F&Aレポート
F&Aレポート 2017年8月20日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
話しかけない接客が流行っている? プロのおもてなしとは?
最近では、話しかけない接客スタイルを取り入れる衣料品店や美容院などが登場しているそうです。従来、丁寧な言葉遣いや声かけは、接客の基本とされていましたが、おもてなしの形が変わってきていると言われています。
実際、「いらしゃいませ」と接客されて、なんとなく居心地が悪くてすぐにお店を出たり、美容院などで中途半端な世間話をすることに疲れることがあります。そんなときは「そっとしておいて」「私は一人でゆっくり見たい(過ごしたい)の!」という気持ちなのです。以下、ヤフーニュースからご紹介します。
店員からの声かけが苦手という人は少なくない。ニュースサイト「しらべぇ」が、2015年2月、全国男女1,500人を対象に行ったアンケートでは、「服を買うとき、そっとしておいてほしいと感じたことがある」という設問に「はい」と答えた人は8割を越えた。
大阪のセレクトショップは、今年5月「声かけ不要」の意思表示になる店内用ショッピングバックを導入した。客側の反響は「ゆっくり買い物ができる」など概ね好評で、店側も店員を必要とする客に集中して対応できるメリットがあるという。
目黒区の美容院では、1年ほど前から来店時に名前や住所を記入するカードに、「物静かな美容師に担当してもらいたい」「ヘアスタイル以外の話はしたくない」といった項目を設け、選んでもらっているが、半数が「話しをしたくない」を選ぶという。サイトの運営側によると、7年前は「静かに過ごしたい」を選択する人は15%だったが、現在は40%に増えた。
ファッションや美容関連以外では、京都市の「都タクシー」が今年3月から約4ヶ月間、運転手が車内での声かけを抑制するタクシー10台を試験的に導入した。
こうしたサービスの登場について専門家は、「コンビニエンスストアやファストファッション店の利用が日常化し、店員とほぼ話さず買い物するスタイルが定着した。従来は話をしていた分野にもそれが広がっているのでは」と話す。また、「スマホで商品情報の収集が容易になり、店員の助言を必要としない人が増えた。さらに、美容師やタクシー運転手と会話を楽しんでいた“手持ちぶさた”の時間が、今はスマホを操作しながらの“自分時間”になっている」と分析している。
「ベルメゾン生活スタイル研究所」は昨年、全国4425人の女性を対象にファッション情報収集法についてアンケートを行ったが、「通販カタログの写真 33%」「デパートなどに足を運ぶ 27%」「ファッション雑誌 26%」が上位3つに選ばれた。「店員や友人の意見を聞いて服を選ぶ」と回答した人は13%にとどまった。
それでは、店員の必要はないのかといえばそうではない。「手持ちの服に合わせる服が欲しい」「旅行用の服を探している」といった要望に応じて、個別のアドバイスができるフィッティングアドバイザーなどの専門の資格を持つスタッフが、無料で対応するサービスを行うデパートもあるという。
また、化粧品に関する知識を備えた「コスメ選任アドバイザー」も好評で、客に合った手入れ方法を助言したり、さまざまなブランドからコスメ選びを手伝ったりするそうだ。
買い物に同行する「パーソナルスタイリスト」に依頼する人もいる。「プロの目によって、自分の感覚では選ばなかった色や形の服に出会える。殻を破って印象を刷新するのを楽しむ人も多い」のだそうだ。(Yahooニュース 2017年8月17日)
いずれにしても、マニュアル通りのプロの視点のない接客スタイルは廃れていくのでしょう。商品知識が豊富で、その上で個人の要望や状況に合わせて的確な助言ができる「プロとしてのおもてなし」が求められているのです。 「話しかけない」のはお客様を放っておくことではありません。なく、ここぞという時に、サッと手を差し伸べることができる技術。プロの「眼」と、プロの「間合い」があることなのでしょう。おもてなしは、ますますプロの心と技術が必要になりました。