F&Aレポート

F&Aレポート 2015年4月20日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

働く意味、仕事の価値3「何のために仕事をしていますか?」〜やりがいに通じる「内的キャリア」

■ 「何のために仕事をするのですか?」と聞かれて、「お金のため」「生活のため」とだけ答えるのは何かもの足りない。新入社員ならともかく、それがリーダーの答えだとしたら、リーダーの立場を返上した方がいい。実際「お金のため」だけなら、選ばなければ仕事はいくらでもあるはずなのだから。今の職業に従事しているのは、「お金のため」だけではない「何か」がきっとある。その「何か」が何なのか。「何か」が明確になればなるほど、仕事に迫力が生まれる。
■ 今期、メジャー年俸21億円ともいわれた黒田博樹投手が、推定年俸4億円の古巣であるカープ球団に復帰したのは「お金」だけではない、彼の「仕事の価値」や「生き方」「信念」が伺える。
■ 新年度を迎えて心新たに、仕事に邁進する人達に自らのキャリア構築の一助となるよう、「やりがい」「内的キャリア」について特集したい。

「キャリア」とは、「仕事の視点から見た人生」のこと。職務だけでなく仕事や人生の生き方すべてを包括する「仕事と生活」の全般をいう。
1.「外的キャリア」と「内的キャリア」
 キャリアは外側と内側の両方からとらえることができます。外側からとらえたキャリアが「外的キャリア」、内側からとらえたキャリアが「内的キャリア」です。
 「外的キャリア」は、職歴や資格、役職など目に見えるもの。名刺や履歴書にかけるものです。花にたとえると花や葉、枝などの地上に出ている部分になるので、目で見ることができます。
 「内的キャリア」は、自分にとって働くことの意味や価値観などをいいます。これは、自分の内面であり、自分の心の中に存在しています。花でいえば根っこの部分です。地面の下にあるので人には見えません。自分でもわかりにくいものです。
 「内的キャリア」は、花や葉、枝を支える重要なものです。根がしっかり地中に伸びていないと、強風に倒れたり枯れたりしてしまいます。

2.やりたい仕事がわからないのは「内的キャリア」が不明確だから
 「内的キャリア」がぐらついていると、アイデンティティ(自分らしさ)がはっきりしておらず、「外的キャリア」を決めることができません。「やりたいことがわからない」のは、ほとんどの場合、内定キャリアが不明確であることが原因となっています。
 企業に属していると対外的関係から外的キャリアを重視する傾向がありますが、仕事&人生を設計する上で重要なのは内的キャリアです。なぜなら、行きていく本質は、外的キャリアを目指すことではなく、内的キャリアを確立することにあるからです。
 日本の社会でキャリアというと、ほとんどが外的キャリアを意味していることが、自分にとってのキャリアがはっきりしない人が多い理由だと思われます。
 キャリアをデザインするときは、外的キャリアだけに目を向けていては何も見えてきません。内的キャリアを見つめた上で、外的キャリアに目を向けると見えなかったものが見えてきます。それは外的キャリアは肩書きに、内的キャリアはやりがいに通じるものだからです。

3.どちらの輪に意識が向きますか?
 右の図を見て、どちらの輪に意識が向きますか?
image  私たち人間の脳は、欠けているものを埋めようとする習性があるようです。そうすると、自分の中のできている点にフォーカスを当てるよりも、できていない点、欠けている点にフォーカスを当てがちだということです。
 内的キャリアを見つめる際、「自分なんて特に強みや自慢できることは何もない」と、否定的に自己像をとらえてしまうと、可能な領域を狭めてしまい、その結果、3年後、5年後のキャリア・ビジョンが萎んでしまいます。キャリアをデザインする際は、内的キャリアを肯定的に見つめ、可能な領域を広げることが重要なポイントです。