F&Aレポート

F&Aレポート 2017年7月20日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

「徹子の部屋」黒柳徹子さんにみる聞き上手の秘訣

  • 事前の準備は念入りに
  • 相手とその家族、そして視聴者に常に配慮を
  • どんな相手にも言葉遣いは丁寧に。特に敬語は忘れない
 「徹子の部屋」といえば、世界でも珍しい長寿番組です。一人で司会をするトーク番組としては世界最長とも言われています。

1976年2月2日、第一回目の放送はゲストが森繁久彌さんです。その後、2015年には放送開始40周年と、放送回数10,000回記念を迎えますが、黒柳徹子さんは齢83歳、今もなお「50周年を目指したい」という意気込みで活きたトークと、番組づくりに励んでおられます。

「たかが15分のトーク番組」と思うのは大間違い。実際にインタビューをしてみたらわかりますが、ただのおしゃべりではなく、目的をもって「聞く」という作業は、たとえ5分間であっても難しいものです。限られた時間内に相手の魅力とホンネを引き出し、その上、視聴者に「面白い」と感じてもらうには、相当な話術、体力、下準備、さらにスタッフとの意思疎通、協同作業が必要です。しかも、この番組は編集をしないことが原則です。生放送とほぼ等しい状態です。それを40年以上継続させているのは奇跡に近いといえます。

 今回はそんな黒柳徹子さんの仕事ぶりをご紹介しながら「聞き上手」ということについいて考えてみたいと思います。(聞き上手は一日にしてならず 永江朗著 参考)

■徹底した下準備とスタッフとの打ち合わせ
 「徹子の部屋」は、月曜、火曜で6本録ります。本当は5本でいいのですが、1ヶ月4本のストックをつくって、ユニセフの仕事などで海外に出かけるときのために備えます。毎週金曜日には、翌週収録分のゲスト6人分の打ち合わせをスタッフと行います(デイレクターが事前にスタッフがゲストと打ち合わせをしています)。

 金曜日のスタッフミーティングは、一人のゲストにつき1時間以上になるので、6人分だと途中休憩をはさみながらおよそ9時間かかります。午後3時から始まって、終わるのが夜中の11時、12時ぐらいです。このときの手書きのメモ用紙は、1人のゲストにつき12枚になるので、6人分だと72枚になります。下調べ、準備には余念がありません。

■なぜ、編集をしないのか
編集して面白いところだけを集めると、ゲストがどういう人なのかが伝わりません。同じ言葉でも「うーん」と考えて返事をしたのか、即答したのか。「うーん」を編集で切るとその人らしさが伝わらない。また、編集したらどの部分を残すのか、皆の意見が分かれてしまいかねない。さらに、番組を編集するのは労力がかかることから、雑になるおそれがあるという理由から、編集はしません。

 また編集をすると、テレビ局の意志、番組の意志でゲストの意図しないものができあがる可能性もありますが、編集をしないなら本心を話せるというゲストも多いのです。

■話を映像にして聞く
ゲストの話を聞きながら光景を映像として思い浮かべるようにすると、自然に次の質問や言葉につながります。「次は何を質問しよう」「普通の人なら、ここで笑うのかな」とか思うようになったら、この番組はやめた方がいいなと思います。相手のお話をすべて映像にして聞いています。

■どんな人にもちゃんとした敬語で
ゲストの家族の方が番組を楽しみにご覧になることがあるので、どんな若い方に対してもちゃんと敬語を使ってお話をしようと思っています。ただ、あんまり若い方に対して敬語を使うと、かえって向こうがどうしていいか困ってしまうこともありますので、そこは難しいのですが。

■人には必ず話がある、人には聞きたいことがある
しゃべるのは嫌いだという人にも、必ず話したいことはあるはずだと思います。一人の人間の役を演じるのに、芝居なら稽古に1ヶ月から2ヶ月かかります。同様に、ゲストの方は18歳なら18年間、75歳なら75年間も一人の人間としてリハーサルをしているわけです。絶対に面白くないはずがない。それを受け止めた上で、お話を聞きます。(対談より)

※長寿番組の裏側には、ゲストに対する敬意、視聴者に対する配慮、念入りな準備の積み重ねプラス、黒柳徹子さんの感性が交叉しているのがみえます。「聞き上手」の秘訣は、相手を慮ることと、日々の準備と努力。これは、日々の良好なコミュニケーションにも通じる要素ともいえます。



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