F&Aレポート
F&Aレポート 2018年7月10日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
日本語トレーニング(7)実は間違っているビジネス敬語
敬語は相手への敬意だけでなく、自分の品位も表します。次の敬語は、メール文章などでもよく見かけることばですが、実は間違っていたり、間違っているとまで言えないにしても印象のよくない敬語なので見直してみましょう。
- ご持参ください 「持参」とは、「持って参る」です。「参る」は「伺う」と同じ、「行く」の謙譲語なので、相手に対して(相手が主語のときに)使うのは適当ではありません。
- なるほど/なるほどですね 理解し、納得した気持ちを表現するときに使う「なるほど」には、敬意は含まれません。むしろ見下した感のある軽い表現です。同僚が目下に使うのが無難です。
- させていただいております 「させていただく」は、相手に許しを得てから行うという意味の謙譲語です。
- 書類をお送りさせていただきます 「お送り」は、「お+送る」の丁寧語、「させていただく」は謙譲語です。「お送りします」が適当ですが、謙譲表現をするなら「お送りいたします」または、「送らせていただきます」が、すっきりした表現になります。
- ございます 「ございます」は漢字で書くと「御座います」。「ある」の丁寧語で、自分、もの、場所に使います。「織田でございます」「資料がございます」「こちらが観光スポットでございます」など。「○○様でございますか?」のように、人に対して使うのは間違いです。
- お名前を頂戴してもよろしいでしょうか 「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」「お名前をお伺いできますか」が適当です。「頂戴」は、「もらう」の謙譲語です。名前は、もらうものではないので名前に「頂戴」を付けるのは、違和感がある表現です。
- お伺いさせていただきます/お伺いいたします/お伺いします アポイントメントを取る際に、時々耳にします。「伺う」は「行く」の謙譲語で、 「させていただく」も謙譲語なので、二重敬語になり間違いです。
「私が持参します」「(あなたが)お持ちください」「(あなたが)お持ちになってください」が本来の使い方です。ただ、最近では「使っても問題ない」と解釈されているグレーな表現でもあります。
「なるほどですね」は、「なるほど」+「そうなんですね」の略語で、そもそもあらたまった言葉づかいではありません。目上の方、お客様に対しては、「そうですか」「おっしゃるとおりです」「おっしゃるとおりでございます」「さようでございますか」などが、ふさわしい表現です。
また、「おります」も「ます」「います」の謙譲語です。
したがって、「させていただいております」は二重敬語です。「させていただいています」「させていただきます」「しております」などが正しい表現です。
例)×(お客様に)課長をさせていただいております○○と申します 自社に敬意を示しているようなニュアンスになります。
○「課長を務めております○○と申します」「課長の○○と申します」
例)×「こちらは田中様でございます」○「こちらは田中様でいらっしゃいます」
「お伺いいたします」も二重敬語(二重の謙譲語)で間違いです。「伺います」で十分謙譲表現はできます。「お」(丁寧語)+「伺います」(謙譲語)の「お伺いします」は、本来は正しくはないのですが、慣習的に正しいとされています。