F&Aレポート
F&Aレポート 2021年12月10日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
ことばのちから「言葉は思考の土台」11〜2021流行語から考える
先日、年末の風物詩ともいえる「2021ユーキャン新語・流行語大賞」が発表されました。新型コロナウイルス、東京オリンピック・パラリンピック、大谷翔平選手など2021年を象徴する言葉を紹介します。あなたが気になる言葉、共感する言葉はありますか?
- 流行語大賞「リアル二刀流/ショータイム」 昨年は「3密」
大リーグ、エンゼルスでMVPの活躍を見せた大谷翔平選手の投打の偉業が「リアル二刀流/ショータイム」という流行語大賞を生み出しました。
大谷選手のマウンド上の活躍だけでなく、ケガによる手術やゴミを拾う姿など、彼の一挙一動が海を超えて、野球という枠を超えて日本中を歓喜させてくれました。
昨年の流行語大賞「3密」が象徴する通り、コロナ禍で暗いニュースが多かった昨今、明るい話題を提供し続けてくれました。 - ノミネート トップ10
うっせぇわ Adoの楽曲、歌詞が話題になりました
親ガチャ 親を選べないことをガチャと掛けたことば
ゴン攻め/ビッタビタ 東京五輪のスケートボードの解説。瀬尻稜プロのことば
ジェンダー平等 性別に関わらず全ての人が平等な機会と権利を得ること
人流 コロナ禍の人出の意味
スギムライジング 東京パラリンピック「ボッチャ」の金メダリスト杉村選手の得意技
Z世代 1990年代中盤から2000年代生まれた人たち
ぼったくり男爵 IOCのバッハ会長。ワシントン・ポスト紙が紹介
黙食 食事の際に会話をしない。コロナ感染症の拡大防止策 - 「うっせぇわ」
ウィキペディアによると、「うっせぇわ」は2020年10月にリリースされた、日本の歌手Adoの楽曲で、刺激的な歌詞などが話題を呼びTikTokやSNSで急速に拡散されたそうです。
社会人の気持ちや不満をありのまま表現したという歌詞は、幅広い世代を巻き込み大ヒットと同時に物議を醸しました。尾崎豊「15の夜」の「盗んだバイクで走り出す〜」という行動に表す不満とはちがい、自己主張が苦手な現代の若者の不満が多くの共感をよんだという説もあります。
「ちっちゃな頃から優等生 気づいたら大人になっていた」「あなたが思うより健康です 一切合切凡庸なあなたじゃわからないかもね」「クソだりぃな酒が空いたグラスあれば直ぐに注ぎなさい」一部の若者の叫びにとどまらず、共感、拡散、支持され流行語にノミネートという動きに今の時代を感じます。 - 「親ガチャ」
「親には感謝すること」という不文律は、もはや日本には存在し得ないのかもしれません。出自によって運命が決められる、格差が生じる世界。お小遣いで買うガチャのように子供は親を選べず、人生はアタリ・ハズレと、本気で感じさせているのが現代の日本であり資本主義だとしたら、「誠に遺憾でございます」と政治家なら言うのでしょうか。
我が子に尋ねてみます?「あなたの親ガチャはアタリ?ハズレ?」。フザケンナ!! - 「ぼったくり男爵」「ゴン攻め/ビッタビタ」「スギムライジング」
東京オリンピック、パラリンピックの熱を象徴する言葉がノミネートされる傍で、「ぼったくり男爵」が居並ぶのも皮肉なものです。
IOCオリンピック委員会バッハ会長をワシントン・ポスト紙が「Ripoff Baron」と批判したものが「ぼったくり男爵」と和訳されましたが、誰が翻訳したのかはっきりとはわかっていません。東京五輪開催の賛否両輪が新語・流行語にも影響しているようです。
そのほかSDGsもあいまって、「ジェンダー平等」は聞き馴染みのある言葉になりましたが、ジェンダー平等が当たり前になれば、この言葉は新語・流行語ではなくなるはずです。今後の課題として、ここはZ世代に大いに期待したいところです!