相続税相談室


コーナーの開設にあたって

平成27年1月から発生した相続については、相続税の基礎控除が前年までの6割水準に引き下げられました。法定相続人を3人と想定すると、前年までは、5,000万円+1,000万円×法定相続人3人=8,000万円から、3,000万円+600万円×法定相続人3人=4,800万円となります。 大雑把に言えば、法定相続人3人なら、1億円くらいの相続財産には相続税がかからなかったケースが、5,000万円から6,000万円で課税されてしまうことになります。
何故そのようなことのなったのか?
そもそも相続税ってどんなものなのか?
税金以外にどんな問題があるのか?
相続税を減らすってどういうことか?
皆さまの不安や疑問について、このコーナーを通じて、様々な情報をお伝えしたいと思います。

相続税相談室 目次

Q.相続税ってどのくらいの人が払っているのですか?

A.国税庁のデータによると、平成26年のデータですが、全国で亡くなった方の数は、1,273,004人。そのうち、相続税の申告書を提出したのは、56,239人、全体の4.4%となっています。なお、相続税申告1件あたりの課税価格は2億407万円、相続税額は2,473万円となっています。

 基礎控除が引き下げられた平成27年分のデータはまだ発表されていませんが、従来の倍程度、つまり10%前後になるのではないかと予想されています。
 では、四国ではどうなっているのでしょうか?

 同じ平成26年分ですが、48,869人が亡くなり、相続税申告があったのは、1,535人の3.1%となっています。相続税申告1件あたりの課税価格は1億6,516万円、相続税額は1,809万円です。

 全国との違いは、やはり経済規模の違いと思われます。

 ではでは、四国4県で課税割合に違いはあるのでしょうか。高松国税局の資料と、人口動態統計から下記のようになりました。こちらも平成26年分のデータです。

相続件数/死亡者数(課税割合)
徳島県 342/9,853(3.47%)
香川県 409/11,503(3.56%)
愛媛県 565/17,529(3.23%)
高知県 219/9,984(2.19%)

Q.なぜ相続税の基礎控除は引き下げられたのでしょうか。

A.引き下げの背景について、国会等で検討される資料から読み取れるのは、地価の下落です。相続税が課税された財産についての統計が国税庁から発表されていますが、バブル崩壊直後の平成7年にピークだった土地の価額は、11兆7,303億円でしたが、平成26年には、5兆1,469億円にまで値下がりしています。これは44%程度の水準であり、基礎控除6割の引き上げはまだ高い位という発想になります。

 しかし、ここで注意しなければいけないことがあります。

相続財産に占める現預金等のことです。同じく相続税のデータですが、現預金については、平成7年時点で1兆7,718億円でしたが、平成26年には、3兆3,054億円と、1.9倍になっています。土地と同じくバブルが崩壊した有価証券も、平成7年1兆3,799億円→平成26年1兆8,966億円と1.4倍になっています。この有価証券は、上場株式だけでなく、未上場株式も含みますから、マーケットと連動していないと想像されます。 全体の資産で見ると、平成7年16兆8,937億円→平成26年12兆4,086億円となり、7割の水準です。

 これらのデータを素直に見ると、6割水準への引き下げは、納税者にとってやや厳しいものではなかったかと推察されます。

Q.平成27年に相続税が改正されたそうですが、どのような改正だったのでしょうか?
A.今回の改正の最大の特徴は、基礎控除の引き下げです。相続税は、この基礎控除を超えた場合に課税されるのですが、これが引き下げられたと言うことは、相続税が課税される可能性が高くなったと言うことです。

 もう少し具体的に言うと、平成26年までの基礎控除は、5,000万円+法定相続人の数×1,000万円でした。よく言われる家族3人(妻+子2人)だと、8,000万円までの相続財産には、相続税が課税されなかったと言うことになります。ちなみに、相続税で計算する際の評価は、控除等があり、実際より低めで行われることも考慮すると、大変大雑把な言い方をすれば、家族3人の場合、1億円くらいの財産が、課税の目安と言えたと思います。

 この基礎控除が、改正のより6割の水準に引き下げられました。つまり、同じ家族3人だと、3,000万円+法定相続人の数×600万となり4,800万円となります。同じく大変大雑把な言い方をすれば、5,000万円?6,000万円程度の財産が分岐点と言うことになります。 なお、基礎控除の引き下げに配慮する形で、小規模宅地の評価減の特例と言われる事業用や居住用の宅地の内、一定の条件の場合について、評価減を行う特例制度が拡充されています。

 この結果、平成26年度において、亡くなったた人に対する相続税の課税割合は、全国で4.4%程度でしたが、これが倍増するのではないかと予想されます。

Q.基礎控除引き下げにより、相続税の申告が増えたのでしょうか?
A.平成28年12月15日国税庁から、基礎控除引き下げ後の相続税の申告状況が発表されました。これによると、課税対象となった被相続人数つまり相続税の申告件数は、103,043人と前年の56,239人から倍近い83.2%の増加となり、課税割合も8.0%(前年4.4%)となりました。課税価格、税額は、それぞれ14兆5,554億円(前年11兆4,766億円)の26.8%増、1兆8,116億円(前年1兆3,908億円)の30.3%増となっており、1億円前後の申告が顕著に増加した模様です。

なお、相続財産のうち割合も同時に発表され、土地の構成比が38.0%(前年41.5%)と減少し、現預金が30.7%(前年26.6%)と増加しており、相続税における土地から現預金への財産構成の変化は継続しているようです。

申告割合が1割近くになったことで、相続税はもはや富裕層だけでなく、中間層も対象となる身近な税金となってきました。これは明確な裏付けのない話ですが、富裕層は、毎年の確定申告などを通じて、税理士と会話する機会が多く、相続税対策も早めに打つことができますが、中間層はそのような機会がないことが多いと想定されます。1億円前後の資産であれば、早めに手を打てば、財産の価額を基礎控除内に収めることができるかもしれませんし、納税額も高額にならないことから、納税資金の手当ても余裕を持ってできるかもしれません。

いずれにしても、早めの対策が必要です。


ウィズダムスクール松山分校