F&Aレポート
F&Aレポート 2017年12月10日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
日本語トレーニング はなす・きく・よむ(12)
「叱咤激怒してください」←正しくは「叱咤激励してください」。「私には役不足ですが、どうかよろしくお願いします」←正しくは「私には力不足ですが」。
いずれも聞いていて、「?」と気になる間違い表現です。次の慣用句の中に間違えているものがあります。下線部の言い方が正しいかどうかをチェックしてみましょう。
- 「天地神明に誓って、嘘は申しません」
- 「あの人は今や、押しも、押されぬ○○会社の社長ですよ」
- 「仕事をおざなりにして、遊び歩くなんて!」
- 「願わくは、この計画を認めていただきたい」
- 「彼は自分の意見をまかり通してしまうからすごいね」
- 「貧すれば鈍する。貧しいと人は変わるよね」
- 「以て銘ずべし、われわれの実力からすれば、よくやったよ」
- 「いくら泣きつかれても、無い袖はしぼれないよ」
- 「刀折れ矢尽きた。もう戦えない」
- 「私が訪ねると、あの人は露骨に眉をしかめるんですよ」
- 「聞いているだけで、笑顔がこぼれるよ」
- 「私は課長に私淑(ししゅく)しています」
- 「その要求が社内で議論をかもした」
- 「出る杭は打たれる、出しゃばらない方がいいぞ」
- 「病状は薄紙をはぐように、快方に向かっている」
- 「たった一匹のねずみで、上や下への大騒ぎだ」
- 「人生到るところに青山あり、大切なのは大望をもつことだよ」
- ○「天地神明」=あらゆる神々。「天地天命」「天地天明」と間違える例が多い。
- ×「押しも、押されない」=「押さない」し「押されない」。争う余地がない。「ゆるぎない」という意味
- ×「おざなり」=当座をつくろうこと。ここは「なおざりにする」が正しい。いい加減にするという意味。
- ○「願わくは」=「願わくば」と間違える人が非常に多い。
- ×「まかり通す」=「まかり通す」という言い方はない。正しくは「まかり通る」
- ○「貧すれば鈍する」=貧乏になると、頭の働きが鈍くなり、性格までいやしくなるというもの。「貧すれば窮する」と間違えるひとが多い。
- ×「以て銘ずべし」=正しくは「以て瞑すべし」。それで満足すべきという意味。
- ×「無い袖はしぼれない」=「無い袖は振れぬ」。力を貸したいがどうにもできないという意味。
- ○「刀折れ矢尽きる」=「刀折れ力尽きる」と言い間違えるひとが多い。
- ×「眉をしかめる」=正しくは「眉をひそめる」か「顔をしかめる」
- ×「笑顔がこぼれる」=正しくは「笑みがこぼれる」
- ×「私淑(ししゅく)」=直接教えを受けた場合は「私淑」とは言わない。この場合は「心服している」というべき。
- ×「議論をかもした」=正しくは「物議をかもす」
- ○「出る杭は打たれる」=「出る釘は打たれる」と間違えないように。
- ○「薄紙をはぐように」=「薄皮をはぐように」と間違えるひとが多い。
- ×「上や下への大騒ぎ」=「上を下への大騒ぎ」
- ×「人生到るところに青山あり」=「人間(じんかん)到るところに青山(せいざん)あり」=人間は「ひと」ではなく「世間」のこと。「青山」は埋骨の地。どこへ行っても骨を埋める場所はある、故郷を離れて大望を遂げよという意味。