F&Aレポート

F&Aレポート 2015年11月10日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

あなたは日本語ペラペラですか9 〜語感トレーニング

日本語のセンスを磨いてみましょう!(語感トレーニング 中村明著)

1.「田舎」ということばはさまざまなニュアンスで使われます。次の中から「田舎」を見下したニュアンスを感じる表現を選んでください
(1) まったく、あいつは田舎者で礼儀というものを知らないんだよ
(2) お盆には田舎に帰るつもりです
(3) そんな田舎くさい服装はやめたまえ
(4) 心づくしの田舎料理に、心安らぐひとときを過ごした

答え(1)(3)…差別意識の伝わる表現
「田舎くさい」「田舎者」という言い方には、都会人の立場から、地方というものを未発達で洗練されていないとして見下した感じがある。このような差別表現は話し手の意識、人間性の問題であって、「田舎」という語そのものには蔑視の感情がこもっているわけではない。事実、「田舎料理」「田舎でのんびり過ごす」という言い方は差別的な感情は一切ない。「田舎」という単語には故郷のぬくもりに似た雰囲気があり、人の心をなごませる一面もある。「地方にかえる」という言い方では懐かしい気分は表現できない。

2.次の文について、文章の調子にもっとも合うものを選んでください
(1) 黙れ、この<ア若者 イ青二才 ウ青年>!
(2) こいつめ、何を<ア言う イ申す ウほざく>か
(3) <アお巡り イ警察官 ウ巡査>なんぞにつかまってたまるか
回答 (1)イ (2)ウ (3)ア…軽蔑の気持ちが伝わる表現
仲の良い間は「おじいさん」「おばあさん」と呼んでいるのに、喧嘩が始まると同じ相手を「じじい」「ばばあ」と呼ぶこともある。呼ばれた方も当然腹をたてる。意味内容に大きな変化がなく、丁寧な響きを伴っていた「お」や「さん」が脱落しただけのように見えるが、そう言われたとたんにかっと来るのは、その語形の奥に、軽蔑する意図を聞き手が察知するからである。「する」に対する「しやがる」、「言う」に対する「ぬかす」「ほざく」、「死ぬ」に対する「くたばる」も同様である。

3.次の(  )に、ア?オの中から最もふさわしいものを入れてください
(1)(    )のような目
(2)(    )のような脚
(3)(    )のような口
(4)(    )のような顔
(5)(    )のような鼻
ア かば  イ かもしか  ウ 鷹(たか)  エ 猿  オ 鷲(わし)
回答(1)ウ (2)イ (3)ア (4)エ (5)オ…特徴を思い出させる表現
「霞ヶ関」も「永田町」も「兜町」も「吉原」も地名だが、それぞれの土地をさす一方、順に官僚組織、政界、株式市場、遊郭という連想を誘う。というより、むしろそのイメージの方が強い。「ホワイトハウス」も単なる白亜の殿堂ではなく、米国の大統領官邸であり、時には合衆国政府の象徴ともなる。このようにある種のことばは、意味の全体像を平均的に刻むというより、その語の指示対象のうち一部の特徴的な部分が前面に大きく浮かび上がり、相手に強く働きかける。「猿」とう語から、猿面といわれる独特の顔を思い浮かべ、「でめきん」という語からひれや泳ぎ方より、あの飛び出した特徴的な目をまず思い浮かべる。「かもしか」という言葉から細長い脚を、「きりん」という言葉から長い首を、「豚」という言葉から肥った体を連想しやすいだろう。同じ文化に育った人間にはかなり共通したイメージができあがっている。つまりその語によって際立った特徴の記憶が呼び起こされるという語感である。