F&Aレポート

F&Aレポート 2020年2月28日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

健康格差時代の「健康経営」〜「食」によるパファーマンスを考える 「ポッテンジャーの猫」DNAにそわない食が疾患を引き起こす

「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。
企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。(経済産業省)

朝食は缶コーヒー、昼食はカップ麺にパン。仕事の片手間に食事を済ませて、夜は会合というビジネスマンの風景を見かけます。食費を抑えて空腹を満たすだけ。炭水化物のとりすぎや、食事のバランス、食べる順序や時間など、考えることもなく食事を続けていると、健康だけでなく仕事も生活も質が下がると言われています。寿命100年時代を生き抜く最高の投資は「健康」です。「医者が教える食事術 実践バイブル(医学博士牧田善二著 ダイヤモンド社)」をご紹介します。



「ポッテンジャーの猫」と呼ばれる、古いけれど示唆に富んだ研究があります。

 カリフォルニアの結核研究所に勤務していたフランシス・ポッテンジャー博士は、研究のために猫の副腎切除を行っていました。
 そのときに、手術中に死んでしまう猫と生き延びる猫がいることを不思議に思い、その違いはどこにあるのか観察しました。
 すると、生の餌を与えられた猫ほど生命力が強いらしいということがわかってきました。
 そこで博士は、1932年から10年間にわたり、900匹以上の猫を、適正と思われる餌とそうではない餌を与える群に分けて観察を続けました。
 具体的には、肉とミルクについて以下のように変えて比較しました。

<肉に関する研究>

A適正食 餌の3分の2を生肉、3分の1を生乳とし、タラの肝油をプラス
B欠陥食 餌の3分の2を調理肉、3分の1を生乳とし、タラの肝油をプラス

<ミルクに関する研究>

A適正食 餌の3分の2を生乳、3分の1を生肉とし、タラの肝油をプラス
B欠陥食 餌の3分の2を殺菌乳、3分の1を生肉とし、タラの肝油をプラス
C欠陥食 餌の3分の2を練乳、3分の1を生肉とし、タラの肝油をプラス
D欠陥食 餌の3分の2を 砂糖入り練乳、3分の1を生肉とし、タラの肝油をプラス
E欠陥食 餌は生乳ビタミンD代謝ミルクのみとし、乾燥飼料と緑の牧草をプラス

 この結果、肉もミルクも生で与えられている猫たちは、全身の骨格が良くて口蓋が大きく歯列もきれいだったそうです。毛づやもよく、寄生虫が少なく、繁殖も旺盛で、かつ扱いやすい性質でした。

 一方で、調理した肉や殺菌乳を与えられると、繁殖にばらつきが出て猫たちの体に退化が起きることがわかりました。とくに、CとDの欠陥食で退化が速く、Eの群では骨の病気の「くる病」とオスの子猫に早死にが多く見られました。

 退化は代を追うごとに悪化し、骨が脆弱になりカルシウムとリンの成分が減っていきました。ほかにも、視力低下、心臓疾患、甲状腺疾患、肝臓疾患、卵巣・睾丸疾患など、さまざまな疾患が多発しました。

 さらに精神疾患も見られるようになり、性格も変わりました。オス猫がおとなしくなっていった一方で、メス猫が凶暴化したそうです。

 欠陥食を与えられた3世代目ともなると、皮膚病やアレルギーも多発し(正常な猫では5%止まりのところが90%以上に)、6ヶ月生き延びることさえできませんでした。

 また、3世代目のオスは無精子症になっているか、子どもができてもその子猫はまともに生まれないため、無事に4世代目が育つことはありませんでした。

 ポッテンジャー博士は、退化した猫を元に戻そうと、生肉と生乳の餌を与えてみたところ、2世代目の猫をなんとか正常に戻すのに4世代かかったそうです。

 どうしてこんなことが起きたのでしょう。

 猫はもともと野生の生き物です。当然、人の手によって加熱処理されたものを食べるようにできていません。猫のDNAは生食に適しており、それを変えてはいけないのです。

 ところが今はペットの猫にパンなどを与えて病気にする飼い主が増えています。

 もっとも、これはペットに限ったことではないのかもしれません。

「キレる子ども(大人も同じですが)が増えた」ということは、多くの人が認識していると思います。また、アレルギーに悩む人が激増しているのも事実です。これらのことと日々の食事内容に大きな関わりがあると考えていいでしょう。