F&Aレポート

F&Aレポート 2022年6月20日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

仕事ができる脳=チームワークできる=個性を生かして響きあう 「自分らしさ」にこだわりすぎないこと

 数年前に230万部を超えるベストセラーとなった「置かれた場所で咲きなさい」(幻冬社)では、「置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。時間の使い方は命の使い方で、自らが咲く努力を忘れてはなりません。雨の日、風の日、どうしても咲けないときは下へ下へと伸ばしましょう」という、著者 渡辺和子氏のメッセージが印象的でした。

 最新の脳科学で「仕事ができる脳」を説く茂木健一郎氏のメッセージも「置かれた場所で咲きなさい」と、同様の説があります。

  1. 「自分に求められていることは何か」を悟り、それを効率よくできること
  2. 万一、自分のやりたいことと違っても「まずはやってみる」
  3. 自分が考える「自分らしさ」は、意外に小さな範囲のものかも
 その他、「マインドフルネス」「メタ認知」「セレンディピティ」など、気になるワードが次々に出てきます。仕事や人間関係に悩む人たちにご紹介します。

1、成功した企業の多くは、全く違うタイプの2人で創業している

 仕事ができる最低条件は、コミュニケーションができチームワークできること。それは「個性響き合わせるチームワーク」ということ。すなわち、仕事ができることは、「自分の個性」と向き合い、「他人の個性」をも活かせるかということです。

 実は、成功した企業の多くは2人で創業しています。アップルは、スティーブ・ウォズニアックとスティーブ・ジョブズ。

 スティーブ・ウォズニアックはオタク気質(プログラミングやハードが好き)、一方でスティーブ・ジョブズはビジョナリー(事業に対して先見の明がある)。マイクロソフトは、ビル・ゲイツとポール・アレン。ビル・ゲイツはオタク気質、ポール・アレンはビジネス思考というように、全く違ったタイプの二人が協働して個性を響き合わせています。

 肝心なのは、仕事ができるということは、100人いれば100通りの道があるということ。自分の個性を活かす道を探るのが仕事ができることにつながります。

2、仕事ができる「脳」を鍛える、前頭葉の「メタ認知(客観視)」

「自分に求められていることは何か」ということを悟り、それを効率よくできること。

 たとえば、自分はデザイナー志望だったのに営業に配属されたということであっても、まずは文句を言わず、その仕事に徹してみましょう。ひょっとしたら五年後ぐらいに、デザイナーとして働く上で、今やっている営業の経験がものすごく役に立つかもしれない。

 とにかく「与えられた場所で、与えられた仕事を最善を尽くしてやる」というのが、仕事ができる脳の基本中の基本です。

 それを鍛えるためには「メタ認知(客観視)」、すなわち今の自分のパフォーマンスがどうなのか、フィードバックすることが大事です。たとえば、バレエで上手く踊るために重要なのは、鏡の前で踊ることと言われています。これはダンス全般に言えることですが、フィードバックがあって踊ってきた人と、そうでない人は一瞬にしてわかると言われています。仕事もフィードバックが重要。

 「営業」「人事」「経営企画」など、なんであっても、自分のパフォーマンスがどうなのかというフィードバックを脳に戻してあげることが、前頭葉の「メタ認知」の働きを鍛えます。鏡に自分の姿を写して見つめ直すように、自分のパフォーマンスをフィードバックする、まるで周囲にカメラがあるかのように自分を見つめるという視点がもてるかどうかが重要です。

3、事実を「評価せず把握」する「マインドフルネス」で脳は鍛えられる

 現代は、真面目な人ほど、すぐに「評価する」という罠に陥っています。「あいつはできるやつだ、できないやつだ」「いい、悪い、好き、嫌い」「俺はこうだ」などです。

 評価は一旦置いて、ありのままに受け止めるというのが「マインドフルネス」です。これをすると「メタ認知(客観視)」は非常に発達することが、現代の脳の研究でわかっています。ありのままを受け入れると、柔軟になり、セレンディピティ(偶然の幸福の獲得)が起きやすくなります。他人を決めつける評価に入らないようにするのが、仕事ができる脳になる「マインドフルネス」の重要なポイントとなります。「マインドフルネス」で脳を鍛えることで、自他共に個性を生かし合うチームワークが可能になります。