F&Aレポート
F&Aレポート 2015年10月10日号 Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.
時候のあいさつ〜文豪に学ぶ
仕事でもプライベートでも、メールでやりとりすることが普通の世の中になって、時候のあいさつを述べることも考えることも極端に少なくなったような気がします。それでも、「秋という季節は人を詩人にさせる」のことば通り、時にはグッとくる時候のことばを書いてみたいですね。メールでも手紙でも、いつもとちがう雰囲気に、受け取った相手はあなたの品位が感じられるかもしれません。
とはいえ、決して難しいことではないのです。自分のことばで生き生きと季節を語った文豪たちの秋のあいさつをご紹介します。
太宰治
「だんだんと寒くなりました。…どてらを二枚かさねて、仕事をしております。夜など、さすがに苦しく思いますが、でも、生き抜くために、しのんで努力しております」(昭和13年9月25日 知人あて)
夏目漱石
「伊香保の紅葉をもらって 面白いから机の上にのせて置いたら風がさらって行って仕舞った。どこをたずねてもない」 (明治39年10月19日 門下生あて)
宮沢賢治
「こちらも雪です。 例年より寒いようです。米はとれても廉(やす)くてみんな困っているようです。また書きます」 (昭和5年11月18日 知人あて)
(美しい日本語と正しい敬語が身につく本より)
最後に、挨拶の手紙は近況報告も兼ねますが、「私は元気です。あなたは?」という文章の流れは失礼です。相手の様子や体調などを尋ねてから、自分のことを述べましょう。「だんだんと寒くなりました。…どてらを二枚かさねて、仕事をしております。夜など、さすがに苦しく思いますが、でも、生き抜くために、しのんで努力しております」(昭和13年9月25日 知人あて)
夏目漱石
「伊香保の紅葉をもらって 面白いから机の上にのせて置いたら風がさらって行って仕舞った。どこをたずねてもない」 (明治39年10月19日 門下生あて)
宮沢賢治
「こちらも雪です。 例年より寒いようです。米はとれても廉(やす)くてみんな困っているようです。また書きます」 (昭和5年11月18日 知人あて)
(美しい日本語と正しい敬語が身につく本より)
もともと日本人は季節の風物を話題として心を通わせてきました。「晩秋の候」ということばよりも、文豪に倣って手紙のどこかに季節を感じさせる自分なりの言葉があると、生き生きとした印象になりますね。