F&Aレポート
F&Aレポート 2022年6月10日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
「メンタルモンスター」に誰でもなれる? 脳科学から考える。新しい局面を打開し、変化に対応できる人!
「人工知能」「グローバル化」「ニューノーマル(新しい生活様式)」など、現代は変化しないと同じ場所にさえいられない時代です。それをストレスに感じないで生きていけるマインドを持つ人を「メンタルモンスター」と呼ぶのだと、脳科学者の茂木健一郎氏は言います。
さらに、トレーニングによって誰でも「メンタルモンスター」になれるのだと!!
ポイントは脳の中の「前頭葉(ぜんとうよう)」を鍛えること。人間の脳はストレスを乗り越えることで、進化してきました。
「感情労働」(肉体労働、知能労働による第三の労働形態。常に感情コントロールが求められストレスがたまりやすいのが特徴)に疲弊する接客業、医療従事者、教職員、中間管理職など多くの人が今、「メンタルモンスター」になる必要がありそうです。
1、前頭葉のはたらき〜前頭葉を鍛える
前頭葉とは、大脳の前部分に位置し、人間の運動、言語、感情をつかさどる器官のことをいいますが、今回ご紹介するストレスに関連する主なはたらきは以下の通りです。
- 今、目の前のことに注意を向ける
- 何かを解釈する。たとえば自分の仕事の意味を考える
- 感情の制御をする。アンガーマネジメント(=怒りを抑える)など
- 感情労働(エモーショナルレイバー)や、突然の状況変化に適応し、ストレスの軽減につなげる
たとえば、理不尽な要求を突きつけるお客様への対応。一生懸命進めてきたプロジェクトがクライアントの都合で急に中止になる。メンタルモンスターは、いずれのケースも湧き上がる腹立たしさを抑えて笑顔で、または淡々と応じることができます。
これは単に「いい人」を演じているのではなく、脳の中で一番大事な「区分け」ができているのです。「区分け」とは、「自分でコントロールできること」と、「自分でコントロールできないこと」の判断ができることです。その上で、「自分でコントロールできないこと」については、事実を受け入れ文句を言いません。
実は多くのストレスは、自分でコントロールできないことについてイライラすることで起こります。「なんで?」「ありえない!」「ムカつく!」と。
3、1日30分の空っぽ時間で「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」
メンタルモンスターになるには、2段階あるといいます。まずは自分で「コントロールできること」と、「コントロールできないこと」を分けて、「コントロールできない」ことについては、ありのままを受け入れる(=ストレスを感じなくなる)という段階。
次は、そうは言っても「ストレスがたまったら」どうするのか。その対処がわかっているのです。
メンタルモンスターは、「脳がアイドリングしているときに脳を整える」という「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という作用を活用しています。これは脳の働きの中で非常に重要なポイントで、たまったストレスの解消に有効と言われています。
DMNは、1日30分〜1時間、脳を空っぽにする(ボーッとする)ことで発露し、脳の中で「事実」と「感情」と「記憶」を整えてくれるのです。
サウナに入る、散歩する、好きな音楽を聴くなど、悩みや考え事を手放してボーッとする時間に、脳は出来事や感情を勝手に結びつけ整理整頓、掃除をしてくれるのです。
ちなみに心のバランスを崩してしまう多くの人は、常に何かが気になる、心が休まらないため、頭を空っぽにする時間を持てていないと言われています。
脳の中の整理なら「寝ている時間にできるのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、睡眠中の脳は記憶の整理や老廃物の分解など、別の働きが行われるため、起きている時間に空っぽの時間をあえてつくることが、メンタルモンスターへの近道になります。
脳には、集中とリラックスの繰り返しが重要で、リラックスの時間にストレスが解消されひらめきや発想も生まれます。
正解のない現代。状況を打開し変化に対応するためには、「区分け」と「DMN」。前頭葉を鍛えてメンタルモンスターを目指しましょう!