F&Aレポート

F&Aレポート 2020年5月20日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

「アフターコロナ」「ウィズコロナ」という『新世界』〜それでもコミュニケーションを求める私たち

 「三密(密閉、密集、密接)を避ける」ことが、新しい生活様式の基盤となりつつあります。これまで災害が起きれば、地域や人は「密」になって難局を乗り越えました。

 たとえば、地震や大雨の災害を受けた地域は、声を掛け合い寄り添い、知恵と力を出し合い、地域がひとつになって再生を図るわけです。しかし、このたびの新型コロナウイルスについては様相が真逆になっています。世界は、接触を避け、集わないことで、この危機を乗り越えようとしています。

 そもそも、ヒトはコミュニケーションをすることで進化してきた生き物です。鷲や鷹のように単体で生きる動物とちがい、猿やシマウマのように群れて生きることで、生命体を維持してきたコミュニケーションアニマルなのです。その特性は今後も変わることはないでしょう。

 私たちの本質は心地の良いコミュニケーションを求め、他者の支えがなければ生きることも、組織運営をすることも不可能なのです。

 それだけに、私たちのコミュニケーション力はその質が問われています。遠隔にいながらも、的確に伝えるべきことを伝え、他者を理解する力がこれまで以上に必要とされているのではないでしょうか。さもなくば、私たちは職場からも、家族からも、友人からも、孤立し兼ねない状況です。

 リモートワーク、オンライン会議、SNSなどの通信技術の高まりと比例して、コミュニケーション力は、生き延びるための重要なファクターになるのではないでしょうか。

<問題>
「メジャーリーグの選手のうち28%はアメリカ合衆国以外の出身の選手であるが、その出身国を見ると、ドミニカ共和国が最も多くおよそ35%である。メジャーリーグ選手の出身国の内訳を表す図を円グラフで表してみましょう。
 この問題は、読解力を問う問題で、実際にOECD(経済協力開発機構)で出題されたものです。主語があいまいだと、こうもわかりにくいものかと腹立たしくもなるのですが、実際の会話や、ビジネスにおける企画書などでは、よくあることなのかもしれないと思います。さて、いかがでしょうか。これも一種のコミュニケーション力を試す問題です。

●読書だけではコミュニケーション力向上にはならない?

 日常でただ会話したり、漫然と文章を読んだりするだけでは、コミュニケーション力はなかなか向上しません。

 たとえば「語彙力」を高めるためには「本を読めばいい」と言われますが、ある専門家は「読みに関する記憶力(リーディングスパン)が弱いままで読書を繰り返しても、語彙力はつかない」と言います。リーディングスパンが弱い人は、穴があいたバケツから水がこぼれてしまうように、情報が穴からどんどん抜け出てしまうというのです。

 主語と述語を正しく読み取り、何を言わんとしているのかという全体を理解して、はじめて言葉の意味もわかり語彙力が身につくのです。

●「主語」と「述語」をはっきりさせる

 本や新聞、インターネットの情報を読むときも、また情報を発信するときも、「主語」と「述語」を明確にするよう意識してみましょう。それだけでも、理解力、発信力が高まります。また、「主語」と「述語」を意識することで論理的に伝えたり、聞いたりすることができやすくなります。オンライン会議などで、音声も映像も限られた条件下で情報の受発信を場合は、よりシンプルに伝えることが求められます。

 また、一文をより短くして、短い文章を重ねていくほうが端的でわかりやすい表現になります。