ボストーク -- Boss Talk --
7月です。今年も半分経過しました。ホントに時間が流れていくのは早いものです。小さい頃には、家族も友達もずっとこのままでいるものだと信じていましたが、当然そうではありませんね。気持ちと関わりなく、時は流れていきます。冷酷なようでもありますが、時が流れるから辛いことを忘れられます。旧交を温めることもできます。もし、時間が止まればそんなことはできません。梅雨明けはもうすぐ。季節は夏です。今年の夏は、暑さと電力不足でハードになりそうです。体調をしっかり整えていきましょう。
さて、社会保障と税の一体改革。去る6月26日衆議院で社会保障制度改革推進法案が可決しました。その後、参議院での審議が行われることになりますが、政治情勢がさらに混沌としており、どのように進展するのでしょうか。
この改革の中で一番注目されるのは消費税率の引き上げです。法案が衆議院を通過してから、「今までは財政赤字のことを考えて、消費税が上がるのは仕方ないと思ってきたが、実際通ってみると、それで良いとは思えなくなってきた」というお話を聞くことが多くなったように思います。整備新幹線の着工などの問題もあるのでしょう。
ところで、消費税ですが、一般的には事業者が消費者から預かって払うものとされています。税務署も、「消費税は預り金的性格だから、滞納は許されない」というスタンスを取ります。確かに、考え方としてはそのような仕組みになっていますし、レシートを見ると消費税額が明示されています。しかし、市場経済の中で本当にそうだと言えるのでしょうか。この10年間、価格競争はますます激しくなってきました。消費者は1円でも安いものを選択する傾向がより強くなっています。企業間取引や官公庁の納品は言うまでもなく、消費税がかからない賃金でも同じです。メーカーが、国外に製造拠点を移す目的の一つは、賃金の格差であり、これも国際的な価格競争にさらされているわけです。そのような経済環境では、消費税が何%でも、事業者はとにかく安いものを市場に提供する必要があります。市場には、理論的・絶対的な価格があり、それに消費税がオンされているわけでは決してないのです。
そのように考えてくると、消費税は、消費者から預かるものではなく、事業者が売上金額の中から払うという性格の方が強くなります。まず市場価格があり、その中に消費税は織り込まれるという考え方です。
これに対して、政府が対策として考えているのは、逆進性の問題であり、下請事業者の保護です。確かにそれらも重要ですが、市場経済における消費税の位置づけを考えた場合、本当に消費税が有効なのかという議論をすべき時ではないかと思われます。
今回の改革には他にも深い問題がたくさんあります。中小企業者がどう生き残っていくかという問題もあります。それらについてはまたいつか…。
今年は例年になく気温が低い日が続くことがありますが、それでも次第に気温は高くなってきました。これからしばらくの間、日本は亜熱帯気候になります。真冬と同様体力を消耗する季節です。無理をせず、しっかり体調を整えて乗り切っていきたいものです。
今年のGWは、上手に休暇を取れば9連休になることと昨年の反動で、海外旅行に出かける人が多かったようです。震災で被害に遭った東北地方の復興需要もあり、経済統計で対前年比プラスと報道されることが多くなりました。去年の落ち込みを念頭に置くと、どこまでが実質的なプラスなのか分かりませんが、金融危機の欧州や中国・インドといった新興国の景気後退の中で、日本の消費活動が元気なのは目立ってきているようです。相対的に見ると、「日本の景気は良い」と言うことになりそうです。
さて、3年以上使っていたドコモの携帯電話の調子が悪いので、機種変更に行ってきました。私はiPhoneを持っているので、特にスマホでなくても良かったのですが、価格(値引きで本体費用がほとんどタダになる)と従来の携帯電話はスマホに移行しメンテナンスが受けられなくなる可能性を感じて、P-04Dという軽くて小さい機種にしてみました。
実際に手にとってiPhoneとの比較で考えてみると、同じスマホでも違いに気がつきます。基本的なところとして、iPhoneは、スティーブ・ジョブズの信念でとてもシンプルに作られており、通信は単なる手段です。これに対して、ドコモのスマホは、Googleのアンドロイドをベースにしていますから、Googleの発想が深く関わっている上に、通信会社であるドコモが管理面での主導権を握っており、ドコモのスマホの方が、複雑で使いにくい印象が残ります。
ちなみに、両者の共通点は、パソコンの発想だと言うことです。スマホには従来の分厚いマニュアルはなく、市販の解説本を購入するかネットで調べることで使い方を学んでいきます。特に、使用するアプリケーションは、事前に登録されているものもありますが、それだけでは十分ではなく、自分の好みや環境に合わせてダウンロードしてカスタマイズしていくことになります。この点が従来の携帯電話の延長ではない部分でしょう。使い勝手を良くするのも悪くするのも自分がどこまで手をかけてみるかにかかっています。発想を変える良い機会だと思って次はスマホにされてみてはいかがでしょう。
社会保障と税の一体改革ですが、国会終盤になって政局も絡めて混乱した状態になってきました。民主党が自民党を上手に取り込めるのか、自民党が民主党の瓦解に成功するのか。法案の本質的な内容に深い議論がないまま、法案の成立が政局の道具に使われるというのでは、法案の重要性と比較して、あまりに軽くて薄い政治だと言わざるを得ません。
桜も散って、初夏を感じるとても良い季節になりました。この時期は、暖房も冷房も不要、雨も少なく適度に乾燥していて、晴天が続くことが多く(今年はそうでもありませんが)、日本の四季の中でも気持ちよく暮らせる時期です。特に今年は、311直後で、観光、レジャー、消費といった面で抑制的なものがあった昨年の反動的なものも感じられます。被災地の復興はまだまだ途上であり、1年くらいで元に戻る気配はなさそうですが、それにこだわり続けるのではなく、少しずつ気分を明るくしていくことも必要ではないかと思います。
さて、この時期にお客様とお目にかかると、「確定申告お疲れ様でした。少しは落ち着かれましたか?」と声を掛けられます。確かに、確定申告は税理士にとって大事な仕事ではありますが、続いて3月決算法人の申告が5月末に控えています。日本の会社は、年度に合わせて3月決算が多い傾向があり、これは中小企業も同様です。加えて、GWの影響で、4月後半から5月の第1週まで休日が続きます。ただでさえ数が多い申告作業を、いつもの月より少ない日数でこなさなければならないのです。なので、税理士の仕事は、年末調整が始まる11月くらいから、3月決算が片付く5月後半まで忙しいというのが一般的です。
では、税理士の夏は暇なのか?これは個人差があるので何とも言えないところですが、6月に入ると今度は税理士会の仕事が入ってきます。税理士は、税理士会に入ることが強制されており、登録しなければ仕事が出来ません(もし税理士でない人が税金の相談に乗ったり、税金の申告書を作成すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられますから注意してください)。その税理士会は、原則として国税局単位で構成されており、高松に四国税理士会、その下に税務署単位で支部が置かれています。中予地方では松山支部となります。その支部や四国税理士会の総会は主に6月に開催されます。税理士会の役員になっている人は、総会に向けて忙しいことになります。そして、7月に入ると、税務署の人事異動があり、新しい体制で税務調査がスタートです。この他にも、相続税の申告や事業計画の作成等、飛び込みの仕事も結構あります。このように見てみると、税理士の仕事は、それほど季節労働とは言えないという気がします。
先月お伝えした消費税法改正ですが、新聞報道等によると、それほど進展しているようには見えません。共通番号制の他、国税庁と年金事務所を統合する歳入庁の問題等、単純に税率を上げるだけではないこともあり、政局まで加わると、年内に成立する可能性は低いように思われます。
酒井税理士事務所の平成23年分の確定申告は、おかげさまで無事終了しました。それなりに大変な申告作業でしたが、電子申告導入後は、前日までにほぼ終了することができるようになりました。今年の確定申告は、年金の収入金額が400万円以下で、他の収入が20万円以下の人は申告しなくて良い制度ができたと先月お伝えしましたが、その影響か、申告書提出数は少し減ったようです。
さて、今月はその税金の話題。消費税改正法案が、3月30日、閣議決定されました。2014年に税率を8%、2015年には10%に上げるというものです。久しぶりに政治の世界が揺れています。場合によっては、解散総選挙の可能性もあります。今月は、この消費税改正の問題を考えてみたいと思います。
現在は、マスコミも増税容認論が強いように思われます。その論調は、財政が厳しいので増税をしなければならない、そうしなければ南欧諸国のようになってしまうという展開です。それだけ見ると正しいように思えます。また、「社会保障と税の一体改革」の中で消費税の問題が取り上げられてきました。社会保障も同様に、厳しい状態です。特に年金については、記録が誤っていたこと、コスト負担が公平でないこと等の問題があり、これを税と絡めて改革していこうという話です。これも正しいように思えます。
しかし、なぜ日本の財政はこのように悪化したのでしょうか。そもそも財政はどのようなプロセスで決定されていき、その過程で今日のような状況は想定されていなかったのでしょうか。社会保障についても同様です。日本の人口減少は、実は昭和40年頃にすでに一部で議論されていました。その議論がなぜ封じられてしまったのでしょうか。さらに、人口減少に歯止めがかかれば、今日本が抱える問題のいくつかは解消可能です。しかし、この問題は、社会保障と税の問題とは切り離されているように思えます。また、政策の検討・決定過程に間違いがあったのであれば、税率を上げただけでは、問題解決は一時的なものになるのではないでしょうか。
また、消費税の税率を上げたときに発生する弱者問題については、税と社会保障の共通番号制を導入しようという話があります。これは、誰がどれだけ消費したかを記録することで、低所得の人が負担した消費税を還付しようという制度です。しかし、この番号は、低所得の人だけでなく、日本にいるすべての個人と会社が保有し、消費活動を行う場合には、常にこの番号をエントリーする必要があるのです。クリーニング屋に行くときも、宝くじを買いに行くときも、自動販売機でジュースを買うときも。そんな番号制度が本当に日本の経済に定着できるのか、その前にそもそもそのような膨大なシステムを構築し、運営することができるのでしょうか。そんな議論がほとんどされていないように思われます。
ちなみに、消費税だけが取り上げられていますが、法案の中には相続税・贈与税や所得税の改正も含まれています。このあたりもよく見ておきたいところです。
3月に入りました。確定申告の作業も真っ盛りです。今年の確定申告は、年金の収入金額が400万円以下で、他の収入が20万円以下の人は申告しなくて良い制度ができたこともあり、税務署の窓口は例年と比べて少し空いているようです(住民税の申告は必要ですし、所得税も還付が受けられることもありますから、逆に面倒になったとも言えますが)。また、東日本大震災の寄付金は、寄付金控除の対象になるので(一定の条件はつきます)、こちらの申告も増えています。お客様の大半が愛媛県という私どもの事務所でも、かなりの方が対象となる領収書を持参されています。
ちなみに、税務署には行きたくない、行かなくてはならないとしても早く帰りたいというのが一般的な人の感覚だと思っていましたが、確定申告期間中はそうでない人も多いのだそうです。つまり、行列に並ぶこと、時間をかけて処理が終わった達成感を味わうことが生きがいと感じる人ではないかと思います。確かに、新製品の発売を待つために店の前で徹夜してテレビのインタビューを受けるなんてこともあります。なるほど、人の価値観は多種多様で単純に見ることはできません。
さて、その確定申告ですが、私どもの事務所にお見えになるお客様については、法人の場合と違って、1年に1度来所されるお客様が多いのも特徴です。1年に1度ですから、お互いに確実に1つ年を取っています。白髪やしわが増えたり、服装の趣味が変わっていたり、子どもさんが同席されるようになる等々です。そこで気をつけなければいけないのが、どのような言葉をおかけするか?です。まさかこちらから「お年を召されましたねえ」とご本人に向かって申し上げるわけには参りません。仮に何らかの肉体的な変化を認識したとしても、特に大事なものでなければ、「去年とお変わりなく、お元気そうですね」が基本です。そのように言葉をかけられて不愉快な思いをすることはまずないでしょう。しかし、時々、「やせましたね」とか、「お疲れのようですが、大丈夫ですか」と声をかけられることがあります。私に対して、体調のことを気遣っていただいていることはとてもありがたいのですが、この会話は微妙です。特に、自分として今日は元気だなと思っているときだったりすると、何か病的なイメージがあるのだろうかと不安になり、落ち込んでしまいます。もし本当に重い病気でやせていたのであれば、とてもショックなものとなるはずです。言葉には力があります。マイナスではなくプラスに働くように考えながら使いたいものです。
さて、確定申告の向こうは春です。
今年も確定申告が始まります。私どもの事務所で申告のお手伝いを予定しているお客様については、近日中に事務所から案内文書をお送りしますので、ご確認の上準備作業をお願いします。今年の確定申告は、民主党政権の子ども手当の導入に伴って行われた扶養控除の廃止が適用される初めての申告になります。この間に子ども手当は大幅に削減されてしまいましたが、所得税の改正は予定通り行われることになります。国会では、消費税の議論が熱を帯びてきました。これから年度末にかけて、税が多く取り上げられます。未来の日本を考えるためにも注目の季節です。
さて、この1ヶ月の経済・政治で気になる話題は、31年ぶりの貿易赤字、50年後の日本の将来推計人口が8674万人、震災10会議の議事録なしといったところです。しかし、ここのところ硬い話題が続きましたので、今月はちょっと趣向を変えて柔らかいテーマを。
1月8日(日)、堀之内の松山市民会館で開催されたコンサートに久しぶりに出かけました。市民会館は、高校時代に演奏会で毎年歌っていた懐かしい場所でもあります。この日のコンサートの主役は、あの「クリスマスイブ(雨は夜更け過ぎに〜のJR東海のCMソング) 」の山下達郎、松山での開催は13年ぶりでした。ちょっとマニアックなこのコンサートになぜ出かけたのか?それは、私たちの世代にとって、タツロー(独立前のシュガーベイブというバンドも含む)は、大学生の頃、サザン、ユーミンと並ぶ、ちょっとセンスの良い歌手だったからです。同時期に学生に人気があったのは、アリス、かぐや姫、キャンディーズ…といったところ。その中でも、彼女とドライブに持って行くカセットは、タツロー、サザン、ユーミンでした。当時は、お金もあまり持っていなかったので、すべてのアルバムを買うことはできませんでしたから、友人から借りてきて録音したりしていました。
会場に着いてみると、田舎にもかかわらず、立ち見まで出る有様。しかも、その多くがほぼ同世代(50歳前後)で夫婦連れ。中には一人で来ている男性も。いわゆるコンサートでは異常な光景かもしれません。しかし、何とも言えない連帯感が漂っています。演奏される楽曲を、自分のこの30年に重ね合わせているようでした。大学卒業後しばらく経って起きたバブルとその崩壊、リストラ、結婚、子どもの誕生、目の前に迫る定年。素直にノスタルジーと言えない、ちょっと重たい。しかし、皆この30年を生きてきたという妙な連帯感。18時開演のコンサートが終了したのは21時半。あっという間の3時間半、そして30年でした。さ、少しセンチメンタルに浸ったら、確定申告突入です。
新しい年2012(平成24)年を迎えました。震災の復旧もなお途上であり、欧州各国の債務問題も片が付かず(ついにユーロは100円を割ってしまいました)、消費税問題の先行きはまったく不透明です。これから私たちの生活はどうなっていくのか、不安で一杯のお正月だったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに、とても大きな問題が世界中に山積しています。そう簡単に片付くことはないでしょう。しかし、世の中の出来事は理屈だけで片付くわけではありません。ここはちょっと気持ちもリフレッシュして、考えていきましょう。ただ一つ。投資の格言に、大きい流れと同じ方向に投資すると失敗すると言う内容のものがあります。日本人の一般的な性格として、周りの人に合わせてしまうという点がありますが、今の激しい時代を生き抜くためには、独自の視点を持つことがとても大切なことです(自分だけは良ければ良いというわけでは決してありませんので、誤解ないように)。
体制に流されるといえば、消費税の税率引き上げ問題は、昨年末から突然具体的になってきた感があります。マスコミの論調からは、次の世代に引き継がせないためにやむを得ないというものが多いように思われます。確かに、なぜ消費税を上げようとしているのかと言えば、大きくは財政赤字への対応です(増税分がすべて財政赤字にあてられるのではない点には注意してください)。特に、昨年後半からギリシャを初めとするEU各国の債務問題が表面化し、ユーロの先行きが危ぶまれるなど、世界中で注目される問題になってきています。国の巨額債務という点を考えれば、日本も同様であり(金額的にはそれ以上です)、意識せざるを得ない状況であることは間違いないでしょう。
では、本当に法律改正が成立するのか。国家財政改善のために、消費税率の引き上げは必要という意見は、財政学的には間違いではないのかもしれません。しかし、不安定な政治状況や景気、国民感情といった点を考えると、ストレートに成立するとは思えません。視点を変えると、話題には上りながら、具体的に動かなかった問題が動き出したことは事実です。その結果、思わぬ方向に何かが進んでいく可能性もあります。それがハイパーインフレなのか金利の上昇なのか、今の段階ではまったく想像できません。歴史を見ると、つながりがあるように見えるものでも、その当時、これから起こるであろう事態を予想することは不可能に近かったと思われるのと同じです。ですから権威あるコメントも、懐疑的に冷静に読む必要があります。この点はちょっと注意です。
大変な世の中です。混乱が広がっていく可能性も大いにあります。しかし、しっかり前に進む自分の道は必ず開けると信じることが大切です。
暖かな日が続いた今年の晩秋ですが、12月に入り、次第に気温が下がってきました。事務所に行く途中、花園町通りを通っていくのですが、左右にある銀杏の街路樹が一気に黄色くなりました。毎日、伊予鉄道の制服を着た人が軌道上で落ち葉拾いをしています。これも松山の季節の風物詩です。
さて、連日欧州の金融危機の報道が続いています。リーマンショックに続いて、金融界には大変な問題だと言われるのですが、リーマンショックがデリバティブというテクニカルな問題だったのに対して、今回の危機の対象は、「債券」です。これがひじょうに分かりにくいものであるため、何が問題なのか実感が持てない方を多いのではないかと思います。この点を簡単に整理してみたいと思います。
債券とは、社会的に信頼される団体が発行する借用書のことです。代表的なものとして国や地方公共団体が発行する公債と会社が発行する社債があります。信頼があるというところが重要で、その結果、市場で売買されることになります。債券と言えば、預金と同じものなのになぜ売買されるの?と思った方。それは良い質問です。債券が売買されるポイントは金利にあります。
細かなことは、金融専門のサイトに委ねるとして、公的機関や会社でなくても、お金の貸し借りには金利がつくのが一般的です(イスラム債はちょっと考え方が違います)。金利は高い方が良いと思われるかもしれませんが、あなたが人にお金を貸すときに、返済してくれるかどうか分からない人と確実に返済してくれる人、同じ金利でお金を貸しますか?金利に差を付けるとすれば、どちらを高くしますか?そうです。返済が危ぶまれるほど金利は高くなるのです。イタリアやスペインの金利が上昇しているのは、そのような背景があるわけです。
では、その債券を売買する場合、金利はどう影響するのでしょう。仮にある債券の金利が上昇すると、以前発行されていた金利の低い債券は、金利差を解消するために、安く売らなければならなくなります。「金利が上がると債券の価格は下がる(金利が下がると債券は上がる)」とは一言で言うとこうなるわけです。
今回の危機は、ギリシャの国債が返済できない(デフォルトと言います)可能性が出てきて、EUやその加盟国の信頼が揺らいでいるからなのですが、債券の使い先である財政は、国の歳入や歳出、税と社会保障、失業問題や政治の不安定、ユーロという通貨の問題等々も絡んでいるから、解決策を見つけるのはますます大変なわけです。
経済的にはもっと複雑な背景もありますが、まずはこんな視点を見つければ、世界がちょっとわかりやすくなると思います。
10月は、一気に気温が下がったかと思えば、後半は暖かい日が続きました。このまま11月も暖かさが続くとは思えません。油断することなく、寒さに備えましょう。
世界も大きく揺れ動きました。振り返ってみます。
- ギリシャを中心とするユーロ圏の金融不安
- 欧米系大手金融機関の破綻
- ウォール街でのデモ長期化
- 米アップル社ジョブズ氏死去
- 米アップル社iPhone4S発売開始
- 大王製紙元会長が巨額の個人借入
- タイの洪水首都バンコクに迫る
- 作家北杜夫氏死去
- 世界の人口70億人突破へ
- TPPを巡り国内で激論
金融の問題は、根が深く、当分の間片付きそうもありません。このようなときは、素人が手を出すとヤケドする可能性大です。美味しそうな話が身近にあっても、あまり無理をなさらないようにしてください。
その他の話題では、スティーブ・ジョブズ氏が亡くなったことと、iPhone4Sの発売が重なったことで、いまだにマスコミでは大きく取り上げられています。私も以前から持っていた3GSが購入から2年経ったこともあり、4Sに買い換えました。勢い余って、紀伊國屋の電子書籍Kinoppyで発売直後の伝記も購入してしまいました。
アップル社の製品は、ジョブズの思考が染みついています。伝記では、車の修理工だった父親から、「完璧を求めるなら見えない部品もきれいに仕上げなければならない」と学んだと書かれています。また、「カリスマ的な物言い、不屈の精神、目的のためならどのような事実でもねじ曲げる熱意が複雑に絡み合った『現実歪曲フィールド』の持ち主」であるとも。天才的なジョブズの言葉にはとげがあり、その結果、人間関係は必ずしも良好なものとは言えませんでしたが(自分が興したアップル社からも一度追放されています)、iPhoneを手に取ってみると、彼の目指したものがしっかり感じられます。それは、ソニーに代表されるハイテクの工業的デザインではなく、芸術的でシンプルでしかも楽しい遊びがあると言うことでしょう。その奔放さは、日本ではなかなか認められない人物ですが、彼の力強い精神力が世界のITを引っ張っていったことは事実だと思います。第2のスティーブがいつどこで現れるのか、楽しみです。残念ながら、日本での可能性は…
米アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が10月5日亡くなりました。5
6歳。まだまだ若いですね。うちの事務所のシステムはもちろんウィンドウズで
すが、私が初めて取り組んだインターネットはマッキントッシュのラップトップ
PCでした。「パソコンはいずれなくなる」と彼は言いましたが、iPhone
を使いながら、私もそんな感じがしていました。しかし、スティーブ亡き今、ポ
ストPCの具体的な形を誰が作るのでしょうか。新しい風に期待したいものです。
企業経営という視点で見ると、彼の独創的な発想とそれを活かした企業づくり。
官僚的な空気に染まった組織を変えて行くにはとても参考になると思います。
10月です。時間が経つのは早いもので、今年も残すところ3ヶ月を切ってしまいました。さて、今年の皆様のテーマは片が付きそうでしょうか?
9月は、10日ほどの休暇をいただき、プライベートでスペインに行ってきました。今月はそのスペインレポートです。
1.スペインは遠い…スペインには日本からの直行便がありません。フランクフルトのような欧州内のハブ空港を経由して入国することになります。私たちは、安い航空券を使っての南回り(バンコク経由)でしたが、片道20時間以上かかってしまいました。
2.スペインは暑い…9月中旬のスペイン(マドリッド)の最高気温は摂氏30度、最低気温は15度くらいです。同じ季節の松山と変わりません。しかし、暑い!です。理由は陽射し。乾いた空気のせいか、照りつける太陽にサングラスなしで街は歩けません。私は髪の毛まで焼けてしまいました。
3.スペインで英語は通じない…空港はもちろん、ホテルなど観光客が多いところでは英語が通じますが、ちょっとしたBAR(カフェのような所)では、まず通じないと思った方が良いです。しかし、通じなくても大丈夫。ジェスチャという万国共通語があります。ちなみに私の英語はしっかり片言ですけど、無事帰って来ることができました。
4.スペインは怖い?…スペインに限らず、欧州全般に言えることですが、旅行者でも生活するに当たって自分たちの責任を常に自覚しておかなければなりません。例えばスリ。スリに遭った場合、それは管理不十分だった自分の責任と考えられます。私も地下鉄から降りるときに、ズボンのお尻ポケットに入れていたボロボロの地図をやられました。取られることもあるかとポケットに入れたのですが、お札と似た感触だったのでしょう。本当に大切なものはしっかりガードしておきます。比べると、日本はとても安心・安全です。しかし、それに染まらず、日常生活の中で危機意識を持つことはとても大切だと思います。なお、スリが多いからと言って、スペイン人は皆怖いわけではありません。ちょっと困っているときに、何度も声をかけて助けてもらいました。そんな時は笑顔で「Gracias!(グラシアス)」です。
5.世界は狭い…コンスエグラというドンキホーテで有名な風車の町で、5年前にイタリア旅行で一緒だった阪急交通社の添乗員さんと偶然再会しました。旅の魅力の一つが人との巡り会いですが、あまりに衝撃的でした。ちょっとした危険を覚悟して(それも良い経験)、個人旅行に出かけ、自分の世界を広げてみませんか?
スペインの料理は最高です。まだまだ話題はたくさんありますが、それはまたいつか。
気がつくと、寒蝉が鳴いています。秋が近づいてきたようですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今年になって、税理士会のちょっと重たい役職を引き受けることになりました(詳細はHPに掲載)。そのため、東京や高松に出張する機会がますます増え、以前に比べると時間に余裕がなくなってきました。だからといって時間に追われていてはストレスが溜まるだけです。ここはちょっと視点を変えて、時間管理の勉強をする良い機会だととらえるようにしました。書店に行くと、「ストレスフリーの時間術」みたいな時間管理の本がたくさんあります。が、ハウツーで解決ほど世の中簡単ではありません(参考にはなります)。
いくつかの組織に属していますから、スケジュールが錯綜して入ってきます。もちろん、税理士としての本来業務は以前と変わりません。それらをどのように整理し、管理し、実践につなげていくか。無駄・無理のないスケジュールをどのように組むかです。余裕があるときは、iPhoneのToodledoというToDoリストのソフトを活用していたのですが、思いついたことを入力するには手間がかかります。また、ちょっとしたメモには不便です。いろいろ悩んだ末、結局いつも使っている手帳をもっと活用するようにしました。今までもかなりのメモを残しているのですが、さらにレベルアップを目指しました。予定は年、月、週と日の単位で管理します。会議のメモ、思いついたこと、電話メモも全部書き込みます。予定だけの手帳ではなく、私の情報を統括するわけです。初めて2ヶ月。システム手帳ですから、今までに増して分厚くなってきましたが(これが重たい)、手帳を見ると頭の整理が進みます。
紙には、「記す、拭く、包む」という機能があるそうです。最近、記す機会は激減しましたが、キーボードよりも手書きの方が頭の刺激にはなりそうです。あなたはどのツールを使用しますか。
さて、この手帳に書いてあるとても意味深い言葉です。
「人生を愛する者よ、時間を浪費してはならない。人生は時間でできているのだから。」
先日、税務署の人とお話しした時のこと。税務署では、当然、納税者の情報を見ておかしい点を見つけたり、税務調査に行くべきかどうかの判断をしたりするわけですが、KSKシステムの浸透もあり、データの確認等は基本的にすべて画面上で行い、紙は必要最低限のものしか出力しないとのことでした。この背景には、電子申告(e-Tax)を利用して、納税者や税理士からの申告も、紙ではなくデータで入ってくると言うこともあるのでしょう。
そのように事務を効率化すると、税務調査が多くなるから、電子申告はしないという話も聞きます。税務調査にどう対応するかという点は別の機会に譲るとして、このようなIT化が税理士事務所側でも行われているか?こちらが問題です。ITを導入することで、効率化を図り、事務処理の水準を上げていくことが必要です。
このような形での税務署と納税者・税理士の競争はどんどん行われるべきであり、いろんな意味での発想の転換が、日本経済を最終的には元気にしていくような気がします。
いつもよりずいぶん早い梅雨明け、そして学校の夏休みが始まりました。今年の夏は、昨年に比べると最高気温も低く、摂氏30度台前半にとどまり、夜も少し過ごしやすいように思われます。とはいっても、しっかりと暑い夏です。戸外の熱気と室内の冷房の冷えで体調を崩しがちです。節電も大切ですが、体調管理もしっかり行って参りましょう。
さて、今月は税制改正の話題です。
例年であれば、年末に発表された与党の税制改正大綱は、3月の通常国会で可決成立し、6月頃には政令等の細かな決まりも定まって実際に運用されることになっています。しかし、今年は昨年7月の参議院選挙でねじれ国会となった上に、政権与党である民主党が衆議院で再可決が可能な2/3の議席を持っていない「真のねじれ」状態です。さらに東日本大震災の発生で国会運営が大混乱となっていることも加わって、税制改正については過去に例のない異常事態となっています。そのため、3月末で期限切れを迎える租税特別措置法をいったん6月末まで延期した上で、その間に平成23年度改正の審議が行われました。
そして、6月22日にとりあえずの税制改正法案が可決・成立しています。その法律名は、「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」というとても長いものです(地方税も並行して改正)。
では、具体的にどのような改正となるのでしょうか。
もともとの改正案では、(1)所得税では給与所得控除に上限を設定する、成年扶養控除を縮減する、(2)法人税は実効税率を5%引き下げる、(3)相続税は基礎控除を現在の6割水準とする、(4)国税通則法では納税者の権利を明確にする等々の増税ベースの抜本改革が予定されていましたが、これらの大半は別の法律案として引き続き審理されることとされました。その上で、雇用促進税制等の拡充、年金所得者の申告不要制度(400万円以下)、課税売上5億円超の事業者に対する消費税計算の厳格化等の細かい改正と租税特別措置法の延長等が切り出されて盛り込まれています。
ちなみに、震災の復興財源について、所得税・法人税の時限的な定率増税等が議論されていますが、これは上記の改正とはまったく別のものです。また、社会保障と税の一体改革では、消費税増税と共通番号制が取り上げられていますが、これは長期的テーマの検討です。もともと難しい税金が、ますます難しくなってきました。やはり暑い夏かも…。
早いもので、平成23年も半年が経過し、7月になりました。6月中旬までは雨の日が多くて、比較的気温の低い日が続きましたが、後半からは一気に夏。6月にして梅雨明けを思わせる毎日です。
東日本大震災から4ヶ月経ちました。大企業の工場は予想以上に回復しているという報道があるものの、個人の生活は平常にはほど遠い状態です。政府の支援活動が阪神淡路大震災の時に比べると大きく遅れていると言われています。政治家が何もしてないとか、役所がボランティア活動を規制しているとかいろいろ言われています。実態はほとんど報道されないので分かりません。しかし、あれだけの甚大な被害が出ている状態で、果たしてどこまで迅速で効果的な支援活動ができるのか、そう簡単に進ものではないでしょう。ここは時間を多少かけても、しっかりした復興策を進めてもらいたいものですし、私たちも震災に対する思いを風化させないようにしたいものです。
そのような難しい話はともかく、震災による原発事故の影響で、この夏の電力不足があちこちで取り上げられています。そこで注目されているのがスーパークールビズ。ノーネクタイだけではなく、ポロシャツやジーンズ、ハーフパンツでもOKとのこと。確かに、そこまでやらなきゃという意気込みは買いたいところですが、個人的にはストレートに同意できません。なぜか。まず、35度を超える暑さの中では、ポロシャツやハーフパンツでも頭は働きません。確かに、スーツを着ているよりもよいかもしれませんが、多少でも冷房を効かせない限り、もしくはデスクワーク以外の仕事でなければ(それでも大変だと思います)機能的に仕事はできないように思います。次に、服装に対する感覚の問題です。外国ではフォーマルとカジュアルの区分(ドレスコード)は非常に厳しく扱われます。正装しなければ入れないレストランやホールはたくさんあるのです。そのような意味での国際感覚は大切にしたいところですし、それがおしゃれのセンスにつながるように思います。
ところで、そのスーパークールビズで、ステテコが復活しています。確かに、夏はズボンにまとわりつく汗が大変不快です。私も思わず1週間分買ってしまいました。
さて皆さまにとって今年はどのような夏でしょうか。
今年のお正月は東京で過ごしたのですが、浅草に行く途中、今年竣工予定のスカイツリーに寄ってきました。地下鉄の押上駅で降りたところ、すごい人でした。スカイツリーの様子もすごいですが、みんな上を見て、写真を撮っている風景も面白いものです。こんな風にして、日本人が新しい建造物に注目することって最近あまりなかったように思います。六本木ヒルズや新丸ビルとはちょっと違う、素直に楽しいという感じです。しかもスカイツリーは、高さが634.0m、完成すれば電波塔としては世界一、人工の建造物としてはブルジュ・ハリファの828mに次ぐ世界第2位の高さとなります。この世界一という言葉も、何となくウキウキしてしまいます。あまり難しいことを考えないで、高い!大きい!見晴らしが良い!なんてことで楽しくなって、元気になれる日本人が一人でも増えればよいですね。
![]() 押上駅から南に出てまずこんな風景です | ![]() 川のすぐそばにこんな風に立っています |
![]() 鉄塔のひねりがわかりますか? | ![]() 2011年お正月の高さ539m |
![]() 南から 空に向かって伸び上がっていくよう | ![]() 西側に回って見えるひねりです |
![]() 浅草からもこんなに見えます |
例年に比べるととても寒くなった今年のお正月ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今の日本の風潮は、内向きになっているとよく言われるところです。海外に留学していく若者が減った、会社の中でも内部統制や法令遵守ばかりに目を向ける等々。新しい試みに対しても、問題点を指摘することが多くて、その可能性に目を向け、仮に失敗してもチャレンジ精神を讃えるということが本当に少なくなったように思えます(逆に、司法試験や公認会計士試験のように、新しい制度に思い切って挑んでみたけど、試験に合格しても未来が見えないなんて例もありますが)。
確かに、「会社の決算も国の予算もギリギリのところでやってるんだから無駄を認めるわけにはいかないんだ」という総務部的な意見はあるかもしれません。しかし、貧乏であることと、可能性を認めることとは相容れないものなのでしょうか。
教育について考えた場合、子ども(社員)を育てるに当たって大切なことは褒めることだと言われます。甘やかすのではなく、褒めて自信をつけさせる。自信がついて余裕ができると、自分自身で問題点に気がつくようになり、次のステップに進む。それを繰り返していく。根気のいる仕事ですが、人を育てるには、根気と信念が必要です。そしてそれ以前に、その可能性に気がつくことが大切です。自分の周りにも、伸びようとしている芽はたくさんあるのです。その芽に気がつくためには、感性のようなものが必要かもしれません。また、いろいろなものに目を凝らしておく必要があります。子どもを育てることで親が育つ、私自身も実感していることです。
今の日本にはそんなマクロ的な話ではなく、もっと現実的な対応が必要だという意見もあるかもしれません。しかし、これだけ難しい局面にあるからこそ、もっと大きく問題をとらえる必要があるのではないでしょうか。可能性を伸ばすというのは本当に難しいことですが、その難しいことをやらなければいけないのではないでしょうか。
お正月からちょっと難しい話をしてしまいました。でも、新しい年を少しでも良い年にするために、周りの人を認めることから始めていきたいですね。そして、みんなで一緒に元気になっていきたいものです。新しい年が皆様にとって良い年であることを祈っております。
昨年は、あまり元気がなくて、サイトの更新が途中で止まってしまいました。今年は、できるところから内容を充実していきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今までになく激しい選挙戦の結果、日本弁護士連合会の会長となり注目を浴びた、愛媛県出身 宇都宮健児弁護士の半世紀です。
まず愛媛県出身、そして東京道塾の手島佑郎先生の高校時代の同窓ということで、以前から(勝手に)親近感を感じていたのですが、改めてこの本でその迫力に触れることができました。まず、サラ金対策の弁護士さんというイメージだったのですが、ちょっと違います。大手弁護士法人に代表される企業専門の弁護士とは180度違う生き方です。また、弁護士や司法書士のかなりの数の人たちが、多重債務者問題に関わることで収入を得ていると言われます。それも宇都宮弁護士が問題を正面から受け止めて仕事に取り組んできたためでしょう。ただ、彼らの多くはお金のためにやっているのだと思いますが、宇都宮弁護士は社会の問題として捉えて、自ら先端を切り拓き、法律改正まで行ってきた点では、まったく別の存在です。その生き方は簡単に正義という言葉で言いきることもできないと思います。その深さがあるから、やくざも簡単には手を出せないのかもしれません。
もう一つ注目したいのは、多重債務者問題の延長線上にある貧困層、つまり格差の問題で、それはお金だけで解決できる問題ではないという指摘です。路上生活者が、生活保護を受けられるようになっても、人との関わりがなければ、生きる希望が持てないと言うことです。家族、友人という信頼できる存在、話しかけることができる存在、一緒に笑いあえる存在です。この部分を読んで、コミュニティの存在が必要だと説いたジェイン・ジェイコブズの「壊れゆくアメリカ」を思い出しました。この本の中では、日本はまだ良い国だと書かれていますが、現実はすでにアメリカに近い国になっているようです。
私たちの仕事で、事業再生に関わることがあります。こちらはいかに法律や税金の問題をクリアして、事業を再生していくかという仕事ですが、宇都宮弁護士の仕事と比べると、奥深い部分での思考がない、単なるテクニックで片付けているような気がします。雇用の確保、地域経済の活性化と建前はいくらでもありますが、なぜ再生が必要なのか、なぜ企業は長年にわたる経営でこのような事態(債務超過や新規事業の失敗)に至るのか、その点を見据えなければ、本当の再生はあり得ないのかもしれません。
税理士と弁護士の仕事は少し違いますが、どちらも社会に貢献していく中で報酬を得ることが理想です。自分たちの立場だけを考えるのではなく、広く社会を見ていくことが必要でしょう。そのように考え、少し元気に仕事ができるようになった本でした。
弁護士冥利〜だから私は闘い続ける〜 宇都宮健児 [Amazon]
新しい年を迎えました。皆さまにとって、今年1年はどのような年になるでしょうか。
昨年を振り返ってみれば、いわゆるリーマンショック、少し長い言い方では、米国の住宅ローンバブルという金融の崩壊がグローバル経済に深い影響を与えた世界的な景気の低迷、そして国内では民主党政権誕生による55年体制の終焉、と私たちの住む世界が大きく動いてきました。お正月は年の区切りですが、新しい年を迎えたからといって、経済や政治の流れは途切れることはありません。その流れが大きく激しいだけに、今は、事の次第をしっかりと見定めて、新しい方向を模索するしかないのです。もちろん、世界を注視し続けると疲れますから、お正月はそのような意味で体と心を休める大切な区切りなのだと思います。体を休め、頭の中を一度空っぽにしてから、新年の仕事に取りかかりましょう。
では、具体的なテーマについて今年の課題を考えてみます。
△税制
平成22年の税制改正は、初めて政治家主導で行われた税制改正かもしれません。税理士としても、今までとちょっと空気が違うショックな出来事でした。なぜショックなのかと言えば、まず税調での議論が議事録として公開されていますが、政治家の間で税についてかなり深い議論がされているからです。そこまで政治家がやらなければいけないのか、もう少し官僚に委ねるべきではないかという意見もあります。しかし、新しい政治体制で、今までと違う政治手法にチャレンジしてみるのは大事なことです。また、できる限り政治家が現場を知ることも大切なことです。税制については、税理士会もいろいろな提案を行っていますが、時に議論が詰められていないと逆に指摘されています。税理士も今までは中途半端な提案しかしてこなかったとも思える話ですし、政治家にそのくらいの迫力も必要なのではないかと思います。2番目に、官僚が事務的な部分でしか関わらないので、マスコミに税制改正についてのリーク記事(例えば、「贈与税はこうなる」みたいな決定的な文章の記事)が出ません。この点は、推測での話ですが、マスコミの人たちも税制を本当に理解して記事を書いていたわけではなく、どこかから入手した資料で記事を書いていただけなのではないかと思わせます。議事録を読んだだけでは、確定的な記事は書けませんから、今回の改正のネタ探しは大変だったでしょう。税理士も税の現場に関わる者として、理論的に裏付けされた提案を行うべきです。
とはいうものの、今回の税制改正では、最後はやはり政治決着的な部分が見受けられたのは残念です。政治ですから難しい部分ですが。
税制に関連するもう一つの大事な話は、国家予算の問題です。「具体策見えず」、「・・の視点を欠く」と同じくマスコミの表現は相変わらず意味不明ですが、歳入を超える歳出を行ってきた過去の予算を簡単に止めることができない中で、その編成は大変難しいものだったと想像されます。今回の税調の議論にも出てきたのですが、税を払っている国民が、どれだけ税の恩恵を受けているのか、今まではこの点が国会でもマスコミでも明確にならないまま予算編成が行われてきました。その点を明確にした上で、負担に見合うだけの歳入を確保すべきなのか、逆に歳入に合わせて歳出を削るべきなのか、国民の間で深く議論すべきでしょう。
今回の税制改正は、政権誕生から時間もなく、所得税や相続税の増税の可能性がある部分についての本格的な検討は、来年に持ち越されています。その際には、国民が享受している国の助成と負担のバランスについて検討され、どのような国家運営=財政を望むかという点での議論が行われるべきです。そのためにも、税理士は税のあり方について深く検討すべきですし、マスコミも冷静な記事を書いて欲しいものだと思います。
△景気の行方
今の日本人が感じている景気に対する先行き不安の要因は、株価でも、金の価格でも、上場企業の利益でもありません。それを一言で言えば雇用の問題でしょう。株価や金の価格が上がり、上場企業が利益を出しても、いつもリストラの不安に怯え、給与やボーナスのカットも仕方ないという状態では、気持ちが明るくなるはずがありません。
雇用の安定化のためには労働法の整備が必要だという意見もあります。確かに一定の強制力が必要な局面もありますが、法ですべて縛るのは難しいと思います。基本は、従業員にもある程度恵まれた環境を作り、満足して仕事ができるようにするという経営者の姿勢が必要なのではないでしょうか。
また、グローバル経済が浸透する中で、企業における競争や利益を追求する姿勢にも問題があると思われます。どちらも最後は売上単価の引き下げとコストカットで対応することになります。価格の下落は消費者にとって歓迎すべきだという風潮がありますが、それが結果的に労働コストの引き下げや雇用環境の悪化につながり、自分たちの生活に大きく影響しているのです。モノが水道のように世の中に溢れてくれば、皆幸せになるはずだという松下幸之助の水道哲学というものがありますが、それは松下電器のように、定価販売と一定の粗利益が確保できる上での話です。
ここは一つ、今までと違った視点、効率性ばかりを追求しないとはどのような世界なのか、どのような経済なのか、その結果人々は幸せを感じることができるようになるのか、いろいろな面で検討すべきだと思います。
本当に行き詰まって大変な時代です。しかし、行き詰まっていると感じているだけでは先には進めません。視点を変えてみる勇気を持つこと、そして世の中を大きく捉えてみることで明日が開けていくような気がします。それは決して明るいだけのものではないかも知れませんが、何よりも多くの人が落ち着ける社会がまず作られるべきではないでしょうか。
便利ではないかもしれませんが、少しホッとする社会を目指して参りましょう。
今年もよろしくお願いいたします。
税理士業務のIT化(1)
IT化の中身を説明するのは大変難しいように思われます。なぜなら、ITを進んで取り入れている人にとって、それはごく日常の生活だからです。外見だけ見ると、パソコンやインターネットを使うことなのですが、自分なりにカスタマイズしてみる、トラブルが起きた時にそれなりに対処する、そんな経験の積み重ねを理解するのは難しいでしょう。ただ、誰でも初めて車を運転するのは大変ですが、いつの間にか車のコントロールの感覚が体に染みつくように、ITも自然に体に染みつくものだと思います。あとはやってみるかどうかだけです。
税理士にとっても、このIT化は、真剣に求められるテーマとなっています。まずは電子申告の対応という話でもあるのですが、これだけ考えると、ちょっと片手落ちのような気がします。なぜなら税理士の仕事は申告書を提出するだけではないからです。私たちの仕事からIT化を考え、その中で電子申告を考えるべきなのではないかと思います。
私にとって現在の税理士会の肩書きに、「四国税理士会情報システム委員会副委員長」というものがあります。この仕事のおかげで、税理士のIT化の問題についてはいろいろ考えるのですが、これからこのテーマについて続けて書いていきたいと思います。まずは6月の会報に書いた原稿をアップします。
日本税理士会連合会「税理士界」2009年6月15日号『論壇』原稿
「なぜ電子申告なのか〜明日の税理士像と電子申告〜」
1.はじめに
筆者は四国税理士会情報システム委員会の一員として4年間、税理士会での電子申告普及推進活動に関わってきた。この間、税理士の間でも電子申告の普及がそれなりに進展してきたと思われるが、まだ完成型と言えるものではない。今回は、その間感じた税理士業務における電子申告の位置づけと問題点について触れてみたい。
まず、電子申告の普及推進に否定的な意見の根拠として、税理士会員から一般的に取り上げられるものには、下記のようなものがある。
1)税理士にとっても、納税者にとっても電子申告にはメリットが感じられない。
2)インターネットではセキュリティに不安があり、通信環境も不安定だ。
3)自分自身の業務内容から電子申告が必要とは思われない。
本稿では上記の課題を念頭に置きつつ、電子申告のベースにあるIT化を税理士業務の中で検討し、その上で電子申告にどのように取り組むべきかという方向で検討を行っていきたい。
そもそも「IT(Information Technology)」とは何か。それは「情報技術」とほぼ直訳のような形で訳されるが、「コンピューターやインターネットの発達に合わせて、情報・通信の技術を社会的に応用していこうとすること」だと国内では一般的に定義される(電子申告とは、このITが税務の分野で運用される技術である)。しかし、英語としての本来の意味は、特にコンピューターやインターネットのような最新技術のみを指す訳ではない。グーテンベルクの活版印刷技術も、郵便、電報、飛脚もITである。最新技術の面ばかりに目を向けてしまうと、その言葉が持つ意味を正確に理解することができない。改めてITという意味を考えると、「情報の入手から始まり、加工・分析・保存、そして発信という過程の中で想定される技術的体系の問題である」と言えるのではないだろうか。つまり、コンピューターやインターネットといった技術的問題だけでなく、情報の取扱について深く考えられるべきであり、その上で最先端の技術をどのように活用するかという点に及ぶべきである。
2.税理士事務所における情報管理
税理士事務所にはどのような情報があるのだろうか。納税者に関する情報、税制に関する情報、事務所のマネジメントに関する情報、事務所周辺のランチに関する情報等々、税務に関するものが多いという特徴はあるものの、他の業界の平均的なオフィスと同じようなものであると思われる。これらの情報は、まず何らかの形で入力が行われ(電話や打合せでのメモ作成も大事な入力作業である)、次いで加工、保存、そして最後は必要に応じて発信されるという過程を経る。その結果、事務所の中に残された情報は、体系的に整備され、秘密保持に配慮して保管され、効果的かつ迅速に発信できるように(例えば検索可能な状態)になっていることが理想的である。
ここで、効率的な情報管理を考える場合、コンピューターの存在は欠かせない。航空機が安全に飛行するためには、燃料の消費や高度等に関する各種データ、気象条件といった様々な情報の収集と分析が必要であるが、この点でコンピューターの存在は不可欠であるし、日常生活の中でも、コンピューターは家電製品はじめ様々な分野での制御装置として有効に機能している。
税理士事務所内の情報管理が紙ベースである事務所でも、会計や税務の情報はコンピューターで処理されているというところが大半だと思われる。それは、コンピューターの計算が確実かつ容易であり、処理スピードが速く、データの保管場所がほとんど不要であるといった理由だろう。このことは情報管理の発想からして当然のことである。
インターネットも、同様である。本を買う、書評を読む、出張の手配をするといったことから、ドイツにある古城の入場予約も日本国内から簡単にできる。ウィキペディア(Wikipedia)のようなフリー(無料)の百科事典を利用することも普通に行われる。税理士であれば、国税庁のサイトから特殊な申告書をダウンロードする、TAINSで最新判例を確認すると言ったようなことは決して特殊なことではない。ワールドワイドに情報を入手するにはインターネットは欠かせない存在になった。他にも様々な利用法が可能であるが、ここでは書き尽くせないし、本稿の中心テーマではない。このインターネットが世界の情報管理の発想を大きく変化させたことは事実であるし、電子申告の送信もこのインターネットによることとなる。しかし、世界中からあまりにも膨大な人がアクセスするこの情報ネットワークは、それ故にあまりにも未知な部分が多く、発展途上であって、根幹部分に問題も多い。インターネットが普及を始めた10年近く前には、そこに理想郷のようなものがあると言われたが、実際の発展は必ずしもそうとは言えないようである(この点を鋭く指摘したものに、ニコラス・G・カー著「クラウド化する世界」翔泳社刊)。
3.電子申告の位置づけと課題
電子申告という作業はどのようなものか。それは、事務所のコンピューターからインターネットを通じて、納税者の申告情報を、国税庁のサーバーに送信する作業である。この作業は情報管理という視点から考えてきわめて合理的なものである。そのように考えれば、申告書を紙で出力し、税務署の窓口に持参する行為と、事務所から直接送信する作業のどちらが効率的か。様々な反論は予想されるが、情報処理の効率化という視点を中心に考えれば、電子申告はきわめて合理的な手段である。
しかし、電子申告には課題も多い。例えば、否定的主張の裏付けの一つであるセキュリティや通信環境の不安定という問題がある。これは電子申告に固有の問題ではなく、インターネットが抱える致命的欠陥の一つである。この点については、リスクがあるから行動を控えるのか、リスクを念頭に置いた対応法を事前に図りながら行動するのかという選択となる。仮に、プロとして電子申告に取り組むのであれば、二重三重のセキュリティ対策と送信方法を構築し、電子申告を行うと言うことは当然でないだろうか。そのためにも、インターネットに対する深い知識と理解が求められる。
もう一つの課題は、情報の保存である。電子申告以前は紙ベースで保存されていた申告に関する情報が、電子申告以後も紙ベースという事務所は少なくないようである。それでは情報の電子化を推進した意味が半減してしまう。この点を改善するためには、ペーパーレス化など事務所内の情報の電子化を進める必要があり、それを有効なものとするために、情報の体系化、業務フローの整備、決裁権限の確認、ネットワークの構築等々、マネジメント面での検討が必要である。スキャナの方法など、具体的な電子化に関する資料は多数あり参考となるが(例えば、日本税理士会連合会編集「税理士事務所の情報管理」ぎょうせい刊)、情報の体系化等のシステム上の問題は、一般的な解説書等を読む前に、各事務所の特性をまず分析してみることが必要である。
4.終わりに
電子申告というテーマをきっかけに、税理士の情報管理を取り上げる結果となってしまった。終わりにあたり改めて申し上げたいのは、一人一人の税理士が情報管理について問題意識を持ち、情報の有効な蓄積と活用を念頭に置いて業務を行っていくことであり、その中で、電子申告への取組は検討されるべきである。インターネットの世界も大きく変化していくことが予想される。それを税理士の視点でフォローしていくことも必要である。それは税制改正の研修に熱心に参加すること、納税者とのやり取りを記録することと今や同じ水準である。税理士が、実務面から重要性と緊急性を意識した情報管理を行うことは、事務所の水準を上げることにつながるはずである。そして何より、得られた様々な情報に磨きをかけること、必要に応じて発信することも税理士にとって最も重要な仕事であることを忘れてはならない。
今後も電子申告の推進が求められると思われる。その前に、なぜ電子申告なのか、それが明日の税理士像にどのようにつながるのかという点を明確にした上で推進活動が行われること、そしてそれを税理士自身が自覚することが望まれる。
1度しか行ったことはないのですが、何となくイギリスという国は好きです。日本と違い、機械化されているようでされていない国、物作りはヘタなんだろうなという国、でも細かなことにはこだわらないで国作りをみんなで考えている感じがする国です。もっとも、うちの家内は、ちょっとした英語の表現を訂正されたとあまり良い印象は持ってないようですが。
そんな英国に20年近く住んでいる著者の本です。
英国的発想が良いとか悪いとかではなく(逆に日本がどうのこうのではなく)、彼らがどんな発想をするのか、その背景はどのようなものかと言うことが、しっかり書かれています。
何事にも真面目に、組織全体を考えながら取り組む日本人に対して、大きく物事を捉え、組織ではなく自分のポジションで考える英国人ということになるのでしょうか。それが日常生活ではどのようになるのか?と言うことが何点か取り上げられています。
私とまったく同じ視点だったのは、日本でのサラリーマン時代に、小さな子どもたちと過ごす時間がなかったと反省していることです。英国では仕事を定刻で終えたら自宅で食事するのは当たり前のこと。う〜ん、日本の男たちも、毎日外で飲むなら家に帰るべきですね(英国人はその代わりランチでしっかり飲んでるのです)。
もう一つ面白いと思ったのは、京都に英国人の友人を連れて行った時の話。彼が京都駅に降り立った時に、眼の前にパチンコ屋があり、自動販売機があり、電柱があるのがおかしいと思う視点です。
確かに、私たちは、京都も奈良も(松山も)そのようなものだと普通に受け入れています。が、もし京都の駅に降りた時、1000年前と同じような風景が広がっていれば、どんなに感動的でしょう。
1度だけの英国体験ですが、大学で有名なケンブリッジに行った時、家族と一緒に自転車でちょっと郊外まで出かけました。そこには英国の田園風景が広がっていました。多少の違いはあるでしょうけど、たぶん100年前、見方によっては200年前とそれほど変化はないはずです。京都も、世界から来る人のイメージはそれと同じではないでしょうか。
そのためには、行政手続が大変でしょうって?それって、真面目に組織全体を考える日本人的発想ですね。大変だけど、やるべきものならやってみましょう、と思うのです。
大切なことを忘れていました。この本で教えられる非常に重要なことに、ルールについての感覚と言うことがあります。
その一つ。外に珈琲を買いに行くとき、特定のメンバーの分を誰かが買いに行くという話です。特定のメンバーになるのは、その代金は買いに行く人が負担するからです。その負担するメンバーは、常に交替します。その作業を続けることで、結果的に、そのメンバー間では貸し借りが概ねなくなると言うことです。特定のメンバーになりたければ、「これから買いに行くけど欲しいものはないか」と聞けばよいわけです。参加したくなければしなくて良し。これも暗黙のルールなのだそうです。
2つめ。仕事中に30分から1時間抜け出してジムに行く話。そりゃ英国だって就業規則違反ですが、上司は見て見ぬふりだそうです。なぜなら、ジムに行くことでリラックスし、その分仕事に集中できるから。成績重視の英国ならではと言うことでもありますが、あまりにも完璧にルールを守ろうとする日本人の感性とはずいぶん違います。
私も海外に出かけますが、個人旅行が多く、大変な苦労をする反面、ちょっとルール違反だけど目をつぶってもらうという経験をすることがあります。この感覚は、国際的な交渉には不可欠ですし、日本国内でも、ルール厳守を徹底するだけでは、ルールを守ることがすべての目的になってしまい、柔軟な発想、思い切った発想が生まれないということになります。目の前の行動で本当に大切なのは何か、仮にルール違反であるとすればそれがどのような影響があるのか、その結果この行動は実行に移すべきか。もちろん法律違反は犯してはいけないというのが大原則ですが、コンプライアンスなどという言葉で、あまりにも厳格すぎる日本人のルール感覚、この点はしっかり考え直すべきだと思います。
渡部幸一著「イギリス流『融通無碍』のススメ」講談社+α新書
ファニーメイ、フレディマックの国有化から始まった米国金融界の危機は、リーマン・ブラザーズの破綻、AIGの公的資金投入と続き、世界中のマーケットが大きく揺れています。これは単なる一金融機関の問題ではなく、グローバル化された世界の金融システムに致命的な障害が生じていると考えるべきでしょう。突然起きてビックリという方もいらっしゃるかもしれませんが、実はずっと以前から問題視されていた部分です。マスコミが正面から取り上げなかっただけなのです、というか例えばデリバティブや格付けと言われる金融に出てくる仕組みは、仕組みを理解するのも大変ですし、仮に理解したとしてもその実態を正確に把握することは困難です。今回の金融危機は、公的資金や主要先進国の中央銀行から資金を集めて、いったん救済し、市場を持ち直そうとしています。しかし、それはあくまでも急場しのぎで、金融の根幹部分、つまりデリバティブや格付けといった得体の知れないモノで塗り固められた虚構のような金融市場をいったん破壊してしまい、実体のあるモノ、信頼のあるモノから作り上げていかないと解決できないと思います。今後は、この余波がさらに実体経済や家計にも波及していくと思われますが、市場とは何か、投資とは何か、お金とは何か、そして生きていくとは何かということをちゃんと考えて、暮らしていく時が来たように思います。当分の間、大変な日々が続くかもしれませんが、足許を見直す良い時期が来たと考えましょう。自分の人生と家族と仕事のことをしっかり考えるべき時です。もちろん、暗くなってはいけません。楽しく明るく元気よく。都会の暮らしがしんどいなと思ったら田舎に行けばよいのです。愛媛にある豊かな自然は、ふところ深く受け入れてくれるはずです。パソコンの画面で株の取引を続ける日々よりも、海で魚を釣って、陸で野菜や米を作って、木陰で読書をする毎日の方がどんなに人間的で健康的か。これからは視野を広げて着実に生きていくことがとても大切な時です。
ミモザに続き、ジャスミンの花が咲きました。ミモザは春を知らせてくれますが、ジャスミンは初夏を知らせてくれます。2004年は4月15日に満開になっていますが、今年はGW直前でした。5月の青い空と白いジャスミンの花のコントラストがさわやかです。ジャスミンと言えば、芳香剤にもよく使われていますが、実際の匂いも同じようなもので、GWのわが家には芳香剤は不要なのです。
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今年もミモザの花が咲きました。桜と同じで、去年に比べて少し遅く3月はじめでした。4月はじめ、桜の花と交代するかのように散っていきます。今年は少しアップにしてみましたが、いかがでしょう。フワフワして気持ちよさそう。ホントに春の花です。
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2007年のビッグイベントだった英国(主にロンドン)旅行のスナップです。英国 と言えば、食事はまずいというイメージでしたが、妻の知人がロンドンの駐在員 をしており、彼の案内で回ると美味しい食事に巡り会うことができました。また、 写真は撮らなかったのですが、タクシーやバスでの移動も面白い経験でした。ロ ンドンの街の作りがよくわかります。ツアーも良いですが、お知り合いの方がい たり、しっかり本を読んでいけば、治安は悪くない街だけに、それなりに楽しめ ると思います。その知人の言葉ですが、「英国人は敵に回したくない相手だ」。 個人旅行で、地元の人と少しでも交流があることで、彼らの国の作り方、政治に 対する考え方が何となくわかったような気がします。地下鉄でのチケットの交渉、 マーケットでの食料品の購入・・・もう去年の話になってしまいましたが、メモ リアルツアーでしたので。
このコラムでは久しぶりになりますが。
ちょっと珍しいミモザの花です。わが家の玄関先で咲いています。冬の空気に
少し春を感じる頃に咲くので、わが家では春を知らせる花になっています。もち
ろん今年(2007年)は大変な暖冬でしたから、季節の変化を感じることはで
きませんでしたが、この黄色い花ですごく元気になったのはいつもと一緒でした
(「確定申告もがんばらなくちゃ!」と言ってくれてるみたいです)。ただ、こ
の花が終わると枯れた花びらと種で庭の掃除が大変になります。お向かいのOさ
んにはホントにご迷惑をおかけしております。ちなみに、今年の開花は2月18
日、いつもより10日ほど早かったようです。
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わが家の狭い庭に咲いたジャスミンのアーチです。毎年GWに花開いてジャスミン独特の香りが庭一面に漂います。最近携帯電話を買い換えました。最近の携帯でカメラ機能は欠かせませんね。2004年4月15日撮影。
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10月12日付の日経新聞に家計の資金不足についての記事が掲載されました。そこで、日銀の資金循環統計のデータを確認すると、家計部門の資金過不足は、下記のようになります。
2003年 4−6月期 10兆 258億円 2003年 1−3月期 △ 17兆 682億円 2002年 10−12月期 13兆 1324億円 2002年 7−9月期 △ 7兆 4389億円 年間計 △ 1兆 3489億円
景気が回復基調であると各方面で言われていますが、家計の資金が赤字であることを考えると、景気回復=リストラ=人件費の削減であって、勤めている会社に利益は出たが、自分の給料が減らされた(または、クビになった)ので、家計はマイナスとなったと言えるかもしれません。なお、これはあくまでも私の推測であり、統計の理論的な解説は専門家の視点も加えて検討されることをお勧めします。
ちなみに、1400兆円と言われた個人資産の推移は、下記の通りです。
2003年 6月期 1385兆 4425億円 2003年 3月期 1368兆 7337億円 2002年 12月期 1388兆 1290億円 2002年 9月期 1389兆 702億円
安定していると見ることもできますが、わずかながらの減少、良く表現しても伸び悩みですね。収支が赤字なのですから、貯蓄も増えるとは考えにくく、これからのことを考えると不安です。
では、家計が赤字になった原因として考えられるものは何でしょう?
- 今まで家計を貯めてきた年齢層がさらに高齢化した
- 家計を貯めない層の比率が増加した
- 貯めたくても貯められない(それどころじゃない?)層が増加した
私の周りを見ても、毎月の収入をしっかり貯めて、その残高が必ず増加しているというお家はほとんどないのではないでしょうか?その理由は、
- 収入が減少している
- 貯める以前に消費に回したり、ローンの返済に充てなければいけない
といった点が原因だと思われます。これは30代40代の話で、20代になると、就職口を得るのも至難の業です。結局、これから家計の収支がプラスに転じることは考えにくいようです。
このまま家計に資金が回らないということになれば、どうなるのでしょう?
- 消費に結びつかない
- 企業は依然として設備投資が出来ない
- 国債等の公的部門の赤字を解消できない
- その結果、社会保険や税金の国民負担は増加する可能性があり、さらに家計にダメージを与える
- 社会不安が増大する
- 上記の結果、日本全体が明るくなるにはなお時間を要する
これに、政治が先見的な視点で国民をリードするとは考えにくいという条件を加えれば、お先真っ暗です。明らかに、日本の各セクションでお金は足りなくなってくるのが実際のようです。
インフレになればすべてが解消するという話もありますが、インフレは現在の貯蓄を間違いなく減少させます。収益獲得能力が落ちてなければそれで良いのですが、高齢化が進展した日本では、それも至難の業だと思われます。
もちろん、悲観しすぎてしまう必要はないと思います。日本人は基本的に勤勉ですし、製造業でしっかり外貨を稼いできた国です。今までの保有資産もしっかり持っています(これ以上の無駄遣いは出来ませんが・・)。ただ、今までの経済構造は大きく変化しており、それが個人の生活に将来的に影響することは間違いなさそうです。その日が来る前に、個々の家計がしっかり採算が取れるようにがんばらなければならないのではないでしょうか?その際に必要なのは・・・
- 国(お上)を当てにしない
- 自分が出来る仕事を見つける
- 見栄を張らない(自分のスタンスをしっかり維持する)
- しっかり勉強する
ということではないかと思います。
高度成長の結果得られた繁栄の上に日本の飽食があり、その転換点がバブルの崩壊であり、消費者金融〜多重債務者〜住宅ロ−ン地獄ではないかと思います。収入の先細りの可能性があるのであれば、消費者金融に走るのではなく、思い切って出費をカットするような迅速な意思決定が求められます。衆議院選挙で、国家財政の問題を議論することも大切ですが、同じレベルで家計をしっかり見つめなおすことも早急に求められています。
将来を悲観せず、しかし足許をしっかり見てまいりましょう!
■江戸岡小学校について調べたこと、考えたこと
自己紹介では省略しましたが、私が通った小学校は愛媛県八幡浜市の八幡浜駅の近く、江戸岡小学校というところです。愛媛の片田舎で「江戸」というしゃれた言葉が使われたこの地名が私は好きでした。この小学校の校舎が、今年の夏で、老朽化のため取り壊されることになり、ちょっとしたイベントがあったのですが、同時に私たちの代(昭和46年3月卒業)でミニ同窓会を開こうと言うことになりました。その時に深く考えさせられることがあり、ここでまとめて書いておきたいと思います。
まず、当時(昭和40年前半)児童数は600名を超えていたような記憶があるのですが、今は250名くらいに減ってしまっています。1学年1クラスですね。そのため一部には廃校の話があったようです。そりゃこのままでは、これからも児童数の減少は間違いなく続くだろうし、狭い市内で(八幡浜市って本当に狭いんですよ)、この校庭の有効利用を図ることが出来れば経済的には良いことだと思います。逆に、自分の学んだ学校がなくなることはまず寂しいし、政治的な問題も絡んで、反対意見もあるでしょう。問題は、この学校を潰すことで、それが1地方都市の活性化に一体どこまでつながるか?と言うことです。学校ってあるだけで地域の活性化につながっているような気がします。子どもの数がまったく維持できないのなら廃校も仕方ないことですが、効率性を重視しすぎてはいけないような気もします。そうでなくても、世の中あまりに効率性=お金儲けに走りすぎてる時代ですから、維持する意味がまったくないとは言えないような気がします。
もう一つは、今回の件で江戸岡小学校をネットで調べたところ、この小学校が、「随所にちりばめられた採光技術、子どもの体格を考慮し設計された緩やかな階段、整然と並んだ窓々が織りなす洗練されたデザイン」の松村正恒建築の代表作であるということです。黒板とかランドセルを入れる棚とか壁が必要なところ以外はすべて窓ガラスなのです。廊下も当然はきだし窓。その明るい廊下で、私たちは座り込んで本を読んだり、女の子の話しをしたり、けんかをしたり、みんなでおはじきなんてしてました。教室は子どもの視点で作られていたってそういうことだったんだ、とその時の光景を思い出しながら改めて実感しました。
この2つのテーマはじつは共通しているように思えます。建築家は学校の設計に当たって、そこで学ぶ(遊ぶ)子どもたちや、先生、用務員さんのことを一所懸命考えました。その結果、とてもやさしい校舎が出来上がったのです。当たり前のことですが、30年前の私たちにとって、学校とは日常生活であって、毎日通う学校は面白くもなんともなかった。でもそこにはいろいろな人の思いがたくさんたくさん入っていたのです。時代の流れとともにその校舎はなくなります(木造校舎だからどうしようもない)。今、子どもたちの数は日本からどんどん減っています。そして、同じくらいのスピードで、日本から、他人を思う心、優しい心が消えていっているように思えるのです。子どもを育てること(愛すること)は大変なことですが、育てた大人も間違いなく成長します。そして、子どものいる家庭はとてもホッとする場所です。今の日本の社会に必要なのは、お金やモノではなくて、もしかすると子どもなのではないでしょうか?もちろん、効率化された社会の中で、雇用機会は加速度的に喪失されており、社会環境も同じく悪化しています。財政も政治も会社も何もかもメチャクチャ。そんな国で子どもを産み、育てることはとても大変なことだという意見もあるでしょう。だけど、効率性だけを求めてよい時代ではもはやないような気がします。子供が生活でする無駄ほど今の日本に必要なものはないような気がします。子どもと一緒に日本も成長しなくちゃいけないと思えるのです。
私たちが小学校で学んだ昭和40年代、日本はまだまだ貧しかったけど、精神的にはとても幸せだった・・・ような気がします。日本でもサイコーに過疎の町八幡浜にも人がたくさんいて(今、人口3万人の町に、当時はナント5万人もいたのです)、全国どこの地方もとても元気でした。それから30年。多くの人々は東京に出かけて行き、特に90年代以降、金の集まるところ、金融センターに集まって、で、911やイラク戦争のような荒んだ時代になってしまいました。昔の良き時代を懐かしく思い出すというのではなく、田舎や家庭に帰ることに、今こそ何か大きな意味があるような気がします。そして、私たちが6年間学んだその校舎には何かが詰まっているような気がするのです。当時の校舎は消えてなくなりますが、6年分その思いを体と心に刻んだ者として、その思いをこれからの人たちに伝えていかなくてはならないと思うのです。
江戸岡小学校の校舎とその設計をした松村正恒氏については、下記のサイトに掲載されています。
http://web.jia.or.jp/jia/topics/kenchikuka/dat/matumura.htm
http://web.jia.or.jp/jia/topics/planning/20centry/9902.htm
http://www6.ocn.ne.jp/~hase-e/matumura.html
■同窓会について思うこと
同窓会を学校で開いたのは、私たちの代だけだったようです。50年の歴史の中で、他の代でも開催されるのかと思いましたが、やっぱり人を集めるってエネルギーのいることですね(ちょっと寂しい)。中心的に幹事をしてくれた堀田(旧姓:山本)雅子ちゃんと瀬尾のたっち他八幡浜のみんなには心から感謝!です。小学校の教室にお弁当と内緒でビールを持ち込みました。まさかこの教室でビールを飲むことになるなんて、当時のみんなが、ドラえもんの引き出しを使ってその場に顔を出したら、絶対驚くでしょうね。
ミニ同窓会の感想です。3クラス約120名中18名の出席。東京から実家に寄らず直接来てくれた者もいて、結構にぎやかでした。不思議なのは、みんなの顔を覚えていることです。4年に1度やってる高校の同窓会では、名前と顔が一致しない人がいるのですが・・・。同年代としてはみんな若く見えるのが理由だ、と勝手に結論付けました(自己満足?)。
もう一つの話題は、卒業文集です。将来何になりたいか?っていうよくあるテーマですよね。男の子は宇宙飛行士になりたいっていうのが多かったようです。当時は、アメリカがアポロ11号で月面着陸をした直後で(1969年7月20日です。)、スペースシャトルのような今のイメージとはちょっと違うんでしょうね。お世話をしてくれた堀田雅子さんは、「公害問題をなくしたい・・」だったそうです。高度成長期で、日本中の工場からの公害が大問題になっていました。製造業が衰退した現状では考えられません。今は母として、取り組んでいらっしゃいます。では、私は何になりたかったのか?当時はナント医者でした。すっかり忘れていて、ショックでした。そういえば、両親に言われて、素直に当時の成績優秀者が集中した医者志望だったんですね。でも高校で理科の成績が伸びず、アッサリ断念。一転、弁護士志望で法学部に入ります。そのつもりだったのですが、おじさんみたいな司法試験の浪人生を見てまたまたアッサリ断念(今や100名を超える慶應の合格者も当時は20名少しだったような気がします)。結局、たどり着いたのが税理士・・・という自分の人生を振り返ることになってしまいました。私としては、難局を避けて今の立場に置かれてますが、今やっと自分の人生に正面からぶつかろうとしてるような気がします。それから当時の文章が妙に大人びてて味気ない。写真もそうでしたが、ホントに優等生の坊ちゃんです。悩むこと、難問を避けることも若い時には良い経験だと思います。でも、どこかで必死にならなきゃいけない環境に自分を置く(置かれる)。その時が勝負です。その時の「がむしゃら」で人間は変われると思います。
今回の同窓会で私はとてもストレスを発散することができました。なぜなんだろうと考えたのですが、一つは上に書いた学校の設計に対する建築家の思いをしっかり感じたこと。もう一つは、小学校の友達って、仕事とか社会的地位をほとんど無視して話ができるということです。もちろん、あまりに久しぶりということもありますが、小学校の同級生独特のものかもしれません。この反対が大学の同窓会です。これはすぐに仕事に直結します。大学卒業して入った会社を辞めたとか、部長になったとか・・・。小学校時代の友人とは、次に中学校があり、高校・大学とあるわけで、「今の会社の地位とか収入なんて、今はそんな話ええやん」です。自然とそんな意識で会話が進んでいたような気がします。
以上が私の短い夏休みのひとコマ・・・でした。皆さんが通った小学校は、今どうなっていますか?たまに校庭をのぞいてみませんか?
7月23日金融庁長官が東京海上に対して恫喝をしたという件で民主党議員が刑事告発を行いました。同じ日、国税庁が東京海上の税務調査で40億円の課税漏れを指摘し、東京海上は国税不服審判所に審査請求を行ったと報道されました。金融庁と言えば、元は同じ大蔵省ですね。何となく不思議な印象を覚えました。で、もう一つ不思議なことに、各新聞社のサイトには、税務調査の件は掲載されているのですが、刑事告発の件は載っていませんでした。ブルームバーグやロイターといった外国系の報道機関には逆に刑事告訴の件が大きくアップされていたのですが・・・。なんともおかしい感じがしたので、思わず某大手新聞社のサイトにメールしたところ、「総合的な判断で外したものと思われる」とのことでした。大きな新聞社だから、メール窓口担当の方が、デスクトップの判断を完全に理解されているとは思えませんし、かといって何らかの意図が働いているという証拠も全然何もないのですが、ご丁寧にいただいたメールの内容について素直に納得できませんでした。だって、金融庁とのやり取りをめぐって、東京海上から内部告発があったので、見せしめに国税庁が厳しい指摘を行った・・・と想像できなくもないじゃないですか?完全な私の妄想かもしれませんが、でも不思議だ。もしそれが妄想でないとすれば・・・。涼しい夏のこわ〜いお話でした。
監査を業務とする公認会計士の大幅な増員が予定されています。上場企業だけでなく、公益法人や公共団体まで監査が必要な状況で全然足りないんだそうです。確かに会社の効率化を図り、税金の無駄遣いを避けるために、無駄がないか?予算通り執行されているか?というチェックは必要です。世の中の流れはそれが当然だとなってしまっています。しかし、本当にそうなんでしょうか?監査優先の組織の考え方って、一体どんなものなんでしょうか?
「監査」とは株主(国家では納税者)その他の利害関係者のために組織が健全であるかをチェックすることです。そのために、無駄なお金を使わず、効率的な運営が行なわれているか?がポイントになります。しかし、「無駄」って何なんでしょう?無駄をするからその価値に気がつくことってないですか?会社に入って大失敗して、でもその失敗が大きな糧になってるってことはないですか?今は「何でも良いから失敗するな!」の気風が日本中に充満してるような気がします。何か新しいことをしようとする時に、後で厳しくチェックされると思えば、萎縮して何もできなくなります。何もしない方が良いと思うかもしれません。そのような環境で、思い切った仕事や創造的な仕事ができるのでしょうか?繰り返しますが、だからといって税金の無駄遣いや株主の信頼を裏切ってよいといってるわけでは決してありません。ただ萎縮した会社や国家に、思い切った改革はできないと言うことです。今の日本経済に求められているのは、過去にこだわらず、腹を据えて新しい日本を創造することです。
若者はチェックする側ではなく、チェックされる側にどんどんまわるべきです。私たちが大学受験の頃(25年位前)、成績優秀者は皆医学部を目指しました。しかし、おそらく今は、当時想定した独立開業は大変難しい状態になっています。公認会計士人気も同じ道を歩まないとは言えません。世の中に翻弄されないで、自分の道をしっかり歩いてほしいものです。
(私もこんな大人のコラムが書けるようになっちゃったんだな・・と少しさびしい気持ちです。)
日産カルロスゴーン社長のインタビューが朝日新聞に掲載されています。
私は自分で車に乗るようになってほとんどずっと日産車ですが、2002年の秋、松山のディーラーに車の点検を持ち込んだところで、偶然その営業所の視察に訪れたゴーン氏に会いました。別に握手も挨拶もなく、ただ見かけただけですが、そこですっかり彼のファンになり、売れなくても日産のユーザーであり続けたことをとても誇りに思いました。ファンになったのは、ただ会ったから・・と言うわけではありません。その時の彼の振舞いを目撃したからです。すでに、多くの方にはお話しましたので、簡単に・・・。日産のような大企業の社長が、田舎の松山のそれも小さな営業所に来て最初に取った行動が、歓迎のために玄関前で待ち受けた全従業員(事務の女性からつなぎを着たサービスマンまで)と握手を交わし、話をすることだったということです。しかも、ゴーン氏は常に聞き手でした。大袈裟な話ですが、私の人生の中でもひじょうにショッキングな出来事でした。素直に、日産の社員をうらやましいと思いました(ちょっと前までとは全然違う!)。日本経済再生の道は、ゴーン日産に必ずあると思います。
記事の中からゴーン氏の教訓を整理すると、次のようになります。
1.現場から学ぶ
2.組織・序列・歴史・他社にこだわらない→もっとも大切なことは何か?を考え、実行する
3.リーダーシップを学び、発揮する(本当のリーダーシップとは?)
4.自分の実力と将来を冷静に信じる
これはとても参考になる話です。その中で、日産の中の抵抗勢力のパワーを逆に上手に利用することで、改革に成功したという部分があります。小泉さんは「ぶっ潰す」と言って動けなくなりつつあるわけですが、この部分はリーダーシップの実践にとってとても大切なことだと思います。人は、常に時代の変化についていかなくてはいけないんですね。でも、立ち止まってしまう人がいる。その人は決して悪い人ではないはずです。ただ変化しないと遅れてしまう。その変化に気づかせてあげることが必要です。これがリーダーとしての大事な役割です。
リーダーシップ理論は、本当に深くて、しかし日本再生には必要なものです。もちろん自分の会社を良くするためにも必要です。が、簡単に書くことができません。ひとまずゴーン氏の話をじっくり読んでみてください。またお話することにします。
しかし、残念ながら今年の春はちょっと違います。申告終了を待っていたかのように(多分、全然関係ありません?)、米英がイラク攻撃容認の国連決議案の採択を求めない方針を表明し、今週中にも戦争が始まる公算が強くなりました。世界中にとても重たい空気が漂っています。なぜ戦争をしなければならないのか?という部分は曖昧なまま、しかし自国の若者が武器を持って戦線に出て行く以上、反戦を主張するには勇気がいる・・米英の国民は大変複雑な心境であると予想されます。この原稿を書いている段階では結論がどうなるのかまったくわかりませんが、今回なぜこのような事態になったのか?ということをしっかり確認しておく必要があると思います。私個人としては、今回のアメリカを中心とする動きは、リーダーシップに対する誤解と暴走だと思っています。このサイトは、政治的な意見を表明することを目的としませんので、これ以上触れませんが、言えることは、
1)どの国もアメリカの怒りを止めることができなかった
2)戦争の結果がどうなるのかまったくわからない
ということです。
2)については、物量面でアメリカ軍は圧倒的に優位ですが、しかし絶対勝利するとは言えないような気がします。そうなった場合の、政治的・経済的混乱は予想できません。
アメリカは、1990年代リーダーシップ理論をベースに大きく飛躍したと思われますが、今、この超大国も転換期を迎えています。世界の大きな変化の中で、日本はどのような選択をすべきなのか?私たち個人の生活はどうなるのか?情緒的にならず、情報をしっかり入手して、冷静に今回の軍事行動を分析しておく必要がありそうです。
それはさておき、新聞各紙に2月22日(土)から税制改正の政府広報が載っています。来年度(平成15年度)の税制改正で世の中がとっても良くなるようなイメージの広報です。私も本当にそうなってほしいものだと思います。しかし、今回の改正は本当にそのようなものなのでしょうか?例えば、贈与税の2,500万円非課税措置。確かに2,500万円までの贈与税は非課税となりますが(個別の条件を省略します)、これは従来の贈与税の考え方を大きく変更し、相続税に一体化するから非課税となるだけであって、相続税も含めたところで見た場合に、完全に非課税となるものではありません。また証券税制が改正され、株式投資をやってみようか・・などという話もありますが、税金の改正などで株式投資を始めてよいはずがありません。投資のリスク、マーケットの持つ魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界を理解することが大切です。その上で、やってみようと思ったら税金の知識も必要なのではないでしょうか?今回の金融証券税制の改正は、ますますややこしくなって、マーケット以上にチミモウリョウかも知れませんが・・・。
もう一つ大事な点。今回の税制改正は、短期的には減税となっていますが、来年度以降を踏まえると増税となる部分がたくさん含まれています。配偶者特別控除の一部廃止、消費税の免税点の引き上げ(これが増税になるかについては微妙な問題ですが)、事業税外形標準課税の導入等々。納税者に負担を強いるのであれば、良い部分だけではなく、もっと深い理解を得るために、その部分も正確に説明をすべきではないでしょうか?わかりやすくマンガを使い、イメージだけで、しかも良い部分を大きくPRすると、とんでもない誤解を招いてしまうと思います。まさかそれで良しと思っているわけではないでしょうね?
おっと、こんな原稿を書いていると、事務所のメンバーの怖い顔がちらほら…。そろそろ申告書の作成に取りかからなくっちゃ!とにかく、自分で理解できないものは、しっかり考えて、理解するまでは結論を出さないことです。
では、また。
日本中一斉の経費削減がどの会社でもずっと続いています。以前は、私どものような事務所でも、お付き合いで夜の席を設けていただくことがありました。が、思い返してみるとここ最近はめっきり少なくなりました。私はただお酒を飲むだけの席は好きではありません(楽しい話をしながら飲むのは大好きです!)から、それはそれでよいのですが、業界の方にとっては死活問題です。
で、このリストラの嵐はいつまで続くのでしょうか?
たとえば、保険会社が経費削減で接待を減らす→飲食店の売上が減る→店の女将は資金繰りに困り保険を解約する→保険会社が赤字になる→接待を減らす・・・これではどちらもつぶれてしまいます。かといって、高度成長期のような景気回復が再来するとも思えません。1つ言えることは、お金を出してもほしいと思えるものを提供することなんでしょうね。私も事務所は当然まだ実行できていませんが、そんなサービスとは何か?を考えることがこのデフレを止める出発点なのかもしれません。 皆さんどう思われますか?
私が以前勤めていた事務所を退職したのが1990(平成2)年4月。事務所を出したのがその年の12月。今年で干支が1巡。12年目に入ります。この年はバブル崩壊の記念すべき年です。それから日本人が右往左往した12年だったと思います。株式・不動産等の金融資産の下落、金融機関の破綻、上場企業の倒産、デフレ経済の浸透、財政赤字の拡大、深まる政治不信等々、「もう日本は終わりだ」とよく言われますが、本当でしょうか?私はNO!だと思います。「失われた10年」ではなく、「学ぶべき10年」だったのだと思うからです。目の前の問題を真剣に捉え、何をすべきか?真剣に悩んでこられた方は日本の中にたくさんいらっしゃると思います。21世紀、これからの時代はそんな人たちが先頭になって進んでゆく時代です。私たちはそんな人たちをサポートし、ともに進んでいくような会計事務所になりたいと思います。このサイトもそんなミッション達成のために充実してまいります。今後ともよろしくお願い申し上げます。