F&Aレポート
F&Aレポート 2019年12月30日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
パワハラ防止義務化 大企業は半年後、中小企業は2022年4月 「LGBT」と「SOGIハラ」「アウティング」ってなに?
昨年のパワハラ相談件数は8万件を越えるそうです。ハラスメントは悪気のあるなし関わらず誰もが、加害者・被害者になりうるものです。
また、ハラスメントは、加害者・被害者の当事者だけでなく、職場環境を悪化させ、労働意欲を削ぎ、生産性の低下、リクルートへの悪影響、優秀な人材の流出といった損失を招きます。「うちの会社は大丈夫」なんてタカをくくっている会社ほど水面下には、危ない状況が潜んでいるという例もよく見かけます。
トップの姿勢と方針の告知、社員(正社員、パート、アルバイト含む)の意識づけと正しい知識を得ること、同時に人権意識を高めることで、パワハラは撲滅できます。
問題が表面化してこじれてしまう前に、まずはこの問題に正面から取り組み、パワハラを見逃さない、見過ごさない環境をつくりましょう。
1、企業に義務付けられるパワハラ防止策
パワハラ防止策は、大企業なら2020年6月、中小企業は2022年4月から義務化されます。何もしていないと、パワハラが起きたときに「企業として何もしていない」=「パワハラを容認していた」と、思われても仕方ありません。では、まず何をすればいいのか。下記に記してみました。
- パワハラの禁止と、パワハラが起きた時の懲戒規定を就業規則に明記。
朝礼、研修等で告知する - 相談窓口の設置。担当者が適切に対応できるようにする
- パワハラが起きた時の対策。
被害者への配慮、加害者への措置。再発防止を講じる - プライバシーの保護措置を講じ、相談したことによる解雇、不利益な取り扱いをされないことを明記。
2、「SOGIハラ」「アウティング」
性的嗜好に関する侮辱的な言動を「SOGIハラ」といいます。(Sexual Orientation and Gender Identityの略)具体的には「男が男を好きだなんて異常だよ」とか、「オトコオンナはおかしい」などの差別的な発言です。また、本人の性的嗜好を第三者に勝手に暴露することは「アウティング」と呼び、いずれも防止対策が義務化されます。
「LGBT」という言葉は認知が広がってきましたが、自分の職場には「LGBTはいない」と思っている人も多いのではないでしょうか。
統計上は全体の8%が「LGBT」と言われます。しかし、カミングアウトしていない人が大半です。10人中1人とまではいかないまでも、「コミュニティがあれば、その中に少数ではあるが「LGBT」がいてもおかしくないのだ」というぐらいの認識は持ちたいものです。
3、管理者(上司、先輩社員)としての留意点
(1)部下・後輩の健康状態の把握
自身の言動により、部下・後輩は人格を傷つけられ、疎外感を持つなどから、過度の心理的負担を受け、心身の健康を損なう場合があることを認識することが重要です。
(2)パワーハラスメントになり得る言動の認識
パワーハラスメントは、業務上の命令や指導を通じて起こることが多いため、 特に管理監督者(または先輩社員)は、ハラスメントになり得る言動を認識しなければなりません。
(3)コミュニケーションを図り、良好な職場環境を作る
上司や先輩社員である自分と部下・後輩間はもちろん、部下・後輩同士などの従業員間でコミュニケーションが図られているか、ハラスメントが起きていないか、日頃から目を配り、良好な職場づくりに努め、従業員がその能力を充分に発揮できる職場環境を確保することが必要です。
(4)被害者、加害者へ声を掛ける、ヒアリングする
管理監督者(または先輩社員)は、ハラスメントに関する問題を見聞きした場合には、被害者の状況を見ながら、被害者へ声を掛けたり、ヒアリングしたり、また加害者に注意を促したり、被害者の了解を得て、専門家等に相談したりする必要があります。