F&Aレポート

F&Aレポート 2020年10月20日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

2021年問題〜深刻化する人手不足と新卒採用

 「2021年問題」とは、人口減少にともなって2021年以降から企業側が採用内定者を確保しにくくなることをいい、すでに人手不足の中、21年以降一層厳しくなる企業が次々と現れる危険性を示唆しています。

 また一方で、厚生労働省は、新型コロナウイルス流行で新卒採用への影響が懸念される中で、「新たな就職氷河期世代を生み出さぬよう、あらゆる方策を通じ、支援体制の整備を図る」とし、「卒業後3年間は新卒採用の対象とする指針の徹底を求めています。

 採用は単純に「売り手市場」「買い手市場」といえない混沌とした構図になることと、「新卒」「中途」の枠組みを超えて、「新卒も中途も」同じ土俵で検討されることも想像できます。こうした中で「就職できる人とできない人」「採用できる企業とそうでない企業」の二極化が生まれるともいわれています。

企業は様々な人材確報を模索すること

 企業は「新卒採用の2021年問題」とその後の変化への対応が必要となりますが、まずは企業の課題として次の3つが挙げられます。

  1. ワーク・ライフ・バランスの徹底を図る
  2. 新たな新卒確保の方法を模索する
  3. 中途採用の強化
(1)ワーク・ライフ・バランスの徹底を図る

 リクルートキャリア「就職白書2018」で、学生が内定を辞退した理由をみると、「業種が志望と合わなかった」(24.7%)「給与水準が志望と合わなかった」(22.2%)「職種が志望と合わなかった」(21.3%)に次いで、「勤務時間、休暇が志望と合わなかった」(18,7%)が上位に挙げられています。 「給与水準が志望と合わなかった」については、勤務時間とのバランスが意識されている可能性があり、入社の決定にあたって学生が勤務時間や休暇を重視していることがわかります。

学生が内定を辞退した理由 (%)
1 業種が志望と合わなかった 24.7
2 給与水準が志望と合わなかった 22.2
3 職種が志望と合わなかった 21.3
4 勤務時間・休暇が志望と合わなかった 18.7
5 勤務地が志望と合わなかった 17.5
6 安定性が志望と合わなかった 14.0
7 一緒に働きたいと思える人がいなかった 12.2
8 企業・各種団体の規模が志望と合わなかった 10.8
9 雇用形態が志望と合わなかった 10.2
10 知名度が志望と合わなかった 10.1
11 その企業の評判がよくなかった 8.8
12 周囲の意見「反対された」 6.4
13 内定をもらったタイミングが遅かった 4.9
14 大学の専攻分野との関連がなかった 3.3
15 他の採用選考を受けることを許可してもらえなかった 3.3


 ワークライフバランスを実現できている企業は、働きやすい職場でもあるため、従業員の定着率も高くなりやすくなります。労働環境の整備は「コスト」ではなく「投資」とみたいものです。

(2)新たな新卒確保の方法

 日本経団連は新卒の採用選考に関する指針、いわゆる「就活ルール」を2021年春入社の大学生から廃止することを発表し、新卒一括採用は徐々に変化しています。自社のコンセプトや強み明確にし、欲しい人材像を明らかにして、インターネットやSNSを活用するのは言うまでもなく、インターンや選考会などを行い自社に興味をもち、魅力を感じてもらえるような取り組みが必要です。

(3)中途採用の強化

 そもそも、新卒一括採用とは、日本型雇用慣行というシステムを補完する要素であるため、今後この構図はますます揺らぐものとみられます。年功序列型の賃金上昇がなくなれば従業員はひとつの企業にとどまる必要がなくなるため、自身の専門性や技術を高く評価してくれるところに転職する者も増えるでしょう。能力があれば待遇を引き上げても人材確保をしようとする企業が増え、中途採用市場は年々増加を続けています。