F&Aレポート

F&Aレポート 2015年8月20日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

パワー・ハラスメント  

<パワハラの定義>
職場において、職務上の地位や影響力に基づき、相手の人格や尊厳を侵害する言動を行うことにより、その人やその周囲の人に身体的・精神的な苦痛を与え、その就業環境を悪化させること。
 パワハラは、被害者だけでなく組織にとってもダメージが大きいものです。あなたの職場は大丈夫でしょうか。パワハラの最大の防止策は「未然防止」です。働きやすい職場づくりに取り組みましょう。

1.よくあるパワハラ事例の紹介

(1)人前で激しく叱責を繰り返される
皆の前で注意・指導をする場合は、業務上に必要で、かつ適切であるかどうかを十分ふまえて、行わなければなりません。

(2)「オマエの代わりはいくらでもいる」「辞めてもいい」と雇用不安を与えられる
部下を自分の意のままに動かしたいという意識から雇用不安を与える発言は、業務の範疇を越えた個人攻撃になります。

(3)ミスの注意だけでなく、「一方的な全否定」「頭が悪い」など人格まで否定される
相手の人格を傷つける言動は、継続的に行われると、パワハラにつながります。このような言動は、次第にエスカレートしていく傾向があり、被害者にかなりの精神的苦痛を与えます。しかし、致命的なダメージを与える暴言(差別的なことば)は、1回でもパワハラにあたります。

(4)時間外の飲み会やゴルフを強要される
「お酒が苦手」「人付き合いが苦手」と感じる人もいます。また本人の事情で参加できない人もいます。良好な人間関係づくりを理由に、参加を強要することはやめるべきです。

(5)不正行為を強要される
不正行為の強要は、パワハラに当たります。そして、明るみになれば、会社にも多大な影響を与え、法令遵守の観点からみても問題があります。

(6)自分だけが過度なノルマを与えられる
実現不可能な目標やノルマを課せられ、それが達成できないことに対して、「オマエは無能だ」などと侮辱する行為は、本人に心理的ダメージを与え、パワハラになり得ます。併せて、働く意欲を失わせ、職場の生産性や効率も低下します。

2.パワハラは段階を踏んでエスカレートする

(1)第一段階:ミスの指摘・コミュニケーションのずれ・肌が合わない
最初はミスを指摘したり、何となく肌が合わない、コミュニケーションがうまくとれないといった小さなことから始まります。この段階はパワハラとはいえません。

(2)第二段階:繰り返しミスを指摘・不適切な仕事の割当・無視
同じ事を何度も指摘するという「繰り返し」があり、パワハラの兆候が現れはじめます。業務内容ではなく「口の聴き方が悪い」といった「態度」を繰り返し攻撃するようになります。そして「いつもそうだ」「何をやらせてもダメ」「だいたいオマエは」といった、「いつも」「どこでも」という注意に変わってきます。

(3)第三段階:性格や経歴まで非難・無能扱い繰り返し叱責、脅迫、暴力
出身、学歴、身内のことなど。本人が直そうとしても直せないことを非難します。またその人の「行動」ではなく「性格、人格」を非難し始めます。仕事を与えず無能扱いしたり、「オレの言うことが聞けないなら今すぐやめろ」「ノルマ達成ができないなら、窓から飛び降りろ」といった脅迫や暴力的言動も出始めます。こうなると完全なパワハラです。

(4)第四段階:さらなる無能扱い、退職の強要
被害者に心身の不調が表れはじめます。仕事に手がつかなくなるので、ミスが増え、ますます無能のレッテルをはられます。退職を強要されたりといったことも起こります。ここまでパワハラが発展すると修復がかなり難しい段階といえます。