F&Aレポート
F&Aレポート 2018年11月30日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
職場のパワハラ防止 法定化へ 2 〜パワハラかどうか見極めるために
「指導とパワハラの線引き」は、何でしょうか?
セクハラは、行為を受けた相手が「セクハラだ」と感じたら、セクハラになりますが、パワハラは、行為を受けた相手が「パワハラだ」と思っても、すべてがパワハラになるとは限りません。
マネジメントとして、業務上必要な注意、叱責、適切な教育指導などは、当然のことですが、パワハラには該当しません。つまり、マニュアルで「これはやってもいい」「これを超えてはダメ」と、はっきりした線引きができないのです。
◆パワハラを見極めるために知っておきたいこと
どのような行為がパワハラになる可能性があるのか、その具体事例と判断基準についてご紹介します。「パワハラをしない、させない」職場づくりに向けて参考にしてください。
しかし、実際にパワハラに当たるかどうかは、一般論で判断するのではなく、ケース・バイ・ケースの対処が必要になります。
パワハラに該当する可能性がある行為について、その具体例を3つのカテゴリーに分けてみました。
1、第三者が見ても明らかなもの:身体的暴力や人格否定など
- さまざまな場面で無視をする
- 冷淡な態度をとる
- 嘲笑したり、屈辱を与えたり、侮辱したりする
- 「お前みたいなやつは辞めてしまえ」などと言う
- 身体的に暴力を振るったり、強く小突いたりする
- 攻撃的な態度で大声を出したり、物に当たったりする
- からかいや皮肉を言う
2、第三者にはわかりにくいが加害者の意図が明らかなもの:悪意のある嫌がらせなど
- 他人のミスの責任を負わせる
- その人の能力から考えて極端に単純な作業をさせる
- わざと噂やゴシップを広める
- 他の社員が見ている前で、あえて怒鳴りつける
- 意見や意向を常に無視する
- わざと失敗するような仕事をさせる
- 根拠のない批判を繰り返す
- 不当な形で職位や権限を奪ったり降格させたりする
- 何度もミスを非難する
- 必要な職権を与えずに責任だけを増やす
- 職務遂行に必要な情報や知識、許可、サポートを与えない
- 極端に低い評価をつける
- 貢献や業績を無視したり過少に評価する
- 病欠や有給休暇などを取らせないように圧力をかける
- 残業や深夜残業を強要する
パワハラかどうかはっきりしない問題は、次の4つのカテゴリーに分けて整理することも必要です。
- 行為について…業務上不必要な注意、不適切な命令、労働法規などの違法性がある
- 時間的経過…行為が繰り返され、エスカレートしている
- 心理面について…受け手の感じ方にダメージが大。周囲も不愉快な行為
- 状況要因…当事者間の力関係(職位、能力、性別など)、周囲のサポートがない