F&Aレポート

F&Aレポート 2018年2月10日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

日本語トレーニング(2)ビジネス敬語

 接遇マナープログラムのうち、最も苦手という人が多いのが「敬語、ことばづかい」です。実際、日々の生活の中でも、「気持ちはわかるけど、その言葉はちょっとどうかな?」「なんとなく違和感がある」という、ことばづかいをする人に出会うことはよくあります。あえて指摘はしませんが、少し残念な気持ちになります。企業であれば、その会社の知的レベル、常識レベルが見え隠れすることも。

 敬語、ことばづかいは習慣です。一朝一夕に直るものではありません。残念な人、残念な会社にならないためにも、日頃から見直し、正すクセをつけたいものです。

■どこがおかしい?気になる?表現いろいろ

  1. 「課長もすでにお知りと思いますが」
  2. 「このたびは、おめでとうございました」
  3. 「私は、○○社にお勤めしています」
  4. 「私は○○社に勤めさせていただいています」
  5. 「私は○○社に勤めさせていただいております」
  6. 「山田様でございますか?」
  7. 「この新境地で、頑張らせていただきます」
  8. 「ご説明してください」
  9. 「そちらにお伺いいたします」
  10. 「社長から奥様に差し上げてください」
  11. (電話の取次ぎで)「田中はお休みをいただいております」
  12. 「とんでもございません」
<解説>
  1. ×「課長もすでにお知りと思いますが」
    「知る」の尊敬語は「ご存知」。○「課長もすでにご存知と思いますが」
  2. △「このたびは、おめでとうございました」
    そもそも、祝う気持ちは現在のことなので「おめでとうございます」を過去形にしないというのが原則です。ただ、昨今は賛否両論ありますのでグレーです。
  3. ×「私は、○○社にお勤めしています」
    「お勤めしています」は自分に対する敬語。○「勤めています」
  4. ×「私は○○社に勤めさせていただいています」
    「させていただく」は、相手に許可を得て「する」という行為の謙譲語。「勤めています」か「勤めております」が正しい。
  5. ×「私は○○社に勤めさせていただいております」
    「させていただく」「おります」は、どちらも謙譲語のため、二重敬語です。
  6. △「山田様でございますか?」
    「ございます」は「です」のさらに丁寧な表現なので、誤りではないのですが、話す相手には「いらっしゃいます」。自分には「ございます」の方が敬意は高まります。
  7. ×「この新境地で、頑張らせていただきます」
    「頑張る」は強い意志の表れなので、「させていただく」はおかしい。○「頑張ります」
  8. ×「ご説明してください」
    「ご」をつけたら「して」は外します。○「ご説明ください」
  9. ×「そちらにお伺いいたします」
    「お伺い」「いたします」どちらも謙譲語なので二重敬語です。○「お伺いします」
  10. ×「社長から奥様に差し上げてください」
    ○ 「社長から奥様にお渡しください」
    ○ 「社長から奥様にお渡しいただけますか」
    渡すのは社長なので、「差し上げる=謙譲語」だと、社長を下げてしまいます。
  11. (電話の取次ぎで)×「田中はお休みをいただいております」 ○「田中は休んでおります」
  12. 「とんでもございません」
    ○「とんでもないです」○「とんでもないことでございます」。「とんでもない」は一語。