F&Aレポート
頼みごとは「あなただから」と伝えましょう
「藁(わら)にもすがる思いで来ました」などと言われると、内心「クスッ」と思うときがあります。頼みごとをしている本人にそんなつもりはなくとも、これでは「あなたは藁です」と言っているようなもの。「藁にもすがる思い」とは、切羽詰まったときには、頼りにならないものまでも頼りにしたくなるということのたとえですから、頼みごとをする際に、こんなことを言うと失礼な表現になってしまいます。
人に頼みごとをするときは、「これは他の人ではなく、あなたにしかお願いできない。あなただからお願いするのです」ということを、しっかり伝えた方が頼まれた方も納得できますし、「わざわざ自分を選んで頼みに来たんだ」という嬉しい気持ちにもなるでしょう。
それが、「誰でもよかったんですけど、たまたまあなたにお願いしました」というような表現だと、人は動きません。
たとえば、「あなたはいつもこういう書類を正確に手早く仕上げているので、是非ともあなたの力を貸してほしい」とか、「あなたは、○○についての知識が豊富で、先日の発表も素晴らしかった。あなた以外にこれをお願いできる人はいないんです」というような頼まれ方をされるとどうですか?少々面倒なことであっても、無碍に断れなくなってしまうのではないでしょうか。
そのためには、日頃から相手のことをきちんと見ていることが必要ですし、心から伝えるということをしないと、「ただのおべんちゃらを言って上手く利用しようとしている」と思われかねません。
そしてとても大事なことですが、頼みごとやってもらったら、「やっぱりあなたにお願いしてよかった」と、心からの感謝の気持ちを述べることです。たとえ、上手くいかなかったとしても、それは頼んだ側の責任ですので、責めることなくトライしてもらったことに感謝の意を告げることです。そうやって人間関係を大事にしておけば、次につながる絆になります。お互いに頼み頼まれごとができる関係は、そう多くはないはずですので。