F&Aレポート
「美点凝視(びてんぎょうし)」〜部下育成、職場風土改善の習慣
「美点凝視」とは、人の良いところを見つける、長所を見出すという意味です。私たち日本人は、これが案外苦手です。長所よりも短所の方が目につきます。さらに、長所を見つけたとしても、それを本人に直接伝えるとなると、照れくさくなったり気恥ずかしさが先攻してなかなか素直に伝えることができないのが普通です。その傾向は、どちらかといえば、女性よりも男性のほうが顕著に表れます。
一般的にも「日本人男性は誉めるのが苦手」と言われていますが、これからのよりよいコミュニケーションには「誉める」ことは欠かせないと思った方が良いでしょう。それも、口先だけのおべんちゃらではなく、心からいいなと思ったことを心から誉めるのです。
相手の良い反応を必要以上に期待する必要はないのです。あくまでも、相手の反応に重きを置くのではなく、真実を「伝える」ことに主眼をおきましょう。
「誉めることで相手をいい気分にしてやろう」とか、「相手を懐柔しよう」といった心理が働くと素直な表現はできなくなり、そういった下心はすぐに見抜かれてしまいます。
相手の長所に着目し、それを素直に認め、素直に伝えることで、相手も警戒心なく素直に受け止めてくれるものです。それは単なるスキルではなく、よりよい人間としての習慣といってもいいでしょう。「美点凝視」は脳の働きであり、習慣です。
「美点凝視」は、理性に「情」を注ぎます。部下育成、職場風土の醸成に「美点凝視」を活かしましょう。トレーニングの一環で人材育成研修では、必ず最後に「美点凝視」を行い、お互いを称え、認め合います。多くの人から「美点凝視」を受けた人は、他者からの視点を知り、自身の強みを把握します。では、どんな風に「美点凝視」を行うのか、ご紹介したいと思います。
■ 準備物 大きめの付箋(一人4?5枚×人数分)、筆記用具
■ 手順
- 4〜5人のグループに分かれる
- (グループの人数 ? 1枚)の付箋を、各自に配る ※5人グループなら、一人につき4枚の付箋を配布
- 付箋の上部に、宛名(○○様)を書き、箇条書きでその人の長所3つを書く
下部に自分の名前を書く - グループのメンバー全員分を(3)の要領で書く
- 全員が書いたら、「ありがとう」と言って、一人ずつに宛てた付箋を手渡す
- 1時間〜半日、または一日研修を受けて、同じグループのメンバーの長所が見いだせないのは、観察力と感性の欠如
- 長所を3点書くことで、見た目、人柄、受講態度など、誉めるべき点のポイントを考えることができる
- 付箋にすることで、資料に貼付けて保管することができる
- 同じことを2人以上の人に誉められていたら、それは間違いなく自身の強みであり、長所であると認めること
- 口頭ではなく、書きことばとして残すことで、何度でも振り返ることができる
「自分が他者から、どのように見られているのかがわかって、自信になった」
「これまで、あまり誉められたことがなかったので、単純に嬉しかった」
「これから仕事の中で、長所をさらに伸ばしていけるよう頑張ろうと思った」
「お互いの関係が近くなったような気がした。これから仕事がもっとやりやすくなる」
などがあります。目的は「美点凝視」の習慣をつけること。トレーニングにより、長所の発見の仕方や表現の仕方などを学ぶきっかけになります。