F&Aレポート

F&Aレポート 2022年2月20日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

「ヘルスリテラシー」向上と、「食べる投資」のすすめ

 ヘルスリテラシーとは、「健康に関する基本的能力」です。具体的には、次の通り「入手」「理解」「評価」「活用」があります。

  1. 質の高い健康情報を「入手」する能力
  2. その情報を目的に応じて偏見なく「理解・評価」する能力
  3. そうしてそれらの情報を総合的に判断して有効に「活用」する能力
 ヘルスリテラシーが高いと、単に健康であるというだけでなく、心身の良い状態を維持しやすく、仕事へのパフォーマンスも高く、健やかな人間関係(コミュニケーション)を築きやすくなります。すなわち、ワーク&ライフの質が向上します。一方で、ヘルスリテラシーが低い場合は、マイナスの影響が出やすくなります。

 健康の正しい知識を持ち、評価、実行し続けることは、現代人の課題であり、社会で取り組むべき価値のあるものです。また、「食事」を自分への「投資」と考えて実行することは、欧米のエグゼクティブでは当たり前の習慣です。

 労働人口が減少する中、組織で健康活動に取り組み、最大のパフォーマンスを上げ続けることができるよう、ヘルスリテラシーを高め、日々の食事から見直してみましょう。

1、ヘルスリテラシーが不十分な人の傾向

 ヘルスリテラシーが不十分だと「健康に関する基本的能力」が低いため、次のような傾向があるといわれています。
  1. 肥満(肥満予備軍)になりやすい
  2. 病気、治療、薬などの知識が少ない
  3. 医学的な問題の最初の兆候に気付きにくい
  4. 長期間、または慢性的な病気を管理しにくい
  5. 保険医療専門職に自分の心配を伝えにくい
  6. 慢性の病気のために入院しやすい
  7. 職場でケガをしやすい
  8. 死亡率が高い 他 出典:Berkman et al2011のレビュー
 ヘルスリテラシーを高めるためには、個人のライフスタイルだけではなく、健康の保持増進活動がしやすい職場環境や風土等を醸成する対策も非常に重要なポイントとなります。

 身体の調子が悪くても休むことができない、長時間の残業を強いられる、休日出勤が多く心身ともに疲れが蓄積している、健康診断の受診や通院のための休暇を申請しづらい、などの職場は見直す必要があります。つまり、経営層による健康的な職場環境への取り組みに対するリーダーシップがさらに求められるということになります。

2、一生続ける「食べる投資」のすすめ

 食事は人生最大の自己投資になると言われています。ストレスに負けない精神力。常に冴えわたっている思考力。不調、痛み、病気と無縁の健康な身体。そのすべての基礎が、栄養なのです。「食べる投資」は、心身を生涯守り、「幸福」という最大のリターンをもたらす最高の投資になるはずです。

「一生続ける」と聞くと、ストイックで大変そうに感じるかもしれませんが、それは、食事への意識や管理を「時々やる」ことに対して抱く人間の心理です。「毎日やって当たり前」になったことについては、人はあまり抵抗を感じることはありません。歯磨きや洗顔と同じです。

 とはいえ、時にはハンバーガーやピザといったジャンクフードを楽しむ、友人と飲みに行くなどの「楽しい不摂生」はありだと思います。むしろ「心の栄養」と考えていいでしょう。ただ、そのときに自分が何を選んでいるか(体の栄養なのか、楽しみなのか)は、意識してほしいですし、丁寧に口にしてほしいと思います。

「丁寧に」とは、それをよく見て、香りをかいで、味も楽しんで、その時間を充実させるということです。

 食べ物があふれた今は。空腹でもないのに目についたものをスマホを見ながら、適当に口に放り込んでしまいがちです。「ながら食べ」という習慣は最も避けたいものです。

 自分の口に何を入れているのかということに、もっと注意を払い、口に入れているものが何でできていて、誰がどのように作り、それを食べることで何が自分のプラスになるのか?そして、いつどんなふうに食べるのが最適なのか?頭と感性を働かせて丁寧に選び取ってみたいものです。丁寧な選択が全ての食事に行き渡れば、「食事」は大きく変わり「健康」への意識も自ずと高まるはずです。