F&Aレポート

F&Aレポート 2016年11月20日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

コミュニケーション 言いにくいことはレベルを変えて

 コミュニケーションにはレベルがあると言います。

1、文章、データを読み上げる
2、自己紹介、思い出話やエピソードを語る
3、意見や考えを述べる

 数が大きいほど深いレベルのコミュニケーションなのだそうです。

 では常に深いコミュニケーションが良いのかといえば、そうではなく意図的にコミュニケーションレベルを変えることで、豊かなコミュニケーションを可能にするといいます。

 たとえばどんなときに、コミュニケーションレベルを意識するのでしょう。心地のコミュニケーションの秘訣を日経新聞(2016年10月22日付)の記事よりご紹介します。

「お母さん、今日の主題、大変だよ」。こんな短い発言にも、いくつかのメッセージが含まれていることがある。

 1本当に量が多いという事実描写
 2大変だから手伝ってほしいという願い
 3明日までに間に合わないかもという焦りの気持ち
 4面倒でやりたくないという本音、など。

 一番伝えたいのは何なのか。「言葉のキャッチボール」といわれるコミュニケーションで明らかになっていく。コミュニケーションは文字通り双方向の意味だが、もう少し深い概念も含まれている。

 例えば、英語を母国語とする人が、片言しか話せない人と会話するとき。母国語の人は相手の英語力をみながらやりとりする。つまり、自分の送球をどう受け取ったか確認しながら、うまくやりとりができるレベルを探り合う。

 臨床心理士の堀越勝さんはコミュニケーションの深さについて著書で記している。コミュニケーションの取り方は

 1挨拶レベル
  ↓
 2事実・数字レベル
  ↓
 3考え・信条レベル
  ↓
 4感情レベル

とあり、下にいくほどだんだん深くなっていく」という。

 医療機関を受診する患者さんの多くは、苦しみといった主観的な感情レベルの世界にいる。医療従事者はその苦悩を受け取り、その後、専門的かつ客観的な事実・数字レベルの内容を返す。深さを変えて話す工夫がコミュニケーションを豊かにするからだ。

 ところで、私たちの日常では、時に相手に対して異議を唱えたり、言いにくいことを伝えないといけないことが生じたりする。心地いいキャッチボールだけではすまないのだ。そんなとき、どんな言葉を送ればいいだろう。

 たとえば、ミスの多い部下を注意しなければならない場合。「何度言ってもわからないヤツだ」と、深い感情レベルに侵入して強い球を投げつければ、相手はケガをし、キャッチボールは終わる。否定的な内容は、傷つきやすい感情レベルから入らずに「ここ、ミス率が高いから気をつけて」と、なるべく事実・数字を入れて客観的に伝える。

 もし傷つけてしまったら、次の声かけは「ここは問題なし」など受け止めやすく。投げた言葉を、相手がどう受け取ったか観察しながら次の言葉を選ぶ。指摘するにも相手への思いやりが大切。そのほうが意図は伝わるはずである。(神田東クリニック院長 高野知樹)



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