F&Aレポート
F&Aレポート 2022年4月10日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
新入社員研修はメモをとらない
桜の開花と足並みを揃えるように街中ではフレッシャーズを見かけるようになりました。遠目に見ても彼らはビジネススーツが新しく、体に馴染んでいないように見えます。歩道を歩く姿は初々しく、スーツに革靴でなければ大学生と見紛うかもしれません。
そんなフレッシャーズを一堂に集めた新入社員研修。一昨年、昨年はコロナの影響で中止されましたが、今年はコロナ前の半数以上は開催されているように感じます。そんな新入社員研修での気づきと対策についてご紹介します。
2022新入社員のタイプ<新感覚の二刀流>
コロナ感染拡大防止のため、大学後半期にさまざまな活動制限を受けた今年の新入社員、インターンシップや就職活動を、対面とオンラインの2つのスタイルで二刀流のようにこなして入社式を迎えた。しかし、就活中に職場の雰囲気や仕事に関する情報が得にくかったことこともあり、入社後は、思い描いていたイメージと実際のギャップにとまどいそうだ。先輩社員は、これまでの新入社員とは異なる新感覚(オンライン慣れ、対面コミュニケーションの不慣れ、配属・勤務地へのこだわり、SDGsへの興味、タイムパフォーマンス志向など)や未熟にみえる言動を受け止めた上で温かく交流し、一人ひとりを見つめた育成支援をしてほしい。そうすれば、才能が開花し、環境変化にも適応できる「リアル二刀流」になっていくだろう。(産労総合研究所)
1、メモをとらない新入社員
研修でよく見かける光景ですが、新入社員はメモをとりません。というよりもメモをとる習慣がありません。
研修会場では決められた席に座り、テキストが配布されています。筆記用具は持参しているのですが、手は膝の上です。
講師が「テキストを開いてください」と言うと、一斉にテキストを開きます。試験会場で「答案用紙を開いてください」という指示を待っている学生のようです。
研修が始まると、ホワイトボードに書いたことはテキストにメモします。「自分で大事だと思うことは自主的にメモしてね」と、何度か促すと少しずつメモする姿が見られるようになります。
恐らく、大学の講義でもノートをとることは少なく、資料はプリントして配布されるか、ダウンロードして共有するのが当たり前なのでしょう。高校、中学、小学校と遡っても、よほど優秀か超真面目でない限り、主体的にメモをとるという体験はないのだと思います。
上司や先輩は、朝礼やホウレンソウの際にメモをとらない新入社員を見て「やる気がない」などと決めつけず、自らメモをとる姿を見せ、習慣付けを促したいものです。
2、メモの取り方〜スマホ活用もあり
「メモをとる=スマホを活用する」と思っている新入社員も少なくありません。就業時間中のスマホは、なにかと誤解を招きやすいことや、万能ではないことを踏まえた上で、あえてスマホを活用するという方法もあります。
これはある店舗で実際にあったケースですが、レジを締める際の手順をスマホ動画で撮影して新入社員に送り、各自で繰り返し学習するというやり方がありました。
それまでは紙のマニュアルを配って説明していたところ、スマホ動画を活用することで覚えも早く、ミスが少なくなったという効果がありました。
情報管理を徹底した上で、メモがわりにスマホを活用することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。「アナログ」と「デジタル」のまさに「二刀流」ということになります。
3、説明の仕方、指示の仕方〜「質問」をさせる
研修では、「指示を受けるときは質問するつもりでメモをとる」と指導します。「あとで質問をする」と思うだけで、メモの取り方が能動的になります。
状況にもよりますが、指示を出したり説明する際には、最初に「質問してもらうからよく聞いてね」と促した上で伝える。また、メモをしやすいように伝えるというのも、指導する側の重要なポイントになりそうです。
「人材教育=自分教育」「人材育成=自分育成」です。上司の器以上に部下は育たないと心得、組織全員が成長する場でありたいものです。