F&Aレポート

F&Aレポート 2016年4月10日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

「チームマネジメント」における足し算と掛け算〜 「0(ゼロ)」のメンバーに声をかける

 春、新年度、新入社員。新しい風が吹いてくると、新しいことを始めたり、既存のものを見直したりしたくなります。今回は組織としての「チームづくり」を見直してみましょう。安全も、おもてなしも世界トップクラスと言われるANAのチームマネジメントをご紹介します。 (「ANAが大切にしている習慣」ANAビジネスソリューション 扶桑社新書

1.足し算チームと掛け算チーム
 人材育成でよくいわれるのは「足し算」と「掛け算」の例えです。これは、「チームのメンバーは足し算ではなく掛け算で成果を出す」というものです。 「足し算のチーム」では、チーム内に優秀なメンバーがいてその社員が頑張って成果を出せば、たとえチームの中にベクトルが合わない人がいたとしても「総和」ですからチーム全体の成果は上がります。

 しかし、「掛け算のチーム」の場合は、みんなが頑張らなければ成果が上がらないのです。一人でも手抜きをする人やベクトルの合わない人、チームに対して疎外感を持っているような人がいれば、チームとしての成果は生まれません。

 足し算のチームでは「0」+「3」+「5(優秀な社員)」=「8」ですが、
 掛け算のチームでは「0」×「3」×「5(優秀な社員)」=「0」となるからです。

 掛け算のチームづくりでは、いかにして「0」のメンバー(チームに対して疎外感を抱いている人)を「2」や「3」にしていき、相乗効果をあげていくのかが重要になります。

 足し算のチームでは「2」+「3」+「5(優秀な社員)」=「10」ですが、
 掛け算のチームでは「2」×「3」×「5(優秀な社員)」=「30」となります。

 足し算は「個」の能力の集約ですが、掛け算の意味は「個」がお互いを意識し、切磋琢磨したり相乗効果を発揮したり、お互いが認め合うことで信頼し合って、チームとしての成果を上げていくことなのです。これがチームマネジメントです。

2.あえて「0(ゼロ)」のメンバーに声をかける
 足し算のチームの場合には「0」のメンバーがいても成果を上げることは可能ですが、掛け算のチームではそういうわけにはいきません。掛け算のチームは「0」の人間、すなわち不要な人間をつくってはいけないということです。

 では、チームに「0」の人がいたときには、どのように育成していけば良いでしょうか。

「5」の優秀な人や活躍している人は輝いています。話をすることも多いですし、どのポジションにいてもみんなが認めるような影響力を発揮しているものです。一方で、「0」の人は、話をすることも少ないし、チームの中で浮いていたり、疎外感を抱いていたりします。

 チームリーダーが、もしも「0」に対して「厄介者」扱いをしたり、そう考えていることを表情に出したら、その時点で人材育成は上手くいかず、チームもまとまりません。そのようなリーダーのもとで、メンバーの気持ちが一つになるわけがありません。

 リーダーが積極的にアプローチしていかないと「0」の人がチームに溶け込むことはますます難しくなります。チームリーダーは、すべての人に対して公平に、積極的に声をかけ、チームのメンバーとして期待しているということをはっきりと示すことが大切です。

3.メンバーの力量を相互共有する
 チームは、多種多様な作業をそれぞれが分担し、一緒になって一つの仕事をまとめあげます。当然、人には得不得手があります。コミュニケーションが苦手という人もいれば、少し作業は遅いけれど調整能力に優れているという人もいます。ここで重要なのは、チーム内メンバー同士が、お互いにどれぐらいの能力があるかということを共有できているかということです。

 例えば高校野球の試合で、ノーアウト一塁二塁で「ここは絶対バントだろう」という場面。打席に回ってきた選手にバントをさせないといった戦術をとる監督がいたとします。傍からみると「なぜバントをさせないのか」と不審に思っても、チームの選手は理解できているのです。おそらくその選手はバントが下手なのです。そのことをチームのみんなは、普段の練習から共有しているのです。

 仕事を割り当てる場合も同じです。メンバー同士でお互いの力量などの情報が共有されていれば、「どうしてこの仕事をオレに任せないのか」「なぜ、ここであいつが起用されるのか」といった、リーダーの指示に異論が出ることは少ないでしょう。

 そうした情報共有がされていることで、リーダーの指示は徹底され、チームが有機的に動いていくのです。逆に、情報共有がうまくいっていない場合には、相互不信がどんどん増加していく危険性があります。

 普段からメンバーの仕事ぶりを共有できるような環境づくりが、チームで力を発揮していくうえでは必要不可欠なのです。



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