F&Aレポート

F&Aレポート 2015年11月30日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

言霊を響かせる〜言葉にはエネルギーがある

 日本には古来から「言霊信仰」があります。これは「言葉」そのものが「霊力」を持つという考え方です。言葉は意思疎通のための単なる記号ではなく、「エネルギー」なのです。そのため、不吉なことは口にしない方がいいと言われます。これは、不吉なことを言うと、不吉な言葉が不吉な現実を招き寄せからです。逆に、良い言葉は、「良い現実」「幸運」を招き寄せます。縁起をかつぐために、「するめ」を「あたりめ」と言ったり、「終わり」を「おひらき」や、「鏡割り」を「鏡開き」と言うのも「言霊信仰」といえます。

 そういえば、最近話題になった、博多の「親不孝通り」と「親富幸通り」の議論も面白いですね。(※博多で、予備校が集積している通りをもともと“親不孝通り”と呼んでいましたが、“親不孝”という言葉のイメージが悪いことから後に“親富幸通り”に変更。しかし、“親不孝”の方が、ネーミングとして話題になりやすく観光スポットしても集客しやすいので、以前の“親不孝通り”に戻そうという動きがあるのだそうです)私たちは、無意識のうちに言葉の響きに反応しているのです。

 さて、その「言霊」ですが、口の中でモゴモゴして、何を言っているのかよくわからないようでは、伝わるものも伝わらず、エネルギーにはなりません。言葉をエネルギーに変換し、魂(心)を伝えるには、まずは「音」としてきちんと伝わることが大前提です。

 さて、この言葉を「音」として響かせる、劇団四季の俳優が練習している最良の方法があります。それは「言葉を母音だけで発音する」という方法です。舞台で活躍する人は、マイクなしで客席の一番後ろの席まで台詞(言霊)が響かせなければなりません。そのために、彼らは毎日、口の開け方と滑舌、発声練習をしています。たとえば、「おはようございます」なら「おあおうおあいあう」と声に出してみてください。母音だけの発音は、しっかり口を開けないと伝わりません。自分の名前や会社名、接客用語など、母音だけで発音し、その後で普通に読んでみると、はっきり伝わり、声が響くのがわかります。あなたの言霊を磨いてみましょう。