F&Aレポート
F&Aレポート 2016年11月30日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
「正直」「ある意味」って、正直意味あるの?
少し前の話になりますが、新しいメガネが欲しくてお店に出かけたところ、担当してくれた30代ぐらいとおぼしき男性スタッフが、説明するたびに「変な話、これは今だけお安くなっているんですよ、、、」「変な話、こういうデザインは洒落てますからね、、、」と、なんでも
かんでも「変な話、、、」と前置きするので、それこそ「変な話」だと思いました。恐らく、本人は「変な話」を連発していることに気づいていないのでしょう。口癖になると無意識のまま使ってしまいます。彼は、説明するたびに「変な話、、、」から切り出し、結局数え切れないほど「変な話」をしました。よっぽどツッコミを入れてやろうかと思いましたが、下手に絡むのも面倒なので買わずに帰りました。似たような話が「NHK気になることば」で紹介されていました。以下、ご笑覧ください。
会話の中で「ある意味…」をよく使う人はいませんか?
これに対して、耳障りだと言う人がいます。なぜでしょう。
辞書には、「ある」=「はっきり決まっていない物事を指して言う言葉、はっきり言いたくないときにも使う」とあり、用例として、「ある意味では正しい」「ある意味成功だ」と載っています。「まちがいとは言えない」「成功と言えなくもない」というときに使います。
しかし、最近は、これと違った使い方を耳にするようになりました。
例えば、「ある意味渋谷は若者の街だ」という言い方。
これらは一般的に言われていることですから、「ある意味」を付ける必要はありません。これは、「まあ」「その」「いわゆる」のような、つなぎの言葉として使っているのですね。「ある意味」の本来の意味とは違いますので、聞いていて耳障りに思うのかもしれません。
同じような例に、「逆に」というのがあります。例えば、「明日飲みに行かない?」に対して「逆に今日はどう?」、あるいは、「この件は部長に言う?」に対して「逆に課長がいいいんじゃない?」のような会話を聞いたことはありませんか?
本来、「逆に」は、対立要素が認められる場面で使われます。後ろに続く言葉に、「反対」の要素がある場合に使われるわけです。それが、「それより」「例えば」などの意味で、「逆に」が使われているのです。「逆に」と言われると、反対の意見を言われそうで、ドキッとしますね。これもまた耳障りな使い方と言えるかもしれません。
他にもあります。例えば、「正直(言って)…」
これもよく聞きますよね。辞書には、副詞として「本当のところ」という意味でも載っています。「正直なところ自信がない」など、本音を言う場合に使います。
ところが、「この夏、正直冷たいものばかり飲んでいた」など、本音で言うまでもないことに「正直」を使う人がいます。これらはすべて、本来の意味を失ってただの前置き言葉になっていますね。
ということで、「正直なところ、これらの言葉はある意味使わなくても済むわけで、逆に耳障りです」。
それなりに聞こえてしまいますが、これらの言葉は、なくても意味が通じるのです。他にも、「実は」「ここわけの話」「極端な話」「基本的には」「本当言うと」などがあります。これらは口癖になりやすく、言わないと次が続かなくなります。口癖になると気づかず使ってしまうので、気をつけたいものです。