F&Aレポート

F&Aレポート 2017年5月20日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

感情マネジメント〜怒りやイライラをコントロールして絆、信頼関係を築く

 以前このレポートで「攻撃的な物言いは、百害あって一利なし?怒りの感情は人やモノにあたっても解消できず増幅する?」を特集しました。怒りやイライラといった感情は、人やモノにあたっても解消するどころか、逆に増幅するものなのだという研究結果があります。また、怒りという感情は、喜怒哀楽の適度なバランスに欠かせない感情(脳の反応)のひとつです。

 怒りの反応、ストレス反応などは、脳が自己防衛のために行なうものですから、それ自体をなくしてしまうことは不可能です。無理に抑えようとするクセをもっている人には、片頭痛が顕著に見られるという調査結果もあります。むやみに抑えればよいというわけにはいきません。では、どのように向き合い、コントロールしていけばいいのしょうか。

1.A(怒り)=C(要求)×L(理解不足)

A:怒り(Anger)
C:要求(Claim)、期待(Illusion)、希望(Hope)
L:理解不足(Lack of understanding and/or prediction)
※C=0(要求なし) または L=0(理解不足なし) の場合、A=0(怒りなし)
 私たちは、何か自分にとって不都合な(面白くない)出来事があって、それによって怒りの感情が生まれると思いがちですが、同じ不都合な出来事があても「怒り」にならない場合もあります。

 たとえば、次の状況ではどうでしょうか。

(1)目の前の車が急に停車した
(2)「そんなに食べるとメタボになるよ」と言われた
 (1)(2)いずれも、普通なら怒りの感情も湧いてくるところかもしれませんが、状況によっては「怒り」にならないこともあります。  たとえば、(1)の場合だと、目の前の車は、人助けをしようとして車を止めざるを得ない状況でした。道路脇に人が倒れていたのです。そんな状況がわかると、怒りは安否を気遣う気持ちに変わってくるでしょう。「自分も何か手伝うことはないか」という気持ちさえ湧いてくるかもしれません。

 (2)の場合、奥さん(ご主人)なら腹が立つかもしれませんが、小さな子供が大人の口調を真似て言ったものだとしたら、思わず笑ってしまいます。私たちは、<出来事→感情>ではなく、<出来事→「物事の見方、捉え方」→感情>という構造で、怒りを自ら生んでいるのです。

2.怒りを生み出す二つの要因「要求」と「理解不足」
 「怒り」や「イライラ」を生み出す原因は大きく2つあります。その2つとは、「要求」と「理解不足」です。怒りはこの2つがかけ合わさって生みだされます。

 相手に対する「要求」が強ければ怒りを大きくすることになり、「理解不足」の状態が続けば怒りはおさまりません。

 また、「要求」があったとしても「理解不足」が「0」(←完全に理解できている状態)、なら怒りは解消し、「理解不足」であったとしても「要求」が「0」(←期待しない、求めない)なら怒りは発生しないのです。

3、「感情」の奴隷にならない思考を
 「怒り」や「イライラ」があっても、そこからどう思考するかが問題です。怒りに支配されないA思考と、支配されてしまったB思考(感情の奴隷)。

 「A思考」なら問題ないのですが、「B思考」なら、信頼関係が壊され憎悪が生まれてしまいます。怒らないことではなく「思考を切り替える」習慣を身につけてみましょう。