F&Aレポート

F&Aレポート 2021年11月10日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

「Z世代」を知る2 〜いかに向き合い指導し、協働するか

「Z世代」を知る前に、そもそも「世代」ってなに?という素朴な疑問から調べてみると、「『世代』とは、歴史社会的に同じような体験をし、同じような価値意識を持ち、同じような行動をとる社会集団である」。さらに「社会人デビュー前後の数年間は就業意識や、仕事に臨むスタンスの原型をつくる時期であり、その時代の経済環境や企業の勢い、労働需給関係に影響を受けやすい。働く目的、会社への忠誠心、オンとオフの切り替え方などを理解することで世代の輪郭が見えてくる」とありました。

 1990年後半から2012年に生まれた「Z世代(今の年齢で9?21歳ぐらい)」は、デジタルネイティブで、SNSネイティブ、スマホネイティブ。組織の中でどう向き合い指導していくのか。彼らの成長と企業の成長をリンクさせることがリーダーの重要な役目のひとつであり、リーダーの存在価値だという専門家もいます。(参考資料 VWSBLOG 働き方を考える)

1、デジタルツールを積極的に活用

 Z世代は、デジタルツールの利用に長けています。そのため、デジタルツールを活用する場面では、Z世代のスキルを積極的に活用しましょう。ただし、社会人としての経験が浅い社員に対しては、以下のようなリテラシーや企業モラルに関する指導、チェックが必要です。

  • 機密情報・会社情報の不利益になりかねない情報、モラルに反するものを発信しないよう、誓約書を取り交わしておく
  • アクセス権限や利用権限を設定する
  • 上司による公開前のチェックを行う


2、一人ひとりのコミュニケーションを重視

 Z世代は「双方向」のコミュニケーションを重視する傾向があります。上司と部下・先輩と後輩の関係でも個人対個人のコミュニケーションを尊重します。

 かつての「右にならえ」という一対多数ではなく、個々にそれぞれの意見、課題、思いを尊重する姿勢で接しましょう。

3、プライベートを尊重

 ワークライフバランスの尊重は、近年の社会全体の大きな流れです。中でもZ世代はライフを重視する傾向があります。プライベートの充実によって生活の質の向上を実現したいという意識が強いため、会社の利益、モラルに反した行動でない限り、プライベートの行動を詮索したり、指摘したりしないようにしたいものです。

 過度な干渉は、パワハラ、セクハラの問題にも発展しかねません。

4、フラットな視点で論理的に議論をする

 Z世代は既存の常識や習慣を重視しない傾向があります。加えて、はっきりした上下関係を煙たがる傾向があります。Z世代に指示、指導をする際には、フラットな視点で論理的に議論をする姿勢をとりましょう。

 たとえば、Z世代が業務上の大きなミスをしたときにも、いきなり叱るのではなく、丁寧に口頭、メール、ラインなどで注意、説明をし改善策を促す対応が求められます。その際も、人格を否定していると受け取られかねないメッセージや強い非難をするのは厳禁です。Z世代のモチベーション低下を招くだけでなく、デジタルツールでの情報は証拠が残るため、パワハラ問題として問題視される可能性も生じます。

5、まとめ

 Z世代は、物心ついたときからデジタルツール、SNSに慣れ親しんでいるので、これまでの世代と異なる特徴があります。

 社内で出世欲が強くないことや、従来の常識、慣習を重視しないことに戸惑うこともあるかもしれません。しかし、デジタルツールの利用に長け、エコや個人情報に対する意識の高いZ世代の価値観をうまく取り入れることで、市場のニーズや取引先の要望にうまく応えられる可能性も高まります。Z世代は、企業人材としても主要な顧客層としても、大きな存在感を発揮していくことは間違いありません。世代間の違いを超える努力をすることは、国や地域、性別、年齢、価値観の違いを認め協働し、新たな価値を生み出すことにもつながります。これらの情報を参考にしてみてください。