日、王子の身体は跡形もなくなっていた。「ぼく」は王子が自分の星に帰れたのだと考え、夜空を見上げる。王子が笑っているのだろうと考えるときには、夜空は笑顔で満ちているように見えるのだが、万一王子が悲しんでいたらと考えると、そのうちのひとつに王子がいるであろういくつもの星々がみな、涙でいっぱいになっているかのように、「ぼく」には見えるのであった。
2.訳者 内藤濯氏のあとがきから
この高度の童話を書いた人は、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリというフランスの作家です。1900年6月29日、リオンに生まれ、1944年7月31日、フランスの飛行中隊長として、コルシカ島の沖合を偵察しているうちに姿を消したといわれている人です。
20歳の頃からはやくも、航空に異常な興味をもちはじめ、何度となく危地におちいったのでしたが、そのたびごとに益々情熱を燃やし続け、作家としての地歩もまた、たしかなものになっていきました。「南方郵便機」「夜間飛行」「人間の土地」など、それらの作品の基調は積雲と積雲との間を縫って"知られた世界と不可知な世界との国境"を感じた人の呼吸で、はるかな上空から見下ろした人間の土地の実相です。
「星の王子さま」は、はしがきに"親友レオン・ウェルトに捧げる"とありますが、当時の凄まじい戦争からの避場(さけば)を見いだそうとしてこの小説が書かれています。
3.パワーを持つ言葉(サン=テグジュペリ 星の言葉 齋藤孝著)
●困難にぶつかったとき<人間は、障害にむきあったときに自らを発見するのだ>
● 未熟な自分を感じたら<努めなければならないのは、自分を完成させることだ>
● 気合いを入れたい日<人間は精神に支配されているのだ>
● うまくいかないことって<やり方もたしかに悪いが、むしろ物事を見る眼力が欠けているのだ>
● 明日が不安なとき<いったん出来事のうずの中に身を置いてしまえば、人はおびえないものだ。人を不安にさせるのは未知のことだけだ>
● やりがいを感じない?<仕事だからやらなければいけないこと。それが、世界を変え、充実させる>
● 満たされない?<探しているものは、たった一輪のバラやほんの少しの水の中にも見つかるはずだ>
● 逃げたくなっても<脱出はどこへも人を導くことはない>
挨拶編
「挨拶」の"挨"は心を開く、"拶"は歩み寄るという意味。心を開いて歩み寄るのが挨拶。心を閉ざしたまま儀礼的に頭だけを下げる、または気持ちのこもらない言葉だけを投げかけるというのは、挨拶ではありません。
されど、心が感じられる挨拶というのは、ちょっとしたコツがあります。気持ちのいい挨拶で、生き生きとした人間関係を築いていきたいものですね。
1.言葉と動作は別ものと考える「語先後礼」(ごせんごれい)
たとえば、「おはようございます」という挨拶。何気なく挨拶をすると、つい言葉と同時に頭を下げてしまいます。「おはよう、、、」と言い始めると同時に、お辞儀をするというパターンです。
これは間違いではありませんが、言葉がはっきり伝わりにくい、声がこもってしまうなどのダメージがあります。また、アイコンタクトをとりづらい状況になります。
気持ちの伝わる挨拶は、まず、しっかり相手の"目"を見ることです。このとき、漠然と見るのではなく、「目の黒いところを見る」ようにすると、目ヂカラが感じられます。
そして、「おはようございます」と、最後まで言い切ってから頭を下げます。つまり、言葉と動きを別々にするのです。そうすると、まったく印象が異なり、メリハリのある印象的な挨拶になるのです。これを「語先後礼」(ごせんごれい)と言います。
頭を下げるときには、ひょこっと頭だけを下げるのではなく、腰〜胸〜頭の順で前に倒していくようにします。頭を下げるときはさっと下げて、ゆっくり上げてもう一度相手の目をみるようにするといいでしょう。お辞儀の最初と最後とはアイコンタクトです。
2.会釈はずっと顔を見たままで!
お辞儀の角度は基本的に、最敬礼45度、敬礼30度、会釈15度です。日頃最も頻度の高い会釈は、少し身体を前に倒すだけでいいのです。ただし、相手の顔を見たままで挨拶の言葉を投げかけましょう。目線を床に落とすと猫背になりがちなので要注意。背筋を伸ばして笑顔で、相手のハートに言葉をかける気持ちで挨拶ができるといいですね。
特集 「大切なものは、目に見えない」
昔、子供だった大人のあなたへ 早わかり「星の王子さま」1
●知っているようで意外に知らない人が多い、不朽の名作「星の王子さま」。それは、全世界で8000万部、日本では600万部が売られているといわれる1943年の作品である。フランス人飛行士兼小説家であるサン=テグジュペリのその小説は、体裁は児童文学ながら、中身は、子供の心を失ってしまった大人に向けての示唆に富んでいる。●「大切なものは、目に見えない」を始めとした作品中の言葉は、生命とは、愛とはといった人生の重要な問題に答える指針として広く知られている。また、初版以来、作者自身による挿絵が使われ、素朴な主人公や脇役の姿は作品とともに今もなお世界中の人達に愛されている。●今、日本では311の東日本大震災により、人々の価値観が大きく変化している。本当に大切なものとは何なのか、生きる上で力となるものは何なのか、国家も地方も企業も人も模索しながら生きている。今だからこそ、曇りのない目で物事を見つめ、晴れやかな気持ちで日々を過ごすことの重要性を訴えたこの作品が心に染みるのではないか。2回にわたり「星の王子さま」と、作者サン=テグジュペリを特集したい。
(フリー百科事典「ウィキペディア」参考)
※ひとこと!僭越ながら、私が最も感銘を受けたのは「王子」と、王子が世話をする「バラ」とのやりとり。「バラ」はわがままで、時々「王子」を困らせる。あるとき、けんかして「王子」は「バラ」を残し、旅に出てしまう。しかしその後「王子」は、自分が「バラ」をとても愛していたことに気づく。「愛する」とはどういうことなのか、「出会う」ことの意味は何?など、「星の王子さま」には、胸にズーンとくるメッセージが宝石のように散らばっています。正直、子供のころ読んだときには、そこまでわからなかった。大人になった今だからこそ、作者の言わんとするところが理解できるような気がするのです。ちなみに、作者サン=テグジュペリは、この作品を書いた直後に操縦士として旅立ったまま行方不明となりました。
1.操縦士「ぼく」が、「王子」に出会う
操縦士の「ぼく」は、サハラ砂漠に不時着する。1週間分の水しかなく、周囲1000マイル以内に誰もいないであろう孤独で不安な夜を過ごした「ぼく」は、翌日、1人の少年と出会う。話すうちに、「ぼく」は少年が小惑星からやってきた「王子」であることを知る。
王子の星は家ほどの大きさで、そこには3つの火山と、根を張って割いてしまう程巨大になるバオバブの芽と、よその星からやってきた種から咲いた1輪のバラの花があった。王子はバラの花を美しいと思い、大切に世話していた。しかし、ある日バラの花とけんかしたことをきっかけに、他の星の世界を見に行くために旅に出る。
2.旅で出会うへんな大人たち
王子は他の小惑星をいくつか訪れるが、そこで出会うのは
(1) 自分の体面を保つことにこだわる王
(2) 賞賛の言葉しか耳に入らない自惚れ屋
(3) 酒を飲む事を恥じ、それを忘れるために酒を飲む呑み助
(4) 夜空の星の所有権を主張し、その数の勘定に日々を費やす実業家
(5) 1分に1回自転するため、1分ごとにガス灯の点火や消火を行っている点灯夫
(6) 自分の机を離れたこともないという地理学者
といった、どこかへんな大人ばかり。(数字は「○番目の星」として登場する順番)。6番目の星にいた地理学者の勧めを受けて、王子は7番目の星、地球へと向かう。
3.地球での出会い「ヘビ」「キツネ」「ぼく」・・・「仲良くなる」とは
地球の砂漠に降り立った王子は、まずヘビに出会う。その後、王子は高い火山を見、数千本のバラの群生に出会う。自分の星を愛し、自分の小惑星の火山とバラの花を愛おしく、特別に思っていた王子は、自分の星のものよりずっと高い山、自分の星のバラよりずっとたくさんのバラを見つけて、自分の愛した小惑星、火山、バラはありふれた、つまらないものであったのかと思い、泣く。
泣いているところに、キツネが現れる。悲しさを紛らわせるために遊んで欲しいと頼む王子に、仲良くならないと遊べない、とキツネは言う。キツネによれば、「仲良くなる」とは、あるものを他と同じようなものとは違う特別なものだと考えること、あるものに対して他よりもずっと時間をかけ、何かを見るにつけそれをよすがに思い出すようになることだという。これを聞いた王子は、いくらほかにたくさんのバラがあろうとも、自分が美しいと思い精一杯の世話をしたバラは愛おしく、自分にとって一番のバラなのだと悟る。
4.別れ・・・「別れが悲しいなら、仲良くならない方がよかった?」
キツネと別れるときになり、王子は自分がキツネと「仲良く」なっていたことに気づく。別れの悲しさを前に「相手を悲しくさせるのなら、仲良くなんかならなければ良かった」と思う王子に、「黄色く色づく麦畑を見て、王子の美しい金髪を思い出せるなら、仲良くなった事は決して無駄なこと、悪いことではなかった」とキツネは答える。別れ際、王子は「大切なものは、目に見えない」という「秘密」をキツネから教えられる。
日々飛行機を修理しようと悪戦苦闘するかたわら、こんな話を王子から聞いていた「ぼく」は、ついに蓄えの水が底をつき、途方に暮れる。「井戸を探しに行こう」という王子に、砂漠の中で見つかるわけはないと思いながらついていった「ぼく」は、本当に井戸を発見する。王子と一緒に水を飲みながら、「ぼく」は王子から、明日で王子が地球に来て1年になると教えられる。王子はその場に残り、「ぼく」は飛行機の修理をするために戻っていった。翌日、奇跡的に飛行機が直り、「ぼく」は王子に報せに行く。すると、王子はヘビと話をしていた。王子が砂漠にやってきたのは、1年前と星の配置が全く同じときに、ヘビに噛まれることで、身体を置いて自分の小惑星に帰るためだったのだ。別れを悲しむ「ぼく」に、王子は語る・・・
立食パーティに参加する 2
前回につづき、立食パーティについて。周囲への気遣いができるスマートな立ち居振る舞いは誰が見ても好感度が高いものです。基本を知って、大いにパーティを楽しみたいですね。
1.皿に盛った食事をいただくときに
メインテーブルには、普通の料理のコースと同じような種類の料理が並べられています。それを取り分けるときに使う皿は、一度に一枚が原則。二枚もの皿にあれもこれもはマナー違反です。自分が食べきれる分だけをとるようにします。
料理を取り終えたら、後ろで待っている人の邪魔にならないよう、すみやかにメインテーブルから離れます。いくら立食スタイルといっても、離れながらすぐ料理に箸をつけるのは見苦しいのでタブーです。食べるときは立ち止まって。これは当然のことです。
メインテーブルから料理を取り分けるときは、取り分け用のサーバーを使いますが、左手に取り皿を持ったままでうまくサーバーが使えないときは、無理をせずに取り皿をテーブルの上においてから、両手でサーバーを使うようにします。また、一皿に冷たい料理と温かい料理を一緒に盛らないように気をつけます。
最後に、デザートとコーヒーへという順序になりますが、このとき、カップはソーサーごと手に持つのがマナーです。
2.食べ終わった皿は?
当然のことですが、パーティの目的は飲食ではなく、あくまでも交流です。立食の場合は、自由に飲んだり食べたりできるので、つい、飲食のほうに目が向きがちになるので気をつけたいものです。
メインテーブルでは、並べられた料理はどれを取ろうかといつまでもその前で迷っているのは迷惑です。また、皿に食べ物をのせたままでの挨拶やおしゃべりもNG。友人のぶんまで取ってあげるというのもタブーです。食べ終わったあと、汚れた皿をメインテーブルに置くのも、もちろんタブー。
食べ残しは、サイドテーブルに置いて紙ナプキンをかけておくと、「食べ終わり」のサインになり、係が下げてくれますが、基本的には、一枚の皿には自分が食べきれる分だけを盛ります。料理を山盛りに取って、食べきれずに残すのは、最低のマナーです。
パーティ会場では大勢の人が動き回っています。急いで振り向いたりするとぶつかって、料理や飲み物をこぼし、服を汚すおそれもあるので、周囲の人の動きには注意をいましょう。また、仲間内だけで盛り上がり、ずっと一カ所に固まり大声で話し続けるのもみっともないので避けたいですね。
特集 最近感動していない人は要注意!若返り仕事習慣のススメ 2
● 若返りには、感情力を上げることと、若返りに有効なホルモンを出しやすくすることが重要である。若返りのステップとしては1、感情力アップ 2、若返りホルモンの分泌促進 3、ストレスの軽減が挙げられる。これらが習慣化されると、行動力が上がり、その結果身体の若返りとともに、経済的な豊かさ・豊かな人間関係・自分の時間という、幸せの3大要素が手に入る。●良い人間関係を生み出し、職場環境も改善され、仕事も私生活も麗しくなるのは、誰にとっても理想のライフスタイルである。影響力のある経営者(リーダー)が、アンチエイジング習慣を身につけることは、周辺の人達にいい影響を及ぼし、周囲を改善していくことにもつながる。今日からすぐにアンチエイジング習慣を実行し、成功と幸せを手にいれよう。前回に続いて、アンチエイジングの具体的な習慣について特集する。(「デキる男のアンチエイジング仕事習慣」 稲川龍男著 日経BP企画)
1.体重と売り上げ目標を毎日チェック 男性ホルモンが集中力を高める
男性は数値目標や締め切りなどの明確な設定をした方が、確実に若返り効果が期待できる。しくみは次の通り。設定された目標への達成意欲に燃えて"やる気ホルモン"ドーパミンが分泌される。続いて、若返り効果のある男性ホルモン"テストステロン"の分泌が活性化される。"テストステロン"は、獲物の捕獲本能や闘争本能といった生存競争に打ち勝つための原始的なホルモンで、男性をより男らしく、若々しくしてくれる若返りホルモンの一つ。このホルモンには集中力を高める働きもある。
目標設定がされた途端、"テストステロン"は活性をはじめ、その目標に向かって集中して仕事ができるようになる。それは仕事の成果にもつながる。
男性ホルモンの分泌が増えるということは、性的能力もアップするので、異性の関心を引くため、洋服やヘアスタイルなどの身なりにも気を配るようになる。それは若返り効果をもたらし、異性にもモテるようになる。それはアンチエイジング最大の極意である。
目標設定は、まず現状把握と記録から。1週間、1ヶ月、3ヶ月の期間を設定し、ストレスを感じることなく段階的に目標をクリアにするのが良い。漠然と目標に向かうよりも記録することで達成意欲がかきたてられ、達成したときの喜びホルモン"βエンドルフィン"が出やすくなり、気持ちよくなるので、目標達成が癖になるのだ。
2.下着の素材にこだわる アンダーストレス(意識しないストレス)に注意
ストレスというと、職場の人間関係や仕事上のトラブルなどが思い浮かぶが、実際はそれだけではない。ゴワゴワ、ガサガサした肌触りの悪い下着やタオルを使っていると、それがストレスになる。意識するほどの不快感でなくとも、肌がストレスを感じてしまう。これがアンダーストレス(意識していないストレス)の一種である。
このアンダーストレスを受けないために、肌に直接触れる下着、タオル、シーツ、布団カバーなどのリネン類は、肌触りのいいものを使いたい。
肌に心地いいものはリラクゼーション効果がある。「心地いい、気持ちいい」と感じることは、セトロニンの分泌を促進させる。若返りを意識するなら、肌に直接触れるものにこだわるべし、、、である。特に下着は24時間身につけるものなので、デザイン性よりも素材、肌触りで選びたい。
下着にこだわることは自分の身体にこだわることにもつながる。いい下着を身に着けていれば、それだけでセルフエスティーム(自尊感情)も高まり、免疫力アップにつながり、結局若返りにつながるのである。老化を防ぐコツはこうした日常的な心地よさの積み重ねにあることを意識したい。
3.「ライブな体験」 生の感覚を取り戻す
今はメディアが発達しているため、居ながらにして何でも体験できる時代である。しかし、ライブな体験というのはあえてその便利さに背を向けて、自らの生の感覚を取り戻す手段である。こうした生の体験で大切なのは、興味のあることをやってみたいと思ったときに出来るだけ早く行動する習慣をつけることである。
ライブの体験には、若返りに大きな効果がある。一つには、ライブの体験は、目で見る、触れる、耳から聞こえる、香りを嗅ぐなど、様々な感覚を使うので脳の前頭前野を大いに刺激する。体験して楽しいと感じることでEQを高めることにもつながると同時に、若返りホルモンの分泌を活性化してくれる。
二つめは、パターン化した生活を変えることによる脳への刺激。平日は仕事がありどうしてもパターン化した生活になりがちだが、週末の習慣を意識して変えることで脳への活性化を促すのである。
山や海に行く、話題の映画を映画館で見る、美術館、水族館、動物園など、あらゆるジャンルで人から「よかったよ」と言われたことを積極的にやってみる。スポーツ観戦も家でビールを飲みながらテレビ観戦するよりも、競技場で声を出して応援するほうがDQ効果は高い。ライブ体験を習慣にすれば「今週末はなにをしようか」と計画を立てる段階からワクワクして、セトロニンやドーパミンの分泌が促され、計画段階で若返り、ライブ体験でさらに若返りと、若返りの好循環サイクルに乗るようになる。
4.飲んだ後のラーメンはコルチゾール(老化ホルモン)の仕業
夜、お酒を飲んで食事をする場合は、とにかく楽しく食事ができるようにしたい。愚痴を言ったり、不平不満をいいながら飲むと、コルチゾールが一気に上昇する。
また、コルチゾールの分泌が続くと、摂食中枢を刺激するので食欲がどんどん出て来る。飲んだ後、こってりしたラーメンが無性に食べたくなるのは、実はコルチゾールが作り出したニセの食欲によるものである。
夜のお酒や食事はアンチエイジングにとっては両刃の剣。お酒の飲み方、食事の取り方次第で、アンチエイジングにもフォーエイジング(老化の促進)にもなることを肝に銘じたい。
※コルチゾール(老化ホルモン):通称「ストレスホルモン」ストレスを感じたり、アルコールを摂りすぎると分泌される。コルチゾールは交感神経を優勢にして、筋肉を硬くし、脂肪の蓄積を促進し、身体を守りの態勢にする。ストレス食いやストレス太りを促す元凶ともいえる存在。
立食パーティに参加する
立食パーティは多くの人と自由に歓談できて、堅苦しいマナーなどはないように思われますが、基本的なマナーは身につけておきたいものです。
1.会費はおつりがないように準備する
パーティに限らず、会費の金額があらかじめわかっている時には、受付でおつりの必要がないように、ちょうどの金額を用意しておくぐらいの心配りが欲しいものです。
ほとんどの場合、受付で釣り銭の準備はしていますが、それでも、釣り銭切れになると裏方は慌てるものです。また、受付が混合う際には、ちょうどの金額をさっと出されるとありがたく思うものです。
些細なことですが、主催者や受付に携わる人のことを思えばこその思いやりではないでしょうか。
2.主催者に挨拶を!
会場では主催者に挨拶を。ありきたりの挨拶でもかまいません。主催者に好意と敬意を表すためにも手短かに挨拶を済ませるのがマナーです。主催者は多くの人に挨拶をしたり、パーティの段取りがあったりと、忙しくしていることが多いので、親しいからといって長話をするのはスマートではありません。
「本日はおめでとうございます」「お招きいただきありがとうございました」「楽しみに参りました」「パーティが盛況でなによりですね」といった明るい挨拶を。歓談中にタイミングをみはからって行いましょう。また、会場を去るときも、必ず挨拶をすることを忘れないように。
3.ビュッフェスタイルでの注意
一般的なビュッフェスタイルでは、料理はテーブルにフルコースと同じような順番で並んでいます。オードブル、スープ、メイン料理(魚、肉など)、サラダ、デザートというような流れです。
料理はその流れに沿って取るようにします。自分が食べたいものを先に取ろうとして流れに逆らったり、いきなりデザートへ、というのは好ましくありません。
4.立食パーティでのグラス
歓談をするときは、左手にグラスを、右手は身振りや握手のためにあけておくのがベスト。グラスの高さは自分の胸の位置。グラスを持つときは紙ナプキンを上手に使うと水滴が垂れたり、手がぬれたりするのを防げます。テーブルにグラスを置くときは、紙ナプキンを二つ折りにしてグラスの下に敷くと、自分の飲み物という目印にもなります。
特集 最近感動していない人は要注意!若返り仕事習慣のススメ
●今、鏡に映る姿は、過去の習慣が作り上げた結果である。その表情も体型も周囲が作り上げたものではない。習慣の8割は無意識の行動。階段ではなくエレベーターを使うのも無意識の力と言っていいだろう。この無意識の習慣の中にエイジング(老化)と結びつくものがあれば、アンチエイジングの習慣に変えて継続することが、若返りの効果を高める。●習慣は意識して3週間続けることで、4週間目からホンモノの習慣として身に付き、無意識に行動できるようになるといわれている。これには記憶をつかさどる脳の海馬という部分が深く関与しているのだが、何度も繰り返すことで、短期記憶が中長期記憶として脳に定着する為。ただ、そこで「楽しいと思いながらやる」ことがキーとなる。楽しいと感じる(暗示をかける)ことで、若返りに必要なホルモンが分泌されるのである。●アンチエイジング習慣を身につけることで、仕事も私生活も生き生きとし、職場の雰囲気もよくなり、人間関係もよりよくなる。今回から2回にわたりアンチエイジング仕事習慣を特集する。(「デキる男のアンチエイジング仕事習慣」 稲川龍男著 日経BP企画)
1.人は脳から老ける 感情の衰えは老化のサイン
人間の身体の中で、一番老化が進みやすいのは脳である。中でも感情をつかさどる前頭前野という部分が真っ先に老化することが最近の研究で分かってきた。
前頭前野が老化すると感情の老化を招くと同時に、ホルモン産生の司令塔である視床下部に影響を与え、若返りホルモンが出にくくなる。このホルモン分泌の低下が肉体の老化につながっていくのだ。わたしたちの身体の細胞の再生はすべてホルモンおよび神経を通じた、脳からの命令によって行われている。前頭前野の老化によって必要なホルモンが出にくくなると、細胞の生まれ変わりも少なくなり肉体的な老化と直結するのである。
感情の衰えと脳の老化、そしてホルモン分泌はそれぞれ相互に作用し合っている。意欲が低下したり、感情のコントロールが利かなくなったりするのは、脳が老化し、感情が衰えてきた証拠。それによってホルモンが出にくくなり、さらに感情の老化、脳の老化を促す悪循環に陥る。そこで、行動パターンや感情表現を意識して変えていくことが、若返りホルモンを活性化し、心と身体の老化を防ぐのである。
2.若返りホルモンの分泌は前向きな生活から
ホルモン分泌は感情をつかさどる大脳の前頭前野の影響を受けやすいため、前向きな気持ちで生き生きと仕事や生活ができていれば、若返りを促すホルモンが活性化する。逆に常にストレスを感じ、ネガティブな気持ちで生活を送っている老化ホルモンの分泌を促すことになる。
仕事をしながらアンチエイジングするには、セロトニンを中心とする若返りのホルモンが出やすい仕事の進め方をするということに尽きる。ストレス下におかれやすい仕事環境でも、楽しく集中力を持って取り組めばセロトニンは分泌できる。
セロトニンが分泌されているときには人はリラクゼーションしながらも行動的になり、その行動によって脳に大きな刺激を与えている。脳が活性化されると感覚が敏感になるので、感情の老化を抑えることにもつながる。
ただ、ホルモンに即効性はあまりなく、繰り返し分泌され続けないと身体には強く反映しない。セロトニンの分泌によって、一時的には行動的になっても、細胞レベルで身体を変化させていくには時間がかかる。だからこそ、セロトニンを始めとした若返りに有効なホルモンを継続的に分泌していく行動の習慣化が必要になってくるのだ。
※セロトニン:若返りに最も大きな影響を与え、幸福感を感じたときに分泌される別名「幸せホルモン」。セロトニンが分泌されると神経の伝達がよくなり行動的になる。これはセロトニンが筋肉活性を応援し、骨格筋肉をはじめ、さまざまな筋肉の動きをよくするから。また、セロトニンには感情をコントロールし、人と上手く調和できるようになる働きもあるほか、脂肪を燃えやすくしたり、満腹中枢を刺激して不必要な食欲を抑えたりする働きもある。
3.交感神経の使い過ぎが老化を促進
自律神経は消化、呼吸、発汗、代謝などの不随意の機能をコントロールし、体内の環境を整える神経で、ホルモン分泌や免疫などにも影響を与える重要な神経である。
仕事が忙しく、食事もトイレも入浴も短時間で済ませる現代人の生活は、交感神経が圧倒的に優位な状態。仕事にやる気が向かう反面、緊張感が高まり、心肺の動きが活発化して心拍数は上昇、呼吸も早まっている。また、血管、汗腺などの管をすべて引き締めるので、血圧を上げると同時に便秘や尿がよく出ないなど、老廃物を排出(デトックス)しにくい状態にする。
反対に副交感神経は、血管を拡張させ血圧を下げ、身体を休めてリラックスさせてくれる神経である。若返りのためには、この交感神経と副交感神経をシーソーのようにバランスよく使うのが理想。
起きている時間の8〜9割は交感神経優位の時間になっているので、意識的に交感神経を休め、副交感神経を優位にさせる時間を作りだす工夫が必要なのだ。
4.EQ(Emotional Intelligence Quotient感情の知能指数)UPで若返る
EQは、喜怒哀楽の感情をコントロールして、物事に対処する能力指数のことで、仕事を進める上では重要な能力である。このEQと若返りホルモンには密接な関係があり、EQを高めて仕事をすると、セロトニンを分泌しやすいサイクルを作ることができる。
EQを高めるためには、嬉しい、楽しいといったプラスの感情を積極的に言葉で表現する習慣をつけておくことである。その結果、感情をつかさどる前頭前野が活性化し、ホルモンを生み出す視床下部も活性化するという流れが生まれる。
たとえば、部下の仕事が上手くいったら「やったね、すごいじゃないか」と拍手をしたり、誕生日の人がいれば「ランチでお祝いしよう」といったノリの良さを持つこと。また、豊かな感情を持つためには、"ライブ体験"で感動することが有効。スポーツでも音楽でも五感を使った全身の体験が、前頭前野に大いに刺激を与え、脳を活性化するのだ。
脳を活性化するにはあえて不便を買ってでて、それを楽しむことである。極端な言い方かもしれないが、便利は老化につながり、不便は若返りに直結する。ワープロ変換に頼ってばかりいると漢字を忘れていくように、便利に頼りすぎると脳が退化するのである。毎日の習慣にどれくらい不便を取り込めるか、それが仕事で若返ることができるかどうかの分かれ目なのである。具体的な生活習慣は、次号に続く・・・
指先は動くアクセサリー、見られています!
男性も女性も、「指先」は自分でも思う以上に、人から見られているものです。
名刺を渡す、書類を受け取る、グラスを持つ、箸の上げ下げなど、日常のさまざまなシーンで指先は注目されています。
ご自身の指先をあらためて見つめてみてください。ささくれ立っていたり、爪がのびていたりして、小汚い雰囲気になっていませんか?特に、男性に多いのですが、どこか1本の指の爪だけが異状に長いということはないですか?あれは、ご法度です。身だしなみという視点から見ても、清潔感という視点から見ても、他人に好感を与えるものではありません。
「手を洗う」という習慣を持つのは、日本人だけです。また、レストランでおしぼりが出てくるのも日本だけです。日本人は世界に類を見ないほど清潔好きで、指先の感覚を大切にする民族なのです。
〜「鉄火巻き」と「サンドイッチ」〜
「鉄火巻き」は、もともと賭博場で博打打ちが勝負をしながら食べるために作られたものです。中に巻かれたマグロも醤油漬けにされているので(最近は漬けてないものもありますが)、醤油をつける必要もなかったのです。
これと良く似た食べ物が、イギリスでも生まれました。おなじみの「サンドイッチ」です。「サンドイッチ」は賭け事のカードゲームが大好きだったジョン・モンターギュ・サンドイッチ伯爵が、カードゲームの途中で食べられるように、パンの間にコールドビーフをはさんだのが始まりと言われています。
日本でも、イギリスでも、手づかみで食べるために作られた食べ物は、賭け事が発祥というのは奇遇です。
さて、そこでお寿司はどうでしょうか。箸で食べても、手で食べてもOKとされていますが、通ぶった真似をして手づかみで食べるのは、必ずしも美しいとはいえません。箸でスマートに食べるなら、手づかみよりもよほど洗練された雰囲気になります。
お寿司屋さんのカウンターでも、小さなお手拭きが出ますが、手づかみで食べたあとの指先はどうしても生臭さが残ります。「手づかみ派」か「お箸派」か、意見の分かれるところかもしれませんが、ここはあえて言うなら、女性は「お箸派」をおススメします。清潔好きの気質と、デリケートな皮膚感覚を大事にしてほしいからです。
指先は顔と同じぐらい、いつも他人の目にさらされています。指先の動きが雑な人は、物の扱いも粗雑なのであろうという印象を受けます。ふと忘れてしまいがちな、小指や薬指の先に神経を行き届かせると、どことなくつつましい仕草に見えます。
東日本大震災により被災された方々とそのご家族に心よりお見舞い申し上げます
特集 ノーリスペクト時代 「バカ」を肯定する日本社会
●かつて「日本人」と「勤勉」はセットであった。しかし現在、勤勉なる日本人は神話と化した。実態は、学び嫌いの日本人である。「バカ」とでも表現するしかない事態が日本を浸食している。ここで言うバカとは、学ぼうとせずに、ひたすら快楽にふけるあり方のことだ。学ぶ意欲が内発的に起きてこない、いくらでも学ぶ道があるのにゲームやメールに時間を注ぎ込んで疑いを持たない、そんな日本人が増えている。●齋藤孝著「なぜ日本人は学ばなくなったのか」によると、日本人の学力低下や減退は、「リスペクト」という心の習慣を失ったからだという。これは現代人が、教養やその教えの書かれたテキスト、先生に対する敬意の精神を失ったからだというのだ。●リストラも当たり前という現代は、信頼関係を作りにくく、心の安定を失いやすい時代。こうした「心の不良債権」状態が、リスペクト精神を失わせた背景だというのだ。
(参考図書;「なぜ日本人は学ばなくなったのか」齋藤孝著 講談社、TOP POINT)
1.「ノーリスペクト社会」の到来
ある時期を境に、日本には「バカでもいいじゃないか」という空気が漂い始めた。そこには教養への敬意はないし、学ぶべき書籍の価値もわからない。先生への畏敬の念もない。つまり「ノーリスペクト社会」が到来したのだ。
今は自分という核を持たないまま、ひたすら「何か面白いものはないか」探し回っている。世の中はこれを「自分探し」と称しているが、こういう風潮が始まったのは1980年代頃からだ。かつてなら、情報を生み出したり、調べたことを発表したりすることは、それ自体が尊敬される対象だった。
だが今や「情報はタダ」という認識が一般化している。それを助長しているのが、インンターネットだ。ネット上では、学問の大家が心血を注いで書いた言葉もアイドルの言葉も、全て並列的に同じ情報として扱われている。
しかも受け手側は、バイキングのように自分に必要なものだけを自分の皿にのせる。それによって自分だけの皿を作る面白さはあるだろうが、少なくとも自己形成に至るのは難しい。なぜなら、そこではリスペクトが決定的に欠けているからである。
リスペクトとは心の習慣である。何かに対して「謙虚に学びたい」という思いを持てないとすれば、世の中のあらゆるものが平板な情報でしかないことになる。そのことが、精神を雑駁なものにしてしまっている。
かつての日本人には、何かに敬意を感じ、憧れ、自分自身をそこに重ね合わせていくという心の習慣が自然に身に付いていた。たとえば、孔子の「論語」を学ぶとき、まず「子、のたまはく」の一言が出てくる。要するに「先生がおっしゃるには」と孔子への敬意を込めているわけだ。また、「論語」というテキストへの憧れ、それを教えてくれる先生への敬意もあった。そういう感情が生活習慣の中に根付いていたのだ。
人間の心の潤いというものは、尊敬や憧れの対象を持てるかどうかで変わってくる。尊敬があって初めて、自己形成の意欲の尽きない泉が湧いてくる。逆にそれがないと、自分というものを快適な生活をするだけの存在としか捉えられなくなる。ただ消費行動をするだけ。そんな人間には人にとって最も重要なはずの「奥行き」「内面」がない。
2.深刻な「心の不良債権」
こうした問題を見ると、今は「心の安定」を失いやすい時代なのではないかと思われる。自分はここに骨を埋めるとか、自分のアイデンティティはここにあるといった対象になるものを見つけにくい。それに、「きっと報われるはず」と信じて努力する心のあり方も崩れている。こういう世の中になったのは、ここ20年のことだ。これは「心の不良債権」だといえよう。
例えば、懸命に働けば会社が一生を支えてくれるという、相互に安心できる関係を「心の良い状態」とすれば、会社と自分がお互いを信用できない関係が、心の不良債権の状態だ。リストラも当たり前という殺伐とした社会のあり方が、心にまで影響を与えている。この状況を打開する方法を真剣に考えないと、日本は過去のパワーを失うことになる。
3.学びを奪った「アメリカ化」
現代日本人の心のあり方は、米国の若者のそれを遅れて反復している面がある。戦後のライフスタイルは、完全に米国文化に支配された。
50年代末〜60年代初頭、ロックミュージックが1つの大きなメインストリームを作り、それを契機に、大量の米国文化が流れ込むようになった。
米国の若者文化はカウンターカルチャー(対抗文化)だ。対抗の対象は「伝統的な知」、つまり欧州の古典主義である。例えばギリシャ哲学やシェイクスピアやゲーテなど、人類の知的遺産と考えられている権威あるものを指す。それらに対して、米国の若者文化は「ノー」を表明したのだ。これに付随した現象として、米国における音楽というものの圧倒的な比重の大きさも挙げられる。アラン・ブルームは自著『アメリカン・マインドの終焉』で、次のように分析している。
「本には縁のない学生たちも、音楽となるときまって聴く(中略)音楽こそ彼らの情熱の対象であり、音楽ほど彼らを興奮させるものはない。(中略)彼らが願っているのは、ただ自分だけの音楽の世界にひきこもることだ」これはまさに、今の日本の若者そのものだ。
ブルームは、「ロック・ミュージックは若者の想像力を衰退させ、一般教養教育の本領である芸術と思想に対して若者が情熱的な関係を結ぶのをきわめて困難にしている。・・・ロック・ミュージックは早熟のエクスタシーを味わえる。
エクスタシーとは、かつては地道な努力の果ての達成感から得られると考えられていた。だが音楽によって得られる快楽には、努力の必要がない。そのことが、本を読んで自己形成していくという活動を困難にしている、というわけである。
腕時計は必要ない?
「就職や入学のお祝いに腕時計を贈る」というのは、かつてはよくある習慣でしたが、最近では腕時計そのものが安価なものもあり、携帯電話が時計代わりにもなるので腕時計は必要ないという若い人も増えているようですが・・・
1.腕時計の歴史
腕時計が、この世に誕生したのは1904年。宝石商のルイ・フランソワ・カルティエが、友人の気球操縦士サントス・デュモンに頼まれてつくったのが始まりと言われています。気球を操縦するとき、両手を肩から上に上げなければならないので懐中時計を見ることができないデュモンが、腕につけることができる時計を頼んだのです。この「サントス・ウォッチ」が世界初の腕時計です。
それ以前は、ヨーロッパの社交界では、女性は魔除けとして左腕にすてきなブレスレットするのが作法でしたが、このブレスレットに代わって、腕時計をつける女性が急速に増えたのです。
女性が身につけることによって腕時計の小型化が進み、現代のおしゃれな女性ものの時計がどんどんつくられるようになりました。
2.携帯電話が時計代わりになるか
最近は携帯電話を時計代わりにし、腕時計を持たない人も増えていますが、時計は今の時間が知りたいときに使うだけのものでは決してありません。
マナーという視点から考えてみたとき、たとえば、商談中に携帯電話を開き、時間を確認する行為というのはいかがなものでしょうか?
本人は時間を見ているつもりでも、相手はどのように感じるでしょうか?「自分の話に集中せず、他の情報を見ているのかも。感じの悪い奴だ。」という風にとらえられないとも限りません。
また、部屋の壁にかかる大きな時計をチラチラと見て、何度も時間を確認する行為も好感を与える行為ではありません。
いずれの場合も自分の腕時計なら、さりげない仕草の中でチラリと時間を確認することができるので、相手に不快感を与えることはないでしょう。
以上のことからも腕時計は、携帯電話では代用しきれない必須のアイテムと言えます。
また、もう少し大袈裟にいえば、時計は生きる時を刻みます。自分の腕で命の時間を刻み続ける時計です。腕時計は自分の分身のように大事に扱えるものを選び、愛しんで長く使えるものを使い続けたいものです。
東日本大震災により被災された方々とそのご家族に心よりお見舞い申し上げます
特集 ウィキリークスの衝撃2 〜国家権力に屈しない無国籍メディア〜
2010年12月16日、英国で拘束されていたウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジが保釈された。アサンジは保釈決定の文書を高々と揚げ、「勝利」の笑みを浮かべた後、防弾車両に乗りこんでイングランド郊外へ消えていった。■アサンジが向かったのはロンドンから北東190キロほどに位置する「エリンガム・ホール」であった。ここは18世紀に建てられた240平方メートルもある豪華な3階建てのお屋敷で寝室だけで10部屋ある。アサンジはしばらくの間この屋敷に滞在して活動を続けることになる。■なぜ小さなハッカー組織が世界を揺るがす力を持つことができたのか?なぜ旧ソ連でもできなかったほどの損害を米国に与えられたのか?なぜウィキリークスの息の根を止めることができないのか?なぜジュリアン・アサンジは国家権力に挑戦し続けるのか?今回は、ウィキリークスを支える人たちとアサンジの生い立ちにスポットを当ててみたい。「ウィキリークスの衝撃」(日経BP 菅原出著)
1.アサンジを「ヒーロー」と崇める人々
アサンジの滞在する豪邸のオーナーは元英国陸軍の将校でビデオ・ジャーナリストのボーガン・スミスである。同氏はロンドンを拠点とする「独立と透明性」を求めるフリー・ジャーナリストたちの集まり「フロントライン・クラブ」の創設者である。
アサンジを支持しているのはスミスやフロントライン・クラブ所属のジャーナリストたちだけではない。24万ポンド(約3150万円)の保釈金は、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーの元妻で映画監督、人権活動家として名高いビアンカ・ジャガー、反ブッシュ映画で有名な映画監督マイケル・ムーアなど、世界中の裕福なメディア関係者がカバーした。またイギリスの出版社のオーナーや、ノーベル生理学・医学賞受賞者の博士らもアサンジの裁判費用を負担することを明らかにしている。オーストラリアのドキュメンタリー映画監督は「ジュリアン・アサンジ防衛基金」を設立して、アサンジを支援するための資金集めに奔走している。
日本では「機密情報を暴露したうさんくさい元ハッカー」といった印象で語られることが多いが、欧州の独立系メディア、ジャーナリスト、リベラルな人権活動家や反戦活動団体の間では、アサンジは今や「ヒーロー」であり圧倒的な人気がある。ウィキリークスの背後には彼らの活動を支える世界的なネットワークが存在するのである。
2.国家権力に屈しない無国籍メディア
ジュリアン・アサンジは、2010年4月オーストラリアのABCテレビとのインタビューで、ウィキリークスについて以下のように説明している。
「ウィキリークスとは"サンシャイン・プレス"という国際的な非営利の出版グループが行う国際的な公益事業である。サンシャイン・プレスは、公の場に出されることなく非公開とされている情報や、かつて出版されたにもかかわらず検閲を受けて絶版とされた情報を出版しようとするジャーナリストや活動家たちが集まって作ったグループ。我々は、暗号化技術や法律を通じて情報源の秘匿を守るために多国籍な体制を取っており、主要な活動のベースをスウェーデンやベルギーといった情報源保護のための強力な法律を有する国においている」
「我々のゴールはより透明性の高い社会を実現することではなく、より公正な社会を実現することである。透明性が高くオープンであることは、多くの場合、そうしたゴールを導く傾向がある。」 「多くの国内メディアは、国家の権力構造の中に多かれ少なかれ組込まれており、特定の情報を出版することを躊躇する傾向があるが、ウィキリークスは国際的な組織であり、一国家の利益を超えてしまうため、国家の圧力に屈することなくあらゆる情報を出版することができる。」
3.ウィキリークスを作るために生まれた男
ジュリアン・アサンジは1971年オーストラリア生まれ。彼の数奇な生い立ちは、2010年6月「ニューヨーカー」誌が掲載している。アサンジは、母親が舞台演出家と再婚したことから幼少の頃から転居を繰り返し、14歳までに37回もの引っ越しをしたという。「正規の教育は権威に対する不健康な尊敬を植え込むことになり、学ぼうという意志を弱めてしまうものだ」という母親の強い信念から、アサンジは何と学校に行っていない。通信教育や家庭教師を雇うなど、基本的に家庭で教育された。8歳のときに母親は舞台演出家と別れて今度はミュージシャンと付合い始めたが、そのミュージシャンの虐待に耐えきれずにまたもや別居。親権をめぐって母親とそのミュージシャンが争いを起こし、母親とアサンジは、アサンジが16歳の頃まで、そのミュージシャンから逃げ回り各地を転々と移り住む日々を過ごしたという。
母親と逃げ回っている頃、家の前に電気屋があり、アサンジはそこでホームコンピューター「コモドール64」に夢中になり、店に行ってはプログラムを書いていた。16歳の時にモデムを手にし、すぐに最も安全なネットワークに侵入できる洗練されたプログラマーとして頭角を顕していく。仲間二人と「国際破壊分子」というグループを結成。欧州や北米でコンピューター・システムへの侵入を繰り返した。
アサンジは18歳で結婚し息子を授かるが、その間も仲間とハッキングを続け、20歳の時にカナダの通信会社ノーテルのコンピュータへ侵入したことがきっかけで逮捕され告発された。この事件のあと、アサンジは離婚した妻と息子の親権をめぐって激しく争っている。「ニューヨーカー」の記事は、この親権をめぐる闘争が、ウィキリークスの原点だったのではないかと綴っている。
4.高度な暗号技術と多国籍運営体制の確率
アサンジは2006年12月にウィキリークスを本格的に立ち上げる準備取りかかるが、その際に法律や制度を実によく勉強している。ウィキリークスはスウェーデンでは新聞社、フランスでは財団法人、オーストラリアでは図書館として登録されている。各国の法制度を熟知した上で、自分たちの活動を進める上で最も適した形態を取っているのである。
ウィキリークスの活動には年間60万ドルほどの資金が必要で、フルタイムのスタッフは5人程度、それに加え800人とも1000人とも言われるパート、アルバイトやボランティアの支援者が世界中にいるとされている。ウィキリークスに内部告発情報を提供したい告発者は、ウェブサイトの指定されたページを通じて、暗号化されたネットワークにアクセスできる。ウィキリークスが使用している暗号システムは、米軍や大手銀行が使用しているものと同じ最高レベルのシステムであり、送信元が特定されないような高度なセキュリティが整備されている。また、ウィキリークスはオーストラリア、ケニアやドイツの郵便局に私書箱を置いていることを公表しているが、連絡をしてきた告発者にだけ密かに教える一般には公表していない私書箱も、米国を始めいくつかの国々に置いているという。このように暗号化を始めとする高度なコンピュータ技術と、主要な機能を複数の国に分散して配置する多国籍運営体制がウィキリークスの最大の特徴であり、特定の国家からの圧力を受けても「潰されない」仕組みを支えている。世界中で20カ所以上のサーバーを利用し、ウィキリークスのデータを保存する「ミラーサイト」の数もすでに数百に上ると言われている。
アサンジは「ウィキリークスを潰そうと思ったらインターネット自体を破壊しなくてはならない」とまで言い切る。
誰も教えてくれないマナー講座
「手みやげは、いつ渡すの?紙袋に入れたままでいいの?」
卒業、入学、転勤など、春は人生の節目になる行事が多いですね。それに伴って、お祝いやお土産を渡すことも多いものです。お世話になっている方を訪問するときの手みやげはいろいろと悩むこともあります。手みやげは、先方の好みや家族構成、また会社なら従業員数など、あらかじめ考慮した上で選びたいものです。そして、せっかく選んだ手みやげなら、渡し方にも気を抜かず、心が伝わる一言を添えたいものです。
1.どのタイミングで渡すのがいいか
玄関先で挨拶をしたあとに、「はい、これお土産」と、すぐに手渡すのはよほど親しい間柄に限られています。本来は、部屋に通されて(会社なら応接室に通されて)正式な挨拶が済んでから渡します。
2.紙袋に入れたまま渡してもいい?
目上の人や、あらたまった訪問の場合は、手みやげは袋に入れたり、風呂敷に包んだりして持って行くほうが礼儀にかなっています。渡すときには、それを袋や風呂敷から取り出して手渡すのです。紙袋ごと手渡すのは略式です。ただ、最近では、おしゃれな包装を施し、きちんとした紙袋に入ったものもあるので、その場合はあえてそのまま渡すことも多いようです。しかし、大事な用件であれば、あらたまった形として風呂敷に包んで持参すれば一目おかれることになるでしょう。
3.どんな一言を添えれば気持ちが伝わる?
紙袋がきれいで、そのまま手渡すときは、「きれいな紙袋なので、このままお渡ししてもいいですか?」などの一言を添えると、マナーのわかった人だなという印象を与えます。また、昔は「つまらないものですが」と、謙遜の気持ちを表現していましたが、今ではあまり流行りません。むしろ、「旬のお菓子なので、皆さんが喜ばれるかと思って選んできました」ぐらいに、気持ちをはっきりと言葉にしたほうが好感を持たれます。冷菓や冷凍食品の場合は「冷蔵庫に入れてください」などの一言を加えて渡します。
4.「土産」は「見上げ」の変化?
本来、「みやげ」は、旅に出るとき餞別をくれた人に配るため、旅先の土地の産物(土産)を求めて帰ったのが始まりでした。また、「みやげ」は「見上げ」という言葉が転じたものという説もあるようです。「見上げ」て、よく見て調べて人に差し上げるものとも言われます。よく見て、心遣いが感じられるものを差し上げたいですね。
特集 ウィキリークスの衝撃 〜新時代の情報戦争〜
■ 小さなハッカー組織が流出する機密情報に世界各国が震撼している。外交ルールやメディアのあり方を根底から変
えるジュリアン・アサンジは善か悪か?勝つのはアメリカかハッカーか?日本の情報漏洩は?■米国防総省やCIAは、急遽「ウィキリークス対策チーム」を立ち上げたが、世界最強の軍事力と経済力を誇る米国でさえ、この一民間組織の活動を止めることができずにいる。■ウィキリークスが保有する25万点以上の国務省外交公電の中には、5000点以上もの東京・米大使館発の公電が含まれている。そのうち2011年2月初旬までに公開されているものはわずか9点に過ぎない。残りの公電の中に、公開されれば内閣が吹っ飛ぶような秘密情報がないなどと、誰が言えようか。■なぜ一民間組織のウィキリークスが、それほどまでの力を持ってしまったのだろう。そもそもウィリークスとはどんな組織で何を目指しているのだろうか。世にも不思議なウィキリークスという存在と、前代未聞である機密情報の暴露にまつわる真相を検証したドキュメンタリー「ウィキリークスの衝撃」(日経BP 菅原出著)より2回にわたり特集する。
1.世界に広がる「ウィキリークス・ショック」の波紋
「これは深刻な法律違反であり、わが国の外交に従事もしくは支援している個人に対する大変な脅威である」
2010年11月29日、米ホワイトハウスの大統領報道官は、深刻な表情でこう述べた。同日、ヒラリー・クリントン米国務長官も、「これは米外交の権益に対する攻撃にとどまらない。国際社会に対する攻撃だ」と鼻息を荒くした。この前日、内部告発サイト「ウィキリークス」が、25万1287点におよぶ米機密外交文書を公開し始めたのだ。1966年12月から2010年2月までの間に米政府の存外交官274カ所とワシントンにある国務省との間を飛び交った秘密の外交公電が、誰もがアクセスできるインターネット上にあるウィキリークスのウェブサイト上で閲覧可能になったのである。
公電が明かしたのは、決して表に出してはならない各国首脳たちの生々しい会話であり、米外交官たちの率直な情報分析であった。
2008年4月20日、サウジアラビアのアブドラ国王が、当時米中央軍事司令官だったデビッド・ペトレイアス大将に対して、「蛇の頭をぶった切ってほしい」という表現で、"イランを軍事的に叩いてほしい"と要請した話。フランス国防相が米国防長官に対して、「イスラエルは米国の助けなしに単独でイランを叩くことができるのか」と質問したのに対し、長官が「成功させることができるかどうかは別として、軍事作戦自体を遂行することは可能だ」と答えた話など、いずれも政治的に繊細かつ微妙な内容ばかりであった。
2.世界の外交に対する9・11テロ
「各国の政府は別に米国を好きだから付き合っているわけではない。米国が信頼できるから、米国が秘密を守れるから関係を持っているのではなく、それが彼らにとって利益となるから付き合っているのだ」ゲーツ国務長官は、"ウィキリークスの暴露が米外交に大打撃"と報じるメディアに対して、「彼らの反応は大袈裟すぎる」と火消しに努めたが、「ウィキリークス・ショック」のインパクトは少しずつ、確実に世界中に広がっていった。
トルコではウィキリークス秘密公電が、現トルコ政府を攻撃する材料として政争の具になった。暴露された米外交公電の中で、前駐トルコ米大使がエルドアン現首相の側近を「無能」呼ばわりし、同首相やその家族に関する腐敗の噂を伝えていたことが明らかとなり、米・トルコ関係が一気に緊張しただけでなく、トルコ政界でも大問題に発展した。エデルマン前大使は外交公電で、
「エルドアン首相がスイス銀行に8つの秘密口座を所有。同首相の富は、息子の結婚式でのギフトなどから成り立ち、トルコのビジネスマンが彼の4人の子供たちの米国での留学費用を支払っている」と報告していた他、首相やその家族がトルコ国営石油会社の民営化に関連して不正な裏金を受け取っていた「疑惑」などもワシントンに伝えた。
これを受けてトルコ野党は首相に事実関係を追求。疑惑を全否定した首相は公電を書いた元米大使に対して「法的措置を取る」と発表。米国に対する不満と怒りを明かした。ウィキリークスによる米機密文書の暴露は、ゲーツ米国務長官のコメントとは裏腹に、すでに米外交や国政政治に影響を与え始めている。イタリアのフラッツィーニ外相は、今回の事件を「世界の外交の9・11テロだ」と呼んだが、これは決して大袈裟な表現ではない。
3.ウィキリークス包囲網とジュリアン・アサンジの逮捕
米議会上院委員の一人は「米政府の秘密公電を出版する者は例外なく"悪徳市民"だ」と叫び、元アーカンソー知事は「アサンジ(ウィキリークス創設者)に秘密情報を渡す奴は処刑だ」と息巻いた。さらにサラ・ペイリン元共和党副大統領候補に至っては、「アサンジをオサマ・ビン・ラディンと同様に扱うべきだ」と述べ、CIAの暗殺対象者に加えるべきだと主張した。
こうした中、アサンジは2010年12月7日、滞在中の英国で逮捕された。情報漏洩とはまったく関係のない強姦などの性犯罪容疑でスウェーデンから逮捕状が出ていたもので、アサンジ自らロンドンの警察署に出頭しお縄になった。
ウィキリークスをめぐっては、各方面でその活動を封じるための対策がとられ、国際的な包囲網が強まっている。米議会から圧力を受けた米アマゾンが2010年12月1日にウィキリークスへのホスティング停止を決定し、12月3日には米ドメイン名サービスプロバイダーがサービスを停止した。これによりウィキリークスはアクセスできない状態になった。さらに、米インターネット決済サービスも、ウィキリークス向けの口座への送金を停止、クレジット大手ビザ、マスターカードもウィキリークスへのあらゆる支払いを停止する措置を発表。インターネットと関連する大手民間会社による「ウィキリークス包囲網」が形成されたのである。
4.新時代の情報戦争の幕開け
しかし、再三にわたるこうした妨害にもかかわらず、 ウィキリークスは活動を続けており、アサンジ逮捕後も新たな米外交文書の公開を続けている。またウィキリークスは、これまで米政府やその協力者に配慮して一部の文書の公開をさし控えてきたが、これ以上ウィキリークスに対する攻撃が続く場合は、そうした文書の公開も辞さないと発表した。
「もし私に何かが起きた際は、自動的に重要な部分が公開されることになっている」とアサンジはインタビューで述べている。ウィキリークスは、保有している機密文書をいわば「人質」にして、米国や各国政府からの攻撃を耐えようとしているのだ。さらに各国政府やインターネット・ビジネスのいわば「エスタブリッシュメント」によるウィキリークス包囲網に対して「ネットの自由」を標榜するハッカーたちがウィキリークス支持に回って応戦を始めた。
ウィキリークスを取り締まる勢力と支持する勢力がネット空間で激しいサイバー戦争を繰り広げており、新時代のインターネット戦争が幕を開けたのである。その衝撃は米国内だけでなく世界中に拡大している。公開された機密文書は国際関係を激しく揺さぶるだけでなく、ウィキリークスの活動規制の勢力とネットの自由を求める勢力との新たな闘争へ発展し、複雑な様相を見せている。
ウィキリークスは犯罪集団なのか?アサンジとはいったい何者なのか?
マナーのレポートについての反響が大きかったので、別枠で特集を組んでみま した。今までやっていたことにちょっと気をつけるだけで、とても印象が良くな るはずです。わかっていると思っていることでもぜひご一読ください。
誰も教えてくれないマナー講座
「お茶と茶菓」について
お茶出しといっても、最近は、ペットボトル入りのお茶や、自動販売機のコーヒーなどを利用することもあるので、入れ方や味は、あまり問題視されないかもしれません。しかし、「お茶出しをする作法」は常に見られているといっても過言ではないでしょう。不躾な作法では、組織としての考え方や風土を疑われることもあります。「たかがお茶だし。されどお茶だし」なのです。
1.お茶を出すときの注意点
お茶を入れる際は分量に注意。日本茶でもコーヒーでもカップの7〜8分目を心得ましょう。多く注ぎすぎると、持ち運ぶ際に飲み物が茶托やソーサーにこぼれてしまい、糸底がぬれてしまうことがあります。また、なみなみと注ぐことで、カップが熱くて取り上げられない可能性もあります。
2.お客様から見て、飲み物は右側、お菓子は左側
お客様へお茶やお菓子を運ぶ際は、盆に載せます。盆に息が吹きかからないように盆をやや左側にずらし、胸の高さで持ちます。和洋を問わず、お客様から見て、飲み物は右側、お菓子は左側におきます。
3.茶菓のいただき方
抹茶と違い、お菓子はお茶を一口飲んでからたべるようにします。また、同席者がいる場合は、目上の人が手をつけてからにします。また、お菓子は黒文字(太めの楊枝)などで、一口大に切ってから口に運びます。お菓子を丸ごと取り上げ、歯形を残すのは品格のない行為です。
4.お茶をいただく
正式には主人の「どうぞ」のすすめがあってから、茶碗の蓋をとるのが正しいとされています。蓋をとるときは、左手で茶碗を押さえ、右手で蓋のつまみを持ち上げます。このとき、蓋をゆっくり持ち上げて、蓋についたしずくを茶碗の中に落とすようにします。茶碗が右にある場合、蓋はその右横に置きます。お茶をいただくときは左手を糸底に添えて、音をたてないように数回に分けて飲みます。このとき右手の指をそろえてのばすようにすると、きれいに見えます。
特集 二○三○年日本 「不安」の論点
〜働く場所は?ふるさとは?日本は?ありますか?〜
■20年後、社会はどうなっているのか?雇用や年金、治安等、今の社会が抱える問題を基に、日本の「近未来」を考える■2030年、労働力人口は5580万人となり、1.84人の働き手で1人の高齢者を支える社会になる。■データによれば、就職氷河期世代で急増した非正規労働者ら120万人のうち、老後に生活保護が必要となる人は77万人に上り、そのために国の支出は19兆円も増えるという。我々の未来を考えれば、今、彼らの雇用対策を促進する必要がある。■20年後の世界を見通すのは難しいが、確実に言えることは、今働き盛りの40代が定年を迎え、団塊世代は80代、そして現在の若者たちが社会の中核になるという現実である。「漠とした不安」。それは、雇用なのか、年金なのか、治安なのか、個々人が持つもやもやとした不安の正体を明確にすることで、今ならまだ手を打てることもあるのではないか。(二○三○年日本「不安」の論点 産経新聞社会部著)
1,ふるさとはありますか
■なぜ農家は減り続けるのか
時給179円。これは、農水省が07年産米について、米の生産コストを計算し、1農家の1時間当たりの報酬を産出した額だ。
安い理由は米価の下落だ。米はかつて国が買い支える公定価格だったが、95年に一部自由化、04年の食糧法改正ではほぼ完全に自由化された。価格決定を市場原理に委ねた結果、生産者米価は80年代終わりの1俵(60kg)1万8000円から年々下落し、近年は1万2000円程度。
一方、国内でも地方の国道沿いでは、新鮮な野菜や果物を売る「農産物直売所」が、農業の姿を静かに変えつつある。90年代半ばから増え始め、10年の調査では全国で1万6824施設、コンビニ最大手セブンーイレブンの店舗数1万2925を上回る、07年の調査では、直売所の年間売上高は平均9697万円である。直売所は、中小農家を中心に始まった。成長を続ける直売所は、後継者難に悩む農家にとって、農業を続けていくための「希望」にもなっている。
■村が消滅する
国土交通省の06年の実態調査によれば、全国の過疎地域には6万2273の集落がある。99年の前回調査から、7年間で191集落が消えた。65歳以上の高齢者が過半数を占める集落は、全体の12%に当たる7878集落。このうち423集落は10年以内に消滅する可能性があるという。2030年、どれだけの集落が消えているのだろうか。
2,都市はもちますか
■スラム化するマンション
1960年代後半〜80年代前半に建てられた全国のニュータウンなどでは、建物の老朽化と住民の高齢化という「2つの老い」が同時に進んでいる。
群馬県高崎市にある8階建て分譲マンションの場合、薄暗いエントランスにある集合ポストは24戸のうち18戸が粘着テープでふさがれている。高崎は東京から新幹線で1時間という好立地のため分譲マンションが林立したが、近年供給過剰で空室が急増した。このマンションもその1つだ。
推計では、70年代から増えた分譲マンションは08年の時点で全国に545万戸。このうち建て替えの検討開始といわれる築30年以上のものは73万戸に上り、毎年10万戸のペースで増えている。一方で空室も急増。高崎健康福祉大学の松本恭治教授が08年の住宅・土地統計調査を分析したところ、賃貸・分譲マンションを中心とする「非木造共同住宅」の空室率は全国平均で16%。東京から60〜70km圏では30%が空室だった。
松本教授は、「地方や大都市近郊からマンションの老朽化、スラム化が本格化し始めた」とし、「スラム化はまだ地方圏の現象だが、今後は少子高齢化と人口減少により、大都市圏でも分譲マンションの空室は確実に増える」と指摘する。
■ゲートに囲われた街 ゲーテッドコミュニティー
東京世田谷区に、主に防犯のため住宅地の周りをフェンスやゲート、監視カメラで囲んだ「ゲーテッドコミュニティー(要塞都市)」と呼ばれる形態の住まいがある。
敷地への出入りは2カ所のゲートに限られ、価格は4LDKで1億6000万円台という。ゲーテッドコミュニティーは治安が悪化した米国で80年代に増え始め、わが国では2000年代初頭から大都市圏を中心に現れ始めた。
09年6月時点で全国に151カ所。1戸建てのそれは世田谷区、東京都武蔵野市、岐阜市、兵庫県芦屋市の4カ所にある。残りは全てマンションだ。わが国の都市は2030年、富裕層と貧困層が住まいの面でより一層、二極化しているかもしれない、ゲーテッドコミュニティーが静かに増殖する現状は、その兆しにも映る。
3,日本はありますか
厚生労働省の調査によれば、2009年10月の時点で56万2818人の外国人労働者が全国で雇用されている。中国人が25万9000人と全体の44%を占め、日系ブラジル人10万4000人、フィリピン人4万8000人と続く。
人口動態統計によると、08年に日本で生まれた赤ちゃん110万5232人のうち、少なくとも親の一方が外国籍の子は3万8032人。つまり、29人に1人は「親が外国人」となる。全国の小学校でクラスに1人はハーフの同級生がいる計算だ。いずれは母国へ帰ることが建前の外国人労働者ではなく、わが国へ永住する「移民」の受入を求める声も上がり始めた。
08年自民党の「外国人材交流推進議員連盟」と日本経団連が移民受入を提言した。自民議連の政策は、今後50年間で1000万人の移民を受け入れるというものだ。いずれも人口減少時代に経済成長力を確保するためとしている。
だが、電機機械メーカーのシンフォニアテクノロジー(旧神鋼電機)相談役の佐伯弘文さんは、同社が中国人研修生らを年間150人ほど受入れている経験から、次のように言う。
「彼らは真面目によく働くが、地域住民から工場に様々な苦情が持ち込まれ弱っているのも現実だ。企業は安い賃金で人件費を圧縮できるが、そのつけは社会や国家に回れている」「最も憂慮すべきは、多数の移民受入で日本の伝統文化が消えてしまうかもしれないことだ。治安悪化の懸念もある。拝外主義といわれるかもしれないが、失ってから気づいても取り返しがつかない」また、外国人労働者問題に詳しい埼玉大学の小野五郎名誉教授はこう話す。
「移民を受け入れた欧州諸国は、本音では失敗だったと後悔している。フランスでは暴動が起き、良好といわれたオランダでさえ揺らいできた」「移民を受け入れる社会的コストを日本人は担えるのか。日本人はそこまで覚悟ができているのか」。
5年間も放置していたF&Aレポートの掲載を再開します。この5年間を振り
返るといろんなことがありました。心機一転、皆様にいろいろな角度からの情報
をお伝えしていきます。
「誰も教えてくれない男の礼儀作法」という本がありますが、価値観が混乱し
ている今だからこそ、形だけでない礼儀作法には意味があると思います。
特集 男の礼儀作法 男の食作法 2
余裕を感じる男性はかっこいい!西洋料理のマナー
■ 西洋料理のマナーの根幹となる西洋のマナーでは、紳士とし
ての自らの誇りとしてレディファーストを実践している。
レディファーストを実践することが、自分は紳士であるというアイデンティティなのだ。■たとえば、エレベーターを待つときも、女性がいれば必ず女性を先に乗せる。女性が乗らないと他の男性はいつまでたっても乗れないのである。ある時、日本人男性が、女性の先を越して我先にと乗り込んだことがあったが(日本では当たり前のことだが)周囲にいた欧米人達は明らかに顔をしかめ、ブーイングの声を発した。最近では、女性もいろんな意味で強くなり、レディファーストを疑問視する風潮も見られるようだが、全体としては未だ根強くレディファーストの慣習は残っている。■日本風に紳士を一言で言うなら「床の前に座って絵になる人」ではなかろうか。真に「床の間の前に座れる人」は全体への気遣いもでき、自らの役割と立場を心得ている人である。「床の間の前に座れる人」は、和食に限らず、フレンチでもイタリアンでもその場に応じた振る舞いができ、場を楽しみ楽しませることができる人である。
★女性と店への気遣いが余裕を感じさせる★
1,楽しい会話は幸福なひとときを作る
会話で女性を楽しませることができる男性は、一流のマナーを身につけているといっていいでしょう。会話はマナーの基本であり、楽しい会話は食事を一層美味しく感じさせます。話題選びは慎重に、かつ空気を読んでください。
2,ありがちな会話のNG
●料理の素材やワインについてウンチクを述べすぎる
→女性が感心するふりをしていても、内心退屈なことが多いものです。
相手がよほど興味を示さないかぎり、ほどほどにしておいたほうが無難です。
●政治や宗教の話しをする
→食事のシーンに限らず、一般常識としてこの話題はタブーとされています。
意見が分かれたら収拾がつかなくなることもあるので控えましょう。
●仕事と家族の話しかできない人は退屈
→適度な自己開示ならOKですが、仕事と家族の話し以外に情報のない人は「世界の狭い人」というレッテルを貼られても仕方ありません。共通の話題を探しましょう。
●「結婚は?」「カレシは?」などの家族構成やプライベートな質問を連発する
→基本的に相手が聞いてきた質問は、こちらも質問しても良いと心得ておきましょう。あけすけにデリケートな質問をされて喜ぶ人はいません。
●人の悪口、説教、下ネタ
→食事に相応しい会話とはいえません。特に女性が居る席での下ネタには注意したいものです。男性の感覚なら「普通」の下ネタも女性の感覚では嫌悪感を抱くこともあります。少なくとも好印象にはならないので、気が緩みがちな酒席では気をつけたいものです。
●「オレの場合は・・・」と自分の話にすり替える
→意外に多いので気をつけましょう。相手の話を最後まで聴くこと。相手から「あなたはどうでした?」と聴かれない限り、「オレの場合は」を切り出さないほうが無難でしょう。
●急に呼び捨てにしたり、「ちゃん」付けで呼んだりするのは勘違い
→共に食事をすることで親近感が増すことはあっても、相手との距離感を大切にするのが紳士です。急に上から目線になって呼び捨てにしたり、馴れ馴れしく「ちゃん」付けで呼ぶのは、勘違いです。
3,店の人への配慮が感じられる男性はポイントアップ
客だから当然…、自分はお得意さまだから…というような態度は、男の器の小ささを感じさせます。「ありがとう」や「美味しかったよ」と、声をかける仕草はステキです。不条理なクレームや苦情を言う男性は嫌われます。また、話しに夢中になっても、ディナーでは3時間弱がマックス滞在時間です。オーダーをしないで長居をするのは疲れますし、お店に対しても失礼です。
4,愛煙家はにおいに注意
灰皿が置いてある店でも周囲への配慮は欠かさない。最後のコーヒーが出てくるまでガマン。もちろん、相手に一言ことわりを入れてから。
5,疲れていても肘はつかない
食事中にテーブルの上に肘をつかない。注文して待っているとき。ストローでアイスコーヒーなどを飲む時も要注意。「ひじから手首の間」のどの部分でもいいのでテーブルの角の部分に軽く乗せると、ラクでかっこいい。
6,食事中の携帯電話と写真
人と会っているときは、食事中にかかわらず、携帯電話を使用しないのがマナー。もちろんメールもNGです。また最近では、ブログなどに掲載するため、料理の写真を勝手に撮る人がいますが、基本的にはNG。どうしても撮りたいときは、店側に許可を得るようにします。
その他、門限を確認する、さりげなく歩道側を女性に歩かせる、分かれたあとに「ありがとう」のメールを送るなど、食事以外の部分で気遣いできる人は好印象で、また会いたいと思わせる人になります。
5年間も放置していたF&Aレポートの掲載を再開します。この5年間を振り
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「誰も教えてくれない男の礼儀作法」という本がありますが、価値観が混乱し
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特集 男の礼儀作法 男の食作法
余裕を感じる男性はかっこいい!西洋料理のマナー
■食事のマナーとは「郷に入れば郷に従え」の言葉どおり、周囲とのバランスを見ながら調和しつつ、最も合理的に食事を楽しむために生まれたもの。西洋料理のマナーは主に欧米の考え方が主流となっているが、厳密にはフランス、イギリス、アメリカなど各国により細かな所作が違うこともある。たとえば、総理大臣が主催する晩餐会ではアメリカ流、宮中主催の晩餐会はイギリス流、フレンチレストランではシェフがフランスに修行に行っていることが多いのでフランス流を酌んでいるところが多い。そんな中で一人だけ、知ったかぶりをして違うマナー(本人は正しいと信じているが)を振りかざすのは田舎者である。■マナーの基本を知ることが、「郷に従う」余裕をつくり、人を見る目もつくる。どこに行っても憶することなく振る舞えること。これは紳士の条件ではなかろうか。大切な人と西洋料理を楽しむ際の基本を特集したい。
1,マナーについて
食作法の代表格のように言われるテーブル・マナーですが、良いテーブル・
マナーを身につけていることは、社会的成功および出世につながるという人もいます。
ただし、マナーは「恥をかかないために覚える」よりも、相手に迷惑をかけたり、不愉快な思いをさせないために心がけることが基本。
したがってテーブル・マナーで最も大切なことは複雑な奥義を覚えるのではなく、もっとも実践的で、無理がなく、他人への配慮があり、見た目にも美しいやり方を常識的に判断することです。
2,レディファーストについて
西洋料理のマナーには、当然ながら欧米の習慣や考え方が根本にあります。中でも騎士道に端を発するレディファーストの精神は、その最たるものですが、日本の男性には馴染みにくい慣習もあるようです。
ただ、女性から見て、レディファーストが自然に身についている人は余裕が感じられ好感が持てます。世界に通用する素敵な紳士となるためにも、照れやこだわりは一旦脇に置いて、スマートな身のこなしを身につけられたらいかがでしょう?
3,マナー今さら基本編
(1)身だしなみ:楽しい食事は身だしなみを整えるところから始まっています。誰とどんなお店で食事をするのかを考え、TPOに合ったものを。男性の「少しオシャレをしてくれたのね」と感じさせる装いが女心をくすぐります。また、装いはお店に対するマナーでもあります。「少しのオシャレ」とは、たとえば、磨かれた靴、いつもと違うネクタイ、ポケットチーフやピンブローチなど少し遊び心の感じられる小物などです。髪や指先を整えるなどの清潔感については言うまでもありません。
(2)入店と着席:基本的にドアは男性が開けて、女性を先に通します。案内をするウエイターがいれば、女性が前を歩き、男性はその後ろを歩きます。案内をするウエイターが居ない場合は、男性が先に歩いてください。
プロトコール(国際儀礼)では、男性は、右隣の女性の椅子をひいて座るのを手伝ってあげます。自分が着席するのは両隣の女性が無事に座るのを見届けてから。
通常のレストランでは、そこまでではないにしても、女性が座るのを見届けてから着席するように心がけたいですね。
(3)オーダー:男性がイニシアチブをとります。メニュー選びとオーダーは
基本的には男性が行います。女性だけの場合は、一人が代表してオーダーします。
(4)メニューとワイン:男性が支払う場合、女性には値段を印刷していないメニューを見てもらうと、値段への気遣いをさせなくてすみます。(ただし、値段を印刷していないメニューを準備している店とそうでない店があるので要チェック)。ワインの値段の基準は、一人分の料理の値段です。
(5)ワインのテスティング:ワインのテスティングは、不純物が入っていないか、変質していないかを確認するためのものです。自分の味覚に合うかどうかではないので、テスティングしたあとに好みに合わないという理由で別のワインに代えることはできません。別のワインに代える場合は、テスティングしたワインの代金も支払います。(メニューに出ている金額の原価、つまりおよそ三分の一程度の金額)また、テスティングをするのは、赤ワインだけです。
テスティングは、色を見て香りをかぎ、味を確認します。テーブルにグラスを置いたままで、グラスを少し傾けて、ワインの色を見ます。その後、グラスをテーブルに置いたまま反時計回りに数回グラスを回し、ワインに空気を含ませ、香りをかぎます。反時計回りに回すのは、万が一ワインが飛び散った場合でも自分にかかり、他の人に迷惑がかからないようにするため。そして、ワインを口に含み味を確認します。テスティングは基本的に男性が行います
(6)その他よくある質問
1)椅子に座るときは椅子の左側から 2)窓に背を向けた奥の席が上席。窓からの景色が見える手前の席は嬉しい席 3)乾杯はグラスを合わせない 4)爪楊枝は席から離れて使う 5)ナプキンをベルトやシャツにはさまない 6)料理のシェアはマナー違反 7)手荷物はテーブルの上に置かない 8)ナプキンを使わず自分のハンカチを使うのは失礼 9)スープは飲むのではなく食べる 10)フォーマルかカジュアルか、お店を判断する基準はテーブルクロス
確定申告が始まりました。その関係で、最近、私のメディア露出が続いています。2月15日FM愛媛の井坂彰の「グレートノイジークラブ」に出演し税理士記念日のイベントについて話をし、19日は、三越で税理士会の税務相談を担当したところ、地元局のニュースにその映像が出てしまいました。「ラジオで聞いたよ」とか、「テレビで観たよ」と言われます。もちろん、これは私の個人的な実績ではなく、税理士会からの要請(強制?)なのですが、一度か二度でこの程度ですから、毎日出てたら人生観が変わるかもしれません。以前、国会議員だった友人が、「自分の発言が新聞に出るようになると、自分が世界を動かしているような錯覚に陥る」と言ってましたが、ホントにそうなるんでしょうね。
ところで、そのFM出演は、パーソナリティと税理士記念日や確定申告についてインタビューを受けて応える内容だったのです。しかし、これがなかなか難しい。セミナーの講師で一方的に話を構築していくのとはぜんぜん違います。しかもリスナーの顔がぜんぜん見えません。それから、マスに話しかけると言うこと
で、「こんな表現方法がイカンな」とか、「これを言うと税理士会のイメージが悪くなるかな」と考えながら、発想が萎縮してしまうことです。テレビ観ながら、ゲストの話す内容について文句をつけることがありましたが、あれはあれで結構大変です。皆さんもぜひ一度経験して見てください。
ちなみに、今回のFM出演は家族同伴でした。ディレクターが高校時代の友人ということもあり、気軽にOKが出ましたが、付き添いで来てくれていた税理士会の役員さんはちょっとビックリしたかもしれません。ともかく良い経験でした。
では、そろそろ申告の作業にかかりますので、この辺で。
F&Aレポート2月10日号[PDF版]「クレームフローを要チェック」InternetDisk
F&Aレポート2月20日号[PDF版]「”型”を作って魂を入れる」InternetDisk
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2月10日号 クレームフローを要チェック
以下は、あるフランチャイズのカフェで実際に起きたクレームである。どの時点で客はどう感じたのか?また、なぜクレームに発展したのか?あなたならどう対応するだろうか?
1,寒い日 朝一番の客
ビジネスマンもまばらな土曜日の朝の繁華街。あるカフェに母娘(おやこ)二人連れがやってきた。午前8 時、店のオープンとほぼ同時だった。母娘にとってその店は、初めて訪ねた店で要領がよくわからない様子だった。入口の扉が開きにくい。数秒間ガラス扉を押し引きしている間、店の女子従業員二人は、カウンター越しにその母娘をじっと見つめているだけだった。「気付いているなら、すぐに駆けつけて来てくれてもいいんじゃない?不親切な店員ね」と、母親は内心不満に思った。
その後、母娘は店内に入ったが「まだ準備中だったの?早く来すぎたのかしら?」と、思うくらい店内には活気がなく、二人の女性従業員も、口先で「いらっしゃいませ」と言うだけで、お客様を歓待しているという雰囲気や表情はなかった。母親は一瞬「この店に来るんじゃなかった!」と後悔したが、寒い中、娘を連れて別の店に行くのもためらわれて、致し方なくそのままオーダーした。
娘はココアとモーニングセットを、母親はコーヒーだけを注文した。店員は「モーニングセットは時間がかかります」と言う。「どのくらい時間がかかりますか?」と聞くと、「10 分ぐらい」と答える。「10 分なら、まあいいですよ」と言い、支払いを済ませ、取り敢えず二人分の飲物だけを受け取って席に着いた。
手持ちの本や新聞を見ながら飲物を飲んで、モーニングセットを待った。しかし、20 分経過してもなんの音沙汰もない。娘は「まだ?もうココアがなくなっちゃうんだけど?」と言う。確かに遅い。店が混み合っているわけでもない。店内に居る客は2,3 人である。「カフェでモーニングセットをオーダーして20 分もかかるのは遅すぎる」とまたもや不信感が募る。しびれを切らした娘は、自らカウンターに行って「モーニングセットはまだですか?」と、聞いたが、一言一句そのまま「あ、今焼いてます」という返事が返ってきただけだった。
そのやりとりを聞いていて、母親はまた不信に思う。「子供だからバカにしたのかしら?もう少し、詫びる言葉があってもいいんじゃない?すでに充分待たせているのだから」と。
待つこと30 分。ようやく、一人の店員がモーニングセットを運んできた。「モーニングセットです」という言葉とともに、モーニングセットがテーブルの上に置かれた瞬間、ガチャンと音がした。
これまで、店に入るときから沸々と湧いてきた不信感が、クレームとして行動を伴う引き金となったのはこの瞬間である。「モーニングセットで30 分も待たせておいて、“申し訳ございませんでした”“お待たせしました”の一言もないわけ?」と思った。母親は、娘に「ゆっくり食べててね。ママはちょっとお話してくるからね」と、カウンターに向かった。
【クレーム対策】思考のポイント
- 従業員に最も欠けていたものはなんでしょう?
- この従業員が、あなたの部下だったら、何をどのように 指導しますか?
- なぜ、このような事態が起きたのでしょう?
- あなたがこの店の責任者なら、母娘に対してどういう対応をしますか?
- あなたが母親なら、どのように対応されれば納得し「この店にまた来たい!」と思いますか?
2,店側の対応
母親のクレーム 1.当初10 分待ちという話が30 分も待たせたこと 2.その為、すっかり飲物も飲み干してしまっていること 3.待たせたことは致し方ないとしても、詫びる言葉もなく態度も雑だったこと等を受けて、その場に不在だった責任者(店長)から10 分後、電話で謝罪があり「十分なサービスが出来ていなかった。迷惑をかけた」との理由で、支払った代金は返金された。
3,不満からクレームへ 適切な対応とは
CS(顧客満足)という言葉が掲げられて久しいが、顧客対応者に対する研修をしていると「わがままな客が増えた」という声をよく耳にする。しかし、しっかり認識しなければならないのは、すべての顧客の不満や怒りには理由があり、小さな不満からクレームとして行動に至るまでには段階があるということである。顧客の期待を受け止め、サービス業としての基礎を徹底していれば、小さな不満のうちに顧客の気持ちを挽回する手だてはいくらでもあるはずである。また、謝罪の為に訪問する、返金する、詫び状を書く等、クレーム対応はコストである。同じコストをかけるなら、ただ型どおりの謝罪で終わるのでなく“災い転じて福となす”の言葉通り、クレーム対応を通じて逆にファンにしてしまうほどの対応を目指すべきである。
”型”を作って魂を入れる
Aquarius Method(アクエリアスメソッド)
1,日本人の「腑に落ちる」道の教え
武道・茶道・華道・書道等、“道”がつく教えは、日本独自の考え方や作法が、一つの形式となり、あるいはいくつかの流派に分かれて、今もなお受け継がれている奥深い世界である。それぞれの“道”についての詳細はさておき、日本人の心を表すともいわれるこの“道”の共通点の一つに「型から入って、その奥義を知る」というのがある。
華道・茶道の文化、また剣道、柔道といったスポーツもそうであろうが、すべての教えが、まず“型”を覚えることから始まる。最初は意味も分からず、指導されるままに形を覚えていくが、そのうち形の意味するところや、その形の奥にある仁、義、礼などを感じ取り、身につけていく世界である。
この“道”の教えは、ビジネスにおいても共通したところがあり、“型”と“意識”を分けて捉えると分かりやすく「腑に落ちる」のである。「腑」とは、心や心の働きのことである。頭だけの理解ではなく、合点がいく、納得できる状態になって初めて人は動く。
ここで“仕事”というものを振り返ると、あらためて多くの基本があり、基礎となる“型”があることに気付く。組織として“型”を徹底することで、意識はあるべきところに納まり、人の質とパワーは向上し、組織は成長するのである。
2,意識改革の切り口
2004 年3 月期、再び過去最高の業績をあげた日産。この快進撃の立役者となった、社長のカルロス・ゴーン氏は「再生に最も大切なのは“人”の改革である」と言っている。どんな改革においても重点を置かねばならないのは“人”で、改革を推進するスタッフがモチベーションを持てる環境をつくることが必要であると。また、同時に「意識改革」の重要性も唱え、人々に異なる視点を与え、会社の現実を今までと違う角度から見られるようにすることが、とても大切な要素なのだと訴えている。
「意識改革」の切り口は無数にある。会議のやり方を変えてもいいだろうし、朝礼を工夫するのもいいだろう。しかし、組織全体で持続的に改革を進めていくのなら、単純でわかりやすいものがいい。
長年「凡事徹底」を説き、そうじを徹底することで会社を変える、心を磨く、謙虚になるという指導を続けておられる鍵山秀三郎氏の指導をみてもわかるように、誰でも出来そうなことでも、奥が深く、仕事に役立ち美しさや喜びをともなうものがいいのだ。ただし、大事なのは徹底することであり、どんなときでも全員で徹底し続けるところに難しさがあり、意味があるのだ。
3,姿勢を正す
「姿勢を正す」ことも意識改革につながる。姿勢は、すべての作業の基本であり、やる気の表れ、心の表れである。
商談でお客様と向かい合うとき、繁忙期に煩雑な作業に追われるとき、営業で初めての会社を訪問するとき、動も静も姿勢は基本である。また、次の作業(動き)に移るときも無駄なく効率よい動きをするには、正しい姿勢が必要である。良い姿勢からダラダラした動きは生まれないし、姿勢が良いと頭もスッキリとして仕事がはかどる。仕事がはかどらないからダラダラするのか、ダラダラするから仕事が片づかないのか、どちらかはわかり得ないが、いずれにしてもスッキリとした姿勢でダラダラしているというのは、あまり聞いたことがない。
目に見えない「やる気」や「心」を具体的に教えるのは難しいが、「姿勢」を正すのは、幼稚園でも教えている。「姿勢」という“型”が出来上がれば、意識は自然に形作られていくのだ。補足として、良い姿勢から感じの悪い挨拶や返事が出るというのも、あまり聞かない。小学校の参観日でも、返事の出来ない生徒、挨拶の声が聞こえない生徒というのは、往々にして机に座っている姿勢が悪いものである。学校の先生や親が「姿勢を正しなさい!」と叱るのは、姿勢を正すという形式上のことだけでなく、「姿勢を正して、やる気を出しなさい」という精神の部分を問うているのだ。
4,腹が座るということ
紹介先との商談を100%決めてくるという営業マンがいる。何が違うのか?と聴くと、「腹がすわっているのだ」という。何があろうと軸がぶれない、動じないということであろう。
高次元的には、「腹」とは「下丹田」のことで下腹である。人一倍の苦労を乗り越えた人は腹が座り下丹田のチャクラ(宇宙の情報が入るスポット)が開くという。形式的に見ても、背筋を伸ばすポイントは背骨ではなく下腹である。下腹に力が入って、すっと伸びていれば、自然に背筋は伸びて良い姿勢になるのである。腹が座るという“型”が、意識も仕事も支配しているのだ。