F&Aレポート

F&Aレポート 2016年2月10日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

知的日本語トレーニング2 〜意味をまちがえやすいことば、慣用表現

 普段何気なく使っていることば。読み方を間違った、意味を取り違えた、人前で誤字を書いてしまったなど、冷や汗をかいた経験はありませんか。  また、周囲の人が間違ったことばを使っているのに気づかず、自分も間違ったことばを堂々と使っていたなど。いざというときに恥をかいたり、誤解が生じないよう、日頃からことばの感覚を磨いておきましょう。

1.読み方で意味が異なる単語

  1. 追従  ついじゅう/ついしょう
    「ついじゅう」は他人のしたことや、意見につき従うこと。「他者の追従を許さない」など。
    「ついしょう」は、相手に気に入られようと、こびへつらうこと。おべっかを使うこと。
  2. 気骨  きこつ/きぼね
    「きこつ」は強い心、気概。「きこつがある」とは信念を貫き、妥協をしない人を指す。
    「きぼね」は気苦労、気遣い、神経を使う相手や場を「きぼねが折れる」と表現する。
  3. 後生  ごしょう/こうせい
    「ごしょう」は仏教用語で、死後再び生まれ変わること。「後生大事に」は「ごしょう」。
    「こうせい」は、後に生まれてくる人、若い人、子孫を指す。「こうせいに名を残す」など。
  4. 礼拝  れいはい/らいはい
    どちらも神仏に祈る行為を指す。キリスト教では「れいはい」、仏教用語では「らいはい」と読む。
    感謝・称賛するという意味の「礼賛」は、語源が仏教用語なので「らいさん」と読む。
2.言い間違えやすいフレーズ
  1. × 金に任せて   ○ 金に飽かせて
    「飽かす」は惜しみなく、ふんだんに使うという意味。金の勢いに任せて、無茶な事をしているわけではない。
  2. × 体調を壊す   ○ 体調を崩す
    調子は壊せない。「体を壊す」なら正解。体調関連では、「熱にうなされる」も間違い。夢にはうなされるが、熱には「浮かされる」。
  3. × 顔をうかがう   ○ 顔色をうかがう
    顔色とは表情に表れた気持ち。顔は「見る」で、うかがうのは「顔色」。ちなみに不快、不機嫌の表情は「顔をしかめる」。眉なら「ひそめる」。
  4. × 愛想をふりまく  ○ 愛嬌をふりまく
    愛嬌は、好感をもたれることばや表情、愛想は対応を指す。対応はふりまけない。愛想を評するなら「愛想が良い、悪い」。愛嬌は「愛嬌があり、なし」。
  5. × 口先三寸   ○ 舌先三寸
    口先だけ」という言い方はするが、三寸をつけて四字熟語にするなら「舌先三寸」。「舌の根も乾かぬうちに」も、「舌の先も乾かぬうちに」と間違う人が多い。
  6. × 目鼻が利く   ○ 目端が利く
    目端は場をよく見計らう機転。儲け話などをかぎつけるのは「鼻が利く」。「目鼻が」というなら「目鼻が付く」。だいたい出来上がるの意味。
  7. × 取り付く暇もない   ○ 取り付く島もない
    態度が冷ややかで、会話のきっかけすらつかめない様子を表す慣用句。「けんもほろろ」と同義。 忙しくて暇がないという意味ではない。
  8. × 食指を伸ばす   ○ 触手を伸ばす
    食指は「動く」。食指が動くとは食欲がわく、強い関心を持つこと。「触手を伸ばす」には、他人のものに手を出すというニュアンスがある。
★ いかがですか、この他にも「×合いの手を打つ ○合いの手を入れる」「×的を得た ○的を射た」などがあります。どれも混乱しやすいのですが、普段よく使う表現なのできちんと把握しておきたいですね。