F&Aレポート

F&Aレポート 2016年9月20日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

「声」による説得力とボイス・トレーニング

1.「日本女性の声」に違和感
 先日、20年ぶりにアメリカに在住する高校時代の友人(女性)と会いました。彼女は結婚してから20数年間アメリカに住んでいます。カフェで向かい合い、お互いの仕事や家庭のことなどの話で盛り上がりました。そこへ「お待たせしました」と、カフェの女性スタッフが注文した品を持ってきてくれました。マニュアル通りに説明を済ませて、その女性スタッフは去りましたが、友人は、その「声」に違和感があったようです。「声の出し方が変だ」というのです。

 胸から上だけで、さらに口先だけで妙に高い声でしゃべっているように聞こえるというのです。さらに、日本女性の多くはそうだと。血の通っていない人形のようで、ものすごく違和感があると言っていました。

 一般的に、欧米女性の声は、日本人の感覚からすると低く聞こえますが、欧米ではそれが良い声とされています。落ち着いていて響きのある声が魅力的とされているのです。

 ふと気づけば、高校時代の友人も「低めの声」で普通におしゃべりしています。また、身振り手振り、表情が豊かで、日本女性ではあまり見かけないほどの説得力があります。 昔とは違う声の出し方になっています。彼女は、アメリカで暮らし、アメリカの大学を卒業し、アメリカで働き結婚し、子育てをしています。長いアメリカ生活で鍛えられた声と表現力なのでしょう。

2.アメリカの大学では必須の「スピーチ」
 アメリカの大学では、どんな学部・学科を選ぼうと必須教科があります。それは「スピーチ」です。そしてそれはかなり重要な教科です。就職する際には、「スピーチ力」「コミュニケーション力」が必ず問われます。

 場を和ませ、自分の考え方や意見を伝え表現する。同時に良い聞き手にもなれる。周囲を巻き込めるという「スピーチ力」は、どんな道に進もうと、どんな専門家になろうと、求められる能力なのです。もともとシャイな性格の友人は、この「スピーチ」が不得意で、とても苦労したと言っていました。

 「声の秘密」(草思社)によると、若い頃のマーガレット・サッチャーの声には問題があったといいます。胸の一番上から話し、喉頭に力が入って、咳が出やすく風邪もひきやすい。疲れてくると、締めつけられたような声になる。しかも、声が体のどの部分よりも早く疲れたというのです。それは、偉そうで、少し高飛車で、重苦しい感じがして、まったく評判が悪かったと。

 「声」の善し悪しで、国民への伝わり方も印象もちがう。サッチャーは、現代のどんな政治家よりも大きく声を変えました。サッチャーは、胸の上のほうではなく、腹の下のほうから声を出すことや、会場の一番後ろにいる人に向かって話しかければ声が通るなどの専門家のアドバイスを受けた。さらに、テレビやラジオの放送の際には、話す内容に応じて声を変えるという努力までしました。

 彼女が党の政治的な放送をするときは、二種類の飲み物を用意したといいます。氷水と、温かい蜂蜜レモン水です。繊細で思いやりのある声を出したいときには、蜂蜜レモン水で声を和らげリッラクスさせます。力強い声を出したいときは氷水を飲んで、声に緊張感をもたせるといった具合です。

 日本で「ボイス・トレーニング」といえば、大半は「歌を歌うためのもの」で、話すためのボイス・トレーニングはまだ一般的ではありません。ただ、2020年東京オリンピックに向けて、日本はよりクレバーにクリエイティブに世界にアピールしていかなければなりません。単純な言語の違いではなく、世界に通じるコミュニケーションのひとつとして、日本人の多くが「声」を磨く必要がありそうです。



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