F&Aレポート

F&Aレポート 2015年5月10日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

あなたは日本語ペラペラですか5 〜間違えやすい慣用表現

(1)気の置けない
×気の置けない人がいると疲れる
○気の置けない友人と旅行するのは楽しい
「気の置けない」の「気」は遠慮。つまり遠慮がいらない、気を遣わなくていいという意味。打ち解けられない相手は「気を許せない人」

(2)憮然として
×憮然として部下を怒鳴りつけた
○憮然としてため息をついた
「憮然」は失望して落胆している様子。驚き呆れているさまを表す。「憮然とした面持ち」は腹をたてて、ぶすっとした顔ではない。

(3)仕事が煮詰まる
×思うように進まず、仕事が煮詰まってきた
○活発な意見が出て仕事が煮詰まってきた
「煮詰まる」は十分に議論・検討できて、完成目前の状態を意味する。思うように進まず頭を抱えているなら「行き詰まる」を使うべき。

(4)流れに棹(さお)さす
×流れに棹さし反論する
○流れに棹さし一気に仕上げる
「棹」はブレーキではなくアクセル。川の流れに乗り、棹を駆使して船を前に進める様子を表す。「時流に乗る」「物事が順調に進む」の意。

(5)敷居が高い
×高級な店は敷居が高い
○先生にご無沙汰して敷居が高くなった
不義理をしていて、その人の家に入りにくい、合わせる顔がないという意味。程度や難度、格が高くて入りにくいということではない。

(6)他山の石とする
×先生の姿を他山の石として励む
○他社の不祥事を他山の意志として気を引き締める
よその出来事や自分への批評が自分を磨く助けとなる、の意味。他山の石は、ほかの山でとれた粗悪な石。手本となるものには使わない。

(7)情けは人のためならず
×情けは人のためならずと考え、厳しく指導した
○情けは人のためならず。だから善行に励む
相手にとってマイナス、という意味ではない。情けをかければ巡り巡って必ず自分に良い事が起こる、の意味。情けとは、思いやりの心。

<似ているけれど意味が違う言葉にご用心!>
「一抹」「一縷」(「いちまつ」「いちる」)……不安は「一抹」、望みは「一縷」、どちらもわずかな量を表す。 一抹は吹けば飛ぶほどの微量の粉、一縷は今にも切れそうな細い糸。