F&Aレポート
F&Aレポート 2020年6月30日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
「幸福度向上」が、組織のパフォーマンスの向上に
人の「幸せ感」はフワッとしていて、あいまいなものではないでしょうか?しかし、この幸せ度を計測し、個人に合ったアドバイスをしながら組織のパフォーマンスを上げるというAI技術を生み出し、新会社を設立するというニュースがありました。
企業の業績アップのためには、知識やスキルの向上ではなく、「幸福度」の向上が求められ、それも「人」ではなく「AI」によって管理され導かれるもの。そうなると「AI」は新たなメンターとなり「働き方改革」にも一石を投じます。また「リーダーの仕事は、部下を幸せにすることに尽きる」ということも言えそうです。最近のネット関連ニュースから抜粋しレポートします。
日立が「幸福感」計測技術 組織活性化 新会社を設立(東京新聞web)
日立製作所は29日、スマートフォンや身に着けて使う「ウエアラブル端末」で、社員の活動状況から幸福感を計測し、会社組織の活性化につなげる技術を事業化すると発表した。7月20日に新会社「ハピネスプラネット」(東京)を設立する。
スマホなどの加速度センサーで体の揺れを測定しながら、同時に1日の各時間の心理状況をアンケートして揺れと幸福感の相関関係を導き出し、専用アプリを開発した。
個々の社員の計測結果を基に職場全体の活性度を「ハピネス度」として数値化して、職場間で比較できるようにした。AIが画面上で気軽な会話を呼び掛けるなどして、同僚との意思疎通を支援する。
1、コールセンターの例〜ハピネス度が高いと、組織のパフォーマンス向上(JBpress Digital Innovation Review)日立製作所は29日、スマートフォンや身に着けて使う「ウエアラブル端末」で、社員の活動状況から幸福感を計測し、会社組織の活性化につなげる技術を事業化すると発表した。7月20日に新会社「ハピネスプラネット」(東京)を設立する。
スマホなどの加速度センサーで体の揺れを測定しながら、同時に1日の各時間の心理状況をアンケートして揺れと幸福感の相関関係を導き出し、専用アプリを開発した。
個々の社員の計測結果を基に職場全体の活性度を「ハピネス度」として数値化して、職場間で比較できるようにした。AIが画面上で気軽な会話を呼び掛けるなどして、同僚との意思疎通を支援する。
コールセンターにおいてはオペレーターのスキルや経験値の高さが、セールスの成約率や顧客の満足度といった組織のパフォーマンスと密接に関係しているように思える。しかし、「実際にはオペレーターの休憩時間の過ごし方が日々のチーム全体のパフォーマンスに大きく影響する」と、日立製作所研究開発グループ基礎研究センタの辻聡美主任研究員は話す。
商品やサービスのセールスをするアウトバウンドのコールセンターにおいては、昼休みにオペレーターが同僚たちと会話を楽しむ時間が長い日が、ハピネス度も高くなる。そして、ハピネス度が高い日の受注率は、低い日の受注率を34%も上回ることが判明した。昼休みの会話によってオペレーターの活気が相互に“伝染”したことが、ハピネス度を上げたと考えられる。
同じコールセンターでも、顧客からの注文や問い合わせを受け付けるインバウンドのコールセンターは、アウトバウンドのオペレーターとは逆に、休憩時間に一人で静かに体を休めリラックスしているとハピネス度が向上する。すると、1件あたりの対応時間が短くなるなど、組織パフォーマンスが上がることが確認された。
2、ハピネス度を高める行動をAIがアドバイス
組織ごとに異なる特性を見極め、組織ごとに適したアドバイスを行うため、日立は独自開発のAI技術を活用した名札型センサーを使い、会話の頻度やデスクワーク時間などのデータを収集し個人の行動パターンをAIで導き出す。
そのデータを基に、約130種類の行動パターンと、ハピネス度との相関を網羅的に調べる。そして組織のハピネス度の向上に大きな影響を与える行動パターンを特定し、スマートフォンアプリ画面にアドバイスを表示する。
個人の行動パターンは十人十色なので、AIによるアドバイスの内容も異なる。「1日3回、上司と15分以内の会話をしましょう」「午前中に同僚のAさんと話しましょう」「デスクワークの時間を増やしましょう」など。
アドバイスの効果は顕著だった。日立は社内の営業部門26部署、約600人を対象に行った実証実験で、1週間のアプリ閲覧時間が一人あたり2分未満の部署と2分以上の部署でハピネス度を比べた。その結果、閲覧時間が長かった組織のハピネス度は、短かった組織の4倍以上を記録した。加えて、ハピネス度が高い部署は翌四半期の業績(受注達成率)が向上した。
テレワークやプレミアムフライデーの導入といった全社規模の画一的な施策を講じることだけが働き方改革ではない。センサーとAIを利用すれば、組織や個人ごとの特性に見合った生き生きとした職場環境づくりを進められる。