F&Aレポート

F&Aレポート 2017年5月30日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

「手ごたえのある人生が始まる」キャリアデザイン〜自立社会、大人社会の到来

今、日本政府が「働き方改革」を進めている理由は3つあると考えられます。

  1. 日本の人口、特に労働力人口が減少し続けていること
  2. 日本の長時間労働が改善されてないこと。これは生活の質の低下、消費の低迷につながること
  3. 政府が奨励するダイバーシティ(多様性)マネジメントや生産性向上が、働き方改革と直結していること
 もっとわかりやすく言えば、これは「自立してくださいね」ということになるのであろうと、筆者は考えます。終身雇用が当たり前の時代は、ひとたび会社に就職すれば、給料と昇給はほぼ保障され、人生設計はそれに基づいて自ずと決まっていきました。

 結婚、出産、定年、老後、年金と、みんなと同じように描いていればよかった。ただここへ来て、終身雇用は保障されず、年金もあてにならず、最大のライフイベントである結婚さえも躊躇する時代です。生涯未婚率(50歳までに一度も結婚したことがない人の割合)は2015年の国勢調査では男性23%、女性14%です。これは、男性は4人に1人、女性は7人に1人が結婚をしないということです。男女とも前回2010年の数字を大きく上回っています。

 自由に働き方を選べる代わりに、自分の人生は自分で構築してください。「あなたの人生プランは会社や日本国が面倒みるものではなく、あなた自身が決めてくださいね」。裏を返せば、働き方改革は「あなたの人生の責任は、あなた自身がとってください」という警告です。そう、日本は自立社会、大人社会になろうとしているのです。

■ 大切なのは価値観と意味づけ 「仕事とは興味、能力、価値観を表現するものであり、そうでなければ仕事は退屈で無意味なものになる」(ドナルド・E・スーパー)

 職業人生で感じる幸福感や充実感は、実は自分の心の奥底にあります。自分自身でなんとなく感じながら気づかないこともあります。たとえば、次の質問にあなたはどのように答えますか?
  1. あなたは何ができるのか?何が得意なのか
  2. あなたはどのようなときにやる気になり、また、やる気を失うのか
  3. あなたはどんなことに意味や価値を感じるのか
 この質問は、(1)あなたの能力、強み(2)あなたの動機付けになる要素(3)あなたの価値観や意味づけを問うものです。

 職業の価値観のことをキャリア・アンカーといいます。アンカーとは「船の錨」です。船はどこに行こうが、一度錨を下ろすと浮遊することなく落ち着きます。キャリアに置いても、一人ひとりがこの錨を持っており、それを拠り所として生きているという意味です。言うなれば、自分が自分らしくあるための「譲れない価値観」なのです。

 キャリア・アンカーが把握できれば、自分をコントロールしやすくなります。キャリア・アンカーを探り出すことは自分の取扱説明書を得るようなものだと言う専門家もいます。

■ 今していることが未来につながっているか
 探し物をするときに、「確かにあそこに置き忘れた」と確信を持って探す場合と、「どこにあるかわからない」と探す場合では、同じ探す作業しても、労力も時間も違います。また、気持ちも違います。

 同様に、今の仕事や人間関係、または生活が、自分の価値観を満たしていて、必ず未来につながっているという確信があるのとないのとでは勢いが違います。自信の度合いや充実感も違います。毎日を健やかに充実したライフ&キャリアを求めるなら、自分自身の強みや、価値観、人間関係などを、過去から現在へ未来へと整理してみることから始めましょう。それは、取りも直さず自分自身を見つめる作業にほかなりません。手ごたえのあるラオフ&ワークはそんなところから始まるのかもしれません。キャリアとは、仕事に限らず、人生全般を指します。あなたのキャリアをデザインするのはあなた自身です。時に立ち止まって、デザインを整理してみませんか。必ず発見があります。